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KURENAI : Kyoto University Research Information Repository

Title 鋼製円筒型石油タンク基礎に関する研究

Author(s)

岡林, 郁夫

Citation

Kyoto University (京都大学), 1982-01-23

Issue Date

1982-01-23

URL

http://hdl.handle.net/2433/138349

Right

Type

Thesis or Dissertation

Textversion

author

Kyoto University


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昭和56年7月
岡 林 郁 夫


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緒  論・…

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第1章 鋼製円筒型石油タンクの概要
 序言…………・…・…・…………’…’…”………………’’”…’
・・・・・…

@5

 1・1 鋼製円筒型石油タンクの種類・…
 1・2 鋼製円筒型石油タンクの機能的特性について…・  1・3 鋼製円筒型石油タンクの構造的特性について…・
 結語………………・・…・…………・
 参考文献…・……………・・…・…………・…・…………・

  ・・ 6

    7     8

   12
 ・…  13

第2章鋼製円筒型石油タンク基礎の地盤改良に関する研究

 序言……・…………・・…………・……・・………−     15
 2・1 粘性土地盤におけるタンク基礎の地盤改良に関する研究一        16

 2・1・1 従来の粘性土に対する地盤改良工法とその問題点……・……−    16

 2・1・2 PACKED−DRAIN工法…               −   20
 2・1・3 PACKED 一 DRAIN工法のタンク基礎への適用…         28

 2・1・4 PACKED−DRAIN工法によるタンク基礎の挙動とその考察・  …70
 2・2 砂質土地盤におけるタンク基礎の地盤改良に関する研究……      ・・134
 2・2・1 従来の砂質土に対する地盤改良工法とその問題点一・・…一     ・・134

 2・2・2 新しい砂質土地盤の締め固め工法………一            …135  2・2・3 新しい締め固め工法のタンク基礎への適用……………一      ・136
 2・2・4 新しい締め固め工法によるタンク基礎の挙動とその考察・………  ・・140

 結 語…・                      ・147
 参考文献………・……・…・………………………                 …148

第3章 鋼製円筒型石油タンク基礎の盛砂基礎に関する研究
 序 言………………………………・…・………・・………・……・…………・…  ……151

 3・1 常時荷重における盛砂基礎の設計施工に関する問題点…        …151
 3・1・1 盛砂基礎の役割とその機能……………・…・・………       …・…・151

3・1・2 盛砂基礎とタンクとの関係……………………………・…・……     153

3・2 地震時荷重における盛砂基礎の設計施工に関する問題点・…       154
3・2・1 地震時における盛砂基礎の挙動……………・・…・……・…       ・154

3・2・2 地震時における盛砂基礎への考察と対策………………     ……・157

結語………………・・……・……………………………・………・…・  ・163
参考文献……………・・…・…・………・……・……………・・…・…………   ……    165

第4章鋼製円筒型石油タンクとその基礎との関連性に関する研究
 序言…・……・………・……・…・………・・……………・…・…………・・……・… ・・167

 4・1 タンクの沈下ならびに不等沈下と基礎との関連性についての研究一  …168
 4・2 不等沈下がタンクにおよぼす影響についての研究…・・……………・…’  …173

 4・3 タンクの破壊と基礎との関連性についての研究………………一……   ・・182
 結 語…・・……………・…………………………・………・・…………・…・…・・…   −191
参考文献……・・…………・……………・…・・……………・・…・………………・・………   ・193

第5章鋼製円筒型石油タンク基礎の設計施工に関する工学上の基本的考え方
 序言………………………………・…・…………・…………………・……・……・……195
 5・1 タンク基礎の設計に関する基本的考え方……・………・…・……………・・…・…・・195

 5・2 タンク基礎の施工に関する基本的考え方…………・…・…・………………  ・201
 結    言吾……………・・…・………・…… …・・……………・・・・・… ………………・・…・…    ・・204

参考文献……………・…・・………・・………・…・・……………・………………………… …・205

結  論・

・207

略 語………・・………・………・・………・………………………・……………………………211
謝辞・・………………・…………・・……・・……・…………・…・・……………・………………・213

 1960年代になって,エネルギーが石炭から石油にかわり,さらに石油化学工業の長足な発 展期に到り我国の石油消費量が急速に増えてきたことは周知の事実である。一方我国はほと

んど産油がなく,石油は輸入に頼りっぱなしの状況が約30年続いてきたのである。地理的
にみても,我国は産油国から遠くに位置していて,石油は長い距離を海ヒ輸送しなければな らない宿命にある。幸なことに我国の造船技術が世界有数のものであったために経済的に効 率よく石油を輸送するための大型タンカーの建造が盛んに行われてきた。このような大量輸 送の時代に入って,当然のことながらそれを受け入れる石油タンクの方も大型化されてきた のである。技術的にみると,石油ならびに石油化学の技術は欧米からの輸入技術が大半を占 めていた。この技術とともに原料ならびに製品を貯蔵するタンク建設技術も我国に輸入され てきた。ところが前述のごとく,産油国から遠距離にあるために,経済性の面からも当然, 石油タンクの大型化が行なわれ,実績としては,欧米をしのぐ大型鋼製円筒型石油タンクの 建設が行われる結果となった。さらに,1973年の石油ショック以後,石油不安が高まり石油 備蓄基地の建設が,国家的規模で行われるようになり,大型タンクの建設がますますエスカ レーションする傾向にある。このような大型化にともない従来の欧米から輸入したタンク建 設技術から,はみだしてしまう結果となった。一方,土質工学的立場からみると,このよう な石油タンクを建設する場所は,臨海地区の沖積土層からなる埋立地盤がほとんどである。 これらの臨海地区の沖積埋立の主たるものは,軟弱粘性土を主体とするもの,ゆるい砂質tか ら構成されているもの,あるいは,この両者が互層となっているものから構成されている。  著者はこのような軟弱地盤に大型構造物である鋼製円筒型石油タンクの基礎を建設するに あたって,種々な土質工学的な問題を処理しなければならなかった。  さらに鋼製円筒型石油タンクが大型化すればするほど,他の構造物に類をみないほど可擁 性に富んだ特殊構造物であることも,その基礎にさらに新しい問題を提供することになる。 いまや100,000k王,150,000 k1,といった超大型鋼製円筒型石油タンクが建設されている にもかかわらず,タンク工学として系統だった学問的な研究がほとんど行われていない。そ
の理由の大きなものとして次の事項が考えられる。
 その一っは,鋼製円筒型石油タンクが既存の工学のどの分野に属するのか定かでないことである。

例えば,設計面では構造解析的な要素が要求されるので構造力学の知識のある人が必要である。

一方建設現場からの立場からみると,建設工学と溶接工学との知識が要求されるのである。  我国の現状では,機械工学,溶接工学,船舶工学の出身の人々を中心に一部土木工学,建
1

築学の出身の人達がタンク建設にたずさわっているのである。著者がここで論じようとして いることは工学の出身別をうんぬんするのではなく,タンク工学の性質から土木工学を中心 にこの学問的研究を進めることが最適であると確信していることである。米国ではこの分野 にCivil Engineerが主体となって進出している。 著者がこのように確信する理由の一つ は鋼製円筒型石油タンクには必ず基礎が必要であるばかりでなく,その本体が非常に特殊構


造物であるためにそれを充分理解しないと本体と基礎との調和が保てないからである。このこ とはまさに土木工学的要素であるからである。

 その二は鋼製円筒型石油タンクの構造が,非常に経験工学的な要素が大であることである。
可擁性に富む柔軟な構造物であるために,大局的には構造計算は可能であるが,局部的には非

常に困難であることである。これは局部的に非常に変形しやすく,応力をその部分の変形で
部分的に解消するような構造体であるために,局部的な構造解析が困難であることである。石
油タンクの底板は,単に内容物の漏洩を防ぐための膜という考え方で従来設計されていたが,

近年になって石油タンクの大型化にともない,タンク側板と底板との接続面の溶接の止端部に

は大きな応力が作用していることが確認されている。石油タンクはタンク本体の重量ならび
に内容物である石油の重量,いわゆる全ての荷重は,石油タンクの底板をとおして,直接,

基礎に伝達されるという,他の構造物に類をみない特殊なかかわり方を基礎に持つ構造物で ある。例えば, 般の構造物は,その荷重を構造部材をとおして,地中へ伝達するためのフ ーチング基礎とか,ベタ基礎とか構造物の一部として有している。それに比して鋼製円筒型 石油タンクは氷のう的構造物である。さらにその荷重を受ける基礎の方も,これまた非常に


経験工学的な要素を持っ土質上学の分野であるためである。

 その三として,鋼製円筒型石油タンク本体とその基礎との工学分野が各々独立していて, その境界を埋める工学的研究がなされていないのである。前述のごとく,他の構造物と基礎 との関係よりも,より密接な関係にあるヒ載構造物の鋼製円筒型石油タンク本体と基礎が工 学的に情報交換の少い関係にあるからである。例えば,鋼製円筒型石油タンク本体はタンク

メーカーが設計,施1を行い,基礎は,いわゆる建設業者が設計,施工を行う関係にあるか
らである。一般機械の基礎の場合も設計,施工の関係は同じようなものであるが,一般の機 械の場合にはその重量を荷重として基礎に伝える構造を有している。しかも基礎に与える条 件が明白であるので,本体と基礎との境界にほとんど問題が存在しないのである。

 鋼製円筒型石油タンクの場合には,タンク本体が基礎に要求する条件が明確でない部分が
あるのである。一般的には,沈下しないこととか,支持力が充分であるとかいう条件である

が,このような条件は,土質工学hでは容易に満足さ廿ることは可能である。例えば,充分
な杭を打設し,充分なコンクリートスラブを設ければ,上記の条件は,現在の土質工学の分
2

野からみれば,何も困難な要素は見出せないのである。果して,このような条件のみで,鋼 製円筒型石油タンクの基礎として,安全かつ合理的なものといえるであろうか?
 例えば,地震時に基礎だけ残って,タンク本体が破壊するような基礎だったとすると,その

基礎は本来の目的を果したことになるだろうか? 1974年に,水島の50,000kl石油タンク破 損事故が発生するや世間の注目するところとなり,その原因について,種々の議論が百出し た。さらに,1978年の宮城県沖地震による石油タンクの破損事故が起ると,またまた,種々


の議論がなされたが,いずれも工学的結論は明確でない。

 本論文は,このような情勢において,可擁性の大きい柔軟な構造物である鋼製円筒型石油 タンクをその目的に応じて,安全かつ合理的に建設するためには,その基礎はいかにあるべ
きかを,多数の実施例を基に,研究,解析,考察して論ずるものである。

 この目的を達成するために,まず上載構造物である鋼製円筒型石油タンク本体の機能的,
構造的特性の概要を論じた。

 っぎに石油タンク基礎部分で,地表面以下の基礎地盤部分の地盤改良工法を土質工学hの立 場から論じたものである。上載構造物である鋼製円筒型石油タンクを円形大型載荷重という
点に着目し,貯蔵物の危険性,社会性,建設される臨海地区の軟弱地盤等の条件から,従来の 地盤改良工法ではその精度に疑問が生じたために改良,改善を行い,それを実際の石油タンク

基礎に適用し,その挙動を考察して,従来のものと異なる合理的な鋼製円筒型石油タンク基
礎の地盤改良の理論的解明と施工性,施工管理の系統づけを行ったものである。また,石油タ ンク基礎の地表面より上の盛砂基礎部の工学的意義を明確にするとともに,土質工学的に.

その研究,解析,考察をして論ずるものである。さらに盛砂基礎の挙動を観察,考察して理

論づけを行った。振動台実験でこの理論のうらづけを行い盛砂基礎のt質工学上の理論的確
立を試みたものである。

 鋼製円筒型石油タンク本体と,基礎との関連性について,研究,解析,考察を行いその関
連性を明確にして鋼製円筒型石油タンク基礎の技術的体系の確立を計るとともに.石油タンク

本体とその基礎の境界を埋める工学的研究を行ったものである。最後にこれらの研究結果を ふまえたヒで,鋼製円筒型石油タンク基礎の設計,施工に関する工学上の基本的な考え方を
論ずるとともに,その方向性を示唆するものである。

 以Lが本論文の概要であるが,本論文の主旨とするところは,L載構造物である鋼製円筒
型石油タンク本体とその基礎とを工学的に統一された体系の中で考え,その位置ずけを行う ことにより,安全かっ合理的な鋼製円筒型石油タンク基礎の理論的確立を試みたものである。  この過程において,土質工学上で解決しなければならない問題と遭遇し,その問題を研究し 解決を行ったのである。例えば,地盤改良工法の理論と実際との間に相当なへだたりのある
3

ものがあり,それを研究した結果として,出てきたのが改良型サンドドレーン工法である

PACKED−DRAIN工法の開発,新しい締め固め工法の開発であった。さらに盛砂基礎の工
学的な意義の確立であり,また土質工学的な理論づけであった。一方,上載構造物である鋼 製円筒型石油タンクの大型化に対する対応策も結果として得ることができた。  なお,近年の石油タンクの大型化の状況は図1に示すようなものである。

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図1 石油タンク大型化の傾向

第1章 鋼製円筒型石油タンクの概要

序  言
 本章においては,第2章以下に論ずる鋼製円筒型石油タンク基礎の研究に関して,その上
載構造物である鋼製円筒型石油タンク本体の概要について述べるものである。  構造物の基礎に関する研究をするにあたって,その上載構造物の機能的特性,ならびに構 造的特性に関する少くとも,概略的な知識がなければならない。ii質工学的見地からすれば 強固な基礎を造ることが,一つの目的であるかも知れないが,最終の目的は,上載構造物の 特性に,最も合理的に適合する基礎は,いかにあるべきかを研究すべきである。
 地上式の鋼製円筒型のタンクは,石油タンク以外にも,ガス,L. N.G., L. P.G.その

他の化学製品の貯蔵に供せられる種々のタンクが存在する。

 しかし,本論文では,石油貯蔵のための鋼製円筒型石油タンク基礎の研究に関するもので あるために,鋼製円筒型石油タンクを中心に述べるものである。地上式タンクの種類は,表 1・1に示すように,分類することができる。

 表1・1で明らかなように,円筒型石油タンクは,横型式と竪型式とに分類することがで
きる。横型式のものは,一般に小容量のものであり,例えば,ガソリンスタンドの地下等に 設置されているものである。この型式のものは小規模であり,一般機器装置と類似していて 剛性に富んだ構造を有して,その基礎に関しても,特異性がないので,本論文の対象からは,
はずすものとする。 (図1・1参照)

 本章では,本論文の研究主体である鋼製円筒型石油タンクの竪型式の種類,機能的特性,
構造的特性について述べ,その概要にっいて論ずるものである。

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  横  型  式          竪  型  式

    図1・1 鋼製円筒型石油タンクの型式
5

       表1・1 地上タンクの分類

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窓ホ㌶、l

     L__
     ぱ瓢e)

湿式
(Watcr type

有柱式(Column type)
無柱式(Spiral type)

  or (Wate r wロl type)
ピストン式
(Piston type)

乾式
(watcrlcss type)

     (Grease seal type) ファブリック式……Wiggins社型
(Dry seal type wlthTe lesci)plc fender and fabrios)

  or (Dry scal type)
欝㌫,yp,、遷塁麟,;th bmne ty氏)

鯉…(・・r…n・・1 Cyli…){霧用

円筒型タンク (Cylindri− cal Tank)

竪型タンク

液体貯蔵用タンク
(Li(担id Sk)rd ge

    「ra n k)

叫響三三憲撒憲ご}1;琴

 1・1 鋼製円筒型石油タンクの種類
 本節では,鋼製円筒型石油タンクの竪型式の種類について,述べるものである。 石油は,原油をはじめとして,原油を蒸留して比較的比重の軽いナフサ,ガソリンから,比

較的比重の重い重油,アスファルトまでの製品にわけることができる。
 これらの石油あるいは石油製品を貯蔵するための鋼製円筒型石油タンクがある。

その主たるものは図1・2に示すとおりである。
  {a)円錐屋根貯槽

 この型式のものは,その屋根の形状からコーン・ルーフタンクと呼ばれていて,主として
重油類のような,揮発分の少ない石油類の貯蔵に供されている。
  {b)円屋根貯槽

 この型式のものは,その屋根の形状からドーム・ルーフタンクと呼ばれていて,比較的多
61

プリーザーパルプ

内ばし
ンホール

フロートサクシ,ン

 (a)円錐屋根貯槽

(b)円屋根貯槽

プラノトホーム り階段

@      ウインドガーダーおよび手
可動はしご

排気

tサポート

   可動はしご

ばしご

熨葡u

iョ   受台
ンール

内部 浮屋根

ルーフサポート

散水管

             (c)浮屋根貯槽               (d)固定屋根付浮屋根貯槽

             図1・2 石油タンクの種類
くの石油類の貯蔵に供されている。さらに内圧を少しかけて貯蔵する場合にも,この型式の
貯槽が使用されている。   〔c)浮屋根式貯槽

 この型式のものは,その屋根の形状から,フローティング・ルーフタンクと呼ばれていて, 原油,ナフサ,ガソリン等の揮発分の高い石油類の貯蔵に供されている。特に,原油貯蔵用 のものは,大型化されていて,フローティング・ルーフで揮発を防ぐとともに,構造的には


大型の固定屋根の困難さをカバーしている。   〔d)固定屋根付浮屋根貯槽

 この型式のものは,カバードフローティング・ルーフタンクと呼ばれていて,固定屋根式 貯槽の中に浮屋根が浮んでいる型式のものである。この型式の貯槽は,雨水等の混入を最も
避けねばならない航空機用燃料の貯蔵に供されている。

 1・2 鋼製円筒型石油タンクの機能的特性について
 一般に,石油タンクの機能というと,石油を貯蔵するという共通的な機能があることは当 然である。しかし,石油タンクの設置される場所,あるいは工場の種類によってその機能の
特性が異るのである。

 石油精製工場(リファイナリイ)は,最も多種類の石油タンクが存在する所である。

先ず,タンカーから原料となる原油を受けいれる大型浮屋根式タンク群がある。つぎに蒸
留装置等を経て,中間製品を貯蔵するタンク群がある。これらのタンクは,貯蔵物の性質に
応じてフローティング・ルーフタンク,コーン・ルーフタンク・ドーム・ルーフタンクといったよ
7

うに多種多様のタンクからなるタンク群である。さらに,二種類以上の石油類を混合するプ
レンディングタンクがある。そして最後に製品別に貯蔵する製品タンク群がある。これらも,中

間製品タンク群と同様に多種多様のタンクがある。

 石油精製工場における石油タンクの機能的特性は,原油,中間製品,製品の貯蔵という特
性と,ブレンディングタンクのように装置の一部のような機能として使用されるタンクがある
のである。

 石油精製工場における石油タンク群を荷重という視点からみると,比較的出入が頻繁であ り,年間を通して平均すると,各々のタンクがその最大貯蔵量の約60%程度を貯蔵している
ことになる。すなわち,常に荷重の増減がくりかえされていることに特徴がある。

 油槽所(オイルデポ)における石油タンクは,小型タンクを中心に中型タンクまでである。
油槽所の機能は,近辺の都市に石油類の供給を目的としたものであるので,すべてガソリン,

灯油,軽油,重油等の製品タンクである。油槽所の石油タンクの機能的特性は,一般市民生 活に直結したものである。これをタンク工学的な立場からみると100k1から1,000 klクラス
の小型タンクを中心として,せいぜい10,000 klクラスの中型タンクから構成されているとい
える。

 石油備蓄基地(CTS)における石油タンクは,文字通り石油を備蓄するものであるが,
原油で備蓄することが主体である。  100,000k|クラスないし150,000 klクラスの大型浮屋根式タンクが,はとんどである。こ

のほかに,タンカーのバラスト水を受け入れるバラストタンクがある。大型石油備蓄基地に
おけるバラストタンクは50. 000∼60,000klクラスの大型のタンクが多い。このバラストタ

ンクは石油と水とを分離する機能の一部を果すこともある。ここの石油タンクの機能は基本

的には原油の備蓄であるので,石油の出入りは比較的少ない。民間のもので,年6回くらい
の出入が一般的である。政策べ一スのものは原油の輸入がとだえた時に放出するものである
から,常に満タン状態である。

 荷重的にみると,常に最大貯蔵量に近い状態にある。すなわち.設計最大荷重に近い状態
が続くのである。

 火力発電所における石油タンクは,燃料用の重油タンクが中心である。したがって,中型
タンクがほとんどである。10,000kl∼50,000 klクラスのタンクが主体をなしている。

 以上が鋼製円筒型石油タンクの機能的特性の概要である。

1・3 鋼製円筒型石油タンクの構造的特性について 鋼製円筒型石油タンクの種類は,表1・1で述べたとおりである。これを構造的立場から
8

分類すると,次の二っに大別できる。
  (1)固定屋根式貯槽   (2)浮屋根式貯槽

 固定屋根式貯槽は,屋根板を柱と側板の双方で支持する形式のものと,柱なしでトラスや
ドーム形式で,屋根板の荷重をすべて側板で支持させる形式とがある。

いずれの形式にしても,固定屋根式のものは底板,側板,固定屋根の三っの部分から構成
される構造体である。

 浮屋根式貯槽は,底板,側板,浮屋根からなり浮屋根と側板との間をシールする機構から

構成される構造体である。浮屋根式貯槽が固定屋根式と構造的に異る点は,側板最上部で
屋根と接続されていないので,側板上部の剛性が非常に小さくなる。これを補強するために
ウィンドガーダーを有していることである。

〈鋼製円筒型石油タンクの設計の現状〉  タンクの基本的構成部の一つである底板は,直接基礎に支えられているという前提条件の
もとに設計されていて,一種の漏洩防止膜である。A. P.1.では,底板の最小厚を約6 mmと

規定している。我国では,消防関係法規で,底板の最小厚は,1,000kl以上10,000 k1未満    、
では9㎜,10, OOO kl以上では12㎜と規定されている。

 タンクの側板は薄肉円筒として取り扱われ,円周方向膜応力(σ)と板厚(t)の関係式

     σ=PD/2t                      1一①
      P:液圧
      D:タンク直径
を基に強度計算される。

現在は,消防関係法でつぎのように計算されている。       D(H−0.3)ρ

    t=              十C         2fr


 t:最小必要板厚(m)

1一②

 D:タンクの内径(m)
 H:側板の厚さを求める段の下端から危険物の最高液面までの高さ(m)
 ρ:貯蔵する危険物の比重量g/cdi

   ρ<1の場合は 1g/cdiをとる。  f:材料の規格最小降伏点,または0.2%耐力の60%の値(kg/㎡)

 r:継手効率一1
 c:腐れしろ
9

 屋根板は4.5㎜以上とされている。

 以上のように,我国では底板の最小厚さ等が諸外国に比して厚く規定されているが,いず れにしても,非常に可擁性に富んだ構造物である。一例として過去に建設された150,000k1

浮屋根タンクを図1・3に示す。
タンク内径100,000φ
ウイン

板厚
ローリンクラダー           .

材質

12t     SS41 一      §
@     昆      煙一
            浮屋根ポンツーン

12t      HT60

15t     HT60
20t      HT60

Zst    HT60 Zgt    HT60 34t    HT60 39t    HT60

、                底板(9t

           側板SS41)

@    アニュラープレート(16tHT60)

図1・3 150,000kl浮屋根タンク概要図
 タンク内径が100mであり,側板の最下段の厚さが60kg/cdi級,高張力鋼で39㎜である。

底板はアニュラープレートで16min,他の底板は9mである。現状の法規に準拠しても,アニ
ュラープレートが21m程度,他の底板は12mm程度である。  以ヒのことから明らかなように,鋼製円筒型石油タンクの構造は他の構造物に類をみない 程,可擁性に富む柔軟な構造物である。変形に対して,非常に寛大な構造物といえよう。一 方,タンクの高さと直径の割合から図1・4に示すように分類することができる。(c)の場合
には,風,地震等に対しても,比較的に安定しているが,{a),〔b)の場合には,非常に不安定

であるために基礎の方で,これを安定させるための配慮をしなければならない。鋼製円筒型
石油タンクは万一爆発が発生した時に周囲への影響を最小にとどめるために,屋根が飛ぶよう

な構造を有している。浮屋根式のものは勿論であるが,固定屋根式タンクでは屋根板と側板
との接続部が最も弱く溶接されている。


H≒・D         H>D              H〈D
(a)              (b)                     (c)

   図1・4 タンクの高さ(H)と直径(D)の関係

10一

現在の鋼製円筒型石油タンクの構造的特性の一つとして,すべての継手が溶接継手であるこ

とである。この溶接継手の方法として三種あり,それは図1・5溶接継手の種類に示すよう

/ぐ母材
 (b)重ね溶接継手

 (aγ突き合せ溶接継手

  (c) すみ肉溶接継手

図1・5 溶接継手の種類
に,突き合せ溶接継手(バット溶接継手),重ね溶接継手(ラップ溶接継手),すみ肉溶接
継手の三種類の溶接継手が,鋼製円筒型石油タンクの建設に用いられる。溶接1:学的には,重ね

溶接継手もすみ肉溶接の一部であるが,形状のEから本論文ではあえて別分類とした。突き
合せ溶接継手は,あて板のあるものとないものとがある。一方側からのみしか溶接ができな
い場合に,あて板を用いることが多い。鋼製円筒型石油タンクにおいては,屋根板はほとんど重

ね溶接であり,側板はあて板なしの突き合せ溶接継手である。底板はアニュラープレートが あて板ありの突合せ溶接で,他の部分は重ね溶接継手である。ただし,我国においては,近 年になって,底板はすべてあて板ありの突き合せ溶接継手で行うように法規的に定められた。

なお,アニュラープレートとは図1・6鋼製タンク底板配列概要図に示すように,底板の最

アニュラープレート

図1・6 鋼製タンク底板配列概要図
11

外周部を構成する鋼板をその配列の形状から一般にアニュラープレートと呼んでいる。この アニュラープレートの上に側板が組みたてられるのである。このアニュラープレートと側板
とは図1・5(c)のすみ肉溶接継手で接続されるのである。以上のような溶接継手構造をとる

ために,鋼板の薄い部分を中心に溶接歪が生じて,鋼製タンク自身に変形を生ずるのである。 さらに露天の現場で組立溶接作業が行われるために,日照の関係等で溶接時の鋼板の温度も 部分的に大きく変ることもあり溶接歪を助長させることもある。ただし,相当全体的にいび つにできあがっても薄肉構造であるために,水張りテスト時には,真円になろうとする作用 が働くのである。鋼製円筒型石油タンクの構造を力学的にみると,側板とアニュラープレー


トとの溶接部のアニュラープレート側の溶接止端部に最も大きな応力が発生するのである。

 以kが鋼製円筒型石油タンクの構造的特性の概要である。

 本章では,本論文の主目的である鋼製円筒型石油タンク基礎を論ずるにあたって,その上
載構造物である鋼製円筒型石油タンク本体の機能的特性,ならびに構造的特性の概要を論じた ものである。その結論を要約するとつぎのようなものである。  (1)他の構造物に類をみないほど可擁性に富んだ柔軟な構造物である。  (2)建設にあたっては,溶接継手を用いるために非常に歪の起りやすい構造物である。

(3)設計にあたっては,ストレスベースで計算を行うが,ストレインいわゆる変形の状態
に対しては野放しであり,底板については,特に応力計算を行わないで,漏洩を防ぐ膜である
という立場をとっている。

 以.ヒのような事実が明らかになったことは,次章以降に論ずる鋼製円筒型石油タンク基礎の

研究にあたって,その方向づけに大いに参考となる研究であったと思う。

12一

参考文献
(1) A.P。1:Welded Steel T anks for Oil Strage.

   A.P.1. S tandard 650

(2)大川治:土木工学大成特殊構造物(1)

   3章タンクP99∼137,神谷貞吉編
   1969年7月 森北出版
(3)玉置明善編:化学プラント建設便覧

   P873∼906,1972年7月
   丸善株式会社
(4)岩切淳,岡林郁夫:大型タンクとその基礎,土と基礎Vol.23, Nα 91975年9月

   .L質工学会P39∼41

(5)末原忠司:新体系土木工学95貯蔵タンク,サイロP35∼56,1980年5月
   土木工学会編,技報堂
(6)河野和間,岩上昭夫

   発想転換を追られる大型円筒型タンク,石油と石油化学 Vol.18,No. 4 (7)大川治,岡林郁夫,岩ll昭夫

   消防大学校危険物保安科テキスト    教授科目 化学装置一タンク

   講議場所 消防大学校 1977年∼1980年

13一

第2章 鋼製円筒型石油タンク基礎の
      地盤改良に関する研究

 鋼製円筒型石油タンク基礎は,計画地盤面以深の地盤の支持力,沈F等を取り扱う部分と
計画地盤面上の盛砂部を取り扱う部分から構成されている。盛砂部に関しての研究は,次章

の第3章で論ずる。本章では,計画地盤面以深の地盤に関する研究を論ずるものである。第
1章で述べたごとく,鋼製円筒型石油タンクは構造的に他の構造物に例をみない程,可擁性 に富んだ構造物であるので,ある程度の沈下を許容する構造物である。むしろある種の沈下

あるいは,変形がある方が,好ましいと著者は考えている。この考え方の詳細は第4章でそ
の研究結果として論ずる。

 石油タンク基礎として,従来採用されてきた工法としては杭とコンクリートスラブとの組 み合せ,地盤改良と盛砂基礎との組み合せ,地盤改良とコンクリートスラブとの組み合せ, のこの三種がほとんどである。一方,地盤改良工法は道路の盛土部分とか港湾構造物の基礎 として,多く採用されてきた。また,数多くの地盤改良工法が開発され,それに種々な理論 づけがなされているのが現状である。但し,理論と実際が必ずしも一致していない工法が多


々見うけられるのである。例えば,サンドドレーン工法は粘性土地盤に対して有効なのか, 否かという論議が数多くの人々によってなされてきた。  その論議は理論どおり,あるいは設計どおりサンドドレーンが,確実に施工されたという前

提条件でなされている。もし,理論どおりあるいは設計どおりサンドドレーンが施工されて いなかったり,または確実に施工することが非常に困難な施工方法であったならば,サンド
ドレ_ンの是非を論ずること自体無駄である。著者は石油タンク基礎の設計,施工に当るにあ

たってその貯蔵物の性質上,その地盤改良効果が充分に予測できなければならないと考える ものである。そこで従来の地盤改良工法の理論と施工方法の見直しを行った。その結果とし て,少くとも理論と実際とが納得のいく範囲で合致する工法を開発した。それらの工法を数 多くの石油タンク基礎に適用し,その実測データーと理論との対比を行うと,ともにその過 程において,従来みおとされていた現象について,解析,研究を行った結果を本章で論ずる


ものである。

 一般には,地盤は粘性土を主体とした地盤と,砂質土を主体とした地盤とに分類すること

一15一

ができるが,実際には双方が互層になっていたりして,いずれにも分類しがたい地盤も数多
く存在するのである。

 本章ではまず,粘性±を主体とする地盤の地盤改良の問題をとりあげ,石油タンク基礎に 数多く実施した例の中から,数例をピックアップして論じ,その例中に粘性土と砂質土の互
層から成る地盤の例もとりあげて,その挙動を考察したものである。

 次に,砂質±を主体とする地盤の地盤改良の問題をとりあげて,石油タンク基礎に実施し
たものから,約40基分の実例を解析・研究して,それを論ずるものである。

 勿論,これらの1二法は石油タンク基礎のみに利用されるだけでなく,現在では道路をはじ
めとする,広く一般土木工事に数多く採用され得る可能性を有しているものである。

 2・1 粘性土地盤におけるタンク基礎の地盤改良に関する研究

 2・1・1 従来の粘性土に対する地盤改良工法とその問題点
 粘性土層の地盤改良工法として,最も一般的に採用されてきた.r二法は,鉛直ドレーン工法

である。この[法の裏ずけをなす圧密現象は北欧諸国では,1800年代からその解明にとりく み,定量的には1923年∼1925年にテルツァギーによって理論ずけられた。鉛直ドレーン工法 の場合の圧密理論はグローバー等によって研究され,1948年のバロンの論文によって確立さ れた。鉛直ドレーンの材料やその施工法については,スウエーデン国立地質研究所のチェル


マンが中心となり研究し,さらにペー・寸一ドレーン工法を開発して,1948年国際上質基礎会
議で発表している。

 サンドドレーン工法は,1926年にモランが米国で特許を得て,1930年頃からハイウエイの
盛土部の地盤改良に使われた。

 我国では,第2次世界大戦後盛んとなった。特に大型臨海埋立地の地盤改良に急速な需要
の伸びをみたのである。

 その結果,我国においても急速に鉛直ドレーンに対しての関心が高まり,理論的にも実践 的にも開発が行われてきた。急速な経済の発展に追従するためには,臨海埋立地に短期間に 工場やタンクを建設する必要にせまられた結果,鉛直ドレーン工法が多用されるに到ったの


である。

 図2・1はサンドドレーン工法の原理を示すものである。図2・2はそのサンドドレーン の配置と有効円を示す基本的な理論を図示するものである。図2・3と図2・4はバロンの
理論を実際の設計に応用するために,簡便さを与える計算図表である。

 著者はここでこれらの鉛直ドレーンに関する基本的理論を尺度として,現在世界中で施工
されている鉛直ドレーン工法について研究を試み,その矛盾を指摘して,問題を解決する一提

一16一

興興凪}罐。、。。、敷砂、
.. D°

@、「  .;・’ 、 ’..         .−・ ・ .

軟弱な粘性土層

、・、磐}鱒δ㌍溌認
(a)無処理の場合

 いΩ・t.・ρごo・.・’・.o⇔.o.㌔o.・∵

 (b)サンド・ドレーンを打設した場合

    図2・1
  載荷重一◆
   敷砂一一一・一

サンドドレーン工法の原理

1.II[[[IMIM[[II[II[[一

’    

d
サンド・バイル

dv

理嬢 唖違

             1・一一一!t・一・・+…!÷一・{

    、   .    十

    一丁零零…㌢
     正モ角形配置    正方形配置

図2・2 サンドドレーンの配置と有効円
  0
Tドcλ£/d∼

 10  20  30


  40
81i 50

π=dノ山

π=20
0 π=18.5

10

圧密初期における
time facter
9 8 7

氏≠P7

言60

20 30 40
50

ホ=15 ホ=13 ホ=12


氏≠P1

20
17
15 13 11 O

九=10
η=9

 70
  80   90

U0
0


0.1

ナ=8 ホ=7 ホ=6 ホ=5


氏≠S π=3 栫≠Q

0.20

 100
lt

i§§§§§華§§ききき三誉§三§§ニニニニ=二

                 Ti−一一

図2・3 サンドドレーンによる圧密曲線d。/d w 一 Th(高木による)

              −17一

  もク  “

“.命・

“」6
“・

u“
{ ’二dayD”:c

40
3

CA:cm

/min

9 o・

20 竺20

10 ミ10
T432

0.0001     0.001

0.01           0.1           1.0

             上
             D㎡ 図2・4 サンドドレーン設計用計算図(中瀬による)

案を行うものである。

 表2・1は現在使用されている鉛直ドレーンの分類である。これらの中で最も実績があり, 現在においても多用されているサンドドレーンについて研究を行ったところ,その施工法は
三通りに大別することができる。

 その1は,我国を中心に使用されているケーシングタイプ。  その2は,欧州を中心に使用されているウォータージエットタイプ。

 図2・5はケーシングタイプとウオタージエットタイプのサンドドレーン打設方法を示す
ものである。

 その3は,米国を中心に使用されているアースオーガータイプ。  欧米ではケーシングタイプのサンドドレーン打設方法は,現在ほとんど使用されていない。

その主たる理由はSmear現象を恐れるためである。 ケーシングタイプの方法は,ケーシン

表2・1 バーチカル・ドレーン工法の種類
工    法    名
適 用 地 盤

改良深度の限界

@ (m)
30
30
砂 砂 砂

ドレーン材料

サレ
刀@1

振動打込み式
ジ ェ ッ ト 式

軟弱粘性土地盤
ノノ

hン Eエ h法

衝撃打込み式

30 30
25 25 25

PACKED DRAIN]二法
ペーパード・ドレーン工法
ケミカル・ペーパー・ドレーン工法

超軟弱粘性土地盤

ポリエチレンの砂袋
カードボード      ,
ケミカル・ドレーンボード

ノノ

ロープ・ドレーン工法

特殊加工麻ロープ

一18一

マンドレルによるサンド・パイル施工順序

ウォータージェットによる
サンド・パイルの施工順序

①②③④⑤⑥
マン}’レル
圧縮 ↑

①②
詳ト
Vング


送水

④⑤⑥
  ↑送水 7

ζ1送x
ζ水

端シュー


気1

ゲ」

敷砂


レサンド灼

《y


水 y

①マンドレルの先端シューを閉じて  所定の位置に設置する ②打撃または振動によりマンドレルを  所定の深さまで打込む ③バケットで砂をマンドレルのなかに

①ヶ一シングを所定の位置に設置する
②ケーシング内にジェットロッドを入れ,

 投入する
④,⑤砂投入ロを密閉して圧縮空気を  送りながら,マンドレルを引抜く

 水を噴射する ③水の噴射によって,ケーシングを  徐々に降下させる ④ケーシングを所定の位置まで降下した


 後,ジェットロッドを上下させて中の土

⑥マンドレルを完全に引抜き,サンド  パイルの設置を終わる.

 を十分に排出する
⑤.ケーシング内に砂を投入する

⑥ケーシングを引抜いて,サンド・パイル  の設置を終わる.

図2・5 サンドドレーン打設方法
グ打設時にケーシングが周囲の土と接触している部分の土を乱し,その結果土の透水性を損
うという理由である。

 ウオータージエットタイプのものは,ノンケーシングでウオータージエットにより,地中 に穿孔して砂を投入するために砂の沈降速度が遅く,完全に所定の深さに砂が到達する以前
に孔が崩壊するおそれがある。

 上質が高含水で非常に軟弱な場合には,その孔を自立させておくことが困難である。  さらに多量の圧力水を使用するために,地表面の排水設備を充分にしておかないと,サン
ドドレーン打設機のトラフィカビリティにも影響をおよぼす結果となる。

 アースオーガータイプのものも,土質が高含水の軟弱な場合にはその施工性の不確実さが 問題となる。さらにこの工法の場合は,排土した上の処理に大変な困難さがともなうのであ
る。

 これらの三っの施工方法にも,一長一短がある。

 以上のような理由でSmearの問題があるにもかかわらず,我が国ではケーシングタイプ
の施工方法が一般化されて,確実にサンドドレーンを施一[するためには,このタイプが最も
よいとされてきた。

 ところが臨海埋立地のような高含水の軟弱地盤に,サンドドレーンを打設してみると,果 して所定の直径,所定の長さのサンドドレーンが確実に形成されたか否か,その作業を始め

から最後迄現場でみていた人でも判らないという施工方法に問題があるのである。図2・6

一19一

γ講

 ∼
 ↓

7上㌘

 人
 ξ

a


b

 (c)
サンド・ドレーンの欠陥

の理 想 の形

図2・6 サンドドレーン欠陥図
に示すように,全てのサンドドレーンが(a)のように施工されたと考える人よりも,むしろ(b), (c)のようになったのではないかと疑問を持っ人の方が多いのである。 さらに,{a)のように

施工されていたとしても,圧密現象にともなって周囲の粘性土層が変形を生じた場合には,
サンドドレーンはどのような挙動を示すのかという疑問が生ずるのである。

 このように従来のサンドドレーン工法は,いずれもその施工精度と圧密現象にともなう変
位に対しての追従性に疑問があるのである。

 土質工学ltの理論や式は,絶対値というよりもむしろ相対的な尺度であると考えることは, 土質工学にたずさわる者にとっては,極めて大切なことである。しかし,このように理論に

対して充分でない不確実な施工方法では,その有効,無効を論ずるにはあまりにもへだた
りがある。一方,基本となる理論でもその施工性あるいは周囲の上の変位に対する追従性ま
で加味したものでなければ,土質工学的意義がないのである。  著者は臨海埋立地に数多くの,しかも大型化する鋼製円筒型石油タンクを計画,設計,施工

するにあたって,その基礎の安全性,経済性,社会的重要性とてらしあわせて,より確実な 地盤改良を行う必要から,以1このような従来のサンドドレーン工法の見直しを行い,理論と 実際との間の矛盾を指摘したのである。さらにサンドドレーン以外のカードボードドレーン


工法についても,種々な問題点がある。例えば,形状の問題から変位に対する方向性の問題, 表面の密さによるコロイドの付着の問題等である。

 以上のように従来の鉛直ドレーン「法においては,種々な問題があるので著者等はこれら を改良したサンドドレーン工法を研究,考案し多数の実績を経験したので,次節以降これら
にっいて述べる。

2・1・2 PACKED−DRAIN工法
本工法は我国においてはパックドレーン工法,あるいは袋詰サンドドレーン工法と一般に

一20一

称せられている。この工法は1965年頃から著者等が中心となって,開発した改良型のサンド
ドレーン工法である。

 前節で述べたごとく,従来のサンドドレーン工法はその施工精度,あるいは粘性土層の圧 密現象による変位に追従できないような欠点を有していた。このことは鉛直ドレーンの理論 を完全にカバーできないばかりか,鉛直ドレーンに対する理論的解明が不充分であのたこと を意味するものである。著者はあらためて鉛直ドレーンのあるべき姿を検討し,その条件を

明確にして,鉛直ドレーンに対する理論ずけを行ったものである。その結果として,PAC

KED−DRAIN工法の開発に到ったのである。
<鉛直ドレーンに対する必要条件>

 a)設計条件に示された直径と所定の長さのものが現場にて確実に施工できて,それを維
持できること。

 b)圧密現象の進行にともなうドレーン周辺の地盤の変位に対して,ドレーン機能を損う
ことなく(切断等なく),追従可能であること。

 c)施工時に必要以一ヒに周辺の土層を乱して,土層の透水性を低下させないこと。

 d)施工管理が容易であること。  e) ドレーン打設機のトラフィカビィリテイを確保するために,必要以上の盛砂等を行わ
なくても作業可能な打設機械であること。

 f)打設速度が速いこと。

 以上の条件を満足させるものとして,PACKED−DRAIN工法の開発を行った。

 (1)PACKED−DRAIN工法の概要
 PACKED−DRAIN工法の特徴は,透水性のある袋体に砂を詰めるというところにある。
この袋の主たる仕様は次のとおりである。

   直  径:12cm
   使用原糸:ポリエチレン 100%,縦横糸とも380デニール
   密   度:縦2.5cm当り20本±1本,横2.5cm当り15本士1本
   引張り強度:縦95kg以上/5cm幅, ma 70 kgLI上/5cm幅

 この袋は写真2・1に示すとおりである。
 サンドドレーンの設計に用いられるバロンの式

       de2      t=          Th                2一①        Ch     t:圧密に要する時間

一21一

写真2・1 PACKED DRAIN用ポリエチレン製袋
    d,:サンドドレーンの有効間隔        1[方形配置の場合 d,=1.128H       lE三角形配置の場合 d,=1.05 H

      Hはサンドドレーンの中心間の距離
    Ch:水平方向の上の圧密係数c㎡/sec     Th:時間係数 サンドドレーンの間隔とその直径との比等で決る。

 この2一①式から明らかなように,圧密時間はサンドドレーンの間隔の二乗に比例するこ
とから,この間隔を小さくすれば,早く地盤改良が完了することになる。一方,サンドドレ

ーノの直径そのものは,時間係数Thの項に関係するが,ここでは一乗のオーダーであるの
で,同一地盤を改良する場合直径の小さなサンドドレーンを狭い間隔で打設するほうが合理

的である。従来のサンドドレーンは施Lヒの問題等から,小さい直径で打設するとその精度

をさらに悪くするおそれがあった。PACKED−DRAIN II法は直径を小さくしても,設計
Eの直径を維持できることと,載荷時における地盤の変位に追従できるように透水性のある 網状のメソシュを有する袋体を利用することに着目した工法である。
 本工法を具体的に説明すると,次の順序である。

  ① 開閉できる底ぶたを有する内径12.4cmのケーシングを1.2ml[方形に配置した4
本を同時に所定の深さまで,打設する。

  ② サンドドレーンの設計長より約2mほど長い,ホリエチレン製のカヤ織りになった
袋を用意しておき,この下端にスコッフ1杯はどの砂を重りとして入れて,下端をしばり, ①のケーシング内に挿人する。もしこの場合ケーシング内にヘドロなどがはいっていて,所 定の深さまで空間が保たれていない時には,袋があまることになりその場でチェックできる。   ③ 袋の上端を砂のホッパー口に固定し,振動をかけて袋内に砂を充墳して,ホッパー 口から袋の上端をはずし,ケーシングの上ぶたを締めて,ケーシング内にコンプレックスド

一22一

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23

エアーをかけながらケーシングを徐々に引き抜いて打設を完了する。  この場合,通常は地表rftiに砂の詰まった袋が約50cmないし100 cm出ている。もしこの程度

出ない場合は,袋に充分砂が充填されていない証拠であるから打ち直しをさせる。

 図2・7は施工の順序を示すものである。
 以ヒのように,現場ですぐ施工の良否が判定できて充分な施工管理がでる。

 現在最も一般的に使用されているPACKED−DRA IN工法は直径12cmのものである。こ
れを従来最も一般化している直径40cmのサンドドレーンと同一面積の地盤改良を行うとして 比較してみる。土質条件は同一地盤であるから双方とも同一である。同一時間で同一圧密率

にするには,ザr」を示すと12cm直径のPACKED−DRAIN工法では,120cm正方形配置で
打設する。これと同等にするには40cm直径のサンドドレーン工法では,160 cm正方形配置に
なる。言い換えると,

  12cm直径のPACKED−DRAIN工法では  1. 44㎡に1本
  40cm直径のサンドドレーン工法では     2.56㎡に1本

おのおの打設することになり,PACKED−DRAIN工法は従来の40cm直径のサンドドレー
ン工法に比して,約L8倍の本数を打設しなければならない,当然打設期間も1.8倍要する
ことになる。しかしながら直径が小さいために,4本同時に打設することが可能になった。

現在では120cm間隔でIE方形にケーシングを4本配置した装置で,4本同時打ちが一般化さ
NQ1200型湿地用施工機fl様
γ      利、
NQ1200¶↓瓶,11!地ll]施1機

NQ800型湿地用施1,機仕様
名      i4

NQ800元1眠湿地1髄1機
1L475 m

全     1ぐ

11475m.

全      k

仁     幅 全     高
走 i1 「〔き 度

8300m.

全     幅 全     高
走 力 ・室 度

4774m
05km市 フLジはL30°
64.8t
28.2.mZ‘ 23、t/叩’

8300m 4774m
05km・h
,、プロ.ぱL13ぴ

「ト 坂 能 力

な 坂 能 り
全装備軸f‘h乏人

全装備1隔最大.

625‘い
41.3・m2) 15‘【’m‘

接 地 山 栢 接  地  lf
他1 度 最長
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接 地 [III 栢
接   地   1}

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施1深度 最長

160m

nンマー {ツパー

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22°° ァ榔    8300

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9460 10150
1325

図2・8 PACKED DRAIN打設用機械仕様

一24一

ている。このようにすればむしろ従来のサンドドレーンよりも半分の時間で,同一面積を打

設することができるのである。打設機械は図2・8に示すような,湿地型の接地圧の小さい

機種を採用している。以ヒがPACKED−DRAIN工法の概要である。なお写2・2はPA
CKED−DRAINの打設状況を示すものである。

袋の取付状況

砂詰状況

パ。ク・ドレーンの形成状況

完成されたパノク・トレーノ

写真2・2 PACKED−DRAIN打設状況
  (2)PACKED−DRAIN−[法の設計
 本工法は概要で述べたように袋体に砂を詰めるために,比較的小径(ユ2cm)でも,連続性

とか可擁性に富んでいて,サンドドレーンとして充分な機能を発揮できるとともに,4本同
時に同一ハンマーで打設できる特徴を有している。

一25一

 設計の基本的理論は,従来どおりバロンの式にもとずくものであるが,4本同時に打設可
能であるという特徴を生かして次のような理論を導入して,この設計方法の確立を行ったも

のである。4本のケーシングの間隔は120cmの正方形に固定して,図2・9PACKED−

DRAIN標準配置を決めて,1本のPACKED−DRAINの受け持つ範囲を1,ll,皿のよう
に分割し,図2・10に示すようにPACKED−DRAINの有効径をd,1, d, ll, d』とし,
    de I =   1.128 × 120cm
    de ll;   1.128× 4 cln

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 分割されたSECTIONごとに同一時間に対する圧密度Uを求め,次式による平均値をも
って,全体の平均圧密度とする。

      AI UT+AH UII+2A皿U皿                             2一②     u=

        AI+AH+2A皿

 2一②式から図2・11,図2・12のPACKED−DRAIN設計用計算図を作成し,実用上
の簡便さを図っている。これによってケーシングは120cmの正方形配置に固定されているが,

打設機械の移動距ee emを変化させることにより,実質上種々の配置のPACKED−DRAIN
の設計,施工が可能となる。

 以上がPACKED−DRAIN工法である。本工法を開発して以来10年余り,石油タンク基 礎の地盤改良を中心として,著者は約5,000万延米のPACKED−DRAINの実績から,理
1.2m

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図2・10 PACKED DRAINの有効円

図2・9 PACKED DRAIN標準配置図

一26一

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図2・11 PACKED DRAIN設計用計算図(その1)

           200    250    300    350    (CvXt)

                    Cり=10−3cm2/8ec

                    t=day

図2・12 PACKED DRAIN設計用計算図(その2)
論と実際とが一貫した工法であると確信するに到ったのである。

 次節以降に,本工法を鋼製円筒型石油タンク基礎に採用し,その挙動を解析,研究した実
施例を述べるものである。

一27一

 2・1・3 PACKED−DRAIN工法のタンク基礎への適用
 PACKED−DRAIN工法を石油タンク基礎の地盤改良に適用するにあたって,従来の鉛
直ドレーン工法との経済性,工期の面から比較を行うために図2・13にPACKED−DRAIN
工法,サンドドレーン工法,ペーパードレーン⊥法との設計比較図を準備した。  一般に鉛直ドレーンコニ法にて地盤改良を行う場合に,所定の圧密度を得るにはいかなる日

数(時間)を要するかという検討はなされるが,鉛直ドレーンを打設するに要する日数につ
2.4

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図2・13 PACKED DRAINサンドドレーン,ペーパードレーン設計比較図

一28一

いての検討が不充分である。鉛直ドレーンの間隔を小さくすれば,所定の圧密度に達する日
数は短縮されるが・鉛直ドレーン数量が増えて,打設日数は増えることになる。したがって,

工期全体はむしろ長く要することにもなり,しかも工事費も増加することになる。

 著者は以上の要素を考慮して,PACKED−DRAIN工法を鋼製円筒型石油タンク基礎に
採用したのである。一方,載荷重からみると大型の円形載荷重である。具体的な方法として

はPACKED−DRA IN+PRE−LOAD工法を採用して,圧密を促進して支持力の増加を計
るとともに,事前に沈下を生じせしめて石油タンク建設後に悪影響をおよぼすような種類の
沈下を生じさせないように試みた。

 本工法を用いた石油タンク基礎の実施例は数多くあるが,本論文では瀬戸内海地区の臨海 埋立地における25.000k1タンク基礎の実施例,沖縄本島東部海岸の臨海埋立地における
100, OOOk1タンク基礎4基分の実施例と,沖縄本島中部海岸の臨海埋立地における100,000

klタンク基礎21基分と60,000 klタンク基礎3基分の実施例についてPACKED−DRAIN
工法を適用し,それ等の例にっいての研究考察を述べる。
  (1)25, OOO k1タンク基礎実施例(その1)

 本タンク建設地は,瀬戸内海に面する臨海埋立地である。タンクの配置,ならびに土質調
査のためのボーリング位置は図2・14に示すとおりである。図2・15はボーリング結果から想

定した土層断面図である。表2・2は土質試験の結果であり,本地盤の特性を表わしている

ものである。本地盤はしゅんせつ埋立後さらに山土で表面2∼3mが盛土されており,地
表面から15m迄は軟弱な粘性土で構成されていた。タンクの設計荷重は水張りテスト時約20 t/㎡,タンク操業時約16t/㎡であった。いずれにしても支持力不足であり,1m以上の沈
下が予想されたので地盤改良を行うことにした。

 PACKED−DRA INを12cm直径で,長さ15mのものを1.2m正方形配置で打設して,土 質調査の結果からCv二Chとして設計を行うと,圧密率U−80%に要する日数は約30日
であった。この載荷盛土,沈下量,間隙水圧は図2・16に示すとおりである。この実例で著
者が強調したいことは,沈下曲線の初期で急激な沈下を生じていることである。この沈下曲 線から地盤の破壊が生じたか,進行性の側方流動が生じたかという疑問を持っのである。し かしこの沈下曲線の中期から後期にかけては,ゆるやかな曲線へ戻っているのである。初期 にもし地盤に破壊が生じているのならば,中期,後期にかけて沈下曲線がこのような傾向を
示すはずがないのである。

 著者はこの沈下測定の方法をチェックしてみたところ,っぎのようなことが判明したので

ある。工事の最初に計画地盤高さを決めるために水準測量を行い中断していて,PACKED− DRAINの打設完了後,盛上工事を開始してある程度盛土が進行してから,沈下測定を開始

一29

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調査番号
願  1

標   高
一〇.430 一〇.685 一〇.640 一〇.600

調査深度
17.30仇

孔内水位
一1.60m
一〇.80m 一〇,90m
一〇.85η1

万6 2 〃6 3
茄  4

17.16m 20.30m 17.2gm

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施工前ボーリング位置 施工後ボーリング位置

図2・14 ボーリング位置図

一30一

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ボーリング茄1

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断面図

1一

表2・2 土質試験結果総括表
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採取深度 採取深度

No 2 地 点
採取深度

Nα 3 地 点
採取深度

Nα 4 地 点 試 験 内 容
土質型シ〃レト質ローム

試 験 内 容
土質型シルト質ローム
単位重量γ1.478レ㎡

試 験 内 容 土質型 礫混り粘土
γ :1、560

試 験 内 容

土質型撒巴
γ :1.480

γ :1.462

比重G、2.014
5.00
`5.85

G、:2.682

G、:2.039

Gs:2.079

含水比W 51.2%

W:582%
WL:53.4%
6.00
`6.60

W:67.2%
WL:

W:38.6%
WL:

液性限界WL一
.一

イ強度q。0.274噺

 . 曹秩@ 一

q。:0.310 e。:1.450
9.00
`9.05

qu:0236
e。:0.766
9.10

間隙比e。1.153
圧縮指数C、0.212 先行荷重P。1.80噺

eo: 一
Cc: 一 Po: 一 Cv: 一
土質型粘土質ローム γ :L749
11.00

C,:0282
Po:1.20
C。:8.32×10−2

Cc:0.192
Po:1.05
C。:8.40×10 2

@∼
X.75

圧縮係数q1.41×1σ2 土質型 粘 土
γ :1.695
11.00
`11.85

土質型シルト質粘土
γ :1.542
11.00

土質型 粘 土
γ :1.546
11.00

Gs:2.704

G、:2.682

G、:2.741

Gs:2734
W:58.6%
WL:68.4%
q。:0.162 e。:1.700

W:48.6%
WL:51.1%
qu:0.399

W:50.4%
WL:52.0%
qu:0.299 eo:1.340
Cc:0.523
Po:0.95
C.:1.43×10−2

@∼
P1.85

W:76.6%
WL:88.0%
qu:0.265
e。:2.070

@∼
P1.85

e。:L300
C,:0.407

Cc:0.391

Cc:0.467
Po:0.30
C。:3.18×10−3

Po:0.92

Po:0.73
C。:3.94×10−4

Cv:433×10−3
土質型 粘 土
γ :1.620

土質型 粘 土
γ :L663

土質型シルト質粘土
γ :1.715

土質型 粘 土
γ :1.674

G、:2.704
13.00 13.00

Gs:2.689
@∼
P3.85

G、:2.739
13.00

G、:2.704
@∼
P3.85

@∼
P3.85

W:64.3%
WL:70,0%
qu:0.370
e。:1.618

W:53.4%
WL:54.2%
q。:0.273 e。:1.340

13.50

W:56,1%
WL:57.4%
q。:0.408 e。:1.560

W:48.1%
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図2・16 載荷盛土・沈下量・間隙水圧
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したことである。もしPACKED−DRAIN打設時に沈下が生じたとしたならば,その沈下
量が盛±初期の沈下量に加算されるために,初期の沈下量が大きく計測されたことになる。

果してPACKED−DRAINの打設のみによる沈下があり得るだろうかという疑問を生じた
のである。もしあり得るならば,どのようなメカニズムによるものであろうか。以後,著者
はこの現象を解明するために研究を行ったのである。

 まず,最初にタンク基礎の地盤改良にPACKED−DRAIN」二法を採用する現場において,

PACKED−DRAINの打設による沈下の有無,さらにその沈ド量の測定を行ったのである。
それらの例について以後述べるものである。   (2) 100,000klタンク基礎4基建設の実施例(その2)

 本実施例は沖縄本島の東海岸に造成された臨海埋立地に,100,000kl浮屋根タンク4基を
同時に建設した実施例である。

   {a)土質調査の位置および調査の方法

 土質調査の位置は図2・17に示すように,各タンク中心部1ケ所,タンク側板部4ケ所の
合計20ケ所とタンク外のヤード内で1ケ所総合計21ケ所の位置で実施した。
 調査方法は標準貫入試験併用のロータリー式ボーリングである。沖積層の厚さを調査する
とともに,粘性土層においては不撹乱試料を採取し,下記の室内試験を行った。

 物理試験として,比重試験,含水試験,粒度試験,液性限界試験,塑性限界試験,単位体
積重量試験。

 力学試験として,一軸圧縮試験,三軸圧縮試験,一面セン断試験,圧密試験。
   〔b)土質調査結果の概要

 図2・18はタンクTK−1の中心部の土質柱状図を示すものである。図2・19はタンクTK −1のN(北)側,E(東)側の土質柱状図であり,図2・20はタンクTK−1のS(南)とW (西)の土質柱状図である。以F図2・21から図2・23まではタンクTK−2の土質柱状図

であり,図2・24から図2・26まではタンクTK−3の土質柱状図で,図2・27から図2・

29まではタンクTK−4の土質柱状図である。タンクTK−1,タンクTK−2,タンクTK
−3,タンクTK−4の土性概要は表2・3に示すとおりである。
 以上の土質条件をふまえて設計を行った。

   {c)石油タンク基礎の設計概要,タンクTK−1基礎の設計概要
    {D 土質条件

 設計を行うためにつぎのように土質条件の概略を整理した。

埋立層:埋立層の構成は砂,サンゴの礫玉石が主体であり標準貫入試験のN値は6∼23の範     囲にある。設計としてはN=15を採用した。

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1 ↑

一39一

表2・3土性概要
タンク

n盤層序1層厚    [     ト

N 値
埋  立 層
ヒ部シルト層
2.62∼3.25 0.35∼0.80 1.80∼5.39 0 ∼3.20

一軸圧縮強度
@(kg/c㎡)

間隙比

1.34∼1.62

圧縮指数

圧密係数
iCルhlin)

6∼23


0.13∼0.49


α34∼0.53


9.0×10−2


2∼10

[ー】←

砂質土層
中間シルト層 下部シルト層


0.26∼0.49 0,25∼1.67 0.84∼1.24 4.90∼8.89


0.95∼1.10 0.84∼1.55


028∼0.31
0.30∼0.64


2.0×10『1 1.5×10−1

0∼4
1∼3 7∼36
>50

6.30∼9.20

風化島尻層

0∼7.60


島尻粘土層
埋  立 層
上部シルト層
Nー堵←


0.90∼2.65 0.40∼2.40 0.80∼6.70 1.00∼4.70 4.00∼8.50



1.0×10−1

3∼15


0.38∼1.09


1.07∼1.40


0.15∼0.53

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

一 4∼20
1∼3 1∼3


α40 0.28∼1.25
1.02


0.37


0.34∼0.53


2.0×1rl
1.2’×10−1

0.93∼1.35

風化島尻層 島尻粘土層
埋  立 層 上部シルト層
oっ
[】←



2.02∼2.48 0.35∼0.90 1.30∼4.35 2.00∼5.50
6,]0∼8.70


>50


4.90∼8.89

一 一  

1.02

一 一

6∼30


0.17∼0.27



0.37


8.0×10−2

砂質土層
中間シルト層 下部シルト層

一 2∼15
0∼5
1∼3
>50

1.35∼L48 0.26∼0.37


0.40


2.0×10『1 1.0×10−1

0.32∼L34

0.98∼1.44

0.38∼0.55

風化島尻層 島尻粘土層
埋  立  層

0 ∼5.00

6∼39 0.84∼L24
4.90∼8.89


一 }


2.24∼3.68 0 ∼0.70



1.59∼1.62

6∼20


0.17∼028


0.28∼0.63


8.0×10−2

上部シルト層
寸ー】←


2∼27

砂質土層
中間シルト層 下部シルト層

α80∼3.90
0 ∼5.10 4.70∼6.60


0.40
1.02


0.37


0.21∼0.52


2.0×10−1 1.0×10 1

0∼8
1∼8

0.24∼0.64

0.82∼1.36

風化島尻層 島尻粘土層

一 一


>50


4.90∼8.89




一40一

上部シルト層:青灰色を呈した非常に軟らかいシルト層で,N値は1前後と推定され,試験
    値の範囲は一軸圧縮強度qu=O.13 kg/cdi ・一 o.49 kg/c㎡,間隙比1. 34∼1.62,圧縮

    指数O. 34∼0.53であり,圧密係数は9.0×10’2 cfi/minである。設計に採用した

    値はつぎのとおりである。

    一軸圧縮強度qu=0.2k畝㎡

    粘着力 C=1.ot/㎡
    間隙比 eo=1.40
    圧縮手旨数Cc = 0.47

    圧密係数C.=Ch=9.0×10“2 c㎡/min

砂質土層:本層はシルト,砂,礫によって構成されているが,同一層内においてもシルト分     の多い所と砂.礫の多い所がある。さらにこれらが複雑に混り合っているために,     土質分類上は砂質となるが,tl性は砂質と粘土質の双方の性質をかねそなえている     ものと考え粘着力と内部摩擦角の両方を考慮した。設計には安全側をとってつぎの


    値を採用した。

    N値=2
    粘着力C=0.5t/㎡
中間シルト層:土質はシルト分を主体とするが,砂,礫等が混り合った複雑に堆積している     層で,不撹乱試料の採取が難しく,かつ採取試料も試料の状態が悪かったために試     験数が少ない。したがってその中より経験的判断を加えて,設計にはつぎのような
    値を採用した。
    一軸圧縮強度q、=0.41 kg/cdiから

    粘着力 C−2.05t/㎡
    間隙比 e。=0.97

    圧縮指数Cc=0.30
    圧密係数C。−Ch=2.0×10−1 cルmin
下部シルト層:土質はシルト,砂質シルト分が卓越し,ところどころに有機物,貝ガラ,泥

    岩の小礫等を混入している。N値は1∼3で,試験値の範囲は一軸圧縮強度0.25∼
    1.67 kg/c㎡,間隙比O. 84∼1.55,[E縮指数0、3∼O. 64の範囲であり, 圧密係数

    は1.5×10’ic㎡/min程度であった。設計にはつぎのような値を採用した。     一軸圧縮強度q、=o.41kg/c㎡から

    粘着力 C=2、 05t/㎡

    間隙比e。−1.06

一41

    圧縮指数Cc=0.45

    圧縮係数Gv=Ch=1.5×10 lcルmin
風化島尻層および島尻粘土層:島尻粘土層は本地盤の基盤となる層で暗灰色を呈する泥岩で
    ある。N値は50以上の良好な地層で,一軸圧縮強度は4.9∼8.89 kg/cdiである。こ

    の層の上部が一部風化された所があり,その部分の固結状態はあまり良くない。N
    値は7∼36であり,一軸圧縮強度は0.84 kg/cdiの範囲にあった。 設計に採用した     値はっぎのとおりである。

    島尻粘土層 粘着力C−25.Ot/㎡
    風化島尻層 粘着力C− 6.2t/㎡

    川)設計条件
タンク諸元

  タンク容量  公称100,000kl   タンク形式  フローティングルーフタンク(F.R.T)   タンク直径  1・D(Inside Diameter)=80 m

  タンク高さ  H−22m
設計荷重   タンク本体重量(単位面積当りに換算)        0.5t/㎡

  タンク内容物重量(比重LOとし有効高さ19.8m)  19.8t/㎡   盛砂基礎重量(盛土高LOm)            1.7t/㎡

     合計    22.ot/㎡
設計諸条件  本タンク基礎地盤は下記の設計諸条件を満たすものとする。
    (a)支持力の安全率

 設計荷重に対する支持力の計算における安全率は1.5以上とする。
    (b)計算沈下量

 設計荷重に対する計算沈下量はタンク直径に対する不等沈下量の数値の割合が1/300以下
とする。 (8000 cev/300÷267cm)

    (c)砂質地盤の流動化防止

 砂質地盤にあっては,地表面から深さ15mまでの地盤が流動化のおそれがないこと。     (d)圧密度およびN値

 粘性L地盤にあっては圧密度試験で,砂質土地盤にあっては標準貫入試験でそれぞれ圧密 荷重に対して圧密度が90%以上,N値が平均的に15以ヒの値を有すること。

一42一

   {m)原地盤の検討

    {a)原地盤に直接タンクを建設する場合の支持力の検討 テルツアギーの式からモデファイした次式にて行う。   qdl=1.3CNc+O.3・γ1・B・Nr+γ2・Df・Nq

2一③

    qd、:地盤の極限支持力t/㎡     C :粘着力 t/㎡

    B :タンク直径 m     Df:地表面からの根入れ深さ m
    rl, r2:それぞれ根入下方および上方の土の有効単位体積重量
    Nc, Nq, N,:支持力係数

                              計算結果は表2・4支持 タンク基礎は盛砂基礎を有するために根入深さDf=0とする。 力の算定結果表に示すとおりである。表2・4に示すように埋立層および砂質土層以外は支


持力不足でありタンク基礎地盤とするためには,支持力の増加をはかる必要がある。

             表2・4 支持力の算定結果表
算定対象土層
埋  立  層

 C
狽ヘ(N)
(15)

狽ヘ iφ一揃+15)
32°

φ=0

Nc

Nr
10.4

qd1

安 全 率 7.9>1.5
0.31〈1.5
1.95>1.5


5.3

174.7t/㎡
6。9t/㎡

上部シルト層

1.Ot/㎡

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

0.5t/㎡


2.25

yび②
2.05t/㎡ 2.05t/㎡

21°

8.0
5.3 5.3 5.3

43.Ot/㎡
14.1t/㎡ 14.1t/㎡



0.64<1.5

0.64〈L5
1.95>1.5

島尻粘土層

6.2t/㎡

42.8t/㎡

    (b)原地盤に直接タンクを建設する場合の沈下量の検討

沈下量の計算は,粘性土層にあっては2一④式,砂質土層にあっては2一⑤式にて行う。

    S−∫ktCe 1・g P’言△P d・    2一④
    S−…4∫昔1・9−R’fi’△P・・     2一⑤
SCe

.沈下量

 圧密試験より求めた圧縮指数
 初期間隙比

一43一

    PI:有効土被り荷重
    △P:設計荷重による増加応力

    P。:圧密降荷重
    Z :地表面からの深さ

    N :標準貫入試験値
計算結果は表2・5沈1ド量の算定結果表に示すとおりである。

            表2・5 沈下量の算定結果表
(単位 cm)

  ・v

   位置対象土層 甑


タ ン ク 側 板 部
① ②
1.5

タンク


2.0


2.5

不等沈下量

?S
1.4

埋 立 層
上部シルト層

ユ.0

112
H.2

7.0
1.9

6.0

47
22.8

5.6

砂質土層
中間シルト層 下部シルト層

29.6
15.0

12.9

292
81.0 71.4

48.3

62.0

122.2

島尻粘土層


104.4


111.0


100.9


92.0


19.0


142.1

    ③/

合  計

     {c)原地盤に直接タンクを建設する場合の圧密時間の検討 原地盤に直接タンクを建設する場合の圧密時間の計算は次式で行った。

    ・一ぞご・     2一⑥
     t :圧密所要時間

     H :被圧密層厚(両面透水の場合H/2)
     T。:時間係数

 表2・6は圧密率U%と時間係数Tvとの関係を示す。圧密所要時間の計算結果は表2・7
圧密時間の算定結果表どおりである。表2・7に示すごとく,上部シルト層に関しては全
く問題ないが,中間シルト層ならびに下部シルト層では圧密率90%に達するに必要な日数は 7年∼13年となる。その結果人工的に圧密の促進をはかる必要があった。

    {d)砂質地盤の流動化に対する検討

          表2・6 圧密率U%と時間係数T。との関係
圧密率 u%
10

20
0,031

30
0,071

40
0,126

50 0,197

60
0,287

70 0,403

80
0,567

90
0,848

時間係数Tv

0,008

一44一

表2・7 圧密時間の算定結果表
ボーリン ONα及び

対象土層
上部シルト層

層厚
fヂ

圧密係数

所 要 圧 密 日 数
20%
0.1

ハ  置

b飾lin
9.0×10−2

30% 40%
0.2  0.3

50%
0.5

60%
0.7

70%
1.0

80%
1.3

90%
2.0

B−6
?@心
B−21
@45°

下部シルト層
一ヒ部シルト層

905 1.5×1rl

117.5

     1
Z.9  1.6

Q6921477.8 765.0

1088.2
3.5

1528.1
5.0

2150.0 3215.4
7.0

40 920

@  一 9.0×10 2

@0.4

     一一
278.2
0.5

2.4

10.5

下部シルト層
一ヒ部シルト層

1.5×10 1 121.5
0.2 ユ75.2 0.2

493.7
0.9

771.9
1.4

1124.6
2.0

1579.2 2221.8 3322.9


2.8 3.9

B−3
P35°

30 9.0×1r2 1105 1.5×10 1


25 9.0×10−2

5.9

糠洲層
上部シルト層

401.4
0.3

712.3 1113.6
0.6
1.0

1622.4
1.4

2278.1
1.9

3205.2
2.7

47937
4.1

B−7
Q25°

螺洲層
上部シルト層 下部シルト層

812 1.5×lrl
20 9.0×1r2

94.6
0.1

216.7
0.2

384.5
0.4

601.1
。こ

875.8
0.9

1229.7
1.2

ユ730.2 2587.7
1.8

B−8
R15°

2.6

800

1.5×10−1

91.9

210.4

373.3

583.7

850.4

1194.1

1679.9 2512.6

 砂質地盤の流動化の可能性の有無を支配する要因,条件については,現在全て解明されて
いるわけではないが,著者はつぎのような諸条件を設けて検討を行った。

  ①地盤面から15mないし20mの深さ以内にある。
  ②純粋な砂層で,粒径が均一なものからなる。D,。が2m皿以ドで均等係数Ucが10以
下の粒径の均一な砂。特にUcが5以下の場合は危険性が高い。

  ③地下水位以下にあって飽和されている。

  ④締まり方がゆるく細粒分含有率の区分に応じ,表2・8細粒分含有率とN値の関係
に示す標準貫入試験値以下であるもの。

 L記の諸条件を原地盤に対比させると,①,③の項はあてはまるが,②項については均等 係数U。が23.7∼90、7と非常に大きく粒度構成上流動化の危険性の少ない砂層であり,④ 項について細粒分含有率が11%∼34%でN値が6∼23である。


 したがって,当砂質L層に関する流動化の危険性は少ないと見てよいものと思われたが,

表2・8 細粒分含有率とN値の関係
細粒分含有率 標準貫入試験値
12∼15      

5%以上10%以下
10%以上35%未満

8∼12
6∼ 7

一45一

N値のバラツキが多いことを考慮するとN値の平均化をはかることが望ましいと考えた。以
上,原地盤の支持力,沈下,圧密所要時間,流動化の問題について検討した結果,タンク基 礎地盤として利用するためには,支持力の増加,沈下量の低減,圧密時間の短縮,砂質土層 のN値の平均化をはかる必要があり,地盤改良工法で対処するものとした。
    (M 地盤改良工法の選定

 原地盤の検討結果により,タンク基礎地盤とするためには粘性土層にあっては,支持力の

増加と圧密時間の短縮,砂質土にあってはN値の平均化をはかることが望ましい。地盤改良
の主目的を粘性il層におくか,砂質土層におくかによって地盤改良工法も基本的に変る。し かし本地盤においては,最も重要な支持力が粘性土層に支配されているところから,その地 盤改良の主目的が粘性上層の支持力増強と圧密時間の短縮にある。  このような目的を果すための工法としては,サンドドレーン工法とプレロードの併用が最 も適するものと考えられるが,従来のサンドドレーンは種々な問題があるので,この点を改

良,解決した改良型サンドドレーンであるPACKED−DRAIN工法を採用したのである。
しかも本工法は打設時の機械的振動による砂質土層の締め固め効果も期待できる。従って,

工法としてPACKED−DRAIN工法+PRE 一 LOADの併用工法にて地盤改良を行ったもの
である。

    {V)地盤改良工法の設計      (a)プレロードの設計
 タンク基礎地盤として必要な粘着力は2一③式  qdl ==1.3CNc+0.3・BN,rl+r2Df・Nq より Df=0, φ=一 O, 設計荷重qd1=22 t/㎡から qd1=1.3CNc

     C−「虻一、3葵,.,‡一・…/㎡

 安全率をL5とすると
     C=3.2×1.5=4.8t/㎡

 したがって,各層の初期粘着力および強度増加率,必要とする粘着力は表2・9のとおり
である。尚,強度増加率は三軸圧縮C。試験の結果による。

表2・9 必要載荷量
対象土層
ヒ部シルト層

必要粘着力
4,8t/㎡ 4.8t/㎡

初期粘着力
1.O t/㎡

強度増加率
0.30 0.30 0.30

必要増加粘着力 1必要載荷重
3.8 t/㎡

12,7レ㎡ 9.2レ㎡
9,2t/㎡

中間シルト層
下部シルト層

2.05t/㎡ 2.05t/㎡

2,75t/㎡ 2.75t/㎡

4,8t/㎡

一46一

〈プレロードの形式と形状〉  プレロードの形式は盛土形式とし,その盛土形状は増加粘着力および沈下を考慮して,図
2・30プレロードの形状に示すとおりである。
113.500
86.500

o o o o
Φ OO

N
◆ s ・

}              ∠呈) ⇔gqカT >ぐ 1.7 t/タη3−15.3 t/㌶  ’   ・              ∨  “

、   層

図2・30プレロードの形状
    (b)プレロードの段階盛土の検討

盛土高さの算定は次の2一⑦式によって行った。      1.3●C●Nc                                   2一⑦    h=       Fsγ

    h:盛土高     C:粘着力
    Nc:支持力係数(5.3)     Fs:安全率   (L5)

    r:tの単位体積重量(1.7t/㎡)

第1段載荷盛土高
 上部シルト層 C。=1.ot/㎡
     1.3×5.3×1.O

   h1;             =2.7m        1.5×1.7


 中間,下部シルト層 C。−2.05t/㎡    h{−1・3×5・3×2・05−5.5m
       1.5×1.7

 h1<h∼であるから第1段盛土高は2. 7 mとする。

第2段載荷盛土高
 上部シルト層  第1段載荷盛土による粘着力の増加分ACは AC,=03×2.7×1.7−1.37 t/㎡
   h・−1・3×;量〔1i亨1・37)−6・・m

47一

 中間,下部シルト層は上部シルト層より支持力は大であるので,上部シルト層により盛土

高が決まる。第2段載高は6mまでとした。  第3段載荷盛±高
  上部シルト層
   AC2=O.3×6.0×1.7≒・3.06t/㎡

    ・・−1・3×1恕゜+3・°6)÷1α・m
  中間,下部シルト層
   AC6=O.3×6.0×1.7−3.06t/㎡

    h急一1・3×il芸舎+3・°6)÷15m
 以ヒの結果からプレーロードは,2、 7m,6.Om,9.Omの3段階盛土とした。

    (c)プレロードによる沈F量
 プレロードの盛上荷重による沈下量は,表2・10沈F量の算定結果表のとおりである。

             表2・10 沈F量の算定結果表
                                    (単位 cm)
’  位置対象土層 M

タ ン ク 側 板 部

タンク


ユ.9


3.0
7.1

不等沈下層 「西
3.9
5.6

?S
1.6

埋  立 層
ヒ部シルト層
  中  タ
  「し

1.8

13.0
13.8

8.5
2.3

52
11.7

ク一

砂質土層

36.6 17.0 54.7

27.8

中間シルト層

33.6
93.0

F部シルト層

8L7

128.0

80.0

110.0

島尻粘t二層
合  計


121.6


118.4


117.3
10.7


129.5

    (vl)PACKED−DRAINの設計
 プレロードの設計において,盛土の段階数は三段階で行う必要があるとの結果になった。

 現地盤Lに盛±をするとすれば,圧密率90%に要する日数は1段階荷重に対して3,323日,

3段階荷重までに要する日数は約10, OOO日になるために, PACKED−DRAIND去で圧密
を促進させて工期の短縮をはかった。

     (a)PACKED−DRAINの打設間隔
  ①1段階の載荷期間は圧密率90%に対し40日程度とする。
  ②上二部シルト層は層厚が薄く両面透水と考えられる上に,ドレーンの打設により水平

                  一48一

方向の排水も考慮できるので計算の対象外とした。   ③中間,下部シルト層を計算の対象とし水平方向の圧密係数Ch−1.7×10−lcrfi/minを
計算値として採用した。

 圧密時間の計算は次式によって行った。

2一⑥式

  d2
t一

セT・

 d,−1、128H(正方形配置)

   de
 n  

  Tdw
 t:圧密所要時間
 d,:ドレーンの有効径

H:ドレーンの中心間隔
dw:ドレーンの直径 Th:時間係数  Ch:水平方向の圧密係数

 直径12cmのPACKED−DRAINを1.2m間隔で正方形に配置すると,
    dw=12cm   H=120 cm     de=1,128 H=135.4c皿

    n=dc/dw=11.28

    ・一鷲・T・一三r−・4・・T・
 n−11.28に対する圧密率と時間係数Thとの関係図2・3サンドドレーンによる圧密曲
線,d,/dw−Thから圧密率と所要日数との関係は,表2・11のごとくとなる。  表2・11の計算結果から1段載荷放置期間は圧密率90%に対してtg。−37日となり,設計条
件を満足できるものであった。

              表2・11圧密率と所要日数
聖ξミ  2“ 』后  一」 こ.  口胆  [1丑 (5

項盲一聴率
Th
t(日)
沈下量

10%

20%

30%
0,076
5.7

40%
0,108
8.1

50%
0,147
11.0

60%
0,195
14.6 77.7

70%
0,254
19.0

80%
0,341
25.5

90%
0,488
36.5

0,022 0,047
1.6 3.5

中  心
側部(平均)

13.0
12.1

25.9 24.3

38.9
36.4

51.8
48.5

64.8 60.7

90.7 84.9

103.6
97.1

116.6 109.2

72.8

一49一

     〔b)地盤改良平面範囲

 地盤改良の平面範囲はタンク側板より外側10mまでの円で囲まれた範囲とした。すなわち
タンク中心を同心とする半径50mの円に囲まれた範囲とした。

 PACKED−DRAINの概略設計は図2・11PACKED−DRAIN設計図表から, Ch÷
C。−1.7×10’icdi/mm=2.83×1r3cシsec,縦軸1.2mから曲線90%の交点を横軸におろす

と105日,これを2.83で除すると37日。同様に図2・12において縦軸U;90%とり1.2mの
交点を横軸におこすと約105日これを2.83で除すと37日となる。
    (vii)地盤改良後のタンク基礎地盤

     {a)支 持 力

 地盤改良後の地盤の支持力は表2・12地盤改良後の支持力の算定結果表のとおりとなり,設
計条件を満足したタンク基礎地盤となりうる。

          表2・12 地盤改良後の支持力の算定結果表
算定対象土層
埋  立  層

C又は(N)
改良前
(15)

 φ=0 又は

改良後
(15)

iφ一P雨+15)
32°

Nc

Nr
10.4

qdt
it/㎡)

安全率
7.9


5.3

174.7 38.6 71.8

上部シルト層

LOt/㎡
 0.5t/㎡

5.59t/㎡
1.Ot㎡ (5)


3.5

1.75

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

yび ②
2.05t/㎡ 2.05t/㎡

25°

10.0
5.3 5.3

3.26
2.08  −一一

6.64t/㎡ 6.64t/㎡

45.8
45.8 42.8


2.08

島尻粘土層

6.2t/㎡

6.2t/㎡

5.3

L95

     〔b)沈 下 量

地盤改良後タンク満水時荷重により生ずる沈F量は表2・13沈下量の算定結果表に示すと
おりであり,不等沈F量も僅かで安全なタンク基礎地盤となる。

表2・13沈F量の算定結果表
位置    タ ン ク 側 板部
\測占    、、、
原地盤に直接タンクを載せた時の沈下量

(単位 cm)

タンク 1


104.4


111.0 116.4


100.9 111.1 0


92.0

不等沈下量
19.0
7.2 0

@    備   考

心1

142.1   1

地盤改良により生ずる沈ド量 地盤改良後タンクを載せてから

112.0 0

1092
0

@ 一丁テー一一『
118.5
23.6

 レロード時は X0%圧密完了
<26.7

カずる沈下量

一50一

     〔c)砂質地盤の流動化に対して

 前述のごとく,原地盤の検討結果からも当砂質土層は流動化の危険性は少ないが,地盤改 良によって平面的にも深度的にも均一な密度に締め固められるので,より危険性の少ない地
盤となることが推定された。

 以上がPACKED−DRAIN工法をタンク基礎に適用した時の理論的考え方の一例である。
この実施例4基のうちタンクナンバーTK−1のタンクについて比較的詳細に述べたので,

TK−2タンク, TK−3タンク, TK−4タンクについては,その設計の結果のみを示すも
のとする。

〈TK−2タンクの設計結果〉
 土性概要は表2・3に示すとおりである。
 原地盤の支持力は表2・14支持力の算定結果表に示すとおりである。

 原地盤に直接タンクを建設する場合の沈下量は表2・15沈下量の算定結果表に示すとおり
である。

             表2・14崎支持力の算定結果表
算定対象土層
埋  立  層

 C 狽ヘ(N)
(7)

iφ一、侮σN+15)
2ア

φ;0 又は

Nc

Nr
4.2

qd 1

安 全 率
3.21>1.5


5.3 9.8 5.3 5.3 5.3

70.6t/㎡
16.6t/㎡

上部シルト層

2.4t/㎡
0.5t/㎡


3.1

0.75〈L5
2.65>1.5 0.63<1.5 0.63<1.5 7.84>1.5

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

yび(4)

24°

58.4t/㎡
13.8t/㎡

2.ot/㎡ 2.ot/㎡

13.8t/㎡ 172,5t/㎡

島尻粘土層

25.Ot/㎡

表2・15沈下量の算定結果表
  \位置   へ対象土層孟

(単位 cm) タンク


埋 立 層
上部シルト層

タ ン ク 側板部

① 1②
2.9
9.3


0
4.1


4.7

不等沈下量

?S
7.7

31」
2.8

19.1
3.5

11.8
1.4

6.5

砂質土層
中間シルト層 下部シルト層

6.8

18.1

18.0 37.5

15.7

19.5 75.4

52.4 51.0

11.7

52.2

48.7

島尻粘土層
合  計


74.5


101.8


121.6

1213


47.1


92.7

一51一

表2・16 圧密時間の算定結果表
ボーリン

ム位置
B−9
m11心

ONo 7

対象土層
上部シルト層

層厚

1圧密係数
C㎡/mln

所  要  圧  密  日 数
20%
0.1

30%
0.2

40%
0.4

50%
0.6

60%
0.8

70%
1.1

80%

90%
2.4

2δm 1.0×10−1

L6
746.6
6.3

閥洲層
ヒ部シルト層   一

47711・2×10−11

40.8

93.5
0.8

165.9
1.4

259.4
2.2

377.9
3.2

530.6
4.5

1116.6
9.4

B−12

40 1.0×10「  0.3   −一.一

@0°

糟ジ・・層 595
上部シルト層   一一

已×耐

63.5
3.1

145.5
7.1

258.1
12.6
2.5

403.6
19.7
3.9

588.0
28.7
5.6

825.6
40.3
7.9

1161.6
56.7
11.1

ユ737.3 84.8
16.6

B−2

ユ20 1.0×10−1

中間シルト層
@9(ア
e部シルト層  ・}一一一馳

752.0×10−1

0.6

ユ.4

・一 。一一・一一

609
W0

11.2×10−1

64.6
1.4

147.9
3.2

262.5
5.6

410.4
8.8

597.9
12.8

839.6
17.9

1181.2
25.2
32ユ5.9

1766.7
37.7

B−10
P80°

卜部シルト層

1.0×]0−1

閥猶層
占㌫・・層
一ド部シルト層

990

1.2×1『1

175.8
10.1

402.7
23.1

714.7
40.9

1117.4

1627.8
93.3

2285.8

4809.8
275.7

B−11
Q70°

 2.0×10一 306,

  
U4.0

DL

13LO
757.7

184.3

570 L2×10−1

58.3

133.5

237.0

370.4

539.6

1066.0

1594.4

表2・17 必要載荷量

対象土層
上部シルト層
中間・ル・

必要粘着力 初期粘着力
4.8t/㎡ 4,8t/㎡ 4.8t/㎡

強度増加率  必要増加粘着力

必要載荷重
8.Ot/㎡ 9.3t/㎡ 9.3t/㎡

2,4 t/㎡    0.30

  −一『t T一
2.O t/㎡    0.30

L∴i:
    2,8t/㎡

下部シルト層

2.Ot/㎡

0.30

113500
86.500

o o o

o 8
Φ
, ・

’            ,
、         △P=.90戊.㌦〈

加〆−153協   ’
’ 、

図2・31 プレロードの形状

一52一

表2・18 プレロードによる沈下量の算定結果表
 、  位置対象遍M

(単位 cm)

タ ン ク 側 板 部

タンク


0
36.4
3.4


4.8


5.5

不等沈下量

?S
6.6 5.6

埋  立  層

3.4

上部シルト層

10.9
8.i

22.5
4.3

13.9
1.6

砂質土層

14.9
10.1

中間シルト層 下部シルト層

20.5 42.6

17.9

22.1

60.1

58.9

845

138.2

57.5

4L1 一
53.1

島尻粘土層
合  計


85.5


116.6


138.6


78.3

表2・19 圧密率と所要日数
㊥  日

項目  圧密率

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%
0,488
44.4

Th
t(日)
沈下量

0,022 0,047 0,076 0,108 0,147 0,195 0,254 0,341


22.0
7.8’

4.3 15.7

6.9

9.8

13.4

17.7

23.1

31.0

中   心
側部(平均)

23.5 35.9

31.3 47.9

39.2 59.9

47.0 71.8

54.8 83.8

62.6 95.8

705
107.8

12.0

23.9

表2・20 地盤改良後の支持力の算定結果表
算定対象土層
埋  立  層

C又は(N)

φ=0 又は
(φ= 20N+15)
32°

改良前
(7)

改良後
(15)

Nc

Nr
10.4

qd1
it/㎡)

安全率
7.9


5.3

174.7 48.2
71.8 45.5 45.5

上部シルト層

2.4t/㎡

6.99t/㎡
1.Ot/㎡

砂質土層 及9品∈
中間シルト層
下部シルト層


3.5

2.19 3.26
2.07 2.07

yび(5)
6.5gt/㎡ 6.5gt/㎡

25°
0° 0° 0°

10.0
5.3 5.3 5.3

2.Otβ 2.Otβ
25.Ot/㎡

島尻粘土層

25.ot/㎡

一 一

172.5

7.84

表2・21沈下量の算定結果表
位置
タ ン ク 側板部

74.5
79.2

(単位 cm) タンク

ェ点
原地盤に直接タンクを載せた時の沈


101.8 110.6


121.6 125.9


121.3

不等沈下量
47.1 46.7 0

?S
92.7
73.2 19.5

備  考

コ量
地盤改良により生ずる沈下量 地盤改良後タンクを載せてから生ず

125.5

プレロード時の

X0%圧密完了
〈26.7

髓セ下量

一53一

 原地盤に直接タンクを建設する場合の圧密時間の検討結果は表2・16圧密時間の算定結果
表に示すとおりである。

 プレロードの設計結果は表2・17必要載荷量に示すとおりであり,その形状は図2・31に
示す形状である。

 プレロードによる沈下量は表2・18プレロードによる沈下量の算定結果表に示すとおりで
ある。

 直径12cmのPACKED−DRAINを1.2m間隔で正方形に打設した場合の圧密率U%と,
それに要する所要[]数との関係は表2・19に示すとおりである。地盤改良深度は14mとした。

地盤改良平面範囲はTK−1タンクと同じである。  地盤改良後のタンク基礎地盤の支持力は表2・20地盤改良後の支持力算定表,沈下量は表
2・21沈下量の算定結果表にそれぞれ示すとおりである。

〈TK−3タンクの設計結果〉
 土性概要は表2・3に示すとおりである。
 原地盤に直接タンクを建設する場合の支持力の検討結果は表2・22支持力の算定結果表, 沈下量の検討結果は表2・23沈下量の算定結果表にそれぞれ示すとおりである。

 鉛直ドレーンなしで,原地盤に直接タンクを建設する場合の圧密時間の検討結果は,表2
・24圧密時間の算定結果表に示すとおりである。プレロードの設計結果は表2・25必要載荷

量に示すとおりであり,その形状は図2・32に示す形状である。プレロードによる沈下量は

表2・26プレロードによる沈下量の算定結果表に示すとおりである。直径12cmのPACKED
−DRAINを1.2 m間隔で正方形に打設した場合の圧密率U%と,それに要する所要日数と の関係は表2・27に示すとおりである。地盤改良深度は21mとした。地盤改良の平面的な範 囲はTK−1タンク, TK−2タンクと同じである。

表2・22 支持力の算定結果表
算定対象土層 埋  立 層 上部シルト層

 C 狽ヘ(N)
(15)

φ=0_.又は

iφ= 20N+15)
32°

Nc

Nr
10.4

qd1

安全率
7.94>1.5 0.31<1.5


5.3

174.7t㎡
6.9t/㎡

1.O t/㎡


2.25

砂質土層 yび②
中間シルト層
下部シルト層

0.5 t/㎡

21°

8.0
5.3 5.3
5.3

43.Ot/㎡
13.8t/㎡

L95>1.5
0.63<1.5 0.62〈1.5
1.95>1.5

2.O t/㎡

一   一

1.95t/㎡

13.5t/㎡ 42.8t/㎡

島尻粘土層

62 t/㎡

一54一

表2・23 沈下量の算定結果表
   位置対象土層 M

(単位 cm) タンク


埋  立  層

タ ン ク 側 板 部

1.7


1.1


1.1


1.5

不等沈下量

?S
1.2

上部シルト層

8.9
1.5

3.9 3.0

5.4

3.5 3.2

12.3 11.3

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

19.1

51.4 46.1

5LO
72.5

22.2

57.1 63.1

32.0

52」

83.8

島尻粘土層
合  計


109.6


131.5


99.9


128.4


31.6


140.6

表2・24 圧密時間の算定結果表
ボーリン

圧密係数 対象土層 上部シルト層 ‡闇・ル・層 層厚


cm
b㎡/min
8.0×10−2

所 要 圧 密 日 数
20%
0.5

ム位置
B−4

ONα及

30%
1.3

40%
2.2

50%
3.5

60%
5.0

70%  80%
7.1

90%
14.9

S5

10.0

?S

806
45

1.0×10−1 140.0

320.0
1.3

568.4
2.2

888.7
3.5

1294.8 1818.0 2557.9


5.0
7.1

3825.6

B−15 上部シルト層

8.0×10−2

0.5
4.1

10.0

149
112.0

中間シルト層

195 2.0×1『1

9.4

16.6

26.0

37.9

53.2

74.9

雫腎ル・層
   一 腎ル・層
雫盟・ル・層
上部ンルト層

695
83 934 28

1.0×10−1 104.0

238.2
4.2

422.6
7.5

660.8
11.8

962.7 1351.8
17.2
24.1

1901.9 2844.5
33.9
50.7

B−16
X0°

8。0×10 2
1.0×10 1

1.9

187.8
0.2

430.1

763.3 1193.4
0.9
1.3

1738.7 2441.4 3434.9


2.0
2.7

5137.2
5.8

8,0×10−2

α5
267.0
0.2

3.9

糟・ル・層
B−14 上部シルト層
Q70°

736
18
1,085

1.0×10−1 116.6

474.0
0.3

741.1
0.5

1097.6 1516.0 2132.9


0.8

3190.0
2.3

8.0×10−2

0.1

1」

1.5

糟・ル・層

1.0×10−1 253.4

580.4

1030.1

1610.5

2346.33294.6 4635.2 6932.5

表2・25 必要載荷量
対象土層

必要粘着力
4.8t/㎡

初期粘着力
1.O t/㎡

強度増加率
0.30

必要増加粘着力
3.8 t/㎡ 2.8 t/㎡

必要載荷重
12.7t/㎡ 9.3t/㎡
9.5t/㎡

上部シルト層 中間シルト層
下部シルト層

4.8t/㎡

2.O t/㎡

α30
0.30

4.8t/㎡   1.95 t/㎡

2.85t/㎡

一55一

113.500

o o 『 N
.   .

OOO

 ・ @へ
「         .

        ・ 「P亡910∼π〉∼rL7t/勿3=1〔L 3 t/勿『∴,

魯 ・

.  .1

 ,㊨●
E.’

@・

■’

    図2・32 プレロードの形状
表2・26 プレロードによる沈下量の算定結果表
ノメ

(単位cm)
タンク

蹄位§

タ ン ク 側 板 部

1.3


1.3


1.8 4.1 2.7

不等沈ド量

?S
1.1

埋 立  層 上部シルト層
 タ万
 こ心

2.1

10.4
1.8

4.6

6.3

11.5 10.2 29.7 75.7

砂質土層
中間シルト層
下部シルト層

0
57.8 86.3

20.9
25.4

65.0
60.1

65.4 72.7

62.4

島尻粘土層
合  計


139.4


150.0


116.3


146.7


33.7


128.2

表2・27 圧密率と所要日数
ム壽…§㎏一  一゜正㊥丁丑ムδ

項目   .密率 10%

20%
5.4

30%
8.7

40%
12.3

50%
16.8
64.1
69.1

60%
22.3 76.9 82.9

70%
29.0 89.7
96.7

80%
38.9 102.6

90%
55.7

Th
t(日)
沈量

0,022 0,047 0,076 0,108 0,147 0,195 0,254 0,341 0,488


2.5

中   心
側部(平均)

12.8 13.8

25.6 27.6

38.5
41.4

51.3 55.2

115.4

110.5 124.3

表2・28 地盤改良後の支持力の算定結果表
算定対象土層 埋  立 層 上部シルト層

C又は (N)

φ;0 又は

改良前
(15)

改良後
(15)

iφ一輌+15)
32°

Nc

Nr
10.4

qd 1

it/㎡)

安全率
7.94
1.75


5.3

174.7
38.6

1.Ot/㎡
0.5t/㎡

5.59t/㎡ 1.Ot/㎡ yび(5) 6.59t/㎡ 6.54t/㎡


3.5

砂質土層 yび②
中間シルト層 下部シルト層

25°
0° 0°

10.0
5.3 5.3 5.3

7L8
45.5 45.1 42.8

3.26 2.07 2.05 1.95

2.ot/㎡
1.95t/㎡

島尻粘土層

6.2t/㎡

6.2t/㎡

一56一

 地盤改良後のタンク基礎地盤の支持力は,表2・28地盤改良後の支持力算定表,沈下量は
表2・29沈下量の算定結果表にそれぞれ示すとおりである。

表2・29 沈下量の算定結果表
(単位 cm)

位置

タ ン ク 側 板 部

109.6
126.7 0

タンク

ェ点
原地盤に直接タンクを載せた時の


131.5 139.4


99.9


128.4 133.0

不等沈下量
31.6 31.5 0

?S
140.6 118.2
22.4

備   考

セ下量
地盤改良により生ずる沈下量 地盤改良後タンクを載せてから生

107.9

プレロード時に X0%圧密完了
<26.7

クる沈下量

〈TK−4タンクの設計結果〉
 土性概要は表2・3に示すとおりである。
 原地盤に直接タンクを建設する場合の支持力の検討結果は表2・30支持力の算定結果表,

沈下量の検討結果は表2・31沈下量の算定結果表にそれぞれ示すとおりである。鉛直ドレー ンなしで,原地盤に直接タンクを建設する場合の圧密時間の検討結果は表2・32圧縮時間の 算定結果に示すとおりである。プレロードの設計結果は表2・33必要載荷量に示すとおりで あり,その形状は図2・33に示す形状である。プレロードによる沈下量は表2・34プレロー

ドによる沈下量の算定結果表に示すとおりである。直径12cmのPACKED−DRAINを1.2
mの間隔で正方形に打設した場合の圧密率U%とそれに要する所要日数との関係は表2・35 に示すとおりである。地盤改良深度は15mとした。地盤改良の平面的な範囲はTK−1,TK −2,TK−3タンクと同じである。地盤改良後のタンク基礎地盤の支持力は表2・36地盤改
良後の支持力算定表,沈下量は表2・37沈下量の算定結果表にそれぞれ示すとおりである。

表2・30 支持力の算定結果表
算定対象土層 埋  立 層
上部シルト層

 C 狽ヘ(N)
(15)

iφ; 20N+15)
32°

φ=0 又は

Nc

Nr
10.4

qd1
174.7t/㎡
6.gt/㎡

安全率
7.94>1.5 0.31〈1.5 1.95>1.5


5.3 8.0 5.3 5.3 5.3

1.Ot/㎡


2.25

砂質土層 yび②
中間シルト層
下部シルト層

 0.5t/㎡
2.Ot/㎡
1.8t/㎡

21°

43.Ot/㎡
13.8t/㎡ 12.4t/㎡

一 一 一

0.63<1.5
0.56<1.5 7.84>1.5

島尻粘土層

25.Ot/㎡

172.5t/㎡

一57一

表2・31沈下量の算定結果表
対象

(単位 c皿)

   ル

テ窯

タ ン ク 側 板 部

0
7.7
1.3

タンク


1.8


3.1


2.3

不等沈下量

?S
4.2

埋  立  層

上部シルト層

10.1
2.5

砂質土層
中間シルト層

5.9

4.0

9.4

48.6
57.2

53.9 52.5

49.3 47.9

58.4
89.1

F部シルト層

島尻粘土層
合  計

 i−  1 一


114.8


120.8


106.21106.8
14.6


102.7

表2・32 圧密時間の算定結果表
ボーリン

ONo及 ム位置

対象土層

層厚
 cm

圧密係数
b㎡/nlin

所 要 圧 密 日 数
20%
93.4
0.2

30%
214.8
0.5

40%
381.2
0.8

50%
545.9
1.3

60%
868.2
1.9

70%

80%

90%

B−1
@_心.

下部シルト層 U60
  「・

1.0×10「
8.0×10−2

1219.0 1715.2 2565.2


2.7
3.7 5.6

a−19 纒買Vルト層

28

@0°
B−20
X0°

雫盟・ル・層
一ヒ部シルト層

886
35

1.0×1『1 169.0 387.0 686.9

1073.9 1564.5 2196.9 3090.1 4622.8


2.1 3.1

8.0×1『2
1.0×玉0−1

0.3

0.8

13
716.6 614.5 602.8

4.3

6.0

9.0

糟・ル・層 905

176.3

403.8
346.2

1120.5 1632.4 2292.1 3224.9 4823.1


960.7 1399.6 942.5 1373.0

B−17 雫腎ル・層 838


P80°

LO×10一 15L2
1.Ox10一
148.3

1965.3 2765.1 4135.4 1928.0 2712.5 4056.9

B−18 ‡暑ル・層 830


Q70°

339.7

@ 1
表2・33 必要載荷量

対象±層
上部シルト層 中間シルト層 下部シルト層

必要粘着力

初期粘着力

強度増加率
0.30

必要増加粘着力
3.8t/㎡

必要載荷重
12.7t/㎡
9.3t/㎡

48t/㎡
4.8t/㎡ 4.8t/㎡

LOt/㎡
2.Ot/㎡
1.8t/㎡

α30
0.30

2.8t/㎡
3.ot/㎡

10.Ot/㎡

一58一

113.500 86.500

OOめ

80.Φ

△・r.…竺1・ラ’t/lm3−15・3爾

    図2・33 プレロードの形状
表2・34 プレロードによる沈下量の算定結果表
    廿置対象土層  M

(単位cm)
タンク

 ・レ

タ ン ク 側 板 部

一一一一 u一一一一一一


埋 立  層
上部シルト層
 タ「中

@1②
0


3.6


2.7

不等沈下量

?S
3.6 7.8

2」
11.9
3.0

9.1 1.6

 ク一心

砂質土層

5.1

4.9

中間シルト層
下部シルト層

54.8 64.3

61.0
59.1

56.1 55.7

66.4 47.5

76.6

島尻粘土層
合  計


129.8


137.1


120.5


121.5


88.0

表2・35 圧密率と所要日数
?華“  ヨ后  ×」 二罐 [」丹  O

項目   土密率

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

Th
t(日)
沈下量

0,022 0,047 0,076 0,108 0,147 0,195 0,254 0,341 0,488


2.5 5.4 17.6 8.7

12.3 35.2 50.9

16.8

22.3 52.8
76.3

29.0 61.6
89.1

38.9

55.7 79.2

中   心
側部(平均)

8.8
12.7

26.4
38.2

44.0
63.6

70.4

25.4

101.8 114.5

表2・36 地盤改良後の支持力の算定結果表
算定対象土層

C又は(N)

改良前
(15)

改良後
(15)

φ=0 又は iφ一,輌+15)
32°

Nc

Nr
10.4

安全率
174.7
38.6

埋 立 層
上部シルト層


5.3

7.94
1.75 3.26 2.07 2.00

1.Ot/㎡

5.59t/㎡

砂質土層 yび②
中間シルト層 下部シルト層

0.5t/㎡
2,0t/㎡ 1.8t/㎡

1.Ot/㎡ yび(5)
6.59t/㎡ 6.39t/㎡


3.5

25°
0° 0°

10.0
5.3 5.3 5.3

71.8 45.5
44.1

一 一

島尻粘土層

25.ot/㎡

25.Ot/㎡

172.5

7.84

一59一

表2・37 沈下量の算定結果表
    位置\一\測占    ∼      ’、、、

(単位 cm)
タンク

タ ン ク 側 板 部


120.8 125.0
0


106.2 109.3


106.8
110.1

不等沈下量
14.6 15.7 0

原地盤に直接タンクを載せた時の

?S
102.7
80.3 22.4

備   考

セ下量
地盤改良により生ずる沈下量 地盤改良後タンクを載せてから生

114.8 117.9
0

プレロード時に X0%圧密完了 <26,7

クる沈下量

  (3) IOO, OOO klタンク基礎21基,60,000 klタンク基礎3基建設の実施例(その3)

 本実施例は沖縄本島の臨海埋立地における石油備蓄基地に原油貯蔵用タンクとして,
100,000kl浮屋根式タンク21基とバラストウオーター用タンクとして60. 000 kl浮屋根式タ

ンク3基を建設した実施例である。

 これらのタンク基礎にすべてPACKED−DRAIN+PRE−LOAD」二法を採用し,粘性土層
の圧密現象を促進させ基礎地盤の支持力の増加を試みるとともに,比較的砂質土層の占める
場合が多かったので,この砂質土層の締め固め効果も考慮した実施例である。

 図2・34は本実施例の石油備蓄基地のタンクの配置を示めすものである。本実施例ではタ ンクの基数が多いので,−1二質的にみて最も代表的であると思われる1基タンクナンバーTA

−114タンクをとりあげて,PACKED−DRAIN[法を適用した例として具体的に論ずる
ものである。なお,全タンクの挙動については実測値をまとめて次節で論ずることにする。

 本実施例では各タンク毎に標準貫入試験併用ロータリー式ボーリングを9本ずつ行って,

土質を調査した。図2・35はTA−114タンクの南北方向の土層断面を示すものであり,図
2・36は東西方向の土層断面を示すものである。

 本TA−114タンクの設計概要とその結果はつぎのとおりである。

   U)設計条件
 タンク諸元
  タンク容量   100,000kl   タンク型式   フローティングルーフ型

  タンク直径   80m   タンク高さ   22m
 設計荷重(単位面積当り)   タンク本体重量(単位面積当り)          o.4 t/㎡   タンク内容物重量(比重1.0有効高さ19.8m)   19.8 t/㎡

一60一

盛砂基礎重量(盛工高1.0)

1.8t/㎡
2 t/㎡

合  計

「『


  ②

図2・34 石油基地平面図 一61一

TA一
4(一←4Tli 972)

114
(十4「PIOO) 00)

8(+4…142)

O D L

  N 値
十5 仇

N
102 2 3

N 値 1020304050
,一,一一一一一一一一一一

 砂礫
±

m
8

    砂

_一≡一
    シルト
,一,一_一一一一’一

5 視

10

粘土

75

15m

71

一20m

図2・35 TA−114タンク土層断面図(N−S)

TA
6(+4…532

114
(+4…100)

2(→4m222)

N
1..十5ηL
一一一


3

N
40
0 10
一一


、、

20304050
一’

.01020304050
一一

一一

,’

A一

, ”

、、

士Om_,_

@、 ,’

≡一 ’

一一一

←← 

一一

88

一5ηt

=一
…?

一一A

≡三二

’ ’
、、、 、

、、

@、
、、

1一

@、

一10抗
.≡一

1
一一一

54
一15ητ

56

71

56

一20m

図2・36TA−114タンク土層断面図(E−W)
         −62一

   川)設計方法とその結果  計算に用いた計算式は実施例(その2)と同一であるので計算の詳細は割愛する。
    {a)支持力の検討

 原地盤に直接タンクを建設した場合の支持力の検討結果は表2・38支持力の算定結果表ど
おりである。

    (b)沈下量の検討

 原地盤に直接タンクを建設した場合の沈下量の検討結果は,表2・39沈下量の算定結果表
どおりである。

    (c)圧密所要時間の検討

 原地盤における載荷過程における圧密所要時間は埋立粘性土では表2・40埋立粘性土の圧
密所要時間どおり,沖積粘性土では表2・41沖積粘性土の圧密所要時間どおりである。  以上の結果から支持力および沈下とも問題があり,対策を考慮する必要があった。そこで っぎのような図2・37地盤改良工法の手順に示す方法で地盤改良工法の選定を行った。
    {d)当地盤に適用可能な工法の選択

 表2・42パターン化された地盤と適用可能工法に示すように,地盤をパターン化し,その 地盤に対して適用の可能性のある工法を列記した。当地盤の地盤構成は表2・42の分類NoM
に相当し,適用の可能性のある工法としては下記の4工法があげられた。

  ①SAND COMPACTION PILE +PRE−LOAD   ②DIRECT POWER COMPACTION+PRE−LOAD

  ③SAND DRAIN    +PRE−LOAD
  ④PACKED 一 DRAIN   

+PRE−LOAD

 各工法とも粘性土の粘着力を増加させるためにPRE−LOADの併用が必要であるが,特に
当地盤では地盤構成の複雑さによる沈下量の差を生ずるおそれがあるので,これを除去する

ためにもPRE−LOADの併用は不可欠である。
 砂質土層が大部分を占めるという意味から②工法もあげたが,沖積粘性上の圧密促進には
適当でないので検討の対象外とした。

 ①,③,④工法の技術的,経済的比較を表2・43適用工法の比較表に示した。この表に示

すように当地盤の改良工法として最も推奨できる工法として④のPACKED−DRAIN工法
+PRE−LOADの併用と決定したのである。
 PRE 一 LOADは盛土で行うことにして,タンクの設計荷重(円形等分布荷重)により生ず る地盤内の地中増加応力にほぼ等しい増加応力を生じさせるのに必要な盛土の形状および高 さは図2・38タンク荷重および盛土荷重による地中応力係数16cの比較に示すごとくである。

一63一

表2・38 支持力の算定結果表
算定対象土層

 C 狽ヘ(N)
(5)

φ=0 又は
iφ= 12N+20)
27.7°

Nc

5.3

Nr
4.2

q。t/㎡
26.8
3.4

設計荷重に対する検討結果

埋立砂礫層
埋立粘性土層

qa>22
q。<22

(69,12.t/㎡)

1.5t/㎡
{7)

0
29.1°


5.5

(10.33t/㎡)
(105.60t/㎡) ( 8.27t/㎡)

海底砂礫層
沖積粘性±層


5.3
5.3

352
2.7 7.3

qa>22 qa〈22 qa<22


q。>22

1.2t/㎡


一 一

沖積粘土層 島尻粘土層

3.2t/㎡

0 0

(22.04t/㎡) (68,90t/㎡)

10.Ot/㎡

5.3

22.9

表2・39 沈下量の算定結果

w㍉\

   定位置

ホ象
埋立砂質土 埋立粘性土
S−7 S−3

C

S−1

S−2 S−3

S−4

S−5 S−6 S−7 S−8 3

10
12
1

8
6

18
0

25
2

20

23
2

20
1

19
1

23
3

海底砂質土
沖積粘性土

23
26

71

53

57

63

48

42

39

43
7ξm

   S−5
沈下量算定位置

合 計

8ぎ 8㍗ 8㍗ 7㍗

6『 7『 6㍗ 6㍗

表2・40埋立粘性土の圧密所要時間
計算位置

層  厚

圧密係数        圧 密 所 要 日 数
(C㎡/nlin)

10%
0.7

20% 30% 40%


2.7
6.1

50% 60%
17.0
18.9

70% 80% 90%


34.8
38.7

H/2として

@ 0,925m
H/2として @ 0.975nl

6.88×10−2 6.88×10−2

10.9
12.1

24.8 27.5

48.9
54.4

73.3
81.4,

S−4

0.8

3.0

6.8

表2・41沖積粘性土の圧密所要時間
言境位置

層厚

圧密係数
iC㎡/mln)

圧 密 所 要 日 数
10%
74.7

20%
289.6

30%
663.3

40%
1177.2

50%

60%

70%

80%

90%

 nl
P5.3

1.74×10−1 1.74×10−1

1840.5 2681.4 3765.1 5297.3 7922.6

S−3

 nl
Q1.7

150.3 582.6 1334.3

2367.9 3702.3 5393.7 7573.8 10655.9 15936.9

一64一

対策工法の 必要なし

エ法の信頼性 工    期

施工の難易
エ    費

             最適工法の決定

             図2・37 地盤改良工法の選定手順  すなわち,理論的には盛土の形状および高さは,盛土下端幅98.75m上端幅61.25 m高さ 12.5mの円錐台形状にすれば,タンクlt載時とほぼ等しい増加応力を生じさせることができ る。しかし原地盤の支持力では一度にこの高さまで盛土を行うことは不可能であり,段階載 荷を行う必要があった。また鋼製円筒型石油タンク基礎の支持力および許容沈下量を考慮し て,果して盛土高さを12.5mにする必要があるか否かの検討を試みたのである。支持力の面 から粘着力の増加に必要な盛土高さは安全率を考慮して7、3mとなったので,この盛土高さ

にてタンク建設後の残存沈下量を検討してみたところ,図2・38の地中増加応力係数から明                    一65一

    定凝+@

織難蟻
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一67一

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68

らかなように,タンク側板部直Fにあたる点では盛土荷重が中心に比して約1/2以上,すなわ

ち12.5m盛上の乃以上あればタンク側板下における設計荷重とほぼ同一の応力を生じさせ
られる。沈下量も設計荷重にほぼ相当するものが得られる。従って,放置すればタンク建設

後の残存沈下は何ら問題とならないと推定した。実際には図2・39に示す形状で盛上を行っ
たのである。

 PACKED−DRAINは圧密率U=80%に要する時間を90日程度として設計を行ったと
ころ,直径12cmの1.2m正方形間隔で打設すればよいことになった。その設計の結果は表2 ・44埋立粘性上の圧密所要時間,表2・45沖積シルト層の圧密所要時間,表2・46沖積粘上
層の圧密所要時間にそれぞれ示すとおりである。

7.3m 3.3m

図2・39 プレロードの形状 表2・44 埋立粘性土層の圧密所要時間
圧  密  率

10%
0,022
4.1

20%
0,047
8.8

30%
0,076
14.2

40%
α108
20.1

50%
0,147
27.4

60%
0,195
36.3

70%
0,254
47.3

80%
0,341
63.5

90%
0,488
90.9

時間係数Th 圧密所要時間

表2・45 沖積シルト層の圧密所要時間
圧  密  率

10%
0,022
1.7

20%
0,047
3.4

30%
α076
5.6

40%
0,108
7.9

50%
0,147
10.7

60%
0,195
14.3

70%
0,254
18.6

80%
0,341
24.9

90%
0,488
35.7

時間係数 Th

圧密所要時間

表2・46 沖積粘土層の圧密所要時間
圧  密  率
10%
0,022
5.6

20%
0,047
11.9

30%
0,076
19.2

40%
0,108
27.3

50%
0,147
37.1

60%
0,195
49.2

70%
0,254
64.1

80%
0,341
86.1

90%
0,488
123.2

時間係数 Th

圧密所要時間

一69一

 以ヒがPACKED−DRAIN工法を鋼製円筒型石油タンク基礎に適用した例をもって論じ
たものである。土質地盤からみると各々異なった三つの地盤に適用したことになる。この結
果はいずれも所期の目的を果し好結果であった。  次節において,この三つの実施例にっいてその挙動を論ずるものである。

 2°1°4 PACKED−DRAIN工法によるタンク基礎の挙動とその考察
 本項では,前項のPACKED−DRAIN工法をタンク基礎に適用したその挙動を研究,解析
した結果を論ずるものである。

 前項のPACKED−DRAIN工法を適用した実施例その1のところで述べたごとく,PAC
KED−DRAINを打設することにより沈下が生じた可能性が推測されたので,実施例その2,

実施例その3においてPACKED−DRAINの打設により実際に沈下が生ずるか,否かにっ
いて計測を行ったものである。 PACKED−DRAIN打設以前に地表沈下板を設置して,

PACKED−DRAIN打設にともなう沈下測定を行うとともに,盛土載荷時の地盤の挙動を
観察するために,連続沈下計,層別沈下計,間隙水圧計,測方変位計を設置して,その挙動
を観察し,解析を行ったものである。

 さらにこのような地盤の場合.砂質層を含んでいるためにPACKED−DRAIN打設時に
その振動等の動的エネルギーによる砂質層の締め固め効果による沈下がある可能性がある。  そこでこれらの実施例の沈下の性質を確認するために,ほとんどが粘性土層から構成され

た地盤を選んで,粘性土層のみから構成される地盤がPACKED−DRAINの打設により,
どのような挙動を示すかとの実験を行いその研究,解析,考察を行ったものである。

 これらの地盤の挙動を計測するために用いた計測器ならびに,設置方法,計測方法の概要
はつぎのとおりである。

  {a)地表面型沈下板

 この型式の沈下板は図2・40地表面型沈下板に示すように60cm×60cmのものと30cm × 30cm

の・二種を製作し,この二種ともPACKED−DRAIN打設による地盤の沈下測定用に供した
ものである。さらに60cm×60cmの沈下板は,盛土の高さが上っていくにつれてロッドを継ぎ
たして,盛土による地盤の沈下測定にも使用したものである。その設置の位置ならびに方法は図 2・41地表面型沈下板の設置に示すとおりである。設置時期はPACKED−DRAI N打設以前である。

  {b)連続沈下計,層別沈下計は図2・42沈下計構造図に示すとおりである。設置の方法

は図2・43沈F計測器の設置に示すとおりである。  グラウト材は表2・47に示す配合のものを用いた。これらの沈下計はPACKED −DRA IIN
打設後載荷盛土開始前に全て設置を行った。

一70一

   丁§81」

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   図

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一71一

約1.00m

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0.50m
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連続沈下計 5 ⊥

純W

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 測定器MC型

砂質土
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粘性土
iシルト)

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i沈下計測器)
別沈下計ボ 沈下計測器 連続波下計
[リング孔径φ

型 式

計器番号
0

LR−100B

砂質土
I  I
」「]「」∫

層別波下計

LR−100V

1.23

Q50%グ

鼈鼈一二

粘性土
iシルト)

li ll2 11

(沈下計構造)
 号
下箱
    称


質土
一’一

下板
宴Eト材φ
  l

テンレスロッ ド


 1

性土

;i311

ーラー

動抵抗
ヤプタイヤコード
ーリング孔径⑪

U6%
尻層(
x持層)

ク トホース

定足(パンタグラフ)

降ネジ
クリューポイント

2・42 沈下計構造図
    一72一

①ポーリング穿孔②ステンレスロッド③沈下計挿入④沈下計固定

       挿入
  φ250%

        Q

⑤各所定層に⑥上部の沈F 各沈下計挿入 計取付後 し固定する。  埋設完了


グラウ ト材柱.
入。

GL IH

クフウ

   凡 例
連続沈下計

 25
N値50以上

層別沈下計

図2・43 沈下計測器の設置

 表2・47 注入配合表
材 料 名 数   量 備   考
ベントナイト

フライアッシュ
20kg

バラ イ ト 1 セ メ ン ト


50‘

3kg
出す。

10kg

9kg

この配合で混合したものは67Xになる。ボーリング孔には孔内容量を計算して全体量

尚,各沈下計の計器間にはロッドと周辺地盤のフリクションを切るために,ロッドの外側に伸び
縮みが出来るダクトホースを挿入する。

これらの沈下計測器の仕様はつぎのとおりである。
連続沈下計:
      層

      眈 製型計精沈ピ下製型

  臓下〃詑

作式囲度板ア 作式

     プ

坂田電機(株)

LR−100B
lm,10cmの2段切かえ
士1%
50cm×50cm× 6!%
φ 140 × 1001%

坂田電機(株)

LR−100V
       −73一

   計測範囲    1m,10cmの2段切かえ
   精  度    士0.5%

   パンタグラフ式ピックアップ:ピックアップφ140×100%

                パンタグラフ三方向に150㎜突出
測 定 器:

製  作 型  式 測定方法 測定精度


寸  法

坂田電機(株)

MC型
直示法および零位法

±1%

200㎜W×260㎜D×105mH

沈下測定時の沈下計測器の設置図は図2・44に示す。  {c)間隙水圧計は電気抵抗式のもので,図2・45間隙水圧計に示すものを使用した。
         「一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一m 一一一一ひ
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     竪當   修

|   修

修島尻泥岩

            図2・44 沈下計測器の設置図
                           コード
ボーリングロッド
本 体
ボーリ/グロッド取付具

(左ネジからなる) 尖頭管
コー一ド孔

A 孔

フィルター

本 体

フイルター
シコ、一

シュー

図2・45

間隙水圧計

一74一

その仕様はつぎのようなものである。
間隙水圧計:
     測

     定 製型計ピ尖   測ッ豆器

作式囲ア管

   ツ

   プ

坂田電機(株)

PD−2P型
2, 3, 4kg/c㎡

φ47.4× 360%
φ 48.6 × 490%

製  作
型  式 測定方式 測定精度 寸法,重量

坂田電機(株)

MD−1D型
零位法
±0.5%

200W×260 D×105 H,3 kg

         盛土開始前に設置した。設置には細心の注意  間隙水圧計はPACKED−DRAIN打設後,
を払っておこなった。

  {d)地中側方変位計,この地中変位計は電気式地中連続傾斜計を用いて,観測するもの で,地中変位は(傾斜角×測定間隔距離)を加算して求めるものである。挿入式傾斜計を採
用し,装置は傾斜計と測定パイプよりなる。

 今回採用した地中変位計は,地中変位量の測定を行う時に,最初垂直に設置された可擁性 の大きなバイプが周囲の土の変形に応じて変形していく量を,傾斜計をパイプ内に挿入して それをlt下させて変位を計測する変位計である。測定用パイプは傾斜計の方向性を維持する

ために直角2方向に溝をもつ特殊な耐蝕性アルミバイプを用いた。各パイプの長さは1mで
あり,パイプ相互はゴム継手で連結されているために,地中に側方変位が生じた場合継手部

分を支点として,地中の変位に追従するのでパイプ長(1m)をスパンとして傾斜角を測定
することができる。

 各パイプの傾斜角からパイプ長での変位量が算出することができる。この値を基準点(支 持層の固定点)から順次累積加算することによって,深さを従軸とした地中側方変位のパタ ーンを描くことができるのである。地中変位形は図2・46地中変位計に示すとおりである。 地中変位計のパイプの設置方法は図2・47地中変位計の計器仕様はつぎのとおりである。  変位測定パイプ

    製  作   坂田電機(株)     溝付アルミパイプ,耐蝕性アルミ引抜管

一75一

    上下蓋

  (溝付パイプ取付用)

   「φ8°∵
30tm
「’p 82x−「

   L働」

     1

1000薦粛

 380 nm
440鯨


  80ma

φ90

「鵬「
 ム製パイプ
30耐

案内コ・
青コロ(溝に入れる)

 継手

 図2・46
①ボーリング穿孔 ②測定パイプ挿入

地中変位計
③測定パイプ固定  砂投入  上蓋 ④コンクリート打設
コンクリート

    φ116%

。、[
1.Om

⊥ 0.50m

測定パイプ

継 手

下 蓋

m
支持層
一「

  図2・47 地中変位計設置

長さ    2=1m
厚さ    t=3㎜
内径    φ70㎜

最大外径  φ82m
ゴム継手

クロロンプレン製
長さ    4ニ 80 mn

一76一

   厚さ    t−7m
   内径φ76 mm,外径φ90㎜

上蓋,長さe−30㎜,内径φ69㎜,外径φ80m

下蓋,長さ4=130㎜,内径φ76m,外径φ90㎜
傾 斜 計    製  作    型  式    測定範囲
坂田電機(株)

FD−1300T
±300分
O. 6分

   測定分解能
   変位量測定精度 測 定 器 製  作
型  式

深度30mで±5 mn程度

坂田電機(株)

MD−1D型
零位法
±0.5%

測定方式 測定精度 寸法,重量

200W×260 D×105 H,3kg

 以上のような計測器を準備して,     PACKED−DRAINの打設による地盤の挙動ならびに

              その地盤の挙動を前項の実施例 PACKED−DRAINを打設した地盤に載荷盛土を行って,
その2,その3のタンク基礎において実測を行ったものである。
   (1) 100, OOO klタンク基礎4基の挙動について(実施例その2)

 100,000klタンク基礎を建設するにあたって,タンクNo., TK−1,TK−2, TK−3,

TK−4の4基のタンクに図2・48計測器設置平面図に示すように,計測器を設置してその
地盤の挙動を計測したものである。

 TK−1, TK−2, TK−3, TK−4の4基のタンクにそれぞれにっき以下のような
測定を行った。

地表面沈下板
     }

各タンク 9ケ所 各タンク 5ケ所

連続沈下計

層別沈下計 間隙水圧計

各タンク 5ケ所ただし1ケ所につき2層に設置
計10個の間隙水圧計設置

地中変位計

各タンク 2ケ所

以上の計測結果について以下に論ずる。

一77一

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一78一

    {a)地表面沈下板の挙動について

 図2・48の計測器設置平面図に示すように地表面沈F板の実測結果を各タンク毎にタンク 中心部,東西南北(E.W.S. N)の5点に示すものが.図2・49から図2・52までの盛土高
・沈下量∼時間図の中に示されている。

 一例をあげると図・49 a)はTK−1タンクの中心部の盛上高・沈下量∼時間図であるが, この図の中で盛土載荷が行なわれない以前から沈下を生じている沈下曲線がある。これはタ

ンク中心部にPACKED−DRAIN打設以前に設置された表面沈下板の沈下を示すものであ る。この点ではPACKED−DRAIN打設直後から急速な沈下がはじまり,盛土を行う直前
までの約40日間で50cmの沈下を生じたことを示すものである。しかもPACKED 一 D R A I N打

設直後の5日程度で40cm沈下したことを示しているのである。同様に図2・49{b)は東側,図
2・49(c)は西側,図2・49{d)は南側,図2・491e)は北側にそれぞれ設置された地表面沈下板

は,PACKED−DRAINの打設によって30cmから45cm沈下していることが明らかである。
 TK−2タンクの盛土沈下量一時間図は図2・50,{a)にタンク中心,(b)に東側,(c)に西側

〔d)に南側,(e)に北側の沈下量を示すものであるが,これも同様にPACKED −DRAIN打設

直後から急速に沈下が生じている。その沈下量は30cmから45cmである。図2・51はTK−3
タンク,図2・52はTK−4タンクのそれぞれ盛土高・沈下量∼時間図を示すものであるが,

この2基のタンク基礎も同様にPACKED−DRAIN打設による沈下が明らかに生じている。
その沈下量はTK−3タンクが15cm∼40cmであり, T K−4タンクは17cm∼35cm程度である。

 以上の実測結果から明らかなように,PACKED−DRAINを打設することによって,この
タンク建設予定地の地盤は沈下を生じたのである。  この沈下の原因としてつぎのようなことが考えられる。

 その1は,PACKED−DRAINの打設による振動等により砂質上層の締め固め効果によ
るもの。

 その2は,現地盤が土被り圧による自重圧密が未了であったために生じた沈下。

 その3は,PACKED−DRAINを打設することにより地盤破壊を起した結果に生じた沈
F。

 その4は,以上の3以外の原因による沈下。

 その1の原因はある程度考えられるもので,前述の図2・18から図2・29の土質柱状図に

記載されている地盤改良後のN値の変化からも,PACKED−DRAINの打設による砂質一L
層の沈下とゆうことは充分に推測できるのである。

 しかしすべての沈下はこれに起因すると断定するには至らないのである。

 その2の原因は土質調査の資料とその沈下の速度から判断して,有力な原因とは推測しが

一79一

たいのである。

 その3の原因は図2・49から図2・52の盛土高・沈下量∼時間図の載荷盛土と沈下曲線か
らみて,地盤の破壊があったらこのような曲線は示さないし,また載荷盛土ができる状態で
はなくなるので,この原因はありえなかったと判断するのである。

 その4のその他の原因の中で,PACKED−DRAIN打設時のケーシングによる周辺粘性
土を圧縮することによる間隙水圧の上昇ということは,いくつかの例が過去にも報告されて いるので,その現象が生じたことは充分考えられる。ただし,沈下の速度があまりにも速す
ぎるのである。

 その他の効果として,PACKED−DRAINの打設にバィプロハンマーを使用するので,
ケーシングに振動が生じ,ケーシングの周辺へ水を集める効果が考えられるが,これも

PACKED−DRAINを通じて排水されるには,その圧密所要時間からみて沈下速度が速すぎ
るのである。

 さらにPACKED−DRAIN打設時には圧さく空気をケーシング内に送りこむので,この 影響も考えられるのである。いずれにしてもPACKED−DRAINを打設することにより粘
性土地盤に沈Fが生ずるとすれば,その時間的なものも考慮した理論ずけが必要である。も

し粘性土地盤にPACKED−DRAIN打設時に沈下が生ずるとすれば,その時間的なことを
考慮すると,静的な荷重と異なる別の現象を考えなければならない。PACKED−DRAIN
工法では,外径約15cm程度のケーシングを4本同時にバイブロハンマーで打設し,ケーシン
グの打設時と引き抜き時の2回に亘って,周辺地盤に連続的な振動を与えており,形成され たサンドドレーンはポリエチレン製の袋によって周辺地盤と一線を画しており,袋が壁とな
って砂柱を保持している。しかもケーシング引き抜き時に送気されるコンプレスドエアーが, この壁面に沿って地上に排出されることに注目する必要がある。本工法ではケーシングを介し

て,周辺地盤に対してバイブロハンマーの振動を与えるから,ケーシング周囲一定範囲の粘 性地盤を水と土粒子とに遊離させ,その遊離した水をケーシングの外周に集めて土粒子と分 離する。この遊離の状態が広範囲に亘ると地盤破壊が生ずるが,ここでは遊離と分離が連続 的に行われているものと考えられる。ケーシングの引き抜きに際して送気されるコンプレス

ドエアーはPACKED−DRAIN外周面に集水された分離水を壁面に沿って,効率的に地上
に排水する。

 分離水の排水は隣接PACKED−DRAINの打設時に送気されるコンプレスドエアーによ
っても繰返し行なわれる。従来のサンドドレーンにおいてもケーシングによる周辺地盤の排除

による過剰間隙水圧の発生は観測されている。しかし従来の最も一般的なサンドドレーンの
ケーシングの外径は約43cm程度のものである。

一80一

 これに比してPACKED−DRAINのケーシングは前述のごとく15cm程度のものであり,
周辺地盤の排除効果は従来のサンドドレーンに比して小さいのである。PACKED−DRAIN
工法はケーシングの径が小さいためにその振動効果を周辺地盤に大きく与えて集水効果をよ くしていることが考えられる。しかもポリエチレン製の袋体が周辺に存在することから,そ

の壁面が明確化されるのである。PACKED−DRAIN打設時の粘性地盤の沈下は,振動集
水効果とコンプレスドエアーによる強制排水作用によるものである。壁面効果がさらにこの 現象を効率よくしているものと考えられる。このように考えると時間的なものもある程度理
解できるのである。

 PACKED −DRAINの壁面に沿って水が排出される現象はPACKED−DRAINを打設
する現場では,常にみかけられる現象である。果して粘性十層にPACKED−DRAINを打
設した時に,沈下が生ずるか否かは後で実験の結果をふまえてそのプロセスをも含めて論ずる
ものとする。

 従来のサンドドレーンを打設した時に沈下が生ずるということは,赤井の研究等でも報告
されている。

 つぎにこの4基のタンクの設計時に推定した沈下量と実測沈下量との関係について,その
比較をしてみるとつぎのようになる。

 TK−1タンクではPACKED−DRAIN打設時の沈下量を加えた実測値が,設計時に推
定した沈下量の約95.5%である。

 同様にTK−2タンクでは約93%

 TK−3タンクでは約87%
 TK−4タンクでは約86% である。
 この4基の実測沈下量の平均値は,設計時に推定した平均沈下量の約90%である。

 もしPACKED−DRAIN打設時の沈下量を無視すると,実測沈下量は設計時に推定した
沈下量の約60%となるのである。

 このように推定沈下量と実測沈下量が大きく異ることがあると,実務上では非常に障害と
なるのである。

 以上の実例からでもある程度推定できるが,著者の経験からもやはりPACKED−DRAIN
打設時に生ずる沈下は圧密沈下となんらかの関係があることが予測されるのである。
 間隙水圧の実測記録はつぎのとおりである。
 図2・53はTK−1タンクの盛土高・間隙水圧∼時間図であり,図2・53(a)は盛土の中心部,(b)
は東側,(c)は西側,(d)は南側,(e)は北側に設置された間隙水圧の実測値を示すものである。なお各

点とも深度の異る粘性土層の中に間隙水圧計を設置してあるので,記録としては10ケ所ある。

一81

  盛  10

測定年月日 S5422∼S5474

  士   高
  (m)

経過日数㈲O

                        170

   lOO    200    300    400


  沈 500    6〔め

                           N

                         ・㊤・
                           S
                            }−C2  9.00π【

  ド

   7〔沿

  量    80⑪  (z)

   900
   1000    1100    1200    1300    1400

                            1−C3 1100m

                         凡例                               1−Co
                          −−6−−6−−1−Cヨ                          ー一●一一●一一1−C2

                         −←●一一1−1〔地表面}

図2・49{a)盛土高・沈下量∼時間図(TK−1タンクC)
  盛 10
  士   高
 (m)

                           S5t22∼S5171

経過日数㈹0

   
沈下量%

・◎・
  S

     一Eヨ 8.70m

    1−Eo
−一 ㊧鼈黶ィ一一1−E,

一◆一●一一1−4〔地表面}

図2・49{b)盛土高・沈下量∼時間図(TK−1タンクE)
           −82一

   10

 測定年月日 S542.2∼S54.74

 盛  8  土  6  高  4


 (nt) 2

    0
経過日数㈲0
110   120   130   140   150   160

鋤剛⑰m醐蜘㎜

                 \

   図2・49{c)盛土高・沈下量∼時間図(TK−1タンクW)
   経   ー過
  ー数
086420

                         測定年月日 S542,2∼S547. 4

         ttブ… 

  N

  S
    ーS・5刃80

    −S38−90
    1−S. −rH−−1−S3
−一 汕鼈黶怦鼈黶E1−S,

一一一1−5{地表面)

図2・49{d)盛土高・沈下量∼時間図(TK−1タンクS)

一83

m861
盛ー高尻

 損lj定年月日 S5422∼S5474

0

O
oo

10    20    30    40    50    60    70    80    90    100

110   120   130   140   150   160

盾盾

oo
量先0

盾盾

oo

盾盾

       t聯

oo

mNI \、\ 『  ’g
f1 1[

:二:二]こ、地表面,          \Y 

                x’”一一・一一一一. 

2・49{ e)盛土高・沈下量∼時間図(TK−1タンクN)測
㎞刈
  4201

月日 S54125∼S54616経

数⑪0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160170一

 ∼一一●一_t一一◆一●図


先∴


2−Co〔}nt 
2・C2 1〔}6m 

2−C, 118m凡  

 2 Co−
 .s’一一一一一N−_.■盛

一一←−2−Ca−
一一 怦鼈黷Q−C2−

→−2−1〔地表面)一

50{a) 

・沈下量∼時間図(TK−2タンクC) 

   髄

盛土高④畷

日 S54124∼S54.616    

70  80  90  100  110  120  130  

40  150  160  170    

                     N    
沈下

     −一一 ・㊤・    
                     S    

  

                   3    
oo
盾盾

                       2−E om                            −EI lgm                            −E,115m                            2−Eo    


                   −「←一一i・一一2−E,    

oo

                   一一●一一●−2−E,    
㎜剛

                   一+一→昏一2−4(地表面)図2・5

b)盛土高・沈下量∼時間図(TK−2タンクE)    
  経   過  ー数

               御1定年月日  S54125∼S546」6100 

10  120  130 140  150  160  170図2・5

oo
盾盾

oo
盾盾

oo
盾盾

   

oo

2−W,
盾盾

oo
盾盾


.一一一一一一.._.{・㊤・

0m2−W  m   2

』    

oo

            一一2−w,    
            一→}一一●一一2.盛土高・ 地表面}

P 

Q 

c)\ざ

量∼時間図(TK−2タンクW)   −

一   0

    経

   ー過

   ー数

10
W6420㎞

54125∼S54116「、 \

oo

盾盾

oo
%『

盾盾

oo

  2
o om   2−
 3」om   2.

◎・

盾盾

oo

 87m  2・S 101m    2
盾盾

o一ヨー−2
1

」一由一一遠
2− S,−2−S,

一一一●一 −5〔地表面)     
・50(d)盛土高・沈
経o
過  数盛

∼時間図(TK−2タンクS)     
     測定年月日 S.54125∼S.546.1630  4

            80  90  100 110 120 130 140 150 160 170\図2

oo
盾盾

oo
盾盾

           N     

        ・Φ・     
           S                   2−Noom                 2−N,113m               凡例                   2−N.     
         一+−rら一一2−Ns     
         −一一■卜一一一■卜一一一2−3↓地表面)盛土高・沈

定年月日

oo
盾盾

oo
盾盾

oo
盾盾

)     

∼時間図(TK−2タンクN)  −86

   髄

盛土高況磁

10

 S54219∼S548,11   

㎜㎜㎜㎜杣

                         3_Co om                           3−C, 8gom                           3−C31400η)                         凡例                             3−C。                         −r6−−3−Cs   

                     −−3−C」   
                     一一一3−1(地表面〉   

             }図2・
{a)盛土高・沈下量∼時間図(TK−3タンクC)   
盛土高m

086420

                 測定年月日 S54220∼S548.11   

     ゴ   

ー経過日
ヨ) 0   10  20  30  40  50  60  70  80  90  100  110 120  130 140  150  160  170 180\
F量%む

oo
盾盾

  一『一            一   
               N   

oo
盾盾

oo
盾盾

      _一命べ∴無

oo
盾盾

oo
盾盾

                 3−E臣   

  b   

o 1 @2

             −一一3−E,      \   
             一●・一◆−3−E,   

   \        「        、   

    、一一_/一一一一3−Es   
             一唱←一唱←−3−3(地表面)盛土高

{b)   

下量∼時間図(TK−3タンクE)   

87一

 盛  10

         測定年月日 S542.20∼S54&11

    8  土     6  高  4     2


 (m) 0 経過日数口0
100  110  120  130 140  150  160  170  180

                           N

                         傘
                           S
                             3−Wo om                           3.W2460m                           3−W,980m

                         凡例

                              3−We
                         −一◆一一6−−3−Ws                          −◆一一●一一3−W,

                         _H−3−5(地表面)

図2・51{c)盛土高・沈下量∼時間図(TK−3タンクW)
    幽

−0

                     損lj定年月日 S54220∼S54811

盛土高⑧畷

oo

   寸 
  N

                   s−一一一一一一一一一一一_一___吟

  S

      ベー
         \

    ぽ,㌫
    3−S3 1260「” 凡例

    3−So
一合一一▲一一3−S3 −●一一●一一3−S2

−一一一一34r地灘川

図・2・51{d)   盛上高・沈下量∼時間図(TK−3タンクS)

一88一

 土 1

 盛10            

測定年月日S54220∼S54・&11

 高  4     2
 (m) 0

経過日数㈹0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160170180

沈 50

・◎・

  600 下   700

 1 35α

凡♂㎜ 76

  80 (x)   90

Om

33

NN

 1000  1100  1200  1300  1400

凡例
3つ」 一 一

NN

33

N2

地表 面

図2・51(e)盛土高・沈下量∼時間図(TK−3タンクN)

盛  10

測㎏手月日 S54.L25∼S54. 9、1

  8 土  6
高  4

  2 (m) 0
経過日数㈲0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160170176186196206216226236
  100   200   300
沈 400

  500 下   600

  7(X) (%)

  N

・㊤・
  S
 一  CC 一69

  800
il

  900

q7030

 1000
 1100
凡σ

C
C

 1200

4 4
4


地表

図2・52{a)盛土高・沈下量∼時間図(TK−4タンクC)

一89一

 盛  10

測定年月日 S54125∼S5491

 士 1
 古   4

 同     2

 (m) 0

経過日数00
  100   200

160 170176 186 196 206 216 226 236

 300
沈 400

  500

  N

 600 量
 7〔刃 く%)

  S
    4−Eo om
    −E,5.oom     −E,9.som

 80⑪  90⑪

 1000
 1100

    4−E。
一一 ㊧鼈齔闊鼈黷S−E3

 1200

−→一一→一一4−3(地表向〕

図2・52{b)盛土高・沈下量∼時間図(TK−4タンクE)

 盛 10

     測定4手月日

 土     6
 高  4
 (m) 0
経過日数旧)0

∵−t’.
100  110 120  130 140 150  160  170176 186 196 206 216 226 236

   100

   200    300  沈 400    500  下    600

∨「」一一一___4r__一一一▲

 量

   700  (x)

   800    900
   1000    1100
    4−Wo ont

 4−W2640m
 4−W37. gom

 凡例

    4−Wo
−一 」一一由一一4−W,

   1200

一一4−W2

−−4−5(地表面)

図2・52(c)盛土高・沈下量∼時間図(TK−4タンクW)

一90一

 盛  10

t則定年月日 S54124∼S5491

 土 1
 高  4     2

      \
11〔〕 120  130 140  150  1〔)0 170176 186 196 206 216  226 236

 (m) 0
経過日数但10

   100
  −rb−一一一一一一一一白一一一一一一台

   300  沈 400    500   下    600


  量
\∨ 揶黶

@一_r●一一一●

≦β・

 Hs−一・一一
1ト_

   700  (%)    800    900


   1000
   1100    1200
     4−So om     4−S2  640m
 一’一一一一一「V._−r一唱ト苛

    4−S3 1010m      4−So
−一

凡例

X←一一命一一4−Ss

−●一一チF−4−S2
−t−−e−・・−4−4{地表面)

図2・52(d)盛土高・沈下量∼時間図(TK−4タンクS)

 盛  10

損1」定if月日 S54125∼S549.1

 土 1
 高  4     2
 (m) 0 経過日数㈲0   100   200   300
沈 400
10  20  30   40  50  60  70  80  90  100  110 120  13C} 140 150  160  170176 1S6 196 206 216 226 Z36

  500 F   600

・Φ・

  700 (x)   800   900


     ・No om
 4−N2 5.70M

 10eo  llOO  l200

 1−Ns 750m

 凡例

    4−No −一一一4−N3
−H」−4−2(地表面)

 図2・52{e)盛土高・沈下量∼時間図(TK−4タンクN)

一91

・㊤・

S54224∼S547.4

玉19認:
 間  隙
 水

 圧
(kOfdi)

経過日数働0
盛土高川

70  80

loo

130   140   150   160

10

図2・53(a)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−1タンクC)
  N

・Φ・二1−
3

測定年.月日 S5432∼S547. 4

      一一1P−E,
    lP−E, 430m     lP−Es 1300m

・・水♪

〉 へ

経過日数㈹0  1〔}  20  30  40  50  60  70  80  90  100  110  1Z)  t30  140  150  160
10

盛土高

図2・53{b)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−1タンクE)

一92

  N

・θ・⊥lP−W,

測定年月日 S54.2.19∼S54.7. 4

懸19㌻1蹄
間隙水・顕

q.....・−D−一゜一゜一{F−一・一・一゜”s’−e一

経過日数旧10

10    20    30    40    50    60    70    80    90   100   110   120   130   140   150   160

   10  盛

 土  高
 (m)

図2・53(c)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−1タンクW)
d’ljE‘”nH S54’3’”“”S54,7,4

−『⊇一

・・水圧顕

             \tS−K.一一一一“一
1

                     一一一b−APt−

Yb−一一一一一Vx°一コー一一一一コー一一一”E−o−e

経過日数田)O  lO  2《)  30  40  50  60   70  80  9〔}  100  110  120  130  140  150  160

盛士高m

                 \                  \、

図2・53(d)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−1タンクS)
      −93一

  N

・Φ・⊥1…
3

測定年月日 S542.19∼S54、7. 4

      一一一一lP−N,
  1P−N, 12.oom   lP−Ns 13、70m

 間  隙
 水  2

 圧
(kOfcri)

一Qr・X’・ D一・一・

経過日数¢ヨ) 0    10    20    30    40    50    60    70    80    90   100   110   120   130   140   150   160

10
盛土高m

図2・53{e)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−1タンクN)
測定年月日 S54.2.13∼S54.6.16

   N

・Φ・
   凡例
   一〇一{卜一2P−C2

   −一一一一2P.C3
2P−C2  11.80m 2P−Ci  13.50m

・隙水・顕

  2

経過日数㈹O  lO  20  30 40  50 60  70 80  90 100 110 120 130 140 150 160
1
盛士高m

図2・54{a)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−2タンクC)

     −94一

・㊤・

S54213∼S54616

8、gom

14.ooM
間隙水圧』     刷

R..P−一・”/°H’一”一゜XH””L−XK・一一・一一一一一・一一・一一・−y・一..一一

経過日数θ0
10
盛士高〆

図2・54{b)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−2タンクE)
  N

・㊦・
凡例
一〇一一一・一《}−2P W2

Cll」定年月日  S542.8∼S546.16

−r{−2P−W3
2P−W,7.50M 2P−W312.50m

間隙水圧駈     め

D−一.wo._.一一n−D    }一一一{P一一H・”°E−一・一一一・−o−一一eSo

経過日数但)0   10  20  30  40  50  60  70  80  90  100  110  120  130  140  150  160
10
盛七高尻

図2・541c)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−2タンクW)

一95一

  N

・(葺

損ll定年月日  S542.7∼S54616

    E 凡例
      一一〇一一一〇一一2P−S,

      −2P−s,
3

間隙水圧

(k〆∂)

経過日数00

10    20    30    40    50    60    70

1     11    1     130   14     150   160

   10   盛

高m

図2・54{d)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−2タンクS)
              測定年月E] S54216∼S54616

  N

・㊥・
  S

 凡例
 一ロー一{}−2P−N)

N
2P−N1
2P−N∼

S −−H−−2P Ns

 710m
i250m

間隙水圧㎏     の

一一+一ノー『 一一『+『 卜一・寸゜Hコ
経過日数en O 10 an 30 40 50 60 70 80 90 100110120 130140150 160
08642 盛土高m

   \

   \

    \

図2・54{e)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−2タンクN)

一96

  N

・㊦・
3

測定年月日 S543.15∼S54.8.11
凡例
一一

i〉−Pト3P−Ca

+}−3P−C‘

   iilii
・・水圧顕

 3P−C2
3.60 m

13.oom 16.oom

一一一XA・・一一一一一一一一A−一一・一一一一一..一一1。

経過日数圓0

10    20    3     40    50

80   90   100   11   120   130   14    150   160

   10   盛
  土  6
  高  4
  (m)

図2・55(a)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−3タンクC)
                      測定年月日 S543.12∼S54.8,11

                         N

                       ・Φ・⊥_
                             −3P−E                         頂1蒲
    ぽ

間隙水圧砺

経過日数㈲O

   lO   盛
  土   高
  (m)

図2・55{b)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−3タンクE)

    −97一

  N

・Φ・』,−W,
3

測定年月日 S.54.3.22∼S.54.811

 間

 水  2

 圧
(}㎡㎡)

経過日数㈲O

10    20    30    40    50    60    70    80    90    100   110   120   130   140   150   160

   lO
  土  6

  盛 8
  高
 (m)

図2・55{ c)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−3タンクW)

鴫二忽一

 隙
 水  2

 圧
(ke/di)

経過日数㈲0

10203040506 7 80

100   110   1    130  14   150   160

   10
  盛   土   高
  (m)

図2・55(d)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−3タンクS)
            −98一

・Φ・

・・水圧鹸

経過日数日0

   10   盛
  土   高
  (m)

  図2・55(e)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−3タンクN)

・$㌦    日s543 5491
    伝

間隙水圧〆     刷

9,9・・[P−___一_。.一_.一.O−一一’°x−,F.__.pxx’Xp・一一一t−一一一r_一_。_メトr

絆過日数⑭0
  Iu 盛
士.

ブ.『一一べ.
図2・56{a)


〔m)

盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−4タンクC)

    −99一

・㊤・
凡例
一cトー[トー4P−E,

S543.27∼S549.1

間隙水圧㎏     の

経過日数㈲0
10
盛土高m

図2・56(b)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−4タンクE)
   

・Φ・牛_
3

損lj定年月日 S54326∼S549.1

      一一一4P−W3
  4P−Wr 710m   4P−W,1200M

・・水㌫

  2

経過日数圓⑪

10    20    30    40    50    60    70    80    90    100   110   120   130   140   150   1    170

    10   盛
  t.
  r【i〕

  (m)

図2・56(c)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−4タンクW)

一100一

・Φ・牛_
      −b−−b−4P−S3
    4P−S2 8.20m        12&)M
・・水・顕

S543、26∼S549.1

経過日数勧O
10
盛土高句

図2・56(d)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−4タンクS)

・㊤・

S54331∼S5491

懸認
 間

 隙
 水

 圧
(kレ偏)

経過日数㈲0
10
盛土高⇒

図2・56(e)盛土高・間隙水圧∼時間図(TK−4タンクN)

一101一

TK−2は図2・54で(a),(b),(c),(d),(e)の設置位置はTK−1タンクと全く同様で
ある。

 TK−3タンクは図2・55, TK−4タンクは図2・56のシリーズである。間隙水圧計は
その設置技術等正常に作動させることは,相当な困難さがあるので,この場合沈下曲線を盛 土管理の主体として,間隙水圧は補助的なものとした。全体的には比較的によく作動したも
のとして評価している。

 以上の沈下実測記録,間隙水圧の記録からPACKED−DRAIN工法は,タンク基礎地盤
の圧密促進に非常に有効であったことが証明されたのである。ただし,以上の記録からの結 果は沈下を主体とした観点からみた圧密現象のとらえかたである。圧密促進工法の最も重要 なことは,在来の地盤を比較的短期間に改良して,上載構造物の荷重に充分耐え得る地盤に 改良することである。この強度の面からみた改良効果を確認するために,盛土荷重を撤去す る以前に設計時に推定した圧密率80%に達する圧密所要時間ならびに沈下,間隙水圧計の記 録と合せて,圧密率80%以上に達したと判断された時点でチェックボーリングを行い,その
土性値の改良結果を確認したのである。  その結果はつぎのとおりである。

 TK−1タンクについて図2・57, TK−2タンクは図2・58, TK−3タンクは図2・
59,TK−4タンクは図2・60にそれぞれ示すとおりの結果である。以上の結果から,強度
の面からも地盤改良の目的が充分に達成されたことが確認されたのである。  つぎに盛土載荷重による基礎地盤の挙動として,荷重載荷面と無載荷面との境界付近で生ず

る地盤の側方への変形がある。その挙動については定性的には確認されているが,定量的に
は一般的に鉛直方向の沈下に対して約10%程度であろうというのが通説である。

 特に円形載荷重に対しての方向性を加味した実測例は少いのである。本実施例では前述の ごとき地中変位計を用いて,盛土法尻付近において円形盛土の中心を結ぶ方向と,接線方向

の二方に対する地盤の側方変位を観測したものである。各タンク東西の2箇所いわゆる盛土
の対象点で計測を行ったものについて以下論ずるものである。

 図2・61はTK−1タンクの記録である。図2・61{a)は盛土の東側,図2・61(b)は西側で
ある。(a),{b)各々のX方向変位は,盛土法尻と盛土中心とを結ぶ方向であり,Y方向変位は

円形盛土の接線方向を示すものである。従軸は地表面からの深さを示すものである。

 TK−2タンクの記録は図2・62, TK−3タンクの記録は図2・63, TK−4タンクの
記録は図2・64に示すとおりである。表示は各タンクともTK−1の表示と同じである。
 これらの記録から明らかなことは,当然予測されることではあるが,Y方向の変位は僅少
であり,X方向の変形は相当量生ずることが確認できたのである。

一102一

一軸圧縮強度 qu kg/τ㎡ 標高
十3.5

0.3  0.5  0.7  0.9  1.1  1.3

30  40

含水比W%  単位体積重量γt㎏/ぱ 改良前     想 定 1.8 1.7 50 1.9

    桂状図
十3.5

改良後 想 定 桂状図


十3.5

士 0

十〇.1

一1.0 −1,3

一5.0

〆“、

!‘“1 一7.7

ロロ

一10.O
〈’

 ロロ

ロ日ロ


、,1

一14.0

一14.0

一15.0

●改良前 qu値

o改良後 qu値

▲改良前 △改良後

改良前 改良後

図2・57 TK−1タンク地盤改良前後のq、, W及びγtの比較

一103一

禰嚇搬,・k、/,nt 含枇W% 聾鱒耕
標高
十3.5
3.0

O.4   0.6   0.8   1.()   12   14   30   40   50   1.7   L8   19   20

改良前 想 定 断面図


十35

改想断

良 面 後定図

20
1.0

±0
一1

±0

一〇.7

−13

4 5

6 7 一75

8 9
一10

11

12

一120

13
14

●改良前qu値

o改良後qu値
一15

▲改良前W △改良後W

■改良前

o改良後

16

図2・58 TK−2タンク地盤改良前後のq。, W及びrtの比較

一104一

       一軸圧縮強度   qu kg/c㎡  含水比W%
標高   0.2   0.4   0.6   08   1.0   12   1.4     30   40   50

聾鱒嘉改良前
        柱状図

改想柱 良 状 後定図

1.71819 想定
十3.5

十〇.6

一 O.5

−O.9

一7.0

一10.0

一14.0

・改良前qu値

o改良後qu値

▲改良前W △改良後W

■改良前 ロ改良後

図2・59 TK−3タンク地盤改良前後のq、, Wt及びrtの比較

一105一

      一軸圧縮強度qu kg/ε㎡
標高 O.4 0.6 0.8 1、O l.2 1.4
十3.5

       単位体積重量 含水比W%         rt kg/品


30
40  50  60 L7  18   1.9  2LO
十3.5

改良前  改良後 想 定  想 定 柱状図  柱状図


十3.5

十〇.5

±0

▲、巴/
一〇2
01 60
一 一

一 5、0

一5.5 一6.0 t;\、

ぱ゜

 ロ1
「LP,

一100

一11.5

一115

・改良前qu値
一15.0

o改良後qu値

▲改良前W値 △改良後W値

■改良前 γt値

ロ改良後 rt値

図2・60 TK−4タンク地盤改良前後のq。, W及びγtの比較

一106一

    d{1」定1F三月Eヨ S54.3.13∼S5474     (外) X方向変位 (%) (内)
90 80 70 60 50 40 30 20 10  0 10 20 30 40 50
(一) 

Y方向変位(%) (+)

50 40 30 20 10  0  10 20 30 40 50

 シン;

、Z/

E   C  W

10

深  1

(m)

15

ユ与

20

 図2・61(a)地中変位(TK−1タンクE)
                 損1」定{1月日 S54313∼S547. 4
(内) X方向変位 (%) (外)  (+)    Y方向変位 (%)  (一)
X}80 70 60 50 40

3020

10

1020304050

60
0

6050403020

10

10

2030

40 50 60

7080

1
\ム

∼1


 10/

N
深修度(仇)

./
^’/ 〆//ドド  15

1/%   ///


 ‘

外→

^‘

20

図2・61{b)

地中変位(TK−1タンクW)
一ユ07一

     測定年月日 S54.3.]∼S54.6.16
(内) X方向変位(%) (外)
)0 80 70 60 50 40 30 20 10

(+)  Y方向変位(%) (一)
60
0

10 20 30 40

5060

5040302010

1020304050

N
\  10

w   C  E

@    S


度〃
(況)

ユ与

15

20

図2・62{a)地中変位(TK−2タンクE)
  損II丘三{十月日 S543.1∼S54.6.16

(外) X方向変位(%) (内)  (+)
9〔」 80  70  60  50 40  30  20 10

Y力向変位(%)  (一)
50 40 30 20 10  0  10 20 30 40 50 60 70 80

0 102030405060

亥多き

,7 ∼
  /

^/

w    C  E
,い11

.I

10

、、


(頂)

輻隅

15

20

図2・62{b)地中変位(TK−2タンクW)
一108一

 測定年月日 S543:>0∼S54811
(内) X方向変位 (%) (外)  (+)
9〔}80 70 60 5〔〕 40 30 20 10  0  10 20 30 40 50 60

Y方向変{立(%〉  (一)

60 50 40 30 20 10  0  10 20 30 40 50 60 70 8(

0
、へ

fぶ
\、

、芯獄

 N
浴@  C  E

/l/N
ア’ 〃ノ5 / /
ぷ「  ’
ノ、\

@S
@岩牛
20

   図2・63{a)地中変位(TK−3タンクE)
                   測定年月日 S543.30∼S548.11
    (外) X方向変位(%) (内)  (+)  Y方向変位(X)  (一)
9080 70 60 50 40 30 20 10  0  10 20 30 40 50 60    60 50 40 30 20 10 0  10 20 30 40 50 60 70 80

             0
        .‘./
㌃倫酬

              −
        ノ
5

令「
.之

10
深度抗

』く蕊
15

      ヒ’≧
20

図2・63{b)

地中変位(TK−3タンクW)
   −109一

  損il定年月日  S54.5.23∼S54.91
(内) X方向変位 (X) (外)  (+〉
90

80 70605040

30 20 10 0

10 20 30

405060

6050

40

302010
ヘミ・

Y方向変位(別  (一)
0

10 20 30 40

50 60

7080


N

、べ

\ \   \ 、

      、

_  \5

C  E l/
S

r

ノ  lo
  〆/  / 「 @/   /   /

E//
’/       ∠

深ンシ

五牛
15


(尻)

2〈)

図2・64{a)地中変位(TK−4タンクE)
      損1]足{i月日 S51.5.23∼S549.1

     (外)X方向変位(%) (内)
9〔〕 80 70 60 50 4(, 30 20 10  0  10 20 30 40 50 60

〔一)   Y方向変位(%) [+)
60 50 40 30 20 10  0  10 20 3〔} 40 50 60 70 80

                 0 ///磁≡ 

煮葱

5
!i(〈

WeE
  N
1



  S

N
15

“fエ

(nt)

2e

図2・64(b)地中変位(TK−4タンクW) 一110一

 TK−1タンクにおいては東側,西側とも約10mの深さの所で最も大きく変位している。
この点については,この深度の層が最も軟弱であったことからしても充分その変位量に関し
て理解できる。

 TK−2タンクにおいては東側,西側において変位量の差はあるが,深度5m付近と深度
10m付近の二層において,比較的大きな変位が生じていることが判る。  この現象は土質柱状図と合せ考察すると比較的変位の少い砂質土をとおしてつぎの層へ鉛 直応力が伝達されると,そこで再び側方への変位が起ることを示すものである。室内試験の 圧密試験ではリングで側方への変位は拘束されているので,このような変位は当然生じない

のであるが,原地盤で直径100m程度の円形載荷の圧密試験を行ったと考えれば,今後の土
の挙動に関しての研究に対しての一つの参考資料になるものと思われる。

 これらの地中変位の記録で共通していることは,荷重を受けた直後の変位の速度は大きく, 同一荷重に対して経時的にその速度が小さくなり変位がおさまることである。縦曲線の幅の 広いところは変位の大きいことを示し,狭いところは変位の小さなことを示している。この ことは鉛直方向の圧密沈下曲線と同様な特性を示すものである。このことから粘性土の横方 向の圧密特性を研究するにあたっての示唆を得ることができる。実際的にはこの曲線を計測 することにより,側方流動を生じさせることのないように盛土の管理ができるのである。こ


のように基礎地盤の挙動を把握しながら,地盤改良を行ってその上に盛砂基礎を施工して,
100,000k1タンクを建設したのである。鋼製円筒型石油タンク完成後円周上に64点の測点を設け

て,その水張りテスト時の沈下測定を行った。実測値をつぎに示す。図には各々のタンクの
最大沈下の測点と,最小沈下の測点の二点のみを記載してある。

 タンク水張り時における水位と沈下量の関係,TK−1タンクは図2・65に示すとおりで
あり,測点No.19が最も沈下しなかった点, Na 33が最も沈下した点であり,このタンクの最大

不等沈下量は約5 cmであったことを示す。

 TK−2タンクは図2・66に示すとおりであり,測点Na 8が最も沈下しなかった点, No.48 が最も沈下した点であり,このタンクの最大不等沈下量は約3 cmであったことを示すもので
ある。

 TK−3タンク同様に測点No 1が最小の沈下を示し, Na17が最大沈Fを示し,最大不等沈
下量は約3cmであったことを示す。(図2・67参照)  TK−4タンクも同様に測点Nα26が最小沈下を示しNo.52が最大沈下を示し,最大不等沈下
量は約2cmであったことを示す。 (図2・68参照)
 以上の100, OOO kl鋼製円筒型石油タンク4基の沈下ならびに不等沈下量はタンクの機能上,

構造上に悪影響を与えるものでない。本タンクの地盤改良にあたって,PACKED−DRA I N

一111一

測定年月日 S55.3.18∼S55.5.27
 水Wm 

22

満水21.om

Q0
P8 P6
P4

P2 P0

】4 1516171819 02122   24     7

4  7

781

278 0

On21 4

測点M33(Max)

一。.一..。一一一。.一.,一
沈卜量㎝

図2・65 水漆沈下測定グラフ(TK−1タンク)

測定年月日 S55.3.18∼S55.5.28
22

満水21.oM

                   一
                  一\__// 

図2・66 水脹沈下測定グラフ(TK−2タンク)

一112一

測定{1月日 S55.423∼S55.626
22 Q0
P8 P6 P4

P2

P0
W6420冊

     NOl

  Ml7
                    −一.一一.,.・〉一一一’一’一一’一一゜

12

P3
P4 P5
P17

図2・67 水瀧沈下測定グラフ(TK−3タンク)

                      損1]定年月日 S55422∼S55620

5弓

6月

23    7

01    5 7

 3   78901 

314151 7 19 1

   7日

627 28 as 30    2  3  4  5

         N[L・26−_/ノ  一→
                      一一.一.一.一.一..一一一〇一一一〇

     M1 52

図2・68 水羅沈F測定グラフ(TK−4タンク)          −113一

ll法を適用したことにっいては,有効であったと著者は確信している。    (2) 100.000klタンク基礎21基と60,000 k13基の挙動にっいて(実施例その3)  本実施例も前実施例と同様な計測器を設置して,基礎地盤の挙動について観測し,解析,

研究を行った。本実施例はタンク数も多く,従って計測資料の数量が多いので,代表的なタ ンク1墓をとりあげて説明を行うものとする。他のタンクにっいてはその実測資料を図表に
整理して,その結果について論ずるものである。

 代表的なタンクとして前述の図2・34石油基地平面図に示すTA−114タンクを採用する こととする。図2・69TA−114タンク盛土高・沈下量∼時間図の載荷重以前に沈下を示し

ている沈下曲線はPACKED−DRAIN打設時に生じた沈下量を示している。この地盤では

PACKED−DRAINの打設により30cm∼50cmの沈ドが生じたことがわかる。図2・70TA
−ll4タンク盛土高・間隙水圧∼時間図である。図2・71{a),{b)は地中変位∼時間図である。

この場合盛土接線方向,Y方向ははとんど地中変位はみられない。図2・72TA−114タン
ク水張り時沈下曲線は,タンク完成後の水張りテスト時の沈下を実測した記録である。この

結果から水張り完了時の最大不等沈下量は約3cmであることが判る。以上のように本タンク についても,前述の実施例その2の100,000k1タンク4基と定性的には,その地盤の挙動は
全く同様な傾向を示している。勿論,定量的には対象地盤が異るために,その差が生ずるこ
とは当然である。

 本実施例の100,000k1タンク21基と600,000 klタンク3基の計24基の設計時推定沈下量と

実測沈下量(PACKED−DRAIN打設時の沈下量を含む)との関係は図2・73に示すとお
りである。

 設計時推定沈下量をS!とし,実測沈下量をSとすると

    S=O.3857S〆+3084                   2一⑧
なる関係にある。これはPACKED−DRAIN打設時に平均約30cmの沈下を各測点(146点)
に生じたことを意味するものである。

 各タンク毎の平均沈下量を設計時と実測値で比較すると図2・74設計時推定沈下量と実測
値沈下量との関係(各タンク毎の平均値)に示すとおりである。この結果からみて,推定沈

下量と実測沈下量はPACKED−DRAIN打設時の沈下量も含めると非常に近い関係にある
ことが明らかになった。これは前実施例でも全く同じ結果を示していたものである。

 図2・75プレロード荷重率と沈下率の関係,これは載荷盛土による荷重率と沈下率の関係
を示したものである。ここで沈下率(PE)とは,

    稽一PACKED蒜⊇警告』瓢豊全沈下量・1・・◎
一114一

盛  10

 ヒ  8

  6 回  4
〔m) 2

_ff

申L式

一〔
  \

糸弓…過日数但)O   lO  20  30   40   50  60  70  80   90  100  110  120  130  110  150  160 175 185  t95  2()5

  0
  100   200   300

             心」・一  一 t−一・_一古  一一_−a
篭→

沈 400
卜 500

          ’㌧ζ流∴
               ヤ=.・一    .f 二==;                    ・  ◆一一_一                       一一→診. 一一一つ
                  ♂戊・[,汐1]ノ

  600
(㌔)

  700   800
  {DO  l.000

   X

鷲俗く目蔑;ニiii
コ…寸i∵:三;
1

DEP(M)
,8

   −1
1b5

図2・69  TA−114タンク盛土高・沈下量∼時間図
     凡例              測定G月日 S5368∼S531     ・ff
2 3

  4      −一●一一一{e−−P−3−1

     −e−−e− P−4−1      −一←−r」−P−7−1
 DEP(M)P−8_1

     −−e−e−P−7−2
P−3−1−一●一一一◆−P_8−1

   2
 間

 隙

畝\

 水
 圧   1
:=El=三=t=一
(kg/後diノ

 − 刀│

縫過日数0 0    10    20    30    40    50    60    70    80    90    100   110   120   130   140   150   160   170

s−一一.…−e−e−eCs___.

 盛  10

一◆一一◆一盛士外

 土  高
 (m)

一←一±一一盛t内

ODL+4000
0DL十400

 観
 測 300

 井

図2’70 盛土高・間隙水圧・観測井∼時間図(TK−114タンク)
            −115一

測定句月日 S51i69∼S53117
X力向変イ、ン 〔%)

CDL

Y方向変付 (%>

    100  200  300  400

澄口

図2・71(a)地中変位∼時間図(TA−114タンク)

  geJiA三 {1月日 S5:

う8∼S53117

X力向変位 (%)

CDL

 Y力向変仙 (min)
)  100

  300   20〔

図2・71(b)地中変位∼時間図(TA−114タンク)

一116一

水 20

一一’−r.一一一”

測定年月日 S54115∼S541228

拉 10
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                    実測値(㎝)S
               実測値:パックドレーン打設による                  沈下量+ブレロードによる沈下量

図2・73 設計時推定沈下量と実測沈下量の関係(146測点)
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実測値(em)S 01.工区

゜2工区 、3工区

図2・74 設計時推定沈F量と実測沈下量との関係
(各タンク毎の平均値)

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   各プレロード段階で生じた沈下量

×100

          各段階における荷重 フ’レロード荷重率=                    ×100           ブレロード全荷重

図2・75 プレロード荷重率と沈下率の関係

一118一

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海底砂礫

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地盤改良前のN値

地盤改良前のN値

図2・76 地盤改良前後におけるN値の比較
 プレロード荷重率(△PE)とは,

             各段階における荷重     プレロード荷重率=                        ×100     2一⑩              プレロードの全荷重       (△PE)


と各々定義したものである。その結果は

    SE=1.0049△PE+9.485となる。

これは SE÷△PE+9.5 程度の関係にあるとみなすことができる。

 PACKED−DRAIN打設と載荷盛土により,本地盤の砂質土層が改良されるかを示した
ものが図2・76地盤改良前後におけるN値の比較である。(a)は埋立砂レキ層,(b)は海底砂レ

キ層である。PACKED −DRA IN打設時の機械的振動による締め固め効果があることを示
している。

 海底砂レキ層は載荷盛土による効果もいく分うかがえるものである。この層には粘性土を
少しかんでいた結果と思われる。

 地盤改良前のN値をNとし,地盤改良後のN値をN’とすると,埋立砂レキ層では

    N’=0.426N+16.6              2一⑪
一119一

 海底砂レキ層ではPACKED−DRAIN打設直後で
    N’=O.4398N+14.82             2一⑫
 荷重の載荷後には

    N・=0.667N+12.80             2一⑬
の関係にある。このことはいずれもPACKED−DRAIN打設による砂レキ層の締め固め効
果があることを示すものである。

 以上の実施例その2,100,000k14基,実施例その3の100,000 kl 21基,60,000 k13

基のタンク基礎にPACKED−DRAIN工法を適用して明らかになったことは, PACKED
−DRAINの打設時に沈下が生ずることである。しかもこの沈F量を考慮しないと従来の沈

下算定法による沈下推定量と大きく異ることである。逆にPACKED−DRAINの打設時の
沈Fを加味すると,従来の沈下推定方法による沈下量とよくマッチすることである。一方,

砂質土地盤に対しての締め固め効果も充分にあることが明らかになった。ゆえにPACKED −DRAINの打設時に生ずる沈下は,どの程度が砂質地盤の締め固め効果による沈下で,ど
の程度が粘性土地盤の沈ドであるか,生ずるとしたらどのような現象によるものかとの疑問

が残るのである。そこで著者は粘性土層からなる地盤にPACKED−DRAINを打設してその
確認を行い前に推定を行った壁面効果的現象の有無の確認を行った。  以下その実験ならびにその結果について論ずることとする。

   (3)粘性土層におけるPACKED−DRAIN打設実験
 本実験の目的は,粘性土層にPACKED−DRAINを打設した時にどのような挙動を示す
かということを観察するためのものである。

 実験範囲として25m×25mの敷地にボーリングを深度15mまで2本行った。その結果この
実験地区の土層がはとんど粘性土層のみで構成されていることを確認して,実験場所として
確定した。 (図2・77土層断面図参照)

 本実験は,PACKED−DRAIN打設時における粘性土地盤の挙動を調査する目的とPA

CKED−DRAIN打設用機械でPACKED−LIME(生石灰をボール紙製の筒に充填したも
の)を打設可能かどうかの実験を行ったものである。図2・78試験工事配置図に示すように,

打設以前に深度15m迄の標準貫入試併用のロータリーボーリング2本Bl,B2とオランダ式
コーンテストを同じく深度15m迄4本D1, D2, D,, D,を行った。

 っぎに8m深さの所に間隙水圧計を4ケ所P,, P,,P5, P7を設置し,深度4皿の所に 同じく間隙水圧計を4ケ所P2,P4,P6, P8を設置した。

 深度8mの所に土圧計を4ケ所PDI,PD3,PD5,PD7を設置し,深度4mの所に同じく
土圧計を4ケ所PD2,PD4,PD6,PD8を設置した。 さらに地表面沈下板を8ケ所S1∼S8

一120一

               図2・77 土層断面図
を設置した。

 試験工区をA,B, C, Dの4ブロックに分けて試験を行ったのである。 Aブロックは

PACKED−DRAINとPACKED−LIMEとを各々1.2mの正方形で相互が千鳥の配置に
なるように打設した工区である。BブロックはPACKED−LIMEを1.2m配置で打設した 工区である。CブロックはPACKED−LIMEを1.2m正方形に打設し,さらにその間に千 鳥に1.2mのIE方形にPACKED−LIMEを打設した工区である。 DブロックはPACKED− DRAINを1.2mlE方形で打設し,さらにその間に千鳥に1,2mの正方形にPACKED−
DRAINを打設した工区である。 A, B, C, Dの各ブロックとも打設深度は10mである。

以上の打設試験を行って間隙水圧,土圧,沈下の挙動を観測した。図2・79はPACKED− DRAIN打設による沈下量を示すものである。

一121一

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図2・79 PACKED−DRA IN打設による沈下量

一123一

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図2・80 PACKED−DRAIN打設による間隙水圧
一124一

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図2・81 PACKED−DRA I N打設による土圧計の記録

一125一

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図2・82 PACKED−DRAIN打設時に生ずる有効土圧
             一126一

 Aブロックでは20cm∼30 cmの沈下が生じている。 Bブロックでは約15cm, Cブロックでは約 17cm, Dブロックでは15cm∼22cm程度の沈下が生じた。

 図2・80は間隙水圧の記録である。この記録から明らかなように打設と同時に間隙水圧は 上昇するが,早い所では2日程で全体的には5日程度で,過剰間隙水圧がほとんど消散する。  図2・81は土圧計の記録である。Aブロックの土圧計は途中で断線して計測が不能となっ


た。図2・82は有効土圧を表わしたものである。この図から判断できることは,0.2kg/c㎡

程度の有効土圧が作用していることである。これはおそらくPACKED−DRAIN打設時に
ケーシングの排土による影響であろうと推定される。

 いずれにしてもこのように短期間に沈下が生じ,過剰間隙水圧が消散することはバーチカ ルドレーン工法における従来の静的荷重による圧密促進効果としては説明しがたい。打設前 の土質調査結果の圧密係数はつぎのとおりである。深度4m鉛直方向の圧密係数C。−2.30×


10『’cdi /min∼3、39×10 2 c㎡/min,水平方向の圧密係数Ch−1.82×10−1 cifVm in,深度7

m付近の鉛直方向の圧密係数Cv−2.41×10『lc膨/min∼4.00×10 2cれnin,水平方向の圧密

係数Ch=1.15×1rl cシmin∼5.86×10−2c彫min,深度10m付近の鉛直方向の圧密係数は
Cv ==2.04×10” crfVmin∼2.86×10−1cWmin,水平方向の圧密係数はCh=1.85×10’i c㎡/min

∼2.48×10−icrfVm inである。以上の値から推定しても載荷重による圧密促進効果以外の現

象が,PACKED−DRAIN打設時に生じていることが明らかである。
 このように短期間に沈下が生ずるのは,著者が先に推定したようにPACKED −DRAIN
打設時に生ずる過剰間隙水圧が,ケーシング振動による土粒子と水の遊離,分離作用により

集水されPACKED−DRAINの壁面に沿ってコンプレスドエアーにより排水された結果で あると考えられる。さらに隣接しているPACKED−DRAINの周辺部分を通じて水圧が消 散していく現象がみられる。しかもPACKED−DRAINの場合,外周にポリエチレンの袋


体が存在するために壁面効果が働いて,一般のサンドドレーンに比してその現象が著しいと
考えられる。

 なお,この試験工事での現場観測の結果,PACKED−DRAINの外周付近から相当量の水
が出てくることが確認されている。

 以上の石油タンク基礎の基礎地盤改良にPACKED−DRA INコニ法を採用し,その打設時に
おける地盤の挙動の中で,沈下が著しく生ずることが確認された。しかしその原因が砂質土 層の締め固めによる沈下だけであるのか,その一部に粘性土層の沈下も含まれているものか

が疑問であった。この実験を行った結果,粘性土層にもPACKED−DRA IN打設時に相当大
きな過剰間隙水圧が生じ,しかも短時間にそれが離散し沈下が生ずることが明らかになったの

である。それと同時に従来からサンドドレーンの打設による粘性土の乱れがあるから,サン

一127一

ドドレーン打設直後に載荷を行うことは危険であると定性的にいわれていたことも,PACKED−

DRAINの打設による乱れも同様に生じながら約48時間程度で過剰間隙水圧が大体なくなるこ とから本工法では問題とするにあたらないことが判明した。 図2・83PACKED−DRA I N
打設直後の間隙水圧計,土圧計,沈下板の動きに示す記録は間隙水圧計P7, P 8,土圧計

PD 7, PD 8に最も接近したPACKED−DRAINを打設した直後からの記録である。間隙
水圧も土圧計もPACKED−DRA I N打設直後は,深度8m地点では約0.5 kg/c㎡上昇してい
る。深度4m地点では間隙水圧で約0.1kg/c㎡,土圧計で約O. 25 kg/c㎡程度の上昇がみられ

た。なおこのような沈下が生じたにもかかわらず,PACKED−DRA I Nの打設前後の粘性土 の強度にはほとんど増加はみられなかった。 (図2・84∼図2・87参照)このことは赤井の 研究による圧密は過剰間隙水圧の消散で生ずるのではなく有効応力の増加で生ずるというこ


とを証明していることになる。

 ただし,以上の実施例ならびに現場実験例からも明らかなようにPACKED−DRAIN打設
により沈下が生ずるから,少くとも沈下を生じさせるような現象が存在するのである。

 この現象が起る理由はPACKED−DRAIN工法そのものと,その打設方法にあると思われ
る。PACKED−DRA I N工法はほとんど伸びのない袋体に砂を詰めるために,各々のPACKED
−DRAINは一定量の砂しか充墳できないし,しかも地表面から所定深度迄均一に充填されて

おり,1日の打設速度が実質的にみて延べ米で約3,000mであるから,1.2m正方形配置の 場合を考えると,10m深度のもので1日に1台の打設機械で約430㎡を打設することになる。
このことは打設による間隙水圧の上昇地域が相当広範囲になるということである。しかも打

設による過剰間隙水圧の消散には早くても2日程度の時間を要するのであるから過剰間隙水

圧の発生する地域はオーバーラップすることになる。図2・84∼図2・87のPACKED−
DRAIN打設前後の粘性土の強度の変化をみても明らかな変化はみられなかった。図2・87
のDブロックでは7日,14日は後のコーン指数は増加の傾向を示し28日後は殆んど増加を示

していない。一方,PACKED−DRAIN打設現場では常に観察されることであるが,

PACKED−DRAINの周辺部から隣接のPACKED−DRAIN打設時に水が排出することで
ある。これらの現象を考え合せると,PACKED 一 DRAIN打設時にすでに広義の圧密現象
が開始されると考えることが妥当であると思われる。それは先に論じたごとく間隙水の遊
離,分離,脱水作用と壁面効果作用がこの現象に大きく関与しているためであると考えられ
る。

 従来のサンドドレーン打設時に局部的ではあるが,地表面が隆起することがある。これはその

砂の充墳方法に問題があり,地表面近くの浅い所に集中する結果である。PACKED−DRAIN
工法の場合は少くともその打設機構とも合せ考えて,土中の水分を排出して沈下を生じさせ

一128一

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        コーン指数分布図

                       一一・−K)一一・一一   ”    14日

                       一一一日一一一   ”   28日

図2・84 AブロックのPACKED−DRA I N打設前後のコーン指数PACKED・−LIME

                    −130一

                        コーン指数qc(kg)xf,i)
 0    1.0   20   30   4.0   5.0   6、0   7.0   8.0   9.0   10.0  11.0  120  13.0  14.0   15、0


7


一一一 汕鼈鼈齟

n盤改良前

コーン指数分布図

一一一一 ?│一一一

@” 後7日
”   14日

一・一一 bF−t・一  

一一 {一一一   ”   28日

図2・85 BブロックPACKED−LIME打設前後のコーン指数

一131一

                      コーン指数qc(kgAli)
0    1.0   2.0   3.0   4.0   5.0   6.0   7.0   8.0   9.O   lO.0  11.0  120  13.O  l4.0  15.0
’ー ォ一∼    、     、

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24.

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                   一一一一地盤改良前
                   一一一一×一一一一 ” 後7日     コーン指数分布図                    一“‘−O−”一   ”   14日
                   一一一∈トー一一  ”   28日

図2・86 CブロックPACKED−LIME打設前後のコーン指数

               一132一

                    コーン指数qc (kg)/6カf)
1.0   2.0   3.0   4.0   5.0   (].0   7.0   &0   9.0   1().0  11.O  l20  13.0  14.O  l5.0

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鼈黶w一

46.6

                 一一一◆一一一地盤改良前

  コーン指数分布図    一一一一×一一一一 ” 後7日
                 一・・−O−・・一  ”   14日

                 一一9−一一  ”   28日

図2・87 DブロックPACKED−DRA I N打設前後のコーン指数

              一133一

る現象がある。このことは広義で圧密現象の一部であると考えられる。

 2・2 砂質土地盤におけるタンク基礎の地盤改良に関する研究

 2・2・1 従来の砂質土に対する地盤改良工法とその問題点
 従来ゆるい砂質地盤の改良工法としては種々の工法がある。その代表的な工法として,バ
イブロフローテイション1二法と圧密砂杭工法とがある。圧密砂杭上法は,パーカッション型

式のものとバイブロハンマー式のものとがあって,特に後者はバイブロコンポーザーという

呼名で広く利用されてきた。この代表的な二つの工法は現在でも広く採用されている。
基本的には両工法ともゆるい砂質地盤は振動により締め固めが行なわれるという理論に立脚 した工法である。これらの工法を一度でも実際に現場で施工したり,その施工管理をされた ことのある人であれば,つぎのようなことに気付かれていると思うのである。まず,充墳材 の量がきめられていて,何がなんでもきめられた量を充填しようとして施工を行い,結果と
して地盤改良しようとする部分の地表面が盛り上るという現象に出会うことである。本来,

ゆるい砂質地盤を振動で締め固めるということは,その砂質地盤の砂の配列を最も理想に近 い形に置き換えて,密度の高いいいかえれば.強固な地盤を作ることが目的である。このよ うな目的を達成するには,現場ではどのような現象が起きるのが正しい施工であろうか。当 然,振動締め固めを行った後の地表面は在来の地表面よりも下がるという現象が起ることが lF解である。充填材をある量充墳することを考慮しても.少くとも施工前の地表面よりも施


工後の地表面は下がるか,同一高さであることが理論的には正しいはずである。

 ところが現実には前述のごとく,地表面が盛り上がっても設計で決められた量を充填する ことに努力し,一方,施L管理をしている立場の人達も設計で決められた充墳量に達しない 場合には,何か手抜き工事をしているかのように考えることが多々見受けられる。このよう なことは本来の砂地盤を締め固めるという理論から考えると,まことにむだ骨を折っている ことになる。いいかえると理論と実際とがうまくマッチしていないのである。これは施工し たり,施工管理をする人達にとっては前述のような行動をとるのは当然である。このような 矛盾を生ずるのは,PACKED−DRA I N工法の項でも論じたごとく,基礎理論を工学的な域 までデベロッブさせてないからである。ゆるい砂質地盤を振動で締め固めるという理論に異 論をとなえる人はいないであろう。勿論,オーバーバイブレーションやオーバーコンパクシ ョンは別な話しである。著者もこの基礎理論に異論をとなえる者ではない。しかし,この基
礎理論を実用化する際に勝手なことを行っているからこのような結果を生ずるのである。
 ここでは振動で締め固めるという基本原理から,充填材をどのくらい充填するかという理論にすり

かわっているのである。だから設計にあたって,直径40cmのケーシングで打設して,直径70cm

一134一

の砂杭を形成するのだという発想をし,ゆえに砂の量がいくらいるのだという考え方をして しまうのである。振動を地盤に与えているのはケーシングの上に付いているバイブロハンマ ーであり,バイブロフローテイションではフロートの中に内蔵されている偏心装置を含む一 連の起振装置であるから,その地盤に振動のトータルエネルギーをどれだけ与えることが最 適であるかが設計である。少くとも充墳材の量を設計の基準におくことは前述のような問題 を生ずることになる。著者はこのような矛盾に何回となく出会ってきたのである。前述のご


とく砂質地盤を締め固めるには,その地盤に与える振動のエネルギーの量が問題となるが, 現実には同じ砂質地盤でも土層の構成が異るので充填量が異る。

 著者が考案したのは,地盤に関係なく充墳量を一定に固定する方法である。

 2・2・2 新しい砂質土地盤の締め固め工法
 前述のごとく,従来の砂質地盤の締め固めの主流をなす工法は,その理論を実際に応用す る過程で,充墳材の充墳量を尺度として行なわれてきた。著者は本来の砂質地盤の振動によ る締め固め現象の基本理論にたちかえり,この理論と実際との矛盾を解消するために,ある いは理論と実際とをより近ずけるためには,いかにあるべきかを研究,解析した結果つぎの ような結論を得て新しい砂質地盤改良工法を考案開発した。砂質地盤を締め固めるには,そ の地盤に与える振動を主体とする機械的エネルギーの量が問題である。しかし現実には,同 じ砂質地盤でもその地盤を構成する要素が異る。例えば,砂質地盤を構成する砂の粒度の問 題とか,その砂粒子の形状の問題とかが異るので,著者が考案したのはどのような砂質地盤 でも,砂杭の単位長さ当りに充墳する充墳材の量は一定にして,各々の地盤に応じて振動締 め固めの回数を変えることである。このような方法を採用することにより,目的の締め固め 度合いに対して,在来の地盤が非常にゆるい場合には,何回もの振動締め固め作業が必要と
なることは当然である。

 一方,ゆるい砂質地盤であればある程,締め固めによる地表面の沈下が大きくなるはずで

ある。具体的にはPACKED−DRA I Nの打設機械を利用した。 PACKED−DRAIN工法を適
用した地盤の挙動で論じたごとく,PACKED−DRA I Nを打設すると砂質地盤の締め固め効
果が表われることに着目したのである。

 しかもPACKED−DRA I N工法に使用しているポリエチレンの袋体は,ほとんど伸びがな
くて.一定量以上の充填材は充填できない。しかもこの機械は外径で15cm程度のケーシングを

4本同時にバィプロハンマーで打設するので,砂質地盤に効率よく振動を伝達することが
できる。そこでPACKED−DRA I Nの打設機械を砂質土地盤の締め固めという目的のためと
いう観点から検討することにしたのである。今度は振動締め固め効果をヒげるためにバイブ

一135一

ロハンマーのキャパシティーを上げてみたり,ケーシング打設時の砂ホッパーの中の砂の量
を変えることにより打込み時のケーシング先端に作用する鉛直力を変化させることにより, どのような挙動をするかを確認するために実際の石油タンク基礎に適用してみたのである。

このような振動締め固め工法を本論文では便宜上,以後新しい締め固め工法と称するものと
する。

 2・2・3 新しい締め固め工法のタンク基礎への適用
 瀬戸内海に面する香川県坂出市の臨海埋立地に数千k1から10万klまでの石油タンクを約40
基建設するにあたり,この新しい締め固め工法を適用した。この場所は石油の製油所であり, 既存石油タンクが数十基あった。この既存の石油タンク基礎はバイブロフローテイションで, 基礎地盤の改良がなされていたものである。

 今回は石油タンクの増設にあたるのであった。この新しい締め固め工法を採用したタンク

の中の一部の配置図は図2・88に示すとおりである。土質の概要は図2・89と図2・90土質
柱状図に示すとおりである。

 これらの石油タンク基礎の基礎地盤の改良目標は,深度約15mまでの砂質地盤をN値10以
ヒの均一な地盤にすることであった。

 設計上の推定沈下量の算定はつぎの式で行なった。
  Zニ15

S−

`鷲d・

2一⑭

  z=O

    S:沈下量 m
    eo:原地盤の間隙比     el:改良後の間隙比

    Z:地表から改良する深度の層厚 m
e。,elはつぎの式から推定を行った。

         N    e=0.95−         100

2一⑮

    N:標準貫入試験値のN値
 この方法で新しい締め固め工法による地盤改良後の沈下量の推定を行って,実際の石油
タンク基礎の地盤改良に適用したのである。原則としてこの締め固め砂杭の打設間隔は1.2

mの正方形とし,必要に応じてその中間に千鳥に打設するものとした。この場合は0.85m
正方形配置となる。

一136一

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oo

X
OOO.9

  

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OO9吟

@  @ 

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OOO.O←

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  L」

OOO崎“う

OO吟・◎め

凡  例

調査番号 標  高

調査深度 15.30m

  ◎’ボーリング位置
 標高基準 S.P.基準

SP−6
8

4.25m
4.20
3.95 3.80

13

1550 1550 1570

図2・88 タンクの配置図

一137一

調  査  名 調 査 場 所

ボーリング

SP−6

調査年月日
標     高 ボーリング工法
標尺(励 標高(m)

施工前
十4.25π1

昭和48年5月3日

施工後

昭和48年7月19日
S.P.基準

基   準

ロータリー式

実施者名
色調
相対密度
貫入深度(m)

施工前
深度(m)
土質記号

施工後
深度(〆
土質名

施工前N値

施工後N値

   施工前一◎一
@  施工後一一◆一
記       事
@  (回)

標尺m

土質名

W準貝入試験N値

O  5  10  15 2〔} 25 30
03.50465

十4.猶

¶  ・

D1・

030 O60
中砂 暗灰色
弓巴い

78

510

ュ1㌔◇,P,

貝殼多量混入

P.00

?X粘土を挾む

L3

200
QL30

65

812

¥L6

:t

265’
,ご

細砂
{}.4

こ細
:・.’

暗灰色 甲位
暗 青

貝殼多量混入

R.00

?サ少量混入
貝穀多量混入

R3
S.00


.『

d
’:’

細砂

D 色

弓巴い

ワ水多し

S.30

0.4

5.00 T.30

99

・:細砂

細砂

暗 青

貝殼少量混入

ホ 色 把い

U.00
U.3

ワ水多し

7.00
V.3 R.3

10

7.6’

770
8.00
㌧.三二.

’:1’

1、

55

W.30

D∫
f:’

V..,

細砂

暗 青

貝殼多量混入
把い

ホ 色

f門

?サ少量混入 ワ水多し

X.00
X.30
A

T.5
一く’ ::.

1000 1030
中、
P1.00

10

諱E
諱@》・,:二

α60

’、i

.ご

細砂

F:

中促

f二
W.3

D 色 cい
暗 青

暗 青 @∼

貝穀多量混入,細砂少量混入

PL30 P200
P2.30

12

11

P2


三1

250

P3.70

細砂
:.・、・三.浪.

貝殼多量混入
弓巴い

X2

ホ色
暗 青

?X粘土分含む

P300
P3.30

P3

P4.00

細砂
P5.30

ホ 色

把い

貝穀多量混入

P4.30

P4

1500
P5.30

PLO

P5

P6

P7

P8

図2・89 土質柱状図
一138一

調  査  名 調 査 場 所

ボーリング

SP−13

調査年月 日
標     高
ボーリング工法

施行前
十3.80仇

昭和48年5月11.日

施行後

昭和48年7月19日
S.P.基 準

基   準

ロータリー式

実施者名
色調
相対密度
貫入深度⑰ 施工前N値 施工後N値

施工前
深度㈲
土質記号

施工後
深度㈲
土質記号

 施工前 一◎一

標尺㈱

土質名

土質名

@施工後 +
記       事

W準貫入試験N値
@  (回)

T 10 152025 30
4.勿

 0

∪亘 ・:こ

 礫混り・.’粗砂

 O
中砂 暗 黄

8:認
p:器

戟@色
暗 青

貝殼少量混入,処々粘士を挾む

C40

1.80 ’
ぷ亘’・沁

k70
礫混り

’  .

V、  ’7

”中砂

@砂
P0.θ0

Q.55

D 色
暗 青

貝殼極く少量混入・処々粘:ヒを挾む

る・

R.60

細砂
ご・
F1:

諱f

D 色
暗 青

把い

シルトを薄く互層状に挾む

細砂 蕪c
シルト

ご唱:

S,釦
「9
×メ

細砂

D 色
暗 青

中位

貝殼少量混入

P:

@質
ラ砂

Sgo
〈∵

、 ×


T.%

6,10’

ぶ.細砂
6.70 :
16’:理

ホ 色
暗 青灰

把い 中位

貝殼極く少量混入
小礫存在


−礫混り U.60 二 V.45

中砂 粘土 暗 青

e砂
V.④

D 色

軟い

上部砂分含む,細砂を不規則に挾む

、土

W.40

一L.
:.る’

礫混り
ン:二

X.50

D6.
=_

e砂
X.45
..ニ

中砂 暗灰色 中位

貝殼多量混入,小礫存在

二_

 粘土
E,粗砂

10.00

P.20


g’

粘土
[一一
アご一_

10.30

暗 青

.,   .

細砂
P1.50

e砂

D 色

一  小礫存在

P1.00

PL30
Q.oo

11

@、

1・go.
:!

P2

粗砂
R.00 ’

中砂
ニ.75
・ .

暗 青

P2.3D

D 色

把い

小礫存在
P3.00

ンルト

≠R0
:1:

佃砂

貝穀多量混入
中砂 暗灰色 中位

P3.30 P4.00 P4.④

ラ砂
中砂
/’L.ト質

S.① :∵ 14.00

ラ砂を薄く互層状に挾む ?X粘土を薄く挾む
貝殼極く少量混入

P4

4.助
P5.30

貼ルト 暗 青

x
×

沒y
粘モト

P4.70
’ノレ

中位

ラ砂を互層状に挾む
腐蝕物極く少量混入処々砂分含む

P5

D70

青緑色 中位

15.30

P6

P7

P8

図2・90 土質柱状図
一139一

 2・2・4 新しい締め固め工法によるタンク基礎の挙動とその考察
 この工法はゆるい砂質地盤を締め固めることが目的であるので,石油タンクの基礎地盤の
改良にあたってはタンクの周辺部から中心へと施工を行ったのである。

 打設機械は全くPACKED−DRAINと同じものを使用して,4本同時に打設を行い振動を
与える時間を充分とるように注意した。

 その改良結果は前出の図2・89,図2・90の土質柱状図に併記してある施工前後の標準貫 入試験のN値のとおりである。図2・91改良深度と実測沈下量の関係は,各タンクの外周部
と中心部とに分けて,その改良深度と沈下量を示したものである。{a)が外周部(b)が中心部

である。図2・92は沈下率と地盤改良深度の関係である。ここで示す沈F率とは沈F量を
dSi,地盤改良深度をLとし, dS/Lとして表わしたものである。図2・93は沈下率と地盤改

良前の平均N値との関係である。この図で3−4地区,3−6地区のタンクを除くと,地盤
改良深度に対する沈下率と平均N値の関係は

    AS/L=0.004 N+O. 045             2一⑯
として表される。図2・94は締め固め工法施工前後のN値の比較を示したものである。平均値

で施工後のN値は施工前のN値の約L3倍になっている。図2・95N値の増加率と施工前の
N値との関係を示したものである。ここでいうN値の増加率とは施工後のN値を施工前のN’
値で除したものである。 (N/N’)図2・96は設計時の推定沈下量と実測沈下量の比較であ
る。(a)はタンク周辺部,(b)はタンク中心部である。ここの地盤では推定沈下量と実測沈下量

が非常によく合っていることがわかる。

 図2・97はタンク建設後のタンク水張り時におけるタンク側板部の推定沈下量と実測沈下 量との関係を示すものである。図2・98はタンク水張時のタンク側板部の平均沈下量と最大
不等沈下量を示したものである。2点鎖線は平均沈下量の1/3を最大不等沈下量とした時の直
線を示すものである。これは一般に円型タンクの場合比較的均一な地盤の上に建設した時, その最大不等沈下量は側板部の平均沈下量のi/3程度と考えればよいとされているので,この 直線を入れたのである。この地盤の場合には,ほとんどのタンクが側板の平均沈下量の1/3以

内の最大不等沈下量でおさまっていることを示すものである。図2・99は水張り時のタンク
側板部の沈下とタンク水抜き後のリバウンド量との関係を示したものである。

 この地盤では水張時の沈下量に対して11、6%だけ水抜き後上ったことを示している。た
だしここで注意しなければならないのは,このリバウンド量にはタンクの変形量も含まれて
いることである。以上のように新しい締め固め工法を鋼製円筒型石油タンクの基礎に採用した
ところ所期の目的を充分に果し得ることが判明した。砂質土層の地盤改良は上載構造物を上載して,

はじめてその結果の良否が判ることが多いので,計画の時点から充分その結果を予測できる

一140一

ような工法を採用しなければならない。一方,現場においてその施工管理が充分に可能な方
法でなければならないのである。

 新しい締め固め工法は,今後砂質地盤の改良工法として,振動の大きさ,最適振動時間等 をさらに研究することによって,もっと広い範囲に適用できるものと確信するものである。
欝㌫三㍑よる改良羅・郷」沈下量・関係(・・ク側板下付近平均値)

8
綱 誉 篇

50

」40
X

x
’ ’

 30

20
o




全 △

10


0 0

50

(a)

10.0

(m)

   改良深度
(凡 例)

複数本のケーシングによる            改良深度と実側沈下量の関係(タンク中心)振動締固め工法による

記号 地区

タンク面

1−1 1−2

40

o

001,002 006,007
011,013

1−3 1−4 3−2


3−3


頃ト起雇

101∼108
209 214

  30

x

x曇    x
@   ,  X    ’

3−4 3−6 4−2

303∼310 201∼203 401∼410

20

   o
「      ◎

        x  △
C          △

@ x   会 △
x

10

ノレ//
0 0

5.0

R”                     ●

       10.0  (b)         改良深度

(m)

図2・91

改良深度と実測沈下量

一141一

 ×10−2
4.0

6
3.0

x
×


●  ●.
2.0

▲イ
/●

1.0

/△
0.0

△ 会
10地盤改良深度(㎝)”L”

 0

図2・92 沈下率と地盤改良深度の関係

×IO−2
4.0

3.0

 x
A

20

xx   ▲

x● ・◎

o

沈恒

= − 0.004N十 〇.045

〆 一一一一一一一一一ヘ m              \、

1.0

△ △ △


\\


\、
A

△1
1

」__ ___{, ______{__」

O O

LO

10

平均N値

(地盤改良前)

(凡例)
●oo
111

一1

001, O06,
O蟄1,

│2

│3

002 O07 O13

■△▲

1−4 R−2 R−3

101−108

△△×

@209
@ 214

3−4 R−6 S−2

303−310 W01−803 S01−400

図2・93 沈下率と平均N値の関係

一142一

  ;//▲   ’    /    /   △ /

埋ZQ池H

10

/o

,   /’ /ム  ム 、

× /

/△◎


×

x


5

△ ・


s〆  、

÷ダ

0
0 5

10

施工前のN’値

図2・94 施工前後のN値の比較

7 6


X
、 、、

5
X

4

3
x

X
x

2
1

x
x

x

0 0 5

10 施工前N’値

図2・95 N値増加率と施工前N’値の関係

一143一

複数本のケーシングによる 振動締固め工法による沈下量の比較(タンク側板下付近平均値)
±1酬ト起

50

らo

らo

40
×

X
x   x

30


20

● ●


10

0 0

10     20     30

 40     50

           (a)

実測沈下量止
x

複数本のケーシングによる 振動締固め工法による沈下量の比較(タンク中心)
i ,,
X

1、,
@  らc/ @ /
×

(凡例)

記号 地区
 ノ

タンク砿

o o

20

o
 x
求@’⑳
   ×

1−1 001, 002 1−2 006, 007 1−3 011, 013 1−4


△ ▲

101∼103
209 214

10
   X
C’


3−2 3−3 3−4

302∼310

3−6 301∼303 4−2 401∼41

@  △

0 0

10

20

30

40
実測沈下量

 50

Sc(em)

(b)

図2・96 推定沈下量と実測沈下量の比較

一144一

30



o

x

x.

20

●●

● o

10

’ ’

0 0

10

  20

      Sc ㈲ 実測沈下量

(凡例)

1−1 P−2 P−3

001,

002 O13

●△▲

O06 O07
O11,

1−4 101−108

△△x

R−2  209 R−3  214

3−4 R−6 S−2

303−310 W01−803
S01−4玉0

図2・97 水張りによる沈下量の比較(タンク側板下)

一145一

                              (cm)                     実測沈下量(平均値)
  0              10              20             30

  0

   


、、

x
x
×X

x
長×

x
x

  :

xX
x x

x
x x

巴5 暴6
裳・

、 1

1、

嘔8
x

X x

  9

、、

8  10  11

 図2・98 タンク水張り時の側板下実測沈下量と最大不等沈下量の関係

     34
    亙

     32      30                                x      28     輌 X

    B26
  

X
X

 榔24

 22  20  18  16


  14
×  、

× × ×


X

  12   10
×

  8   6   4

  2   0

  0
図2・99

                 (cm)            リバウンド量

02 04 06 08  10 

1.2 

14 16 18 20 22 24 26

側板下実測沈下量と水抜き後リバウンド量の関係

       一146一

 本章では鋼製円筒型石油タンク基礎の基礎地盤の改良工法に関するものを論じた。  粘性土地盤を主体とする地盤に対しては,従来のサンドドレーン工法の不完全な点を指摘

し,より理論に適合するPACKED−DRAIN工法を研究,開発して,その設計方法ならびに
施工方法を確立したものである。それを実際の鋼製円筒型石油タンク基礎の地盤改良に適用し

てその挙動を観察した結果,PACKED−DRAIN打設直後に生ずる沈下の性質を解析して,
その現象に土中水の遊離,分離作用と壁面効果の考え方を導入して理論づけを行ったのであ
る。一方,砂質地盤の締め固め工法に関しては,従来の充填材の量を尺度として設計が行われて

いた考え方に対して,本来の振動エネルギーを与えるという立場に立ち帰って,充墳材の量
を一定にする考え方の新しい締め固め工法を研究,開発したのである。

 さらに,それを鋼製円筒型石油タンク基礎の地盤改良に適用して,その効果の確認と挙動 を明らかにしたものである。鋼製円筒型石油タンク基礎の建設に当って,地盤改良の理論と
実際とのギャップについて,研究,解析を行ってより理論に対して忠実な工法を考案して, 現実に適用して,その理論づけを行い,効果を明らかにしたものである。

一147一

参考文献
(1)松尾新一郎編

   土中水1971年6月日刊工業新聞 P85∼132.
(2)松尾新一郎編

   土質安定工法便覧1976年,日刊工業新聞

③ 岡林郁夫・田上実「軟弱地盤における工事実施例,第8章4節造成宅地の安定のために

   パックドレーン工法を利用した場合 P312∼321,1977年,土質工学会編
(4)岡林郁夫:地盤改良の調査・設計から施工まで,1章サンドドレーン工法

   P33∼74,土質工学会編
(5)高木俊介:サンドパイル排水工のためのグラフとその利用例,土と基礎,Vol.3,Na12    pp.8∼14,1955年ll月 (6)中瀬明男:サンドドレーンの設計図表,土と基礎,1964年6月
(7}A.W. Skempton:Effective Stress in Soil Concrete and Rock pore Pressure
   and Suction in Soils. P 38,1961 Botterworths.

(8)岡林郁夫・新井邦彦:水島臨海工業地帯埋立地における施工例,基礎工,Vol.1,
   Na 4,1973年
{9)岡林郁夫:パックドレーン工法,

   土木施工,特集地盤改良工法,1980年11月
OO)岡林郁夫:地盤改良工法の理論と実際,基礎工, Vol.9, Na 2,1981年

(11)岡林郁夫:サンドドレーン工法とその設計施工,軟弱地盤の改良,P52∼60

   総合土木研究所発行,1980年6月
(12)赤井浩一:バーチカルドレーンの圧密機構について,土木学会論文集,第277号

   P137∼140,1978年9月
(13)赤井浩一:サンドドレーン打設時の地盤の圧密について,土木学会論文集,第302号    1980年10月
(14)土質工学会編:

   土質工学ハンドブック第19章2節オイルタンク基礎,P593∼599,1965年,技報堂
(15)赤井浩一・大西有三・安川郁夫

   バーチカルドレーン工法の設計法に関する検討,1978年3月,

   財団法人 防災研究協会

一148一

(16)柳瀬隆・岡林郁夫・佐々木伸

   真空圧密の三次的挙動について,土木学会第32回年次学術講演会

   構演会概要集第3部,P186,1977年10月,土木学会編

一149一

第3章 鋼製円筒型石油タング基礎の
盛砂基礎に関する研究

 盛砂基礎は,タンク本体を直接載せる部分である。この盛砂基礎は,タンクバットとかサ ンドベッドと称されている。土質工学的には,むしろ,このような盛土形式でなく,根伐り
して,タンク基礎の部分を周囲の地表面よりも低くする方が安定する。

 しかし,従来から鋼製円筒型石油タンクの基礎は,コンクリートスラブ形式の極く限られ た基礎形式以外は,必ず盛砂基礎が,設けられている。しかしその工学的理山を解明したも

のは皆無である。1933年に米国土木学会ASCEが,鋼製円筒型タンクの基礎はコンクリート
スラブのような剛性の高い,固い基礎よりも,ロームや粘土のような,ある程度やわらかい基

礎の方がよいという主旨の論文を発表している。その主たる理由は,タンク本体の可僥性に 起因するものである。ただし,歴史的にみて,当時のタンクは,小型であり,かっ,リベッ ト構造であって,現在のように大型化され,かつ溶接構造のものに比すれば,まだ剛性が大 きかったと考えられる。著者は,ここで,あらためて,大型化され,溶接構造となった現在


の鋼製円筒型石油タンクに対して,盛砂基礎の工学的意義を研究した。

 さらに,土質工学的に,盛砂基礎を設計するにあたっての理論づけを行ったものである。

 3・1 常時荷重における盛砂基礎の設計,施工に関する問題点

 3・1・1 盛砂基礎の役割とその機能
 前述のごとく,土質工学ヒは,この盛砂基礎形式のように,盛りヒげることは,あまり好ま

しいことではない。しかし,この盛砂基礎形式が一般に,広く採用されてきた理由は,タン
ク本体からの要求によるものであった。  その主たる理由はつぎのとおりである。

  a)タンクの操業ヒの理由,主として,ポンプとの位置関係。   b)タンクの内容物の,デッドストックを少くして,効率よくタンクを使用するため。   c)タンクを空にしたり,清掃,メンテナンスの簡便さ。

  d)タンク底板を,地下水面から.なるべく離し,かつ雨水排水をよくして腐蝕の環境
をつくらないため。

一151一

e)タンク底板の溶接歪等の変形を,この盛砂基礎で吸収して,底板の局部的な変形を
防ぐため。

h質工学的には,盛砂基礎の役割は,タンクの荷重を均一一に地盤に伝達することと,あ
る種のクッションとしての機能を果すことである。従来,使用されてきた盛砂基礎の形式は, 図3・1盛砂基礎の種類に示すようなものである。(a)は鉄筋コンクリートリングの上に,タ

ンクの側板が位置していて,主に内圧のかかるタンクとか,風圧によって,転倒するおそれ のあるアンカーボルト等を必要とするタンクに適用されることが多い形式のものである。
貯槽側板

 貯槽底板
≡盛砂さ

槽底板

翼でヱ

鉄筋コンクリートリング
鉄筋コンクリートiJノグ
(a)

またはブロック
(b)

貯槽側板 貯槽底板

  

   板

@…
(c)

図3・1 盛砂基礎の種類
 タノクシェル
アニュラープレート
(1)

T0 防水保護

齡ツ
’ 〆 7 ■

@ ◎
頁「「r〆
▲    △  △
@▲       A  ム   ▲

。㌧・⑱2。搭

 材料 A.砂利または砕石(直径1/2∼3/4インチ) B.砂利または砕石(直径1∼1i/2インチ) C.サンドァスファルト2インチ厚一アスファルト散布を行ない表面を水密にする

D.油の漏洩を発見するためのドレーンパイプ100φ    (ドレーンパイプは地表面直上につける)  注記 1.アニュラープレートは砕石敷に目潰砕石を足した上に設置する   その表面は軽くアスファルト散布を行なう

2.材料“B”の厚さ約20cmごとに敷きならし,機械にて十分転圧し順次積み上げる

       図3・2 A.P.1. Standard盛砂基礎

一152一

図3・1の(b)タイプのものは従来最も多く使用されてきた形式のものである。現在は,我
国においては,局部破壊の問題,タンクが漏洩した時のことを考慮して,{c)の形式のものが, 一般化している。{d)の形式のものは,主として,杭打基礎の場合に使用されている。

 米国においては,A.P.1.Standard 650, Appendix Bで,リコメンタブルなタンク盛

砂基礎として,図3・2のような形式をあげている。
 以ヒが,盛砂基礎が果す,役割りとその機能である。次節ではタンク本体とのかかわりに
ついて,さらに,一歩進めて議論を展開することとする。

 3・1・2 盛砂基礎とタンクとの関係
 前節においても,盛砂基礎とタンクとのかかわりあいの一部について述べたが,本節では, 土質工学Lの立場から,さらに深く,盛砂基礎とタンクとの関係を論ずるものである。

 図3・3は,タンク側板の平均沈下量SPと最大傾角tan aとの関係を示すものである。
 ここでいう最大傾角tanθとは,タンク側板ヒに測点を設けて,タンクの円周方向の高低
測量を行い,それの0°∼360°にわたる展開図を作成して, その曲線の最大勾配をなす点の

勾配をtanθで表わし,最大傾角と称するものである。本図の・印で示すものは,仙台市郊
外の東北石油㈱の仙台製油所内の石油タンク26基の実測値である。。印は四国の坂出地区の 臨海埋sZ地に建設されたタンク3]基の実測値である。この二つの地区は,いずれも,砂質地

盤である。この図からは,Spとtanθの間には,明確な関連性は認め難い。
 SpはRとして深層を含む砂質地盤全体の圧縮性に関係すると推定され,tanθは盛砂基礎の 不均一な変形に支配され易いものであるため,両者の間に強い相関性のないのも当然である。
×10−3

●東」ヒ石 由(石少‡也盤)

O坂出地区( 〃 )

e⊆5

  ■● 介。。°
●○●●o

10

 20    30    40  _

          SP(cm)

図3・3

側板平均沈下量と最大傾角

一153一

これに対して,タンク側板に関する最大不等沈下量(δS,)はtanθと同様に盛砂の変形に依 存する量と考えられるので,両者間には相関性のあることか予想される。

 図3・4は,これを裏書きするものであって
    tanθ=3.9×10−4δSp   3一① によって,両者を回帰すると,その重相関係数は0.88となって,かなり高いものとなる。

 この式を導く場合,粘性土地盤である岡山県の水島地区に建設されたタンクのデーター
(×Elj)も考慮されていることに注目すべきである。最大傾角tanθと最大沈ド量δSpは,}1

として盛砂基礎の変状が効き,基礎地盤の差異は.大きな影響を与えるものでないことが明ら

かになった。もちろん,東北,坂出,水島の3地区とも,基礎地盤部については,それぞれ
の地盤改良工法が施工されているものである。東北では,バイブロ・フローテイション工法, 坂出では,新しい締め固め工法,水島では,Packed−Drain・1二法+Pre−Loading工法,と地

盤に適合した工法が採用されたのである。いずれにしても,盛砂基礎の動向は,タンクの最 大傾角tanθや最大不等沈下量δSpに大きな影響を持つことが明らかになったのである。
 盛砂基礎の設計,施工にあたっては,以ヒのように,盛砂基礎の挙動が,タンク本体に影響 をおよぼすことを充分考慮しなければならない。

                         ■        ×10i

亀⊂巴

●東北tl油

O坂出地区

鷲.
0

x水島地区(粘}二地盤)

10

20

30
δSP(cm)

図3・4 側板最大不等沈下量と最大傾角

 3・2 地震時荷重における盛砂基礎の設計施工に関する問題点

 3・2・1 地震時における盛砂基礎の挙動
 地震時における盛砂基礎の挙動については1978年6月12日に発生した宮城県沖地辰による
被害状況を調査する機会を得たのでその時の資料を中心に論ずるものである。

一154一

 基礎地盤に関しては,各地各様の対応があることは当然であるが,盛砂基礎とタンク本体 との関連については,比較的客観性を有するものと著者は考えている。その他の資料として
は,地震によるタンク関係の被害の報告がなされていて,著者が入手できた次のものを参考と した。1964年アラスカ地震マグニチュード8.4。1965年コンコン地震(チリ)マグニチュード 7,%。1971年サンフェルナンド地震マグニチュード6,6。1979年エルセントロ近郊地震マグ
ニチュード6,4。

 宮城県沖地震の震源位置は北緯38度9分東経142度13分であり,震源の深さは,約30kmと
推定されている。著者等が調査したタンクの所在位置は,震央から約100kmのところである。

             /            /°

       /  ・・ク液高
             O>15m    ぴ乏
              10−15m              △〈10m

  僅v

          10       15
     地震て生じた側板の最大沈下量(δSl,p/)max(cm)

  図3・5 地震時の側板の沈下

 図3・5は,地震で生じたタンク側板の沈ド量について,その最大値δSPE maxと平均値 δSPEをプロットしたものである。この図でプロットした点が,45°線に近いことは,地長
によってタンク全周にわたって,ほぼ一様に沈ドが付加されたことを意味する。その原因の

一つとして,地震時の加速度に著しい方向性がなかったことが考えられる。 一方,確
かではないが,タンクのような円筒型の形状にも起因するのではないかという疑問も残る。

 図3・6は,地震時のタンク側板の平均沈下量δSPF.とタンク水張テスト時における平均
沈下量Spwをプロットしたものである。 Spwには,基礎地盤の沈下がかなり含まれると考え られるが,これとδS,、との間に密接な関係が認められないという結果からみて,δSPEは
基礎地盤よりは,むしろ盛砂基礎の変形の影響を大きく受けるものと考えられる。

 図3・7はδSPEと地震が起った時のタンク内容物の液高(h)の関係を示した。δSPEは

一155一

  タンク液高 15

   >15m
   10∼15m   △<10m
10

      △
        水張テスト時の沈下量Spw(cm)

図3・6 水張りテスト時と地震時の沈下性状の比較

15

 78
●−67,58
△− 43、38、35
▲ − 29、26,23

口く20
工0

  △
〔】▲▲

    △
  .△△8・
 ム @ △・
     ▲▲▲
▲・・△△〔

№rA
液高 h(m}

図3・7 液高と地震時沈下量

hが増すと急激に増大し,同時にタンク直径(D)が大きくなると小さくなる傾向がみられる。

 図3・8は地震後におけるあるタンクの底板の形状を示すものである。タンク側板部が, 盛砂中にめり込むと同時に,のり面にはせん断破壊の痕跡と考えられる段差が各所で認めら れた。すなわち地震時のタンク側板部沈下の主たる原因は盛砂基礎の局部的破壊,変形であ

ることが結論され,図3・6に関して行った推論が裏付けされたのである。

一156一

 地震時における盛砂基礎の挙動はタンクの周辺部,タンク側板直下の部分で,著しい動き
をすることが判明したのである。

NS方向
一一一一一 dW方向
30
20
0
C

30
20
10
〔cm)

m
20
10
0

10

2m0)

図3・8 底板変形図

 3・2・2 地震時における盛砂基礎への考察と対策
 盛砂基礎の変状特性を研究するため,タンクを除去した盛砂基礎ヒで平板載荷試験を行っ

た結果を表3・1,図3・9に示す。ただしブロックの根入れをO. 25m,円形鋼板に対する 根入れをα1mとした。結果に多少のバラツキがあるが,根入れが小さいにもかかわらずタ ンク側板から離れた中心近くの変形抵抗は,タンク側板付近のものに比べて大きく,約2倍


となっている。また極限支持力にっいてみてもタンク側板下に比べ中心部の値は,かなり大

きい。これらの理由によって中心部分は,ほとんど沈Fせず,タンク側板直下で大きな沈下
が生じたものと考えられる。

表3・1 平板載荷試験結果
No
217 218 224
224

載荷位置と方法
側板直下(プロ・ク2枚) 側板直下(プロソク2枚) 側板直下(プロノク1枚)
中 心 (円形鋼板)

記号
×

載荷面積(cmり

K値(kgf/cm3)
 一

720
‘     720

8.6

12.6

1440
706 706

11.7

24.8

224

側板より6m奥(円形鋼板)

20.8

一157一

  載荷圧 (kgf/〔)
2

6     8     10



 マ

(mm)

図3・9 平板載荷試験の沈ド曲線

このことを定量的に以下考察しよう。

一般に沈下Sと載荷圧pの関係は双曲線表示によって近似できる。すなわち
P

S=

qu
K(q.   −1 P)

K(1P)
   qu

3一②

と表わせる。ここにq。は載荷状態で決める極限支持力である。②式の初めの関係から,一定

のpに対してq、が小さい程Sが大となり,後の関係から一定のq。に対してpが大きい程
Sが大となることがわかる。ところでタンク側板付近では前述のようにq、が小さく,同時 にKも小さいので中心に比べて過大な沈下が生ずることとなる。このq、を斜面付近に載荷
したとして剛塑性解析によって求めると,

    q。=μ・γ・B・Nγ/2一μq。。   3一③
のように表わせる。

    γ :土の単位体積重量

    B :載荷幅
    Nγ:水平地盤上に載荷されたときの支持力係数
 q、。;γBNγ/2は水平地盤に関する極限支持力を意味する。μは斜面載荷に関する低減 係数で犬走り幅,のり面高さ,その勾配と内部摩擦角に依存する。 (図3−10)ここでμの

一158一

0,8

0.8

0.6
μ

゜・6 μ

B,,f−sg299」

0.4

0.4

0.2

0.2

0.5    1.0    1.5

0.5    1.0    1.5

     λ

     λ
支持力低減係数

   図3・10

低下に最も大きく効くのはHすなわち盛砂斜面高であって,これを高くするとq、の低下が

大きくなる。逆にq、の低下を阻止するためには,犬走り幅やXを大きくするよりもHすな
わち盛砂斜面高をできるだけ小さくするのが最も効果的である。  振動台実験  以ヒの考察は静的なものであるから,地震時にそのまま適用してよいと断定できない。こ のために振動台を用いたモデル実験を行い動的検討を試みた。水平に加振される振動台上に

1.1m角,厚さ15cm,のり高3cmの盛砂基礎を治具により作製し,外径0.8m,高さ0.4m, 肉厚1cmのアクリル製のモデルタンクを載せる。この上にさらに鋼製載荷板を取り付けて盛

砂に載荷圧pを与える。2Hzで正弦状の加振力を徐々に加え,タンクが急激にめり込む時
の加速度(αcr)とpの関係を求めた。実験は犬走り幅を入B(B=1cm)とし,入を2,5,

15に変化させ,のり面勾配は全て1:2とした。また入=5に対し,のりの代りにのり肩に
鉛直な補強リングのあるものの試験を行った。実験の結果が図3・11に示されている。また 図3・12は各試験での最終沈下(めり込み量)とpの関係である。  図3・11で水平地盤に近い。印,補強リングのある×印で同じαcrに対するPが大きく,
犬走り幅が減少するにつれてpが減少しており,静的結論と類似な傾向となっている。  図3・ユ2によっても。印に応ずる最終沈下は一般に小さいことがわかる。水平地盤上の載

荷のケースで,αcr−100∼200ガルに対するPは静的載荷時のものの2/3∼1/2倍程度で
ある。すなわち地震加速度が増すと支持力係数が低下することに当る。簡便のため震度法を 適用して剛塑性理論により支持力解析を行えば地震時係数が図3・13のように与えられる。

一159一

1.5


モ1・°


臼 0.5
×

×O

100

200

300

  αcr(ガル)

図3・11 載荷圧と限界加速度

30

20

10

0.2

O.4

0.6

P(kgf「cm2)

図3・12 載荷圧と最終沈下

この図からk一α/gが0.1増加するときの支持力係数はkを変えずにφdのみを約2.5°減
じて求めたものに大体等しいことがわかる。ところで,震度法では,{D周期的に変る慣性力
が,一方向荷重として働らくと仮定されること,(ii)普通,慣性力はランダムな地震波の中の

最大加速度に着目して定義されること,のために安全側に過ぎるとされている。“i)に関して

一160一

200

艮Z

100

0.1

0.2

0.3
α/9

0.4

図3・13 震度法による支持力係数

表3・2 地震時支持力係数
(a cr =200gals)
35° 40° 45°

φd

39

92
S6

240
P28

mγF:

Q0

mγE/Nγ

O.51

O.50

O.53

はα=0.6αmaxを用いてよいとの考えがある。 (i)については,ここで交流理論における

実効値に相当した加速度で慣性力を評価すると仮定しよう。すなわちα一(1/V2)αmax

÷0.7αmaxと考える。先に述べた振動実験では正弦状加振をするのだからαcr一αmax
−200ガルは実効加速度α÷140ガルに相当し,kは0.14増すことになる。

 図3・12からNγ,NγEを読みとると表3・2のようになる。この表から正弦加速度の実
効値を考え震度法を適用するとCt・cr=200に対し動的支持力係数が静的のもののほぼ1/2と

なることがわかり,図3・11にみられる実験結果ともほぼ一致する。
 地震時のタンク側板の沈下の増し分(δSPE)を3−(2)式によって評価してみる。このため
3−(2)式を

一161一

    pFs S=

K(Fs−1)

(Fs一旦)
    P

3一④

と書き直し,地震時にはp,q、が変化することを考慮して, Kは地震時でも変らないとして
微分すれば,

一   δP・Fs2 δSPE;     K(Fs−1)2

δqu
K(Fs−1)2

3一⑤

となる。ここでδq、〈oであること,またFsは静的支持力に関する安全率である点に注意 されたい。ここでδpを内容液に働らく水平慣性力モーメントに抵抗する地盤反力の抵抗モ
ーメントから計算するとすれば,
    δp−4γ。h2/D−4γ2/γ。D(γ。は油の単位体積重量)

となる。今回の地震で最大加速度は200∼300ガルであったが地震波の不規則性を考えると
震度法に用いる加速度は150ガル程度とみてよいだろう。このとき先きに述べたことから,
1δq、1÷q。/2と見込まれる。これらを綜合すると(5)式は,

es−1)、(籍+三) ・百…K(1
と書き代えられる。

3一⑥

 Fs=q。/pにおいてp=γ。h(γo=1t/㎡), qu=30t/㎡として図3・7をプロットし
1葭したものが図3・14である。図にはK=8 kg/c㎡(表3・1)とした場合,3−(6)式で計算

した。δSPEの値も実験で示してある。タンクの直径の大きいものは比較的合っているが,

全体として実測値の方が大きく,その傾向は小直径のタンク程著しい。理由として地
震時の全体的ゆり込みがあったこと,小直径タンクで衝撃作用が強かったことなどが考えら

れる。図3・14からδSPEの値を低く抑えるためには静的支持力安全率を少なくとも2以L,
できれば3以ltにとっておくことが必要となる。これは沈ドの立場からの結論であるが,支
持力の面からみても同様なことがいえる。

 前述のように地震時には支持力力半分程度に落ちるから,動的載荷を考えたときの支持力 の安全率は2以上としなければならない。  以ヒが,上質工学的立場から盛砂基礎の実例を中心に解析,研究したものである。  特に,地震時に,タンク側板付近の盛砂基礎の変形すなわち,沈下量が大きく,支持力の 面でも,極く局部的ではあるが,せん断破壊が生ずることが明らかになった。ただし,この

一162一

D(m)
78
67,58 43,38,35

10

29,26,23

D=60m

20

D=40m
D= 20m

△△

ロロ
7

Fs

図3・14 δSPEの予測と実測
ような局部的な沈下,支持力不足は,ヒ載構造物であるタンクに対し,その基礎の機能とし
て,果して,是なのか,否なのかを次章で論ずるものである。

 土質工学の立場から,考えるとタンク側板下には,砕石リング等を用いて,せん断抵抗を 増加することが耐震性の向ヒに役立つものと考えられる。盛砂基礎の高さはできるだけ低く
し,犬走りの部分の勾配も排水上必要な最小値に抑えることが望ましい。

 本章では,鋼製円筒型石油タンクの盛砂基礎の役割と機能について,τ学的立場から論ず るとともに,地震時における盛砂基礎の挙動を,実例を中心に,振動台実験で補足し,±質
r.学的立場から,解析,研究を行いそのあるべき方向を明らかにしたものである。

 盛砂基礎は,直接,ヒ載する鋼製円筒型石油タンクの不等沈ドに対して,大きな影響を与 えることが,明らかになった。タンク側板付近の盛砂基礎は,載荷面と無載荷面との境界部 にあたり,その挙動には,中心に比べて,条件がきびしいことが明らかになった。  特に,地震時における挙動に対しては,タンク本体の挙動とあいまって,みるべき研究が できたと考えている。タンクの直径の大なるものの方が沈下が少く,小なるものの方が沈下 が比較的大きいという事実は,興味深いものであり,これは,タンク本体の構造的特性にお うところが大であろうと著者は考えている。本章の結論を要約するとつぎのとおりである。

一163一

 (1)盛砂基礎からなるタンクパッドの周辺部の支持力が中心に比べて小さく,変形抵抗も
小さい。一方,地震時には周辺部で付加的な載荷圧が作用するから盛砂のせん断がすすみ,
沈下も急激に増えるおそれがある。

 (2)上述の被害を阻止するためには,基礎の剛性をある程度確保すると同時に,タンクパ
ッドの高さを極力低くおさえ,同時に犬走り幅にもできるだけ余裕を持たせる必要がある。

 (3)地震時の増大沈Fを予測する式を導いたが,その精度は比較的良い。また,地震時に
タンクパッドが破壊したり過大な沈下を生じさせないためには 側板部下とその付近に関する常

時の支持力安全率を,土質工学的にみると,少くとも2,できれば3程度とることが望まし
い。

一164一

参考文献
(1)山[柏樹,岡林郁夫,小田隆生:石油タンク基礎の耐震性に関する考察,Reproduced
   from Technical Report Nα26 Depdrtment of Civil Engineering Tokyo

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   ons)p352∼354 Mcgraw−Hill Book Company Inc. Newyork and London
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   1964年 技術室
(4) A.P. L:A. P.1. Standard 650 Appendix B

(5)末原忠司:新体系土木工学95貯蔵タンク・サイロ,p.19∼25.1980年5月土木工学会
   編,技報堂 ⑥ 日下部治,山口柏樹:タンクパッドの支持力に関する2,3の計算    土質工学会研究発表会p.651,1977年
(7)消防庁危険物技術規準委員会:東北石油仙台製油所石油タンク破損事故調査報告書,

   1979年

一165一

第4章鋼製円筒型石油タンクと,その
      基礎との関連性に関する研究

 第2章,第3章とタンク基礎に関する研究について論じたが,本章では,ヒ載構造物であ
る石油タンクとその基礎との関連性に関する研究を論ずるものである。一般に,石油タンク
の漏洩事故が起こると,基礎の不等沈下がその原因であるかのように言われることがあるが,

果して,基礎の不等沈下と石油タンク本体とはどのような関連性があるのだろうか。  一般に基礎の不等沈下といわれているものは本当に基礎の不等沈ドなのであろうか。  このような鋼製円筒型石油タンクとその基礎のかかわりあいについて,沈ドと不等沈下を


中心に研究,考察を行ったものである。

 沈下,不等沈下が起るとしたら,どのような原因によるものであろうか。従来,鋼製円筒 型石油タンクは可擁性に富んだ柔軟な構造物であるので沈下に対しては,許容度合の高い構 造物であるとされてきたのである。むしろ沈下を許容するところに,この構造物の特徴があ


るといえる。欧米では,軟弱地盤上に鋼製円筒型石油タンクを建設する場合,このタンクを,

土質工学的には,Pre−Loadの容器として,地盤が安定するまで, 貯蔵する石油の量を制限 して,地盤の圧密促進用の荷重として何年もかけて,徐々に貯蔵量を増加して行く方法が採

用された例もある。またオランダでは,数十年間で合計7mも沈下した石油タンクがある。 この石油タンクは,使用中にlm程度沈下して,石油タンクの底部が地盤面よりも低くなる ごとにジャッキアップをして修正して使用したとのことである。この繰り返しを7回行った ので,多分7mは沈下したであろうということである。以ヒのように過去の実例は鋼製円筒


型石油タンクは沈下に対しては,非常に寛大な構造物であることを示している。テルツアギ

ーは1933年のASCEの論文の中で,鋼製li]筒型タンクの基礎は鉄筋コンクリートのような
剛性のある基礎よりも,土のヒにアスファルトのようなものを敷くだけの基礎の方が好まし いと論じている。その理由は,鋼製円筒型タンクは円形載荷であるために・タンクの中心部
が側板部よりも多く沈ドをする。

 この時の底板の変形量は大きな曲率半径を有するから,ゆるやかな変形となりタンク底板 に悪影響をおよばさないという理由からである。当時の石油タンクは小型であり,その継手
は,リベット継手であったはずである。

一167一

 現在の石油タンクに比して剛性が極めて高かったことは容易に推測できる。にもかかわらず当

時でも,他の構造物に比して柔軟な構造物であったことは以ヒの考え方から明らかである。
 鋼製円筒型石油タンクの側板上の不等沈下は,浮屋根式タンクの場合は,その浮屋根の昇降に

支障を起すこと,浮屋根と側板との間のシール機能に支障を起すことから,以前から問題と

されてきた。ただし,これは浮屋根式タンクの機能に関する問題であって,構造的にはほ
とんど,沈下や不等沈下がとりあげられることがなかった。その理由の主なものは石油タン クの底板は漏洩防止の単なる膜であり,その膜に働く荷重はすべて基礎で支持するという考
え方があったからである。

 近年になって,1957年ごろから50,000KL以ヒの大型石油タンクが建設されはじめ, 鋼
材として,60 kg/m㎡級の高張力鋼が一般に採用されはじめたのは,1959年ごろからである。 それにともなって,最近,鋼製円筒型石油タンクの構造解析技術が発達し,側板とアニュラープレ

ートとの接合部およびウインドガーダー取付け部などにおける応力解析が行われるようになっ

た。その結果,側板とアニュラープレートとの接合部付近のアニュラープレートに局部的に 高い応力が発生する可能性があることが明らかになった。これにともなって沈下や不等沈下 の影響が,構造的な面から石油タンクにどのように作用するかの研究が行われたのである。 本章ではその研究の成果をふまえて,鋼製円筒型石油タンクとその基礎の関連性について論


ずるものである。

 4・1 タンクの沈下ならびに不等沈下と基礎との関連性についての研究
 石油タンク基礎を構成する要素として,地表面以下の基礎地盤と地表面以上の盛砂基礎と がある。まず最初に,石油タンクに沈下ならびに不等沈下を生じせしめる要素を考察すると
つぎのようなものが考えられる。

  (1)基礎地盤に起因する石油タンクを沈下せしめる要素。

   {a)基礎地盤が粘性土層で構成されていて,しかも上載荷重である石油タンク荷重に 対して,過圧密の状態でないかぎり,石油タンク建設後,圧密沈下(Consolidation sett− lement)が生ずるのである。この沈ドの特性は層厚の二乗に比例した圧密所要時間を必要と


するので,比較的長い時間を要するものである。

   (b)基礎地盤が,ゆるい砂質土層で構成されている場合で,上載荷重に対して充分な
締め固め度合を有していない時には,上載荷重によりその荷重応、り度に応じた接触沈下(C(>

ntact Settlement)を生ずる。この沈下の特徴は荷重に比例して,しかも短時間に生ずる
ことである。

   {c)基礎地盤が粘性土層と,ゆるい砂質土層の互層から構成されている場合には,圧

一168一

の 国 ∩ ば く ←ψ○ の 口

N
oo


の ←
・  .     ・  .

Φ パ

  c>  c『

(  (

ξ・

o・  ) )

叶  工 σ

N

o 一
oo

o o
o
で ㊤

図聾巡P懐且署

N d o
o 02
04

06

08

Z/Ro
LO

12

1.4

1.6

1.8   2 0

d
⑰ ⇔

N

「・寸図

3諭 奪や
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▽ くs


◇・

◇⇔

÷ ㊥も・

oo

“磯

q坐

Q.r囚

o → N
⑰ 一

⑨φ

02P

015

Φ

Ofo
oo

砺o

o N

一169一

密沈下(Consolidation Settlement)と接触沈下(Contact Settlement)の双方が生じる
のでその沈下特性が複雑となり,時間的にも差が生ずるのでより注意が必要である。

 一方,載荷重である石油タンクの形状がIlj形であるために,石油タンク荷重が基礎地盤に

伝達されるメカニズムは図4・1のように,タンク中心部が大きくタンク側板部が小さい。
 もし,被圧密層,もしくは沈下を生ずる層の厚さが均一としても,基礎地盤に作用するタ ンク荷重の応力度が異るために,タンク中心部の沈Fが大きく,タンク側板部の沈下が少い
のである。

  ② 盛砂基礎部に起因する石油タンクを沈下せしめる要素。

   (a)盛砂基礎部の全体にわたり締め固めが不充分な場合,載荷重により接触沈下を生
ずる。

   (b)石油タンク本体の建設時,もしくは石油タンク操業時に,内容物が空になった時 点で,タンク側板部直下のみが,タンク側板の重量を支持することになり,局部的に大きな
荷重を受けて沈下を生ずることがある。

   (c)地震時,タンク側板部に鉛直力の増加を生じて,タンク側板部直下に沈Fが生ず
ることがある。

   {d)地震時に,タンク側板部付近が持ちヒり,つぎの瞬間に,衝撃的にタンク側板直 下の盛砂を打撃して,局部的に盛砂の変形,変位が生じて,沈下が生ずることがある。

 以ヒのような理由により,石油タンクに沈Fが生ずるのである。これらの現象は経験的に
も,多くの例で実証されている。

 さらにこのような基礎の沈下が石油タンク本体に対してどのような問題となるであろうか,

第1章で論じたごとく,鋼製円筒型石油タンクは非常に可擁性に富んだ柔軟な構造物である
ために均等な沈下であれば,ほとんど問題がないのである。

 一方,不等沈下が生ずる場合の原因を考察するとつぎのようなものが考えられる。
  (3)不等沈下が生ずる原因

 一般的には,第3章で論じたごとく,基礎地盤に対して,沈下が生ずることが予想され
る場合には地盤改良を施工した後に盛砂基礎を施工し,石油タンクを建設するので石油タ
ンク建設後の不等沈下は盛砂基礎部に起因することが多いのである。しかし本項では予想さ
れる不等沈下の原因すべてにっいて論ずるものとする。

   (a)前述のごとく,タンク中心部とタンク側板部との沈ドは,被圧密層の厚さが均一 であっても,荷重が基礎地盤に分散,吸収される応力度の伝達が異るために沈下量の差が生
じて不等沈下となる。

   (b)被圧密層ならびに沈下を生ずる層の層厚が異る場合に不等沈下が生ずる。

一170一

   (c)盛砂基礎部の支持力が不均一な場合に不等沈下が生ずる。

   (d)盛砂基礎の盛砂の物理的あるいは,力学的条件が不均一な場合に不等沈ドが生ず る。例えば,石油タンクが漏洩を生じて盛砂の含水率(含油率)が局部的に異る部分が生じ
ると不等沈下が生ずるのである。

 以ヒが石油タンクに沈下ならびに不等沈下を生じせしめる基礎地盤と盛砂基礎からの要素 である。ここで注意しなければならないことは石油タンクの沈下あるいは不等沈下はどのよ うにして計測するかを確認しておかねばならない。石油タンクは突合せ溶接で接合されたア ニュラープレートの上に側板を組立てアニュラープレーと側板の最下端をすみ肉溶接で接合


して建設するものである。

 石油タンクの沈下測定は,タンク側板の最下段に沈ド測定用のピースを取り付けて,そこ ヘスタッフを立てて,水準測量を行うことが一般的である(図4・2参照)。

タンクアニユラーブレート(底板の一部)

アスファルトモルタル等

図4・2 タンク沈下測定測点取り付け図
 このことから明らかなように,タンク側板は溶接接合されたアニュラープレートのEにあ
るので,この水準測量はアニュラープレートの溶接歪等のタンク本体の変形量を加算された
ものを計測していることになるのである。

 大量の沈下の場合には,ほとんどが基礎に起因する沈下であるので,このタンクの変位は
無視しても問題のない性質のものである。

 しかし局部的に小量の沈下が問題となる場合には決して無視できないことを理解しておか なければならない。さらに大切なことは,石油タンクの底板の形状とタンク盛砂基礎の表面 形状とが異っていて,その各々の形状が独立しているということである。一般には石油タン クの底板は薄い鋼板からできているので,その底板は盛砂基礎の表面に密着しているものだ と考えられていることが多い。しかし石油タンクを建設する時に,盛砂基礎の表面にタンク

一171一

の底板となる鋼板を敷きならべて,溶接を行うために,これに溶接歪が生じて,図4・3@
に示すような状態になるのである。

 タンク水張りテスト時にその水荷重を受けて, していくのである(図4・3⑮参照)。

タンク底板が盛砂基礎表面になじんで密着

タンク側板

@   タンク底板(建設直後)
・’

.  .

D・.

?E・ン・・∵,・:・.・三∵・∵.∵㌧・∵.ら・:.・.・

盛砂基礎の表面
(a)

盛砂基礎の表面
  (b)

図4・3 タンク底板と盛砂基礎の表面形状
 ただし,施工時に溶接歪の多いタンクにおいては,満液時でもタンク底板が部分的に,盛 砂基礎の表面に密着しないことが生ずるのである。さらに,内容液を空にしたり,内容液の 量が減って荷重が小さくなると,部分的にタンク底板が浮きヒり,盛砂基礎の表面から離れ

て,密着しなくなるのである。著者が石油タンクを解体した50,000KLタンクの例では,タ
ンク空液時には,タンク底板が盛砂基礎表面に密着していたと推定される面積は全面積の約
1/3,タンク満液時でもタンク底板の約2/3が盛砂基礎の表面に密着していて, 残りの約Y3は

浮いていたと推定されるものがあった。

 著者がここで強調して論じたいことは,石油タンクの底板は膜構造であって,内容液の荷 重は全て,直接的に基礎にて受けるとされているが,現実には部分的にはタンク底板がブリ
ッヂ状になって,応力が生じているということである。さらに,タンク底板の変形はすべて,

基礎の不等沈下に起因しているというような考え方の誤りを指摘したいのである。  他の要素を別とすれば,タンクの底板は盛砂基礎の表面になじみやすくするには,より変
形しやすい薄い鋼板の方がよいのである。

一172一

 4・2 不等沈下がタンクにおよぼす影響についての研究
 前節において,沈下ならびに不等沈下の種類と,その原因について論じたが,本節では不 等沈下が上載構造物である石油タンク本体にどのような影響を与えるかを具体的に論ずるも のである。不等沈下の種類をあらためて整理すると,タンク中心部とタンク側板部における 沈下量の差から生ずる不等沈下と,タンク側板部における不等沈下の二種類に分類すること
ができる。

タンク底板

タンク側板

GL、

(a)

盛砂基礎

 タンク底板

タンク側板

z一

____一一一一一一一

黶w一一一一一___

GL.

(b)

盛砂基礎

タンク 1

タンク底板

GL.

       (c)

図4・4 タンク基礎の沈下断面図
一ユ73一

  (1)タンク中心部とタンク側板部における沈下量の差から生ずる不等沈下  この種類の不等沈下は一般的に,タンク本体の構造に悪影響をおよぼすことの少い不等沈 下である。その理由は,タンクの中心部とタンク側板との距離の間(タンク半径)で生ずる 勾配がゆるやかであるためである。ゆえにタンク底板は比較的大きな曲率で,変形をしてい


くのでその可擁性からみてほとんど問題がないのである。ただし,以下述べるような形状で, その沈ド量が充分に大きいとア想される場合には充分な注意が必要である。

 図4・4はタンクと基礎の断面図を示すものである。㊨はタンク建設直後の状態を示すも
のである。もちろんこの図はタンク底板の溶接歪を生じてない理想的なものである。⑥はタ ンクの水張時,または操業を開始してからある程度の時間(日数,年数)を経た後の形状を 示すものである。これは前述のごとく,タンクが円形載荷重であるために,タンク中心部の 沈下がタンク側板部に比して大きいからである。この時,問題となるのは,㊨の状態から⑥ の形状へとタンク底板が変形していく過程において⑮の状態になることである。⑮の状態に
なった時タンク底板の面積が最小となり,底板が圧縮力を受けることになるので底板にシワが

寄ったり,溶接部にクラックを生ずるおそれがある。このようにタンク中心部とタンク側板部
部に大きな不等沈’ドが予想される地盤においては,タンク建設以前に地盤改良工法等の手段

で,ある程度の沈下量を除去しておかなければならない。その程度は,このタンクのように 中心部を高くする形状のものでは,タンク底板の勾配は操業時で約1/120程度保つことを要
求されることが多いので,タンク操業開始後最終的に1/120の勾配でおさまるような不等沈下

量まで,事前に沈F量を除去することを考慮しなければならない。いいかえると図4・4で
勾配は多少変形するとしても最終的にも㊨の状態を保つ程度の不等沈下量にしておかなけれ

ばならない。ただし,図4・4の②,⑤,⑥の形状変化があったとしても必ずしもタンク底
板にシワが寄ったり,溶接部にクラックが生じたりするものではない。

 その理由は,タンク底板が局部的に変形して,⇔,⑮,◎の変形に対して追従することが あるからである。基本的には⑤の状態を生ずるような不等沈下は好ましくないものであるか らこのような状態を生じさせないような考慮が必要である。一方,タンクによっては中心部


を最初から低くするようなタンクもある。このようなタンクにおいては,タンク中心部と側板部の

不等沈下量が相当大きくなっても構造・ヒほとんど問題がない。ただしそれも程度の問題で,

事前に充分な不等沈下量の検討をする必要はあるのである。

 タンクの水張前後のタンク底板形状を実測した一例を示す。図4・5はタンク底板の形状
を示す一二断面である。・印はその測定点を示すものである。この二断面について,タンク水

張り前後の形状を実測して,その記録に基づいて近似計算をした結果が表4・1に示すもの
である。この近似計算から明らかなように,この不等沈下で生じたタンク底板の伸び率は

一174一

蓮/レ
   ∠1     120
      局部沈下を

¶L
 し

di

      している場所

図4・5 タンク底板部の形状

表4・1
ンク直径 初期コウ配 im)

展  開  長(mm) 初  期  水  張  後
4《・

伸び率(%)
100(dw−di)/4《

D
74,600

,ぷ

4萄軸

1/120

74,602.6

74,608.1 V4,607.9

0,008 O,009

注)卓∂‘=D/cos(tan−iS),**dw= D+Σ(2‘・ノ2・ti)            れ

           i=1

 ここでZl, Xiは隣接する測定点間のそれぞれ垂直距離および水平距離, nは測点間の数

0.008%∼O.009%程度であり,この計算結果に底板の溶接歪の影響を加えても,底板の伸 びによる破断は考えがたい。ただしこれはタンク底板が全体的に一様に伸びたとしての仮定 がある。以ヒのようにタンクの中心部とタンク側板部の不等沈下は前述のようなことに注意 すれば,タンク底板部を構造的に破壊に導く,直接的原因にはならないと考えられる。


  ② タンク側板部の不等沈下(タンク円周部)

 タンク円周部の不等沈下と一口にいっても種々の不等沈下があるので,それを解析上,簡

素化し.整理すると,図4・6不等沈下の形態に示すように,分類することができる。
 タイプ1:同一方向に一様に傾斜する不等沈下。  タイプH:対称点が高くその直角方向の対称点が低いような不等沈下。
 タイプ皿:高い点,低い点が交互にでてくるような不等沈下。

これらの不等沈下のタイプ1,ll,皿1をタンク円周上の高低の展開図で示すと,タイプ1は
Cos g,タイプllはCos 2q,タイプ皿はCos 3ρの曲線で示すことができる(図4・6参照)。

一175一

   タイプー1       タイプーII

タイプ.川

   27U°     ・一・<変形碑

       

o宇ヰ18e一
      、タンク底部    90°
タンクの屋根部における変形の型

 り cosep cos3¢          cos29            oP≒に=ll8ぴ。・9。‘18、、“、 、,、“18ぴ

タンクの底部円周上における不同沈下の型

図4・6 不等沈下の形態
 このようなタンク円周上の不等沈下がタンク本体にどのような影響を与えるかを実測した

記録が図4・7タンク円周上の不等沈下とタンク側板のたおれの関係である。図4・7(a)は
タイプ1の不等沈下の実例。(b)はタイプllの不等沈下の実例。{c)はタイプ1皿の不等沈下の実

例を示すものである。これらの実例で明らかなように,タンク円周方向の不等沈下で低い部
分のタンク側板は外側へたおれる傾向にある。.一方高い部分のタンク側板はタンク内側へた
おれる傾向を示すことである。

 以ヒのようにタンク円周上の不等沈下はタンク本体の側板をたおれさせることが定性的に

明らかになり,かつ,定量的にもある程度はっきりしてきたのである。タンク側板が内
外にたおれると,浮屋根式タンクの場合には,その浮屋根の昇降に障害を生じたり,浮屋根 とタンク側板とをシールするシール機構との間に隙間ができたり,せったりする障害がおこ

るおそれがある。図4・8は浮屋根のシール機構の一例を示すものである。  一方このような不等沈下が生ずる原因を土質F学的な面からみるとつぎのように分類する
ことができる。

 タイプ1のような不等沈下を生じせしめる地盤は図4・9に示すような地盤である。
 タイプllのような不等沈下を生じせしめる地盤は図4・10に示すような地盤である。

 タイプ皿のような不等沈下を生じせしめる地盤は図4・11に示すような地盤である。この
タイプの不等沈下は図4・12に示すように盛砂基礎部の締め固め不均一から起るのである。  タイプ皿の不等沈下の種類の特殊な例として,比較的浅い基礎地盤に部分的に被圧密層や 軟弱層が存在する場合には局部的な不等沈Fが生ずるのである(図4・13参照)。 これは前
述のごとく盛砂基礎の局部的締め固め不充分な場合も同様である。

一176一

  (a)
(rn/m)

 倒  れ
}225●

   十X−X
タンク内径

駆一200

筒板 底板

K−100

  O
s十100
云十200
最大たおれ量/タンク高
=225/23,670=1/105

   側板部水準
  0
 −100

●測定値

  ξ一2po
)−
R00

        8・Ul・[≦こ
最大不同沈下量/タンク内径
=350/46.4の4=1/133

 −4ce
0

  90’     180’    270’
タンク内径=46.494m/nyタンク高=23.670m/m

36ぴ

タンク型式:DRT, 容量=40.000KLS

  (b)
 (m/m)

    倒  れ  量
  一140

革一200

ピーloo

  0
犀十100
最大たおれ量/タンク高
=245/20,726=1/85

ま十200
245

 側板部水準
  0 2−50
)一]oo 敵大不同沈下量/タンク内径
=154/76.200=1/495

 −150

   0窃    90°    180’    270’
      タンク内径=76.200m/叫タンク高=20.726m/m       タンク型式:FRT,    容   量=90.000KLS

 (c)

          倒  れ  量
(m/m)  最人たおれ量/タンク高
一300  =280/24.325          −280

軍 _200;1/87

K −100
  O
匡十loo ま十200

倒板部水準
  0
_− G E−100
T0

最大不同沈下量/タンク内径
=144/70.㎜=1/485 一144
0’

 −150

 −144
  90.           180・          270・          360.

タンク内径=70.(XX〕m/叫タンク高=24.325m/m

タンク型式:FRT,   容  量=94.OOOKLS

図4・7

不等沈下形態別によるタンク側板

のたおれとそのLevel
    −177一

             ウエザーンールド

            Xl

         ンー一/レ

               ポンツーン

           ト、
        : シーノレ巾岳

        i[            130
         max 390

     図4・8 シール機構の一例
−1

11

lll

Ill1

,」∠后≡÷已声一ニテプ ’F,.

,.・∴  1

         × x  x  》( )く

        被圧密層(沈下を生ずる層)

           硬い層(沈下を生じない層)

図4・9 同.一方向に一様に傾斜する地盤タイプ1

1

1
1 1

1 1

1
1

「 、 .

、千一→導   ’

 ‘  「 . 1  ’ .F」 ..  ’.F.

.」”

P,’一, 一一一・・

’”..,L

.r

_一     −一被圧師(沈下経じる層)・xxx

黶Q

     x  ×         ×          ×  X     二〉× 

×  X  X

硬い層(沈下を生じない層)

ーー10

180 0

 被圧密層が薄い

図 4

沈下の大小が交互に一つずつある地盤タイプll       −178一

l                  l

{          i

l                 l
l                   l l                    l

l                   l

、____一’ @  、一____”
       _  _  _       x  メ   メ  メ

       x被圧頸(階下欝巨る層)
         硬い層(沈下を生じない層)

図4・11硬い地盤の深度が不規則な地盤タイプ皿(その1)

1 1
1

1

一一

∠→

図4・12 盛砂基礎の締め固め度合が均一一の場合タイプ皿(その2)

            図4・13局部的に沈下が生ずる地盤
 さらに構造解析上,不等沈下とタンク本体との関連性をみると,概略を前述したごとく従来

不等沈下はタンクの機能上において問題とされてきた。しかし石油タンクの大型化にともな いタンク側板とアニュラープレートとの接合部における構造解析が行われるにいたった。例

えば,1968年のA.P.1.Reportによれば,ウエルズのアングル湾に建設された600,000Bbl タンク(約100,000KL直径290ft.高さ64 ft)の側板とアニュラープレートとの接合部で
の応力解析結果および応力測定結果は,図4・14に示すとおりであり,アニュラープレートに は降伏点に達するような応力が発生すると報告されている。我国においてもこの種の解析や 実測が行われ,図4・15(A点)に示すタンク側板とアニュラープレートの溶接接合部の溶接 1上端部に局部的に高い応力が発生することが確認されて,以後溶接の形状や構造解析研究が
盛んになり現在に到っている。

一179一

40      50      60      70      80

アニュラープレートの距離(cm)

 一5
τ’−10

下側引張り応力 実 測 値

 −15
迫一20

  A点   B点   C点

一理論曲線

 −25  −30
 降伏

図4・14 600,000Bbl(約100,000KL)タンクにおける実測値
     アニュラープレートの半径方向曲げ応力(水面高18. 9rrD

〈側板   A点 //∼アー一・一ル・(底板・最外周部・


図4・15 タンク側板とアニュラープレートの溶接継手部
 著者等はこのタンク側板とアニュラープレートとの接合部に高い応力が生ずることから,この

部分に不等沈下が生じた場合,応力にどのような変化が生ずるかということを,基礎をとり
扱う立場から研究を行ったのである。その結果,前述のごとく,タンク円周ヒの不等沈下を,
タイプICosg,タイプll Cos 2 g,タイプ皿Cos 3 g,のようにパターン化をして解析を行い

不等沈下によるアニュラープレートに生ずる最大曲げ応力とタンク円周上の不等沈下の最大 勾配との関係を理論づけたのである。図4・16は,タンク円周上の実測沈下曲線をフーリェ 解析して求められた不等沈下と曲げ応力との関係である。縦軸はタンク側板とアニュラープ


レートとの接合部付近のアニュラープレートに生ずる曲げ応力であり,横軸はタンク円周・ヒ

の不等沈下曲線の勾配の逆数である。さらに実測値をタイプ別にプロットしたものである。

ここでこの図4・15を使って,前に示した図4・7の実測値をあてはめてみると図4・7{a) の一様傾斜であるタイプ1の曲線で円周上沈下差の勾配の最も大きい所は10mにっき80皿mで
あるので1/125の勾配となり図4・15から2kg/m㎡∼6 kg/m㎡程度の応力が生じることが推
定される。{bL(c)についても同様に図4・15から応力を推定するとそれぞれ,1kg/m㎡∼4 kg/m㎡および9 kg/m㎡程度の応力が発生することが推定される。以ヒの結果からタンク円周

一180一

        →円周上の不同沈下の最大コウ配の逆数

図4・16 不同沈F形態別によるアニュラープレート      A点における最大曲げ応力
部の不等沈下は,タンク側板とアニュラープレートとの接合部のアニュラープレートにある
程度の曲げ応力を発生させることが推定される。

 しかもその不等沈下のタイプによって,その応力の大きさが異ることも充分に推定できる。  不等沈ドが鋼製円筒型石油タンクにおよぼす構造解析的な面からの影響はその不等沈下の 種類とその沈下展開曲線の曲率が大きな要素を持つことが明らかになった。しかし60kg/m㎡

級高張力鋼はJISG3115(1968年)Spv50にも規格されているとおり,降伏点50kg/m㎡引 張り強さ62∼75kg/m㎡である。一般によく使用されているJISG(1970年)SS41は降伏点
24kg/㎡(板厚16∼40mm)引張り強さ41∼52kg/m㎡であるからJIS8501(案)のように降伏点

べ一スで許容応力をきめる場合の必要板厚は60kg/m㎡級高張力鋼を使用するとSS41の約半
分の板厚となって,その経済性はいうまでもない。溶接の面からみてもあまり板厚が厚くな ると色々な問題があるので大型鋼製円筒型石油タンクの側板の大部分とアニュラープレート
は60kg/m㎡級高張力鋼が使用されているのが現状である。  そこであらためて不等沈下と鋼製円筒型石油タンクの弱点とされている側板とアニュラープレ

ートとの接合部付近の応力との関係を考えてみると不等沈下による応力増加は大きくても10kg /㎡程度であり降伏点50kg/m㎡に対して20%の増加にしかならない。図4・14の曲げ応力から

考えると,不等沈Fが直接タンクアニュラー部の破損を起す原因とは考えられないのである。

一181一

 一方,別な角度からみると大型タンクにおいては不等沈下が起らない状態でもアニュラー
プレートと側板との接合部付近のアニュラーブレートには降伏点に近く,場合によっては,降

伏点を越える応力が発生しているので,不等沈下により応力が少しでも増加することは問題 がある。しかし応力が降伏点を越えたからといって直ちに破壊する性質のものでないことか

ら考察してやはり不等沈下が直ちに鋼製円同型石油タンクの破壊のE原因と考えることは早
計であると思われる。

 著者はここでタンクの不等沈下を正当化する意志は毛頭ないのは勿論であるが・不等沈F
が起きないにこしたことはないがそれだけで問題は解決しないと考えている。  このような増加応力を生ずる原因には,タンク本体自身の溶接歪等の要素もあることを充 分に考慮しておかなければならないのである。基礎の不等沈ドばかりに注目して,その対策
のみを考えた1二学的立場で判断を下すと,非常に不経済な非合理的な鋼製円筒型石油タンク
の基礎を造ることになるのである。

 以上が鋼製円筒型石油タンクと不等沈下の関連性について,研究,解析を行い実測値をも
って,その正当性をうらずけて論じたものである。

 4・3 タンクの破壊と基礎との関連性についての研究
 前節において,不等沈下とタンクとの関連性について,}1として基礎地盤と盛砂基礎に起 因する不等沈下について論じたものであった。本節では,タンクが破壊に到るメカニズムを
中心に,基礎との関連性にっいて論ずるものである。

 タンクの不等沈下は,基礎地盤や盛砂基礎の条件以外では起らないのであろうか。前に概
略的に述べたが,タンクが漏洩を起すと,その部分の盛砂の含水率(含油率)が高くなって局

部沈下が生ずる。漏洩の位置が,タンク中心部に近い場合には.その局部沈下を発見するこ とは困難である。勿論,基礎地盤を構造する土質の透水性に大きなかかわり合いがある。比 較的基礎地盤の浅い所に透水性の悪い層が存在するときには,その層で下への浸透が阻止さ


れてタンクの周囲へ出てくるので漏洩が比較的早期に発見できる。

 基礎地盤の土質が透水性の良好なもので深い所まで構成されているような場合,何年も発 見できないことがある。しかしこのようなタンク中心部での漏洩でタンクが破壊するような
事故に直接つながることは少い。

 .一方,タンクの側板近くで漏洩が生ずると,外部からの計測で,その部分のタンク側板 が局部的に沈下するので,計測を充分に行っていれば早期発見は比較的容易にできる。

 このCASEではタンク破壊の事故につながることが多いので注意しなければならな
い。

一182一

(a)

沈下

     .     . @ ●           ●         .
@    : .                       ⑳   ・  」   、・・:”    こ

  . @   ■ 氈f盛砂基礎


@・               .
E.      ■  ・      、    ・   ,

(b)

Flush out

.盛砂基礎

(c)

          (d) 図4・17 タンク漏洩によるタンク破壊のプロシディア

         ー183一

 この場合の局部不等沈下はタンクの漏洩にあるのである。不等沈ードの原因は何も基礎にの みあるのではなく,このようにタンク本体に起因することがあるので,充分注意しなければな
らない。

 このような漏洩がタンク破壊をもたらす過程を論ずるとつぎのようなものである。図4・
17(a)に示すようにタンク側板に近い所で,漏洩が生ずると,漏洩が進行して,盛砂基礎と基 礎地盤の一部が過飽和の状態になり図4・17(b)のようにタンク側板部に近い所で沈下が生じ る。つぎの瞬間図4・17{c)のようにその部分の盛砂がフラッシュアウトして流出してしまう。

するとその部分の盛砂基礎の支持力は0となり,通常でも応力の高い,タンク側板部とアニ
ュラープレートとの接合部のアニュラープレートが破断して,大きな開口部ができて大量の石 油が流出し,基礎部のスコアリングを拡げていくのである。

 従来タンク破壊事故の原因は不等沈下にあるといっているのは,このような事故の後に計 測すると破壊場所が局部的に下っているからである。これは以上のような理由で当然である。 ここで重要なことは,基礎に起因する不等沈下は急速にタンク破壊をまねくような事故に直 接つながらないが,タンクの漏洩による不等沈下という時は直ちに,タンク破壊に結びつく ことである。ただし,タンク水張時,操業時には,どのような原因で局部的な不等沈下が生


じたか初期においては判断ができない場合が多いから,タンクFI]周方向の局部不等沈下が確

認されたら,直ちにタンクを空にして検査を行うべきである。著者はこのようなタンク破壊

の調査を自ら2,3例手がけた経験と外国の報告等からみて,このような原因の事故が最
も多いと確信するものである。勿論,地震時の事故例は別である。地震時のタンクの破壊に
ついては後で論ずる。つぎにタンクの漏洩について,論ずることにする。

 タンクの漏液の原因ならびに種類はっぎのようなものがある。  (a)溶接不良により最初から欠かんがある場合  {b)溶接時には完全なものであったが,荷重を受けて,クラックが生じる場合


 (c)腐蝕により,孔があく場合

 漏洩には連続的に漏洩している場合と断続的に漏洩している場合とがある。後者の場合, 荷重によって.底板が変形するので,ある荷重の時はクラックが開き漏洩が起り,ある荷重
の時はクラックが閉じて漏洩が止まる場合がある。また孔にスラッジや,鉄錆がっまって,

漏洩が止まる場合がある。これは底板が変形したり,内容物が対流するためにそれがとり除
かれて漏洩が再び始まったりする。

 ゆえに,漏洩を早期に発見できるように漏洩探知器の設置等の措置をとることが大切であ る。地震時以外の常時に,タンク円周方向におこる不等沈下はタンクの漏洩に起因すること が多いので,しかもこの原因の場合にはタンク破壊事故を起すおそれがあることを,特に強

一184一

調して論ずるのである。つぎに,地震時のタンク破壊と基礎の関連性について以下論ずるも
のとする。

 我国において,鋼製円筒型石油タンクが地震にあって被害を受けた例の主なものは,1964

年6月16日のマグニチュード7.5の新潟地震と,1978年6月12日マグニチュード7,4の宮城
県沖地震がある。

 新潟地震の場合は,石油タンク基礎に関しても,他の構造物と同様に,地盤の液状化が被
害を大きくしたことは周知の事実である。

 この地震の鋼製円筒型石油タンクの被害の特徴は,主として,バイブロフローテイション にて地盤改良されていた石油タンク基礎は被害が軽微であり,地盤改良されていない基礎は

比較的,標準貫入試験のN値が大きくても大きな被害を受けたことである。ゆるい砂質土を
バイブロフローテイションで締め固めて地盤改良を行うことは土質工学ヒ理にかなった方法 といえるが,著者は,石油タンクをL載する基礎地盤を人工的に均一化するということも, 地震時に被害を少くする大きな要素ではないかと考えている。さらにこの地震では,多くの 石油タンクが大きく沈下して傾斜したことと,火災事故が起ったことが特徴である。
 一方宮城県沖地震は,震源位置北緯38度9分,東経142度13分であり,震源深さは約30kmと推定さ

41°

青森
lu

秋田
IV

39P

塩釜


新釦
II

仙台●
Dい福島

東北イ】油

震 震央

37°

100km
150km
1200km

1250km

東京IV 横兵@●
静岡
35む

IV

1300トm

138’

140°

142°

図4・18 宮城県沖地震,震度分布図

一185一

れた。震央から約100㎞の石油製油所では3基の石油タンクが側板とアニュラープレートとの接

合部付近のアニュラープレートが円周ヒに沿って破断し,石油の流出事故を起したのである。 この製油所内の75基の全ての石油タンクは数mmから最大130皿の沈下が側板部に認められた。 当製油所敷地内では地震の記録は得られていないが隣接している塩釜市塩釜港f事事務所(図

4・18参照)の地盤面でとられた地震記録によると,最大加速度は東西方向に288ガル,南 北方向に266ガル,ヒ下方向に166ガルであった。他の地区で得られた記録や当製油所の地


B1
N

30

35

35

 1一、!   )  /

\.

 /・ B2
@//

//[C3]

C4
\.
\\

30 25

C1

B3

20

@15
@(】5)1

、、

L「

120)

 !


15〆(1

30


 )−

B3
35

B4

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 .(15}1 15

1
lll


1

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C15)

20

40
  一  一  一 一  一 _

(25)/ m亘]

C ’



45
回(25)一一一一一
一  一

巨]\
   /
@ /_ 一

(20)

40

35

 100m

図4・19

ヒ部砂層厚,基盤深さのコンター (一:基盤深さ(m),一一:t部砂層厚(m))

一186一


T−132 T−217


20

GL
SP(m)
0

N
4 50
O LO

N
4

N
0 1020304050

0 10

〆−B−1

ン且2
上部砂層

ノーB3

10

_「ニニ= 一
一20

一 粘性土層

σ,

●Oo● ●

30

  一  一 黶@ _ご一一黶@  /
基盤層

図4・20 土層断面図(④㊨断面)

S◇◇◇㊦
㊦○㊦㊦◎⑨

  1ξ・8

 14行15・5
12.4 192
°  °  ●】5.6

i3r2・18,2

:iし◎
怜⊂〉・◎

   ’18’6◎

   ・16.0
C.3

C4

図4・21 改良部の平均N値(一破断部)

      −187一

質等を考慮した結果,製油所での最大加速度は200∼300ガル程度,上下加速度は100∼
150ガル程度,地震動の継続時は約20秒と推定される。

 地盤の性状は地表面からみて上部砂層,粘性土層,基盤層の3層に大別される。ヒ部砂層

の表層部分(層厚は3∼4m)はN−6∼12のゆるい埋立砂層で,その下に厚さ5∼20m,
N−10∼30の海岸砂州が続き,これは所々に粘土質細砂の薄層をかんでいる。粘性ftは海成 粘1二と砂の互層で層厚は10∼20m,土層部分のN−5∼10,下層部分のN−10∼30である。 基盤層はN=30∼50の洪積砂礫層または凝灰岩層である。図4・19には製油所全域に関し上
部砂層底面,粘性ヒ層底面までの地表面からの深さのコンターをそれぞれ破線と実線で示し

てある。全体としてみると堆積厚さにかなりの不均一性がみられるが,被害の大きかったC

−3,C−4地区に対する断面図(図4・20)でみる限り不均一性は認められない。前述し
たゆるい埋立砂層を密実化するため表面から深さ5mの間バイブロフローテイションr一法に
よって改良した。三角形状に打設されたバイブロフローティションの間隔は1.75∼2.Om,

直径は0,25mで盛砂基礎の外側まで打設された。 これによってN=6∼12はN=12∼25に 改良された。地震後,N値の測定をC−3,C−4地区において行った結果が図4・21に示さ
れる。この図には破損,漏出をみたT−217,218,224の破断部分も太線で示してある。
 本タンク群の盛砂基礎は1971年から1972年に建設された当製油所の全てのタンクについて,

ほぼ同じタイプであり,その標準断面図は図4・22に示されるとおりである。側板の1直下に 幅300mm長240 mm高さ120 mmのコンクリートブロックを2枚重ねて敷きならべ,鉄筋コンク リートリングや砕石リングのタイプのものではない。盛砂用に用いた砂の均等係数は1,7∼

2.7,粒度は2.Omm以ヒが0∼20%,74μ以下が0,5∼6%であった。また,タンク側板か

ら下1mの間の盛砂基礎の平均間隔比は0.73∼0,81,相対密度は80∼95%である。3軸圧
縮試験で求めた摩擦角は,

  ¢d=38,5∼40°であった。

側板
200

叶7竺
  オイルサ/ド〔t=50)

6φ16
§

300

キ  砂
         。ξ           ooパイプロフロ    ゜。。テ

φ13@200

盾潤
…。:。:O o

oo

.°o

Cンヨン       o⇔ 

@         ooo

4・22 盛砂基礎断面図(単位:m)

188一

 以上が宮城県沖地震における鋼製円筒型石油タンクの被害,ならびに地盤基礎,盛砂基礎の

調査結果の概要である。この地震によって破損した石油タンクの調査にあたって,最初は破
損タンクが同・一地区に集中しているので何かこの地区に限られた地盤特性があるのではない

かと調査し,解析を行った結果,前述のごとくその特異性を見出すことはできなかった。一 方タンク本体の方から破損したタンクと他のタンクを比較してみた結果,破損したタンク3

基は,容量が20,000KLから30,000KLのタンクであることが明らかになった。 しかも地
震時の液高(H)とタンク直径(D)の比が他のタンクに比して大きいことが確認されたのであ

る。この3基以外でも,地震時にタンク側板直下の沈下量の大きなものは地震時の液高(H) とタンク直径(D)との比H/Dが大きいことが明らかになったのである。さらに破損して, 石油が流出したタンクの側板部直下付近のアニュラープレートの裏面部が腐蝕していて,ア ニュラープレートの破断部の板厚が薄くなっていたことが確認されたのである。しかも,こ

の破損した3基のタンクを含めて,地震時の液高(H)とタンク直径(D)との比H/Dが大き
いタンクは,地震時にタンク側板の近傍が持ち上ったことが推定されたのである。持ち上っ たことを裏付ける理由はっぎのとおりである。その1は同製油所内に,タンク直径よりも高さ の方が大きい水用タンクがあって,そのタンクは基礎のコンクリートリングにアンカーボル トでとめられていたのである。地震後そのアンカーボルトが全周360度にわたって,平均的

に約10cm程上へ抜けていたのである。その2は図4・23に示すように,地震前は,アニュラ
ープレートの上にかぶせてあったアスファルトモルタルが地震後には,アニュラープレート
タンク側板 タンク外側 タンク内側

アニュラープレート

㌍ジ㌫ト○。ル・.

”・’

キ・ サ’

賰b一

(a)地震前

           タンク側板

@                アニュラーフ’レート @                   、 ■
@             盛砂基礎アスフデルドビル ル’

        (b)地震後

図4・23 地震前後のアスファルトモルタルと      アニュラープレートとの位置関係

一189一

 タンク側板

@ 破断部

アニュラー

裏当て板離脱

約60∼80㎝

図4・24破損タンクのアニュラープレートの
     溶接用裏当て板の離脱状態

のドになっていてそのヒ下の相対的な位置が入れ替っているのである。その3は図4・24に
示すようにアニュラープレート相互を溶接接合する裏当てのフラットバーが,側板から約60
cm∼80cmの所で,離脱したり,曲っているのである。

 以Lのことから,地震時数mmから最大130 mmの沈ドがタンク側板部に生じ,しかも地震時 の液面高(H)とタンク直径(D)の比H/Dが大きいタンク程その沈ド量が大きいことを裏ず けるものである。これはH/Dが大きいタンク程,地震時に側板部の鉛直力が増加すると, ともに反対側は持ちヒり,つぎの瞬間盛砂表面を動的に打撃するので,その部分の沈下がよ

り増大するのである。一方,E質工学の立場からみるとこの現象で,タンク側板直下の盛砂
は,局部的には支持力不足を生じ,破壊を起しているのである。しかもタンク側板の外側は

盛砂を拘束する条件がないのでより変位しやすいのである。第3章で論じたごとく,土質工
学の立場からみれば,このような盛砂の局部破壊を阻止するためには,この盛砂の強度をあ げてやることが必要である。いいかえるとその安全率を最初から大きくしておくべきである。 しかし,タンクが持ちヒった時に破断を生ずるのならば,この部分の盛砂の強度には無関係
になるのである。また持ち上って,落ちてくる時に,この部分の盛砂がまったく変形(沈下)

しないで,この荷重を受けとめたならばどのようなことが起るであろうか。タンク側板に大 きな鉛値応力が作用して,挫屈が生ずるおそれがある。このような被害を受けた鋼製円筒型
石油タンクの例につぎのようなものが報告されている。  1965年3月28日チリ中部を襲った,コンコン地震はマグニチュード7.1/4であったといわれ

ている。この時チリ中部の海岸都市Vina del Marに近いCon con製油所でかなりの被害
をうけている。その中にタンクの側板下部がかなり張り出して,側板とアニュラープレート との溶接が1.8mにわたって破断した例がある。  1964年3月27日のアラスカ地震の際にも,同様な石油タンクの破損事故が生じている。

 1971年2月9日サンフェルナンド地震の時には水タンクであるが,鋼製円筒型のタンクの

一190一

鉄筋コン・クリートリング
’1.ま牟は剛性の犬なもの

図4・25 地震をうけてタンク側板が挫屈した状態        Elephant Foot
側板下部が張り出した例が報告されている。

 1979年の10月にエルセントロ近郊で起きたマグニチュード6.4程度の地震で,鋼製円筒型
の水タンクが同じような被害を受けている。

 このように,タンク側板の下部が挫屈する形状(図4・25参照)が象の足に似ていること からElephant Footと呼ばれている。
 以ヒが地震時に側板ド部が挫屈した事例を4例ほどあげたものである。  我国における新潟地震の場合は,主としてタンク基礎の,基礎地盤部に液状化という問題 が生じ,タンク基礎は大きな沈下等が生じたが,タンク本体は構造的には大きい破損をまぬ
がれた例といえよう。一方,宮城県沖地震の場合には,基礎地盤部には,ほとんど,問題がな

く,盛砂基礎部に問題が提起された例といえよう。あるいは,タンク本体と基礎との接点の
問題があらためて提起されたものと言えるであろう。

 本章では,鉄製円筒型石油タンクとその基礎との関連性について,沈下,不等沈ドを中心
に論じたものである。

 沈Fは鋼製円筒型石油タンクの構造的特性から,他の構造物に比して,寛大な構造物であ
るということである。ただし,円形載荷であるので,タンク中心部と側板部との沈下量に差
を生ずるので,定量的には注意すべき点がある。

 タンク周辺部の不等沈下は,タンク側板部とアニュラープレートとの溶接継手部付近のア ニュラープレートの曲げ応力を増加させるおそれがある。このような不等沈下を生ずる原因 には,基礎側とタンク本体側の双方にあり,しかも,タンク本体側には漏洩ということがあ

一191一

りこの原因は最もタンク破壊事故に直接つながるので注意しなければならない。

 従来タンク底板は膜であり,盛砂基礎の表面形状と全く同じ形状をしていると考えられて いたが,溶接構造であるために歪を生じてタンク底板の形状と盛砂基礎形状とは,各々独立 したものである。荷重が作用するにつれてなるべく早く,タンク底板と盛砂基礎表面がなじ


むように配慮しなければならない。

 地震時には液面高さ(H)とタンク直径の比H/Dが大きいあるいはH>Dのタンクでは,
タンク側板付近が持ちヒる可能性が大であるのでその現象がタンク側板直下の盛砂部を衝撃
的にたたくおそれがある。この時tr.質一E学的には,盛砂の局部破壊が生じ,沈下が起るが,

この部分を剛性にすると,タンク側板のド部に挫屈が生じて,タンクが破損するおそれがあ

る。 Tank FoundationのEngineeringとしては,そのタンクを地震後, そのまま使用
するかどうかは別として,最初にそのタンクが経験する300ガル程度の地震で破損漏洩しな
いことを中心に考えると,タンクの側板部直下の盛砂が変位をすることは,ショックアブソ
ーバーの役目を果していることになる。

一192一

参考文献
(1) J・S.Clarke :

     Recent Tank Bottom and Foundation Problems
    Paper for Presentation of Session on pressure Vessels and Tonks During     the 36th Midyear Meeting of American Petroleum Institutds Division of
    Refining, in the San Francisco Hilton Hotel.San Francisco, Calif May
     13, 1971.

(2)岩切 淳,岡林郁夫:大型タンクとその基礎,土と基礎Vo123, No. 9 1975年9月。
    土質工学会,p.41∼43.

(3) A.P.1.Report:Oil Strage Tank
    How To Design a 600,000−Bb1.Tank May 1968. Vol.47, No. 5.

(4)柴田碧:海外産業施設地震被害調査報告一球形タンクおよび円筒タンクー
    東京大学生産研究所報告,26巻7号,1974年7月。
(5)山口柏樹,岡林郁夫,小田隆生:石油タンク基礎の耐震性に関する考察,1980年6月。
    Reprodued from Technical Report,No. 26. Department of Civil Engineeri−

    ng Tokyo Institute of Technology.

一193一

第5章 鋼製円筒型石油タンク基礎の設計施工
       に関する工学上の基本的考え方

 基礎は,その.ヒ載構造物を安全に支持して悪影響をヒ載構造に与えるような沈下を生じて は,ならないが同時に,合理的で,かっ経済性がなければならない。

 鋼製円筒型石油タンクのように可擁性の大きい特殊な構造物の基礎はいかにあるべきかを 本章では論ずる。第ユ章でその概要を述べたごとく大きな変形を許容する鋼製円筒型石油タ ンクであるので,基本的には相当な沈ドを許容する構造物である。過去の実績からもこのこ とは明らかである。石油タンクの本来の目的は,貯蔵物である石油を漏らすことなく貯蔵す ることにある。少くとも基礎が原因となって,石油タンクの機能に支障を生じさせたり,破 壊を招くことがあってはならないのである。前章までに論じたように不等沈下が生じたから 直ちにタンク本体に直接事故をもたらすものではないのであるが,その不等沈下の形状によ っては,タンク本体に悪影響を与えると推定される場合もあるのである。できることなら不


等沈下は避けるように考慮すべきものである。 一方,タンクが漏洩したからといって必ずし

も大事故になるとは限らない。タンクが漏洩した場合にはそれを早期に発見できるような基 礎構造にしておくことが大切である。さらにタンクが漏洩しても短時間で盛砂基礎がFlush− outしないような構造を有することが必要である。  このように鋼製円筒型石油タンク基礎の設計施工にあたっては,上載構造物のあり得るあ


らゆる条件を考慮しなければならないものであって,単に土質力学上の考慮では不足なのである。

ヒ載構造物との有機的な関連において本質的な土質工学的,あるいは基礎r学的な考え方が
要求されるのである。

 5・1 タンク基礎の設計に関する基本的考え方
 鋼製円筒型石油タンク基礎の設計に当って最初に考慮しなければならないことは,ヒ載構 造物である石油タンクの機能的,構造的特性である。次に建設予定地ならびにその付近の調 査である。特に土質調査は充分に行われなければならない。以ヒの結果としてタンク本体か
ら要求される条件と,土質,地質から制約される条件が明らかとなる。

一195一

  (1)タンク本体から要求される条件とはっぎのようなものである。    (a)タンク本体ならびに内容物の荷重に対して充分な支持力があること。

   {b)タンク本体の機能上,構造上に悪影響を与えるような沈下ならびに不等沈下を生
じさせないこと。

   {c)地震時においても,タンク本体の破壊を招く恐れのないような基礎,少くとも基
礎が原因でタンク本体の破壊を招くことのないようにすること。
   (d)タンク底板部に腐蝕の環境を作らないこと。

   {e)タンク操業ヒ,あるいは清掃,メンテナンスに支障のないような構造にすること。

   {f)内圧の作用するタンクにおいては,それに対して充分安全な対策を施すこと。例
えば,アンカーボルトの必要性の有無等。    (g)風荷重に対して,タンク本体が転倒したり滑ったりしないようにすること。    (h)その他の特殊な条件,例えば,積雪地区における積雪荷重等。
  (2) ・tl質,地質をふまえた基礎の条件

   {a)タンクの基礎地盤として,支持力が充分であるかどうか    {b)地盤を構成する土質の沈下特性

   (c)地盤を構成するヒ質の振動に関する特性,地震時における液状化の可能性の有無
   {d)地下水位と盛砂基礎を構成する材料の毛管現象の程度    〔e)盛砂基礎表面の仕上げ面の仕様問題

   ほ)コンクリートリングの必要性の有無
   (g)コンクリートスラブの必要性の有無
   〔h)その他

 以上のように鋼製円筒型石油タンク基礎の設計に当っては,タンク本体から要求される条
件を,基礎工学・ヒどのような形におきかえて基礎の設計条件とするかを考慮しなければなら

ない。これらの条件の定量的な数値については,各国,各石油会社等で規定している場合も
ある。一般的には,A. P.1. Standard 650が石油タンクについて,最も世界的規模で広く

使用されている。ただし,このような規定やStandardは実務上では便利であるが,学問上, 必ずしも,正しいものばかりとは限らないのである。以下,著者の鋼製円筒型石油タンク基
礎の設計に関する基本的考え方を論ずるものである。

 鋼製円筒型石油タンク基礎は原則として,地盤改良を行った地盤の上に盛砂基礎等を構築
したものがよいと思われる。

 小型のタンクにおいては杭打ち基礎でもほとんど問題はないのであるが,大型の鋼製円筒 型タンクの場合,その底面積が広く,かつ,タンク本体の底板部を構成する鋼板は,タンク

一196一

の直径や底面積に対して非常に薄いものである。このようなマッシブなものは杭のような

Point Bearingで支持するよりも,面で支持した方がより安定するからである。さらに杭
基礎の場合はタンク荷重を杭に伝達するためにはコンクリートスラブが必要となる。

 このコンクリートスラブの剛性の問題を考えてみると,例えば,100,000KL級の石油タ ンクの直径は約80mである。直径80mの円型コンクリートスラブが完全な剛性を有するため には数mの厚さが必要となるのである。さらに鋼製円筒型石油タンクのような可僥性に富ん


だ柔軟な構造物の基礎は剛性の大なるものがよいか,ある程度の柔軟性のあるものがよいの かという基本的な問題を解決しなければならない。杭と鉄筋コンクリートスラブの基礎は沈 下や不等沈下の問題を最重要視することから生れるr.法である。著者は前章までに論じたよ うに,鋼製円筒型石油タンクは沈下に対しては,他の構造物に比して,許容度合いの人きい 構造物であると確信しているものである。不等沈下についても,その種類によっては,先に 論じたごとくタンク本体にほとんど悪影響を与えないものもあるのである。過去に大型鋼製 円筒型石油タンクにおいて,沈ドのほとんどない基礎地盤ヒに建設されたもので,水張りテ

スト時に底板にしわが生じた例が我国でも数例報告されている。著者も直接,3例程度相談 を受けたことがある。これらの実例のタンクは,直径が50m以上で,水張り時のタンク側板
部の沈ド量が10cm以内のものであった。直径が大きくなると底板の溶接線の総延長が長くな り・その結果,溶接歪の絶対量が多くなる。このような状態で,水張りテストを行うと,基 礎が剛性の大きな,変形しない場合には,タンク底板の歪の逃げ場がなくて,しわが生ずる のである。このようなしわが生じた例のほとんどは処女荷重である水張りテスト時に生じて

いるが・著者が相談を受けたうちの一例は,使用後3年程経過したものがあった。これは前
にも論じたように鋼製円筒型石油タンクの底板は内容物の量に応じて刻々と変形しているか
らである。

 さらに,地震時を考えてみると,剛性の高い基礎の場合地震の加速度を直接石油タンク本
体に伝えることになりタンク本体を破損させるおそれがある。関東大震災の時,下町の地盤 の軟い地域での被害が大きかったことが,報じられているのは周知の事実であるが,近年に なって,金井等の研究によって下町の被害は火災によるものがほとんどであり,むしろ柔軟 構造物である木造家屋の構造的破損は,山ノ手の地盤の固い地域に多かったと報告されてい る。以上の例からも類推できるように,著者は,可擁性の大きい柔軟構造物である鋼製円筒 型石油タンクの基礎はある程度の変形を許容する構造であるべきであるとの意見である。図 5・1タンク底板の変形と基礎との関係にっいて云えば図5・1(a)はタンク建設直後の底板
の状態を示すものである。

 図5・1(b)は水張りテスト時あるいは操業時を示すものである。タンク底板と基礎の表面
一一

P97一

タンク側板 タンク底板 f
・盛砂基礎 (a)

基礎天端


基礎天端

^ンク底板

(b)
鉄筋

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A、   、


、 1

層・

V,“

クイ

         (c)

図5・1 タンク底板部の形状と基礎との関係
部分がなじんで密着する。図5・1{c)は鉄筋コンクリート版のような剛性の大きい基礎であ る場合には溶接歪が1個所にしわとなって集約されタンクの直径方向にこのしわが連続的に
生ずることがあることを示したものである。

 溶接歪が比較的少い場合には,しわは発生しないが,その変形量に相当する応力がタンク 底板部に発生していることになるのでこのような変形のない剛性の高い基礎は好ましい基礎
構造とはいえないのである。

 ただし諸条件で,やむなく,杭と鉄筋コンクリート基礎を採用せざるを得ない場合には,
鉄筋コンクリートとタンク底板の間に砂等のクッション材を入れるべきである。

 次に鋼製円筒型石油タンク基礎の主流をなす地盤改良工法と盛砂基礎の設計の基本的な考 え方を論ずる。前述のタンク本体からの要求を満足させるものでなければいけないことは当 然であるが,一方,建設予定地が確定すると土質条件にも制約されるのである。

 基礎地盤の設計については第2章において具体的に詳細に論じたので,詳細なことは本節

一198一

においてはぶき,基本的な考え方のみを論ずることとする。  粘性上質であれば,その支持力と沈下特性を充分に把握した後に,地盤改良の必要性の有無

を充分に検訂しなければならない。この時大切なことは,地盤改良丁法が,現場で設計者の 意図するところを充分反映できるような精度の高いものでなければならない。いいかえると
施工,施.1:管理が容易なものでなければならない。砂質地盤の場合でも同様である。

 さらに大切なことは設計者は設計をする以前に現地に出かけて,ヒ質資料等自分自身の目
と手で確めるという心がけが必要である。

 議論の上では,粘性土地盤,砂質土地盤と分けて論ずることはできるが,現実には,粘性 fl,砂質土が2層になったり,混在していることが多いので,このような場合の地盤改良「
法の選択は非常に困難なのである。

 それはある面からみると,粘性土と砂質土は相反する性質を有するからである。この時大 切なことは,何が最も重要な要素であるかを充分に検討して,その優先順位をつけることで ある。するとおのずから犠牲にする要素が明らかになる。その時既存の工法にとらわれる必


要は毛頭ないのである。

 盛砂基礎については第3章で詳細に論じたので本節ではその基本的考え方のみを論ずるも
のである。盛砂基礎は直接タンク本体と接しているためにその挙動は直接,タンク本体に影 響を与えるがこの盛砂基礎の締め固めの度合いが不均一な場合は直ちに局部的な不与沈下が 生ずる。盛砂基礎の表面はタンク底板と直接接するためにこの部分でタンク底板の防蝕対策 を構じなければならない。過去にはタンク底板の裏面にアスファルトプライマー等を塗布し て防蝕対策を構じていたのであるが,タンク底板相互の溶接を行う時に溶接部のアスファル トプライマーが溶解するのでその結果,アスファルトプライマーの膜のある部分とない部分 が生じ,かえって腐蝕を促進することになるという理由から直接タンク底板裏面に防蝕対策
を行うことをさけるようになった。

 その代りに盛砂基礎の表面にアスファルトコンクリート等で舗装を行って,防蝕対策とし ているのである。このアスファルト舗装を計画する時に考慮しなければならないことは,盛 砂基礎表面の形状である。通常の石油タンク基礎においては,中心部が側板部よりも半径の 1/120程度の勾配で高くするものが多いが,この形状の基礎であれば,普通のアスファルト


モルタルで舗装しても問題はないのである。

 その理由は,タンク底板施工時の降雨に際し,タンク底板相互の溶接未了の部分から雨水 が基礎表面のアスファルト舗装の表面に達しても中高であるためにアスファルト舗装の表面
を流下してタンク周辺部へ流出するからである。

 全体的にみると数はあまり多くないのであるが,タンク中心部を側板部よりも低くするタ

一199一

ンクがある。底板の変形の問題から考えると第4章で論じたごとくこの形式の方が合理的で
あるので,今後増えることがr・想される。

 このような中低くの形状のタンク基礎の場合普通のアスファルトモルタルのような透水性 の少いもので舗装を行うとタンク底板施1二時の溶接未了の部分から雨水が盛砂基礎の表面に 流入するとタンク中心部に水が溜ることになるので,このような形状の盛砂基礎の場合には 透水性アスファルト舗装を行う必要があるのである。ただし盛砂の材質によっては雨水が浸


透することにより盛砂基礎の支持力が低ドするので注意しなければならない。

 このようなことを考慮してつぎのような盛砂基礎の構造を提案するものである。中心の低 い形状の盛砂基礎の場合その表面は透水性のあるホーラスアスファルトにて舗装を行い,そ の直下には砕イi等の透水性の良好でしかも水分を含んでも変形を生じたり支持力の低ドを生 じない層を設ける。その下に不透水層を設け,しかもこの層は中心部を高くし,周辺部を低


くするのである(詳細は図5・2参照)。

透水性アスフ了・・卜1

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〇一

σ ρ%  o

A 、  、   L、 A 噛

      不透水性層(膜)アスノァルトモルタル

図5・2 盛砂基礎構造の一例
 このような構造にすれば,透水性アスファルト舗装を透して,盛砂基礎へ浸透した雨水は 不透水層に達した所で基礎周辺へ排水されるのである。一方盛砂の材質によっては芒管現象

で地下水を盛砂へL昇させることがあるが,この不透水層の存在のためにそれ以ヒのL昇が
不能となり,タンク底板を腐蝕環境からまもることができるのである。さらにタンク底板に 漏洩が生じた場合にこの不透水層に沿ってタンク周辺部へ油が流出するので漏洩を早期に発 見できる漏洩探知の役割を果すものである。漏洩を早期に発見することは事故を未然に防ぐ ことになる。このような構造は中心部が高い形状の場合でも利用できるものである。大型タ

ンクの場合タンク底板の溶接に1ケ月や2ケ月要するので,普通のアスファルトモルタルで
舗装した場合には,タンクの底板部の雨水に対する養生が不充分な時に,局部的にタンク底 板とアスファルトモルタルの間に水溜りが生じて,タンク底板の腐蝕の環境を作るおそれが ある。この場合も前述の構造を採用すれば,局部的な水溜りが生ずることを避けることがで
きるのである。

一200一

 盛砂基礎の設計において重要なことは,鋼製円筒型石油タンクの構造が非常に柔軟である

ために部分的な破壊を起すおそれがあることである(図5・3タンク基礎の部分破壊の例参
照)。

図5・3 タンク基礎の部分破壊の例
 一般には,タンク底板の最外周部を構成するアニュラープレートは他の底板よりも厚さが 厚くなっていて最少幅が1.5m程度あるのでこの部分は他の部分よりも剛性が高いのである。

したがって,部分破壊を検討する時に載荷幅Bは1,5m程度に考えることも一っの方法であ る。あるいは,タンク側板の直下を中心に内側2m,外側すべて砕石リングにしてせん断力
の増加を計ることも合理的な方法である。

 このように盛砂基礎の外周部を砕石リング構造にすることは,タンク側板部付近で漏洩が
生じても,Flus止}outを防ぐ効果もかねることになり安全面からみても有効な方法である。

 さらに,地震時,タンク側板直下がコンクリートリングのような剛性の高い変形がほとん

どない構造の場合は.前述のごとく,タンク側板が坐屈を生じていわゆるElephant Foot
の現象が生じタンク本体の破壊を招くおそれがある。砕石リングの場合は,ある程度の変形 が生じて,タンク側板に作用する鉛直力を緩和する役目をするのである。しかも砂程大きく 変形しないので,地震時にタンク側板近傍のアニュラープレートに大きな変形を与えないの

である。以上のような考え方を基本として最近設計,施工した実例を図5・4に示すもので
ある。{a)はタンク,基礎,Pre−Load用の盛土の断面を示す。{b)は, Packed Drain配置 平面を示すものである。{c)は盛砂基礎外周部の砕石リングの詳細を示すものである。

 5・2 タンク基礎の施工に関する基本的考え方
 従来,一般的に,理論や設計に対して,施工は,軽視されがちであったことは,否定でき ない。施工は図面に示された形状のものを作ればよいという考え方が支配的であった。しか

一201一

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タンク運転時底板勾配1/120

アスフア・レト1 [O

アスファルトモルタル50%
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図5・4

石油タンク(100,000KL)基礎設計実例図

一202一

し表面の形状は勿論であるが最も重要なことは,その理論の精神であり,設計の意図するこ とを理解することである。この鋼製円筒型石油タンク基礎のように地盤改良工法を主体とす
るような基礎の場合には出来上った姿では,重要な部分の大半は形状を有しないものである。

あるいは人目にさらされない地中部分に重要な部分があるのである。いずれにしても,理論 や設計は現実に物を作るための手段の一つである。最終的には現場で,施工して作るのであ る。この時施工にたずさわる人々が,理論の精神や設計の意図を理解していなければ論外で


である。

 むしろ,施工が完全に行われることにより理論や設計をはじめて生かすことになる。特に 基礎地盤の施工にあたっては,設計によって示された数値は,絶対的な値を示しているので
はなく一一種の尺度であると理解しておくべきである。現実の地盤の挙動を観測することによ

ってその修正を行いながら,より安全で合理的なものを作ることが,上質工学の基本的な考
え方であるからである。

 このような基礎を建設する場合には種々の計測器の設置や観測が行われるが,一般に邪魔 物あつかいをすることがあるが,そのような考え方はもっての外である。このような計測器 は警報器であり,信号器であると理解しておくべきである。一方,このような計測器の特徴 を充分に理解しておくことが必要である。そうすることによって計測器が示す値が正しいも のであるか,否かの正確な判断ができる。基本は,人間が機械を使っているのであって,機


械に振りまわされるようなことがあってはいけない。

 鋼製Fij筒型石油タンク基礎の施工に関する基本的な考え方としては,その上載構造物であ る鋼製円筒型石油タンク本体を安全に支えるということが基本になければならない。単に基 礎の形式上の施工が完了したから基礎に関する施工の管理も完了したという考え方ではいけ ないのである。タンク本体の施工に関しても目を向けなければ真の意味の完全なタンク基礎

の施llは完rしない。先に論じたごとく,タンク底板部の腐蝕環境を生じせしめないために
盛砂基礎の表面にアスファルトモルタルや状況に応じて透水性のアスファルト舗装を行うの である。しかしタンク建設時に雨水に対する養生等をおこたると,タンク底板と盛砂基礎部

の間に水が溜ったりして,腐蝕の環境を生じさせることにもなるので,タンク本体と基礎
とは同一の管理体制の下に施工管理を行わねばならないのである。さらにタンク建設後の水 張りテスト時におけるタンク本体の挙動ならびに基礎の挙動についても充分な管理が必要で
ある。一般の構造物の場合には基礎が施1二された後にL載構造物が構築されるが,この時.ヒ

載構造物に対して,±質工学的に基礎が充分であれば問題がないのである。この主たる理由 は,上載構造物は独立した構造的な剛性を有しているからである。鋼製円筒型石油タンクは 可擁性が大きく柔軟な構造であるヒに,特に底板部は基礎に支配される要素を多く有してい

一203一

る上に腐蝕の問題,形状の問題等が直接基礎とかかわり合いを持つことから,特にタンク本
体の施r一に関しても目をはなすことができないのである。タンク水張りテスト完了後のタン

ク内部特にタンク底板部の検査が完rした時点をもって,鋼製円筒型タンク基礎の施工が完
了したものと考えることが正しいのである。

 鋼製円筒型石油タンク基礎の設計施工に関する[学1二の基本的考え方は,土質[学上の立 場に立って,しかも,タンク本体の工学ヒの立場を充分理解したヒで,その設計施工にあた らなければならない。土質工学上の立場からのみ石油タンク基礎の設計施工を行うと,基礎 が残って,タンク本体が破壊するというような本来の目的と異るものができるおそれがある。  特に,施工に関しては,タンク本体とその基礎とを分けることなく,統一された思想でこ れを行うことが必要である。このように一貫した考え方で設計,施工を行うことによってタ


ンク本体と基礎の境界面の工学を含むタンクー[学としての体系作りが行われ,安全で,合理 的な鋼製円筒型石油タンク本体とその基礎が建設されるものと確信する。

 さらに,従来の盛砂基礎形式は前述したごとく,タンクの操業ヒの理由とか,腐蝕の環境 の問題とかの理由で多く使われてきたのであるが,・L質工学ヒの安定からみれば,むしろ周 辺地盤面よりも,石油タンク載荷部分が低い方が好ましいものである。今後はこのような基 礎形式のものを考えるべきである。ただしその場合には,本来の石油タンクの機能に支障の


ないように配慮しなければならない。

 これもタンク本体と基礎を総合的に考えることにより,基礎r.学からみて安定してしかも
経済的に有利になる方法がみだせるものと思われる。

一204一

参考文献
(1)岩切 淳,岡林郁夫:大型タンクとその基礎,土と基礎 Vol.23, Na 9 1975年9月
   上質工学会 p.43∼45.
(2)岡林郁夫:オイルタンクの基礎,Vo1.9, No. 3 1981年3月, p.23∼30.総合土木研

   究所

(3)玉置明善編:化学プラント建設便覧,p.453∼458.1972年7月
(4)A.P.1:Welded Steel Tankfor Oil Strage. A.P.1.Standard 650 Appendix

一205一

 鋼製円筒型石油タンク基礎は「学的に,いかにあるべきかを考察するにあたり,単に,tl
質・1二学分野の、Z場からのみ論ずべきではない。鋼製円筒型石油タンク本体の機能的,構造的

特性をも充分考慮してタンク本体と基礎とを統一・された工学的立場に立って論ずべきである。
これが著者の見解である。

 本論文は,この点について,著者の見解を随所に具体的に示して強調したものである。
 各章を要約すると次のごとくである。

 第1章では,上載構造物である鋼製円筒型石油タンク本体の機能的特性ならびに構造的特 性の概要を論じ,第2章以降に論じた鋼製円筒型石油タンク基礎の考え方を示唆したもので
ある。この章で明らかにしたことは,鋼製円筒型石油タンク本体は非常に可擁性に富んだ柔 軟な構造物であり,かっ底板を通して直接内容物の荷重を基礎に伝達するいわば氷のう的構
造物であるということである。

 第2章では,鋼製円筒型石油タンク基礎の地表面以下の基礎地盤の改良について論じた。

特に臨海地区の埋立地の軟弱地盤Eに鋼製円筒型石油タンクを建設する場合その基礎の地盤 改良「法は高い信頼性を要求されるのである。そこで著者は,従来の地盤改良r法を検討し
た結果,それらの工法の中に理論と実際との間に矛盾点を発見した。その矛盾点を研究,解
決することにつとめた結果,粘性土層に対するバーチカルドレーン工法の一一つとしてPacked−

Drain工法を開発したのである。  Packed−Drain工法を数多くの石油タンク基礎ならびに道路,宅地造成等に適用した結果,

Packed−Drain 打設時に比較的短時間で地盤が沈下する現象があることが確認されたので
ある。以後の実施例,ならびに実験を通じてその現象の原因についての研究,解析を行った

のである。その結果,Packed−Drain打設時のケーシングによる周辺土の横方向への排除現
象の結果間隙水圧の上昇が生ずるのである。

 その現象に加えて,打設振動によりケーシング周辺への集水効果,さらにケーシング引き 抜き時の圧縮空気による強制排水効果等の機械的エネルギーによる有効応力が生じて一種の

圧密現象が生ずることが確認されたのである。Packed−Drainの特徴である袋体が周辺土 との間に鮮明な壁面を構成することにより壁面効果現象がPacked−Drain打設時の排水効
果をさらに助成する現象があることが確認されたのである。従来にもケーシング打設時に過
剰間隙水圧が生じて,しかも短期間に消散するという現象があるという研究報告はあるが,

沈下現象に対する明確な把握がなかった。Packed−Drain打設による現象は明確に沈下を

一207一

ともなうものであるから,著者は圧密現象の範疇ものであると結論づけたのである。

 従来から,一般に利用されている圧密沈下量を推定する式を使って推定した沈下量は,こ のPacked−Drain打設時の沈ド量を含んだものとよく一致する。いいかえると, Packed−

Drain打設時の沈ド量を無視すると,現実の地盤改良工事において,大変なトラブルが生
ずるのである。

 次に,従来ゆるい砂質土地盤の地盤改良工法として数多く採用されてきたバイブロフロー
テイション工法や圧密砂杭一[法&の設計,施工管理にあたって,その尺度を充墳材の量にお

かれており,そのことが,振動による締め固めという本来の基本理論からはずれたものであ ったことに着目し,より理論に忠実な新しい締め固め工法を開発して,約40基の石油タンク 基礎に適用して,その効果を確認したものである。この工法の特徴は,充填材の量は対象地 盤のゆるさ度合に関係なく一定量にして,地盤に応じて与える振動のエネルギー量を変化さ せるものである。この方法を採用することにより,基本的な理論と実際とをより近いものに したものである。著者の地盤改良工法に対する基本的見解はその基礎理論と実際とが矛盾し ないで一貫して初めて,土質r二学的に確立された工法と称せられるものであると確信するも


のである。

 第3章においては,石油タンク本体と直接接する盛砂基礎について,土質上学的な面を中
心にその・[学的な意義について論じた。

 常時における盛砂基礎の意義,さらに地震時における盛砂基礎の挙動について,研究,解 析を行ったものである。その結果として,盛砂基礎はタンクの局部沈下に最も関係の深い要 素を有していることが明らかになったのである。従来,工学的にほとんど研究が行われてい


なかった盛砂基礎を工学的に理論づけたものである。

 第4章は,石油タンクと基礎との関連性についての研究を行い,その結果を論じたもので
ある。特に強調したことは,つぎの点である。基礎の不等沈下が,タンク本体に悪影響を与
えたり,破壊を生じさせるような議論がある。

 このような考え方が正しいか,否かを分析し,さらにタンク本体に不等沈Fを生じさせる
原因の研究,解析を行って,その理論づけを行ったものである。さらに,従来全く同一形状 であるがごとく考えられていた盛砂基礎の表面形状とタンク底板とは各々独立したものであ
るということを明確にし,鋼製円筒型イi油タンク基礎はそのヒ載構造物の特性に合ったある

程度の変形を許容する構造であることが望ましいとの見解を論じたものである。タンク本体
と基礎との相圧関係を明白に解析し,その双方を・一貫した考え方を通じて,タンクIl学のあ
り方について示唆を与えたものである。

 第5章においては,鋼製円筒型石油タンク基礎の設計,施工に関する基本的考え方を示す

一208一

とともに,その方向づけを行った。

 この考え方の基本をなすものは,単に,土質力学的に鋼製円筒型石油タンク基礎を捉える のではなく,タンク本体と基礎を綜合的立場に立って,そのあり方を示したものである。さ らに,タンク操業中の事故に対処し得るような要素を含めて,鋼製円筒型石油タンク基礎の 合理的な構造ならびに考え方を論じたものである。施工にあたっては,その設計の基本的理 念を充分に生かすには,その基本的な考え方はいかにあるべきかを論じたものである。  著者は鋼製円筒型石油タンク基礎を構築するにあたって,必要な土質工学的諸問題の研究 開発を行ったものである。それ等の結果を,土質工学的立場からみると円形載荷重である鋼 製円筒型石油タンク基礎に実際に適用し,その挙動を観察,解析することにより新しい地盤

改良工法の正当性を実証したものである。このことは,直径約100mにもおよぶ現位置圧密
試験を行うことである。このような大規模な圧密試験と従来の試験室における室内圧密試験 の結果より得られた資料からの推定値が,理論から施工まで一貫した工法で,しかも充分に 管理されたものであれば,実用上ほとんど問題なく利用できることを実証したものである。

タンク基礎の地盤改良を主目的として研究開発されたPacked−Drain工法,新しい締め固
め工法は鋼製円筒型石油タンク基礎の地盤改良のみならず土質工学一般の地盤改良工法とし

て,客観的に広く適用し得る工法である。現実に,Packed−Drain工法は,我国において
広い範囲に適されている。

 さらに,米国をはじめ欧州からも大いに興味を持たれている工法である。  著者は,本論文において地盤改良工法の理論と実際をいかに一致させることが重要である かという点と,土質工学は理論と実際とが一貫してはじめて確立されるものであることを強


調して論じたものである。

 鋼製円筒型石油タンク基礎については,単に沈下とか,不等沈下のような一事象のみに捉 われて考えることはその本質を見失うものである。その上載構造物であるタンク本体の特性, 基礎の特性を充分に理解して,綜合的な視野に立って考察することが,不可欠なことである


と確信するものである。

 今後の問題としては,地盤改良工法の載荷重方法として,盛土載荷法,真空工法,地下水 位低下法等があるが,盛土載荷法は大量の土砂の移動にともなう社会的問題をも含めて種々 な問題を有しているので他の工法の実用化を強力に促進させることが必要である。  さらに,合理的な方法の研究開発することの必要性を痛感するものである。

 一方,石油タンクのような危険物を貯蔵する構造物はポテンシャル・エネルギーの低い地

中式タンク(in Ground Tank)地下式タンク(under Ground Tank)型式への移行を
考慮すべきである。このような型式のタンクが合理的に,経済的に建設できるような研究開

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発こそ今後の石油タンクにとって重要な課題であると確信するものである。

 現状の地ヒ式石油タンクもその基礎との関係から土質工学と深い関連性を有するものであ
るが,地中式タンク,地ド式タンクの時代に入って,土質工学,.卜木工学と石油タンクとの 関係はますます密接なものになるであろう。

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      E五
      口1コ

A.P,1.:American Petroleum Institute.

C.T.S.:Crude Central Terminal Station。
b

オイルデポ(O.D):Oil Depot.

L. P. G.:Liquefied Petroleum Gas

LN.G.:Liquefied Na tUral Gas

A.S.CE.:Ameri can Society of Civil Engineers・

一211一

 本論文は,著者が京都大学工学部土木工学科卒業後,20余年の間に鋼製円筒型石油タンク
とその基礎に関して,設計,施工の実務ならびにその技術の研究開発に従事して得た経験と, それから得た成果をまとめて考察したものである。

 在学中から終始,懇切な御指導を賜った,京都大学工学部教授工学博士松尾新一郎先生に
対して衷心より感謝の意を表する次第である。  同先生は,特にここ数年来,日本学術会議会員として,土質Il学の分野のみならず.ヒ木工

学全般にわたって,国家的,国際的に御活躍される御多忙にもかかわらず,著者に対して, 単に土木工学のみならず工学全般にわたる物の考え方を身をもって御教授下され,ここに重
々感謝申し上げるものである。

 また,京都大学工学部土木工学系の諸先生方をはじめ,各委員会関係の諸先生方には,常
々幾多の御指導を受け,ここに成果をまとめることができたものである。  著者の勤務する会社の性格上,研究開発の資料は業務一ヒで得たものが多く,このことは会

社内外の先輩諸氏ならびに同僚後輩諸氏が,特にエンジニアリングノウハウを重んずる社会
において,その好意と協力によって発表させて頂いたものである。

 このような多くの方々の御指導,御尽力により本論文がまとめられたことに対して,ここ
に改めて,深く感謝の辞を述べさせて頂くものである。

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