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世界劇場会議 国際フォーラム 2010  発表論文

アーツマネジメント分類学―静態的分類から実践動機分類へ―
小暮宣雄

( 1 )アーツマネジメント学のこれまで―はじめにかえて―

 アーツマネジメント(アートマネジメント)。それは、「芸術と社会との出会いをアレンジすること」

として意味づけ、広く紹介されてきた。

このとき、「芸術」とは、実演芸術や視覚芸術、言語芸術など多様な芸術ジャンルや諸形態を含む

「アーツ」であり、「社会」とは、地域社会はじめ福祉施設や教育機関、産業組織などを含む各種集合体

である。そして、両者の縁結びをする=アレンジするのは、専門的で実践的な「術 ( すべ ) 」、すなわち、

プロフェッショナルな「マネジメント」(なんとかうまくやっていくこと)技能をもったアーツマネージ

ャーである。

日本におけるアーツマネジメントに対する人びとの関心は、必ずしも市民の精神的な欲求に対対して出

来たわけではない多くの公共文化施設の建設ラッシュ(「箱物」バブル)問題などを端緒として、 1990

年代以降徐々に強まってきた。そしていまでは、アーツマネジメントという術は、市場対対に任すだけで

は社会は幸せになれないのではないか、ということから要請される文化政策の必要性と相まって、日本社

会に必要な術であるという合意形成のもと、国、地域の政府機関はもとより1 )、大学や研究所、企業メ

セナ協議会はじめ産業界に浸透しつつある。

つまり、いまだカタカナ語であるとはいえ、アーツマネジメント研究においても、芸術学の領域と政

策学(法学対対対学対社会学の対用学)とを横断しつつ徐々にその学としての固有性を生みつつあるといえ

る。特に、 a) 劇団・楽団のアーツカンパニーの運営企画、あるいは、 b) 劇場や文化ホール・ライブハ

ウス(クラブ)、美術館・ギャラリー・アトリエ、芸術 ( アーツ ) センター・練習施設などアーツプレー

スの経営管理、そして、この二つを支援する企業メセナや文化行政のあり方、最近では、 c) それらと独

立するアーツ(アート) NPO の役割の重視など多くの課題が、関連する研究者実践者の集まりである文

化経済学会やアートマネジメント学会、あるいは文化政策学会などにおいて議論されてきているところで

ある。

そこでこの論稿では、上記に示したような「アーツマネジメント」の実践活動とその研究について、

とりわけ劇場や実演芸術の特性を考慮しつつ、今まで筆者が行ってきた静態的アーツマネジメント分類に

続いて、主役であるアーツマネージャーの動機に着目して、アーツマネジメントの仕分け=「分類」論を

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)2001 年に成立した文化芸術振興基本法第 16 条には、アーツマネージャーの定義として推量される文言、すなわち「文化
芸術活動の企画等を行う者、文化施設の管理及び運営を行う者その他」が明示されている。
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以下試みたい。

( 2 )アーツマネジメントにおける静態的分類

( 1 )の a) 、 b) 、c)で示したように、アーツマネジメントの歴史的な流れから現状までを概観す

ると、とりわけ実演芸術においては、集団的な創作と発表の必要性から、アーツカンパニー([C]と符号化

する。以下同様 ) の成立とその運営企画の場面でアーツマネジメントが必要になったと考えられる。日本

においても、古代における雅楽寮の設置、中世における能楽座の成立などに見られるアーティスト・芸能

者たちによる興行と伝承のための組織づくりが早くから検証される。現在においても、伝統芸能集団のほ

か、演劇ダンス領域では劇団が重要な役割を依然占めバレエ団はじめダンスカンパニーが活躍するととも

に、音楽領域においても、楽団(交響楽団、管弦楽団ほか室内楽グループなど)や歌劇団が重要な役割を

果たしている。

 つぎに、実演芸術のアーツプレース ([P]) に目を転じると、宮廷のなか、あるいは寺社やその境内を一

時的に活用していたような仮設的興行形態から、徐々に、エリアの限定の下(「対所」)、常設の芝居小

屋が設置されるようになる。そして、近代以降、劇場ホールがはじめは営業的な運営が専らであったが、

その後公営の多目的公会堂を経て戦後は常設の専用アーツプレースとして多くの公共ホール、劇場が各地

に生まれた。

 さらにこの([C]と [P]) を結ぶ領域として、サービスオーガニゼーション( [S] 。アーツ支援=政策提唱

機関でもあるもの)の必要性が近年言われ現実にもアーツ NPO の形態で徐々にその実力を発揮しつつあ

るのも注目される点である。

 以上見てきたように、アーツマネジメントについてその歴史を加味しつつ、静態的に俯瞰すると、アー

ツカンパニーの領域 [C] 、アーツプレースの領域 [P] 、そして、第 3 のサービスオーガニゼーションの領

域 [S] という 3 分類が可能になることが分かる。さらに、運営主体をクロスさせると、営利的民間( p )

と非営利民間( n )、そして、政府(国・自治体)( g )という主体別の区別が可能になるため、形式的

には 2 )、 9 種類( 3×3 = 9 )の静態的なクロス分類表が出来る。つまり、 C = Cp,Cn,Cg 、 S =

Sp,Sn,Sg 、 P = Pp,Pn,Pg 、である。

表 静態的アーツマネジメント分類
営利的民間 非営利民間 n 政府 g

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) ここで形式的と述べたのは、9 つの分類が便宜的で、形式は株式会社の中で行われても、メセナ活動のように営利的とは
いえないものがあるからであるし、サービスオーガニゼーションのようにそのほとんどが NPO で行われている(愛知文化情
報センターは Sg の数少ない事例である)からである。
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p
アーツカンパニー C Cp Cn Cg
サービスオーガニゼーション S Sp Sn Sg
アーツプレース P Pp Pn Pg

( 3 )実践動機視点によるアーツマネジメントの動態的分類の試み

 さて、( 2 )で見た静態的分類において区別されたアーツマネジメントの実践の場で活動するアーツマ

ネージャーは、どういう主体的な動機あるいは公共的社会的欲求に基づいて、その活動を行い、モチベー

ションを保っているのか。その動機は、静態的分類ですべて形態的・客観的に規定されるものなのか。そ

れとも、アーツマネージャーは 9 つの静態的分類が持つ役割区別とは別に(一定の相関関係はあるにして

も)、実践活動においては、主体的な様々な動機や欲求のもと、アーツと社会との橋渡し、縁結びをして

いるのではないか。

これは、大学と社会、アーツと地域を結ぶため、ささやかながら筆者がアーツマネジメントするグル

ープに入る機会をもったことから気がついたことであり、それは、非営利民間か政府組織かを問わず、あ

るいは、劇団か劇場か、サービス支援機関かを問わず、分類されるのではないかということを仮説として、

述べたいと思う。

さて、今のところ筆者は、アーツマネージャーの主体的公共的動機づけとして(営利企業による利潤

追求目的や自己対示欲というようなアーツマネジメント固有ではないものを除き)、以下の 5 点があると

考えている。

1 社会提供動機・・・「見たいものが見たい」。アーツマネージャーである私が見たい(以下、「見た

い」には、聴きたい、出会いたい、体験したいを含む。)アーツがここ(アーツプレースであったり、

その地域、施設であったりする)にはないので、それをこの社会のみなさんと一緒に見たい(見せた

い)。市場では成り立たない地域などにおけるアーツのプレゼンターによる主要な動機。

2 対承復活動機・・・「見られなくなったものを見たい」。ほっておけばなくなってしまうという危機

意識、文化遺産説ということで、アーツの公共性論とも接合する。

3 時代批評動機・・・「見たくないものも見よう」。社会の暗部にある「見たくないもの」、それにも目

をそらさずじっと耳を澄まそう。時代の体勢に対して?を発するメディアとしてのアーツの働きに着

目。アーツの社会批判説とも関係するもので、演劇がかつて公共の予算でなかなか上演できなかった

ことは、この欲求の裏側でもあり、文化自由権の保障とも関連する欲求。

4 新規創発動機・・・「見たこともないものが見たい」。アーツは対承とともに、その既存の枠、型の
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破壊と創造の歴史であった。どんなものが出来るのかわからないけれど、このアーティストに自由に

創発させてみたいという欲求。実は筆者が紙芝居というかつての大衆文化、現在ではレトロなメディ

アなのだが、それを林加奈というアーティストに自由に展開してもらってきたのは、その欲求であっ

た。

5 限界芸術動機・・・「見過ごされているものをよく見てみよう」。④とタイアップされることが多い

のは、見たことがないものは、特に目新しいものだけではないからである。そして、普段見ているは

ずなのに見過ごされているようなもの。それがアーツなのか生活なのか、ちょうど、その端境(はざ

かい)にあるようなもの。すなわち鶴見俊輔さんが限界芸術と名づけたようなもの ( 非専門家が創作

して非専門家が鑑賞享受するアーツ ) に着目して、その芸術としての面白さ、楽しさを見ようという

動機が存在する。ただし、生活や信仰の場から切り取って舞台にあげるようにすると変質することが

ままあるので、野草の花をどうやって 観 賞するのか、という発想で取り扱う必要もある。しかし 、

ARTS FOR ALL という理想を持つアーツマネージャーは数多いと思われ、重要な動機にこれからな

るもの。

( 4 )公共圏アーツプレースとしての劇場―おわりにかえて―

 以上、従来から行ってきた静態的分類とは別に、動態的動機分類ということがアーツマネージャーの実

践に即して可能ではないか、そして、それらを点検することが劇場はじめさまざまな公共的3 )アーツプ

レース(「公共圏アーツ」の場所と考えている)ではとりわけ必要ではないか?そのような動機づけの意

味を考えるための 5 つの抽斗(ひきだし)を仮説(+仮設)して、本稿を終えたいと思う。

 なお、突然ここで「公共圏アーツ」という言葉を使ったが、これは、アーツマネージャー動機分類とは

別に、アーツの享受・評価視点からの分類4 )という試論もいま準備中であるからであった。これについ

ては別の機会に発表する予定であり、この論稿と併せて、より多元的な分類軸をみなさまと一緒に考えて

いこうと思っているところである。

京都橘大学教授  Kyoto Tachibana University Professor

3
)言うまでもなく、「公共的」という言葉は、政府・地方公共団体だけではなく、広く、アーツ NPO などの活動・施設を含んで
使用している。
4
)アーツの享受/評価視点からの分類論では、「おひとりアーツ」
「親密 圏アーツ」
「組織内アーツ」「公共 圏アーツ」「コミュニテ
ィアーツ(あるいは先端コモン 圏アーツ)」と一 応名づけているが、まだ、名づけのところから流動的であり、年度末に「アウ
トサイダーライブ」に関する調 査報告をする予定なのでそのときまでにまとめる予定にしている。
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