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J. Non-Cryst.

Solids, 1969, 1, 269

非晶質および液体ホウ素酸化物の構造

J. Krogh-Moe

原題: THE STRUCTURE OF VITREOUS AND LIQUID BORON OXIDE

溶融ホウ素酸化物とホウ素酸化物ガラスの構造モデルを総観する。モデルはホウ素酸化物
の分光学的データ、回折データ、他の物理的特性に関する文献をつかって議論された。

1. はじめに

今日最もよく知られたホウ素酸化物ガラスの構造は、Zachariasen によって提案された
平面 BO3 三角形によるランダムネットワークだ[1]。このモデルに対する重大な反対意見が
持ち上がっている。Fajans & Barber[2]は 1952 年にランダムネットワークは非晶質およ
び液体ホウ素酸化物ガラスの多くの物理的特性を説明できないと指摘した。強いホウ素ー
酸素ボンドによるランダムネットワークのコンセプトは、たとえばホウ素酸化物融液の比
較的に低い粘性などと調和的ではない。Fajans & Barber[2]は、ホウ素ー酸素ボンドは珪素
―酸素ボンドより強いにもかかわらず、1260℃でホウ素酸化物の粘性率はシリカのそれよ
り係数で 10-11.6 ほども小さいことを 観測した。この違いは低い温度でより 顕著になってさ
えいる。これと他の同様の推定を持つ観測は人々に非晶質および液体ホウ素酸化物ガラス
の様々な構造モデルを提案させた。
以下においてより重要なモデルを簡単に総観する。様々なソースからの存在可能な構造
の情報をもとに、様々なモデルが議論されるだろう。

2. ホウ素酸化物ガラスの構造モデル

2 つの主要なタイプのモデルがすでに提案されている、つまりランダムネットワークモデ
ルと、分子モデルである。
ランダムネットワークモデルを図 1 に概略的に表す。ホウ素原子が酸素が角を構成する
正三角形平面の中央にあるように見なせるだろう。三角形はそれらの角でランダムな形で
つながっている。図 1 から、それらが結果として環状系をなしているのがわかる。図中で最
も小さいリングは 8 員環(つまり、4 つのホウ素と 4 つの酸素)である。このリングの大きさ
の統計は明らかに、ネットワークの特性に対する重要な量となる。
Goubeau & Keller[3]はホウ素酸化物ガラスはボロゾル環(boroxol ring、すなわち 6 員
環)から構成されると提案した。Krogh-Moe[4]は、この 6 員環に関するさらなる証拠を与え、
これらの環構造によるランダムネットワークを示唆した。リングの統計の観点からいって、
これはクラシックなランダムネットワーク論によっては予測できない 6 員環の優勢を意味
する。これを概略的に図 2 に示す。
もっと多くか、あるいは少ないランダムネットワークは、図 1 や図 2 の概略的表現が示す
ような二次元レイヤーネットワークを要求しない。実際 BO3 三角形は空間中でのあらゆる
配向を仮定し、したがって相互連結した三次元ネットワークとなる。
平面 BO3 三角形に基づいた擬似結晶形モデルがまた提案されている。Borelli & Su[5]は、
ガラス中に図 3 に示されるような二次元的な秩序化領域が存在することを考慮に入れた。
この部分的モデルは 12 員環と 180°の B-O-B 角を伴う。しかしながら、平面上での BO3 三
角形の適当な回転は、B-O-B ボンド角をこの秩序構造で可能な 120°ほどまで減少させる 。
Macedo, Capps, Litovitz[6]は、相対的に弱い供与結合が図 3 に示されるようなタイプの
レイヤー間に存在し、この供与結合の破壊が様々な特性の説明となるということを提案し
た。
他の主要なタイプのモデルについて最初のものは、 Fajans & Barber[2]によって提案さ
れた図 4 に示すような B_4O_6 分子から形成されるガラスを仮定したものである。この分
子は既に確立された檻形分子 As_O_6 や P_4O_6 との同型構造を仮定している。分子は弱
い分子間ボンドで相互に結合している。Otter & Ruigh[7]は分子間ボンドを強さ 10-20
kcal/mole のホウ素―酸素供与結合と解釈した。ホウ素が平面的に 3 つの酸素に囲まれて
いると仮定するなら、B-O-B ボンド角は 70.5°ほどの小ささになる。これでは分子が 4 つの
平面的 BO_3 三角形を持つことはできなさそうだ。B-O-B ボンド角の許容できる最小値は
90°になるようだ、(もしこれよりなければ)ホウ素原子は 3 配位酸素の作る平面から外へ動
かなければいけないだろう。90°の角度によるホウ素の変位は、ボンド角を四面体状配置に
あるときのボンド角のほとんど半分にもする。ホウ素が酸素平面の外へと広がるので、とな
りの分子と供与結合を形成するというのはありそうなことで、このモデルは実際 4 配位ホ
ウ素原子をほのめかす。4 配位はふつうではないだろうが、しかしながら、このモデルは普通
ではない 4 配位の要求(不正確な)の存在と関係がある。それは結晶形六方晶系ホウ素酸化物
に存在している。
しかしながら、90°より小さい B-O-B ボンド角に頼らずとも、より大きい檻状の分子を平
面 BO_3 三角形から構築することは可能だ。B_8O_12(つまり、4 つの B_2O_3 ユニット)分
子のふつうの二十面体モデルは著者の知る限り、以前には考慮されていなかったものだ。こ
のモデルでは 20 個の酸素が正二十面体の 20 個の頂点に位置していて、ホウ素は 20 の正
三角形面のうち 8 つの面の中心を占有している。占有された面は互いに頂点のみを共有し
ている(図 4 を参照)。しかしながら、もしホウ素―酸素の檻が普通の B-O-B ブリッジによっ
て隣接する檻と互いに結合することが許されているなら、このモデルは事実上の(ぶんしモ
デルとは対立するような)ネットワークモデルとなる。このようなネットワークモデルは
Badger, Johnson, Kraehenbuehl[9]によって提案された。彼らは 4 つの BO_3 三角形が
つながった、BO_3 三角形による八角形リングが 2 つの檻状ユニットを提案した。しかし、よ
り大きな檻状構造は非能率的なパッキングになりがちで、したがって大きすぎるモル体積
を持つことになる。
上記で論じたモデルから離れると、ホウ素酸化物構造に関するさらなる提案が文献から
見つかる。たとえばイレギュラーな 4 配位のホウ素によるランダムネットワークがガラス
相で考慮されている[10]。また層間ホウ素―ホウ素結合を伴う、しわの寄ったホウ素―酸素
層構造が提案されている[11]ほか、ネットワーク中で 2 つの酸素にしか配位されていない
いくらかのホウ素原子の存在が、ホウ素酸化物の物理的特性を説明するために導入されて
いる[12. 13]。
以下で様々なモデルが、利用できる構造情報とともに比較される。構造の情報はいくつか
の方法で得ることができる。特に、核磁気共鳴分光法、赤外分光法、X 線回折分析である。しか
しながら、これらのデータを考慮する前に、ホウ素酸化物やホウ素酸化物の割合が非常に高
いホウ酸塩での結晶変化相の構造について概観することは、非常に興味深いことである。

3. いくつかの関係のある結晶相の構造

ガラスを形成する組成の結晶相は、同じ組成あるいは似た組成の非晶質状態において、構
造の要素たちがどのように存在するのかに関する便利なヒントをしばしば与えてくれる。
最近、ホウ酸塩での 2 つの結晶変化相の構造が決定された。安定な六方晶系の結晶変化相
は、平面 BO_3 三角形が図 5[13, 14]に示すような形でつながりあう、まったく三次元的な
ネットワークで組み上げられている。この相の密度は、構造的に異なるガラスよりそうとう
に高くなっている(2.56 g/cm3 と 1.84 g/cm3)。
斜方晶系のホウ素酸化物の高 圧力相は、さらに高い密度を持つ(3.11 g/cm3)。この相では
すべてのホウ素は 4 つの酸素に配位されており、いくつかの酸素は 3 つのホウ素に配位さ
れている[15]。BO_4 四面体は三次元ネットワークの中で互いにつながっている。この構造
は明確にガラス構造とは違うが、ホウ素酸化物中のホウ素が 3 配位から 4 配位に変形する
のに伴うエネルギーが極端に高いわけではないことを示している。
ホウ素酸化物に伴う、興味深い結合の構造が、もっとも高いホウ酸酸化物モル分率を持つ
ホウ酸塩の、9 ホウ酸セシウム酸化物(Cs_2O・9B_2O_3[16])の構造である。この構造は 2
つの三次元的連結を持っていて、2 つのネットワークは B-O ボンドに基づいている[16]。B-
O ボンドに沿って動くだけで、ひとつのネットワークが他方に来ることはできなくなる。二
つのネットワークのこの現象は、ホウ酸塩構造中ではまったく普通で、ホウ素酸化物ガラス
についてもまた考慮すべきことである。ネットワークは 2 種類の基本ユニット(図 6 を参照)、
3 ホウ酸塩グループとボロゾル環グループが量比 1:2 で構成される。ボロゾル環グループは
実際のところ、Goubeau & Keller[3]によってホウ素酸化物のために提案された 6 員環の
ことである。3 ホウ酸塩グループは、3 つのホウ素のうち 1 つが 4 配位になっている点でボ
ロゾル環グループとは違う。9 ホウ酸酸化物中のホウ酸塩の 2 つのネットワークによる系の
密度は(セシウムに重さがないと仮定すると) 1.76 g/cm3 である。この値は例のガラス密度
1.84 g/cm3 と比べ得る。したがって、9 ホウ酸酸化物の、ホウ素酸化物それ自体に対する何
らかの構造的類似の推測はもうすぐそこである。

4. 核磁気共鳴分光法

Silver & Bray[17]は 1958 年に、ホウ素が 3 配位をしているホウ素酸化物中の B 共鳴


11

の NMR シグナルの解釈を行った。四面体配位のホウ素からのシグナルは、まったく違った
ものであることがわかった。この結果はのちの研究で裏付けられている。たとえば
Svanson, Forslind, Krogh-Moe[18]はホウ素酸化物のスペクトルは、すべてのホウ素が平
面的 3 配位であると今は知られている六方晶系の結晶変化相のものとよく似ていることを
発見した。同じ結果が最近、Bray & co.worker[19]によって得られた。彼らがガラス中の無
秩序の影響のせいとしたラインの形の小さな違いに気づいていたのだったが。
最近 Svanson & Johanson[20]は、ホウ素酸化物中の 11B スペクトルから決定された四
極子共鳴カップリングがホウ素が平面上で 3 つの酸素に囲まれている場合の特徴的な値を
持っていると指摘した、つまり、酸素原子はまわりの原子と同じ方法で相互作用する。これ
はさらなる平面三角形 BO_3 配置のための支持を構成する。とりわけ、もし BO_3 グループ
中のホウ素が 3 つの酸素による平面の外へ目に付くほどに移動したなら同じ四極子カップ
リング定数が得られるというのは、有り得なさそうなことだ。不幸なことに、ホウ素が酸素
平面の外へ移動することによる影響の、完全に定量的な解析はできておらず、歪みの度合い
の検出可能な最小値は記載することができていない[20]。それにもかかわらず、NMR スペ
クトルは、合理的なボンド角を得るために BO_3 グループの相当な歪みを必要とする
B_4O_6 分子モデルを排除したようだ。上記のように、このモデルでの最小の B-O-B ボンド
角 90°はホウ素の、四面体配位になってしまうような平面外への変位を要求するようだ。同
様に NMR データは、かなりの割合のホウ素が 2 配位にあるようなモデルを排除する。

5. 赤外およびラマン分光法

ホウ素酸化物の赤外およびラマンスペクトルを解釈しようとするいくつかの試みがなさ
れてきた。これらのスペクトルは特にこのガラスの構造に関する重要な証拠を確かに与え
てくれる。図 7 で赤外とラマンスペクトルの比較が示されている。これらのスペクトルのあ
る興味深い特徴は、ラマンスペクトルの 808 cm-1 において非常に強いラインがあるが、赤
外にはそれに対応するものがない。これと、偏光度の観察は、808 cm-1 のラインはすべてが
対称振動によるものでなくてはならないことを示している。したがって、ホウ素酸化物で許
容される構造モデルは、すべてが対称振動になるような構造要素を高い割合で含んでいな
くてはならない。これはいくつかの構造モデルを明確に排除する、たとえばほとんど対称性
を提示しない古典的なランダムネットワークのようなものを。しかし、分子モデル、偽結晶
形モデル、ランダムなボロゾル環ネットワークなどはまだそこに残る。
B_4O_6 分子による分子モデルは、 IR とラマンスペクトルに基づいて、 Sidorov &
Sobolev[22]によって主張された。B_4O_6 分子は Td 対称を持ち、これは 808 cm-1 の対称
振動を説明するが、このモデルは上記で引用された NMR の結果を見ると、有り得なさそう
に見える。しかし、理想的な B_8O_12 分子としての、より大きな二十面体の檻状構造体は
NMR のデータとよく適合する。これはひょっとしたら要求されている対称振動も見せるだ
ろうが、このように大きな分子は容易にその構造を歪ませ、対称性を消し去ってしまう。こ
の B_8O_12 分子の振動的解析は未だ成し遂げられてはおらず、したがってスペクトルデー
タに基づいた評価は保留されなければならない。
偽結晶形モデルは Borrelli &Su[5]によって提案されたもので、構造の多くの部分で B-O-
B ボンド角が 180°になることを要求する。これは構造要素の 2 つの平面 BO_3 三角形が角
を共有し、この角のところで対称中心を持つようになることを導く。この構造要素が対称振
動の説明になるものとして仮定される。このモデルは 2 つの理由で不十分である。第一に 、
B-O-B ボンド角が 180°になるというのは異論の余地がある。まっすぐな B-O-B ボンドと
いうのは、精密な構造まで知られている多数のホウ酸塩結晶においてまったく見つかって
いない。理論的な観点からもまた、ホウ素―酸素ボンドの考慮すべき共有結合性は 180°の
ボンド角への反対を表している。第二に、このモデルはガラス中に存在すると信じられてい
る無秩序性を説明できない。もし液体的無秩序がネットワークに導入されるなら、対称条件
は緩和される。特に 808 cm-1 のラインがラマンスペクトルと同じくらいに赤外スペクトル
でも活性であることが見つかることを期待するだろう。この反対は、図 3 のモデル中の
BO_3 三角形を回転させただけで導かれるすべての似た偽結晶モデルに対して適切であり、
結果としての B-O-B ボンド角や、対称振動を働かせる構造ユニットの選択には関わりがな
い。
ランダムなボロゾル環ネットワークモデルは、図 2 に示されるように、ネットワーク中に
高い割合の 6 員環(ボロゾル環)を仮定する。この独特のリング構造は、いくつかの化合物中
で 知 ら れ て お り 、 800cm-1 に 特 徴 的 な 振 動 波 数 を 持 ち 、 ラ マ ン 活 性 し か 持 た な い
[3]。Goubeau & Keller[3]はその振動波数を主にリング中の 3 つの酸素を含む対称的なゆ
らぎの運動と解釈した。Krogh-Moe[4]はのちに、ボロゾル環ユニットにもとづいたホウ素
酸化物のスペクトルの適切かつ完全な割り当てを行った。Kristiansen & Krogh-Moe[23]
はウィルソン GF マトリックスによってボロゾル環ユニットの力の定数を計算した。この振
動解析は 800cm-1 の振動波数はリングの接続する原子の変化にはまったく感受性を持たな
いということを示した。振動が主にリングのまわりの環境に直に接続しない 3 つのリング
中酸素を含んだものであるので、この効果は理解できる。これは、対称ゆらぎ振動の選択規
則や配置への影響を与えることなく、リングをランダムネットワーク中に組み入れること
を許す。リングはまた充分に小さく、置かれる環境によって容易に歪まされることもない程
度の剛性がある。これはボロゾル環モデルが大きい分子のモデル (B_8O_12 のような)に 対
立するものとして好ましいことを示す。
興味深い点は、808 cm-1 のラインの温度依存だ。Young & Westerdahl[24]は、温度によ
る考慮すべき強度減少を見つけ、彼らはそれをもっぱら構造変化のためであるとした。いっ
ぽうで、強度減少は一般的に高波数側の吸収端が温度によって低波数側へ移動してくるた
めと言われる[25]。もし、Young & Westerdahl の仮定が正しいとするなら、ラマン観測結
果は、ボロゾル環構造の他の BO_3 三角形の配置への変形として説明されているだろう。観
測された強度の温度依存性は、さらなる仮定の組によって、この過程からエネルギーを得て
いた。Young & Westerdahl によって使われた、単純な 2 状態の 絵によると、ボロゾル環あ
たりの発生するエネルギーは 11.8 kcal/unit 、つまり B2O3 あたりだと 7.9 kcal/g.f.w. で
ある。これは認められていいものだが、しかし、高温状態の性質に関する違った仮定を入れ
ることで、他の値を得ることは可能だ。
これはボロゾル環安定化エネルギーの余剰の理由に関する問題を提起する。おそらく安
定化は平面リング中の π 電子の拡散から来ているので、芳香族的な性質を持つ。

6. X 線回折

Warren, Krutter, Morningstar[26]による、ホウ素酸化物の X 線回折に関する最初の古


典的な論文が出て以来、数多くの新しい研究が、本質的な新しい情報の追加なしに発表され
てきた。初期の論文は、制限された解像度のために、主に最初の配位領域の情報を与えた、例
えばホウ素が 3 つの酸素原子に 1.39Å の距離で囲まれているのが発見された。さらに、X 線
データはあらゆるサイズの結晶形領域も存在していないということを示した(これは上記で
引用した偽結晶モデルにさらなる疑念を投げた)。
最近、Warren & co.workers[27]や、Strong[13]は、短い波長の X 線を使ってかなり高角
度のコヒーレント散乱を測定することで、X 線回折法の解像度を著しく改良することに成功
した。ホウ素酸化物ガラスと 800℃のホウ素酸化物融液の動径分布曲線を、Strong の論文
[13]から複製して図 8 に示した。Warren によって、ガラス相[27]に関して基本的に同じ結
果が得られた。比較のために、スケールの描かれたボロゾル環ユニットが図中に示された。
ボロゾル環ユニットのすべての原子間距離は同時に動径分布曲線のピークを伴っているよ
うだ。c(2.9Å)、および e(4.2Å)と付けられたふたつのピークは特別に重要だ、これら 2
つのピークだけが、ボロゾル環の閉じた構造を特徴的に表しているからだ。観測上興味深い
ことに、これらの 2 つのピークだけが温度増加に伴って相対的な重要性を減少させる。この
曲線はどうやら、ガラス中に存在するボロゾル環の数が温度の上昇とともに減少するとい
う発想によく合っているようだ。
動径分布曲線上のピーク位置と、ボロゾル環モデルについて計算されたピーク位置のよ
い一致がこのモデルの決定的な証拠となるわけではない。上記で示された解析は不完全で、
同じぐらいのよい適合を与えるモデルは構築されうる。とはいっても、これまでに議論され
た情報とあわせると、X 線によるデータはボロゾル環モデルを支持しているようだ。

7. 密度とエネルギーのデータ

提案されたモデルのほとんどは、非晶質相の絶対的な密度を明確に計算できるほど充分
には精密化されていない。しかし、図 3 に示される格子は、レイヤー間距離を 3.0Å として
1.93 g/cm3 を予言している。これは、観測密度 1.84 g/cm3 と比較できる合理的な値である。
そのいっぽうで、この結晶形モデルで BO_3 三角形をかなり回転させると密度は高すぎにな
る。
二十面体檻状モデルもまた、檻状分子のパッキングに依存した合理的な密度を与えるこ
とができる。たとえばもし、2 つの檻状分子の表面を 2.5Å(平均)まで近づけ、パッキング密
度を 74%と仮定すると、実験密度 1.84 g/cm3 を得ることができる。近づける距離は、たぶ
ん弱いホウ素―酸素間相互作用と適合するだろう。しかし、より小さい B_4O_6 分子は高す
ぎる密度の値を予言するようだ。
またボロゾル環モデルは調整されることができる。先の章から、ボロゾル環タイプのネッ
トワークを基本に含む 9 ホウ酸セシウム酸化物を思い起こしてみると、セシウムに重さが
ないとしたとき、おおよそぴったりな密度の規模を見せていた。
温度による密度の変化はなかなか興味深い。Macedo & co.workers[6, 28]は 25℃から
1400℃の温度範囲にわたって密度のデータを決定した。体積-温度でプロットされた実験
データを図 9 に示す。ガラス転移点 Tg において、曲線中の傾斜には、突然の変化があるよう
だ。データは Tg において起こる構造変化の体積変化への寄与にかんする示唆に富む。この温
度より下では、Tg での構造は明らかに固まり、ふつうの(誤差の範囲で直線的な)熱膨張挙動
を見せている。実験結果は図に示されるように、暫定的に 2 つの状態の間の相転移と表現で
きる。高密度な状態と低密度な状態の仮想的な体積-温度の曲線は破線で示されている。もし
平衡が確立されるなら、期待される Tg より下の体積曲線のふるまいは点線で示される。
図 9 から、室温での高密度形態から 1000℃付近での低密度形態へとほとんど完全な相転
移があることはあきらかである。(破線および点線はただ相転移の定性的規則を意味してい
るだけだが、これは定量的な扱いに調整されるべきであろう。)
Macedo, Capps, Litovitz[6]は、4 つのパラメータを持つ 2 つの状態のモデルを使って
密度データの定量的扱いを試みた。計算密度と観測密度のあいだに素晴らしい一致が見ら
れたが、これはほとんど彼らの特殊なモデルの証明を構成することはなかった。彼らが使っ
た 2 つの状態のモデルは数多くの仮定に基づいていて、行われた全ての議論は若干の空論
を含んでいた。この特徴のない、滑らかな体積-温度曲線は、調整可能なパラメータを持つ多
くの違った数式で正しく再現でき、したがって可能なモデルの間で区別をつけることは、あ
まり役に立たない。
体積の温度依存性について信頼のおける議論をするために、高温および低温で特徴的な
構造要素にかんしてより知ることが必要だ。ボロゾル環ユニットは多分、低温構造ユニット
として受け入れられるだろうが、高温で存在可能な構造ユニットについては、それらのユニ
ットの大きさや、それがどのようにボロゾル環をつくるのかなど、よく知られていない。し
かし、適切な平衡等式を書くための相転移の定量的な扱いにおいて、これは肝心な情報だ。
ホウ素酸化物の熱容量の温度依存性もまた興味深いものだ。図 10 は Shmidt[29]によっ
て測定された最近のデータを複製したものだ。ガラス転移温度 Tg 以下でのガラスと六方結
晶形変化物の Cp の値が同時に表現されている。Tg ではガラスの Cp の値に跳びがある。この
Cp の余剰は明らかに温度による構造の変化に伴う熱作用で、これは Tg より低くなると止ま
る作用である。もし、そんな構造変化が非晶質および液体のホウ素酸化物でまったく起きな
いのならば、Cp 曲線はおそらく、結晶状態の曲線の融点以降で重なるだろう。外挿(図 10 の
点線)によると、現実の融液と仮想的な融液についての曲線は、1000℃付近で何の構造変化
も同時に起こすことはない。これは構造的変化がほぼ完璧に起こっている温度だろう。この
結果は図 9 で描かれた相転移のふるまいと、ラマンスペクトルの温度によるふるまいとに、
一般的に同意している。
2 つの熱容量曲線のあいだに囲まれた面積は、3.5 kcal/化学式重量グラム、というエネル
ギーとおおよそ一致している。このエネルギーは部分的な相転移から来る、つまり「凍結状
態(Tg 以下)」と高体積状態のあいだの相転移である。相転移の総エネルギーを得るために 、
Tg 以下の停止状態での相転移の度合いが分らなくてはならない。もしたとえば、図 9 に示さ
れるように「凍結状態」で 3 分の 1 が低密度状態で分の 2 が高密度状態の混合であったなら
相転移のエネルギーは 5.3 kcal/g.f.w. になる。この値はとても不確かだが、規模のオーダー
の目安を与えてくれる。これはまた、ラマン強度(上記参照)から導き出された 7.9
kcal/g.f.w.の値と合理的に比較される。

8. 粘性のデータ

ホウ素酸化物の粘性は多くの議論の題目となってきている。実験データは最近のいくつ
かの論文[28, 30-32]から得られる。図 11 は、これらの論文から集められた温度の関数とし
ての粘性流動の、明確な活性化を示している。300-900℃の領域で、明確な活性化エネルギ
ーは温度に強く依存している、したがって非アレニウス的挙動を示す。 900℃以上で 17
kcal/g.f.w.ほどの定常活性化エネルギーを見せる領域が見つかっている。いくつかの古い研
究[4, 33]に従うと、アレニウス挙動を示す領域は、上で論じられた低密度状態から高密度状
態への相転移の領域と同時に見られる。この相転移は、ホウ素酸化物の粘性に関する振る舞
いを理解するための鍵を明白に握っている。
Mackenzie は、粘性への説明のために、温度の上昇に伴ってガラス中で形成されるであろ
う可能な構造要素について議論した。初期の論文[12]で彼は、2 配位のホウ素を含み、酸素を
終端とする-B=O グループの存在を提案した。この提案は、ハロゲン化合物融液中で、モノマ
ー的なメタホウ酸塩陰イオン O=B=O-1 を容易に見つけることができる[34]という観点か
ら、非合理的ではなかった。もっと最近には、Sperry & Mackenzie[32]や Riebling[31]は、
高温のホウ素酸化物融液では BO_3 三角形がお互いに頂点を共有する代わりに辺を共有す
る構造要素を含んでいると提案した。彼は平面でない BO_3 三角形が面を共有してできる
B_2O_3 分子の形成に至る過程を着想しさえした。
Krogh-Moe[35]による議論は、ホウ酸酸化物の、二酸化珪素などに比べて比較的低い粘性
を説明するために、この化合物中に未結合の構造ユニットを前提としておく必要はないと
暗示した。重大なポイントは、流れ作用を許容するであろう使用可能な活性化状態の存在だ
ろう。そんな活性化状態の平衡濃度はたぶん小さく、ゆえに活性化状態は構造研究によって
その姿を見せることはない。(高温アレニウス領域での 17 kcal/g.f.w.の活性化エネルギー
に注意し、熱エネルギー RT = 2 kcal/g.f.w.と比較すべきである。)流れ作用のための可能な
活性化状態は、Mackenzie[12]によって提案された-B=O グループか、Krogh-Moe[35]に
よって提案された 4 配位ホウ素と 3 配位酸素のようだ。後者の提案は、すべてのホウ素が 4
配位となっているホウ素酸化物の結晶形変化物の形成 [15]の容易さによって支持されてい
る。したがって、室温から 1000℃の間で起こる構造的変化を、ボロゾル環から古典的センス
においてのオープンでランダムなネットワークへの BO_3 三角形の再配列として説明する
ことは可能なようだ。流れ作用のための可能な活性化状態はこのランダムネットワークの
ために利用可能だが、基本的にボロゾル環ユニットを含むネットワークの一部に達するの
は容易なことではない。

9. 結論

ホウ素酸化物ガラスについて提案された様々な構造のなかで、比較的高い割合の 6 員環
(ボロゾル環)を持つ BO_3 三角形のランダム三次元ネットワークは、利用できるデータで最
もよい説明を与えるように思われる。ボロゾル環モデルについて、得られる決定的な証拠は
何もないにもかかわらず、現在では結果としてこのモデルは非常に強い。ボロゾル環ユニッ
トは芳香族的な性質を持ち、6 員平面環の非局在化した π 電子による大きいリングシステム
に関して安定化させられると信じられた。
体積や熱容量、粘性のような様々な特性の温度に伴う変化は室温と 1000℃の間で起こる
構造変化で明らかにされている。この構造変化の本質は知られていない。もしかすると、ボ
ロゾル環グループから BO_3 三角形のランダムネットワークへの、BO_3 三角形の再編成を
仮定することによって、実験データの説明とすることが可能だ。この仮定が正しいなら、ボ
ロゾル環ユニットの安定化エネルギーの余剰は、この論文で示したデータに従って、だいた
い 5-10 kcal/g.f.w.である。
ホウ酸酸化物の粘性のふるまいは、ボロゾル環ユニットを含まないネットワークの一部
の流れ作用における、比較的容易に得られる活性化状態の存在を仮定することによるモー
メントで最もよく説明されるだろう。そのような活性化状態は、酸素に関するホウ素の 3 配
位から、4 配位、2 配位への配位数変化を可能にする。活性化状態の平衡濃度はたぶん小さい
だろう。

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