Anda di halaman 1dari 7

平成30年1月  第769号

JAXA 油井宇宙飛行士に聞く
今回、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士 油井亀美也氏にお話をうかがう
機会があった。油井宇宙飛行士は、航空自衛隊においてF-15戦闘機のパイロットやテス
トパイロットの経験を経た後、JAXAの宇宙飛行士となられ、2015年7月~12月の142
日間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在された。

1. パイロット時代 気象幹部の道に進むことも考えました。
SJAC)まず最初に、航空自衛隊のパイロッ SJAC)気絶というのは、激しいGでですか?
トを目指そうと思われた経緯についてお話 油井)はい。T-33に乗り、6Gぐらいかかった
を聞かせて頂けますか? と思います。その後、パイロットの道に進
油井)子供の頃から宇宙飛行士になりたいと みましたが、気絶はなかなか克服できませ
思っていましたので、空に興味がありまし んでした。しかし、走り込みや下半身の腹
た。ただ、防衛大学校に入る頃には宇宙飛 筋などのトレーニングで体を鍛え、F-15戦
行士や天文学者にはなれないと思うように 闘機のパイロットになる最終的な試験に合
なり、少しでも空に関係があるパイロット 格できました。
を目指すようになりました。しかし、防大 SJAC)パイロット時代の一番過酷な体験は、
3年生の時のジェット機体験搭乗で失神し、 やはり耐Gでしょうか?
油井)そうですね。難しい技量が求められる
場面では必ずGがかかってきますので、技
量面よりは、Gに耐える方が私には大変で
した。
SJAC)その後、テストパイロットになられ
ていますが、その訓練も厳しいのではあり
ませんか?
油井)かなり緻密な操縦と、事前の計画も要
求されます。また、飛行機の背景とか理論
も細かく知らないといけませんので、さら
に一年間みっちり勉強してようやくテスト
パイロットになれる訳です。そういった意
味では厳しい所でした。
SJAC)命の危険を感じたご経験はありませ
んか?
写真1:防衛大学校時代の油井亀美也氏 油井)直接はありません。しかし、細かい一
(写真提供:JAXA) つ一つのことがら全てが大事で、その一つ

21
トピックス

が抜けていたら死んでいたかもしれないと 後の対処ができるかどうかは訓練や知識だ
思うことはいくらでもありました。基本を と思います。背面のディープストールに
守っていてよかったと思うことばかりで 入ったことがありますが、緊急のリカバ
す。例えば、計器に集中してしまって、わ リー手順が決まっており、それがすぐにで
ずかでも外の見張りが疎かになると、いき きる状況なのかを判断することがまず大切
なり近づいてくる機があったりし、外をよ で、次に、正確に訓練した通りにできるか
く見ていたが故に近づく飛行機に気が付い が大事です。自分が予想していなかったこ
たということがあります。あとは、雷に打 とが起こったとしても、どこかに状況の打
たれたこともあります。戦闘機の場合、夜 破のヒントがあるわけで、瞬時にわかる場
間飛行の時はコクピットの中はなるべく暗 合もあれば、必死に点検をしてわかる場合
くするのですが、雷が落ちると目が眩み、 もあります。これまでの知識と訓練を総動
しばらく何も見えなくなります。その時、 員して状況を認識して対処することが大事
フラッドライトをすぐにONにできないと です。
計器が見えずに墜落する危険があります。 SJAC)単調な訓練を繰り返しやることは、
そういう基本を、一つ一つ日々の訓練で 凡人には難しいところもあるように思いま
やっておくということが大切で、訓練が不 すが。
十分であったり、訓練していても油断して 油井)そんなことはありません。パイロット
抜けていたりすると、すぐに命に係わると の時に戦技競技会という大きな大会があ
いうのが、私がこれまで飛んできた経験で り、その時はとても緊張しました。極限の
得た教訓です。 状態でいろいろな判断が必要になるのです
SJAC)基礎的な訓練の積み重ねが重要とい
うことですね。
油井)そうです。また、私もよく心がけてい
たのは、怖さを克服するために地上での点
検はしっかり行いました。地上の整備員と
一緒にチェックをして、さらに滑走路の脇
に行った時にもう一度チェックをしまし
た。また、滑走路に入る前には必ず、何か
あった時のために滑走路で止まる手順を復
唱していました。そこまで徹底したからこ
そ、空に飛び立つ時に自信を持って、恐怖
を克服して飛べるのだと思います。飛んで
しまったら、怖いと感じている場合ではな
く、一つ一つ仕事をこなすだけで精一杯で
す。飛ぶまでの点検は大変重要です。
SJAC)冷静でいるというのは、訓練できる
ものでしょうか? 写真2:パイロット訓練中の油井亀美也氏
油井)一瞬アッと思うことはあっても、その (写真提供:JAXA)

22
平成30年1月  第769号

が、結局、後で振り返ってみると、何回も
訓練していることはできていているんです
よね。
SJAC)戦技競技会というのは、空中戦ので
すか?
油井)そうです。隊の代表として皆から送り
出してもらっているので、それがプレッ
シャーになり、自分の体が自分じゃないよ
うなフワフワした感覚で飛んだことがある
のですが、そういう時でも、訓練していた
ことはできていました。逆に、訓練してい
ないことは、その場でやろうとしてもでき
ません。本当に日々の訓練は大事だと思い
ます。

2. 宇宙飛行士時代
SJAC)宇宙飛行士に選抜されて米国で訓練 写真3:船外活動訓練
されましたが、そこでも基礎的なことの繰 (©JAXA/NASA)
り返しでしたか?
油井)そうです。基礎から教えてもらい、実 に、握力や上腕の筋力を使います。逆に足
際にやり、評価を受けての繰り返しですね。 は全く使いません。私は体力は比較的ある
私は自衛隊のパイロットになるための訓練 と思っていましたが、これまで訓練してい
を一部米国で受けています。米国の宇宙飛 たのは下半身や腹筋でしたので、最初の訓
行士は、昔は軍のパイロットからなってい 練の後ですごく疲れてしまい、このままだ
ましたので、そのシステムをそのまま継承 と宇宙に行けないかなと思った記憶があり
しており、全く違和感がありませんでした。 ます。
SJAC)他の宇宙飛行士よりも米国のシステ SJAC)話は変わりますが、ソユーズで打上
ムに適応できた訳ですね? げられる際、相当の加速度と振動をご経験
油井)そうですね。私は半分日本、半分米国 されたのではありませんか?
で訓練を受けてパイロットになりました。 油井)戦闘機と比べてしまうからかもしれま
そういう面では、私は恵まれていました。 せんが、それ程大きくはなく、Gは5Gぐら
SJAC)過酷であった訓練とか、ユニークだ いです。戦闘機だと足に向かって垂直に頭
と思った訓練とかはありましたか? から血が抜ける感覚ですが、横に寝た状態
油井)米国で一番大変だったのは船外活動の で胸を押されるようなGはそこまで大変で
訓練でした。技量や知識などに加え、結構、 はありません。ただ、戦闘機のパイロット
体力が必要です。宇宙服は中に空気が入っ の経験がない人は大変だと思います。
てパンパンに膨らんでいるので、上半身を SJAC)工業会の一員として、ロシア宇宙船
使って移動します。また、物をつかむため のマンマシンインタフェースとか、計器、

23
トピックス

設計の考え方とかがどうなっているのか、
大変興味を持っています。
油井)ロシアとアメリカは考え方が全く異な
る よ う に 思 い ま す。マ ン マ シ ン イ ン タ
フェースで面白いのは、真ん中にコマン
ダーが乗っていて左右にコーパイロットが
座っています。コマンダーがボタンを押す
時に棒のようなものを使っていますが、そ
れは手が届かないからなんです。アメリカ
だったらスペックアウトですよね。手が届
かない所にパネルを作るとは何事かと。パ 写真4:ソユーズTMA-17M宇宙船(43S)を背に
ネルを作り直せとか、もっと近くで収納で (© JAXA/GCTC)
きるようにしろとか、いろいろ細かいこと
を言うと思うのですが、一方、ロシアは押 戻っています。技術の継承が行われづらく
せればいいという考え方です。棒でボタン て、無駄も多いかも知れません。
を押して、たまに棒を放してしまって、フ SJAC)では、ソユーズにはアナログ的なも
ワフワ浮いたり、落ちてしまうと、他の二 のも残っているのですか?
人が拾ってコマンダーに渡します。無いと 油井)残っています。でも、そのアナログは
コマンドが打てないクリティカルな棒なん 非常に信頼性が高く働かないということは
ですよ。そういう所はロシア的だなと思い ほぼあり得ない。スイッチのON/OFFが三
ます。その代り、船の信頼性はしっかりあっ 重になっているなど、それが働かなくなる
て、事故無しで、安全にクルーを宇宙に送 ということはほぼ考えづらいので、そうい
り、また帰還させています。 う所は残しておいて、あとはデジタルのコ
SJAC)堅牢なのですね。 ンピュータが制御したりするようになって
油井)そうです。基本の設計は古いですが、 いる。その辺は結構面白いと思います。
実は少しずつアップグレードしています。 SJAC)では、コンピュータも結構古いもの
彼らの面白いやり方だと思ったのは、古く を使っているのですか?
ても信頼性のあるシステムはそのまま残し 油井)古いものと新しいものの併用です。一
ます。非常に信頼性の高いシステムですか 番クリティカルな基幹とかは何重にもなっ
ら。そうでない部分は新しくしていき、新 ていて、アナログのスイッチをやり取りす
しくした部分に、もしも不具合があって働 るだけの古い信頼性のあるコンピュータ
かなくなってしまっても、古いシステムが と、最新のデジタルのコンピュータと分け
最後まで働くだろうと。そうやって少しず ていて、全てが働かなくなるということは
つ改良をしています。こういう所は、私た 考え難いシステムになっています。
ちも勉強できるのではないかと思います。 SJAC)ロシアでも宇宙飛行士の訓練は別に
一方、アメリカは全部変えてしまう傾向が あったのですか?
あります。アポロからスペースシャトルに、 油井)訓練は全て新たにやりましたが、その
またスペースシャトルから次はカプセルに 内容はアメリカとだいぶ違っていました。

24
平成30年1月  第769号

アメリカはかなりシステマティックで、必 本当に面白いです。
要な知識はこれですというようにリスト SJAC)師弟関係と言われた意味が少しわか
アップされており、技能面でもこれを満た りました。
さなければいけないと決まっています。そ 油井)授業中に多くの質問をし、良い質問を
れらをクリアしていき、全部チェックが埋 すると、良く勉強していると教官はわかり、
まれば合格です。それ以上の質問はなく、 他の教官にも伝わります。そうすると、そ
ある程度、試験でやることは決まっていま の教官も私を見る目が変わるように思わ
す。それをわかった上で訓練を受けていく れ、ロシアではすごく楽になります。アメ
わけです。一方、ロシアは、師弟関係とい リカと同じように、このリストだけ理解し
いますか、一昔前の日本の古き良き時代を ていればいいと思ってそれだけ勉強して行
思わせる訓練で、授業の中で習得しなくて くと、細かい所まで聞かれ、全然勉強して
はならない知識のリストは、アメリカから ない学生だと思われると、本当に苦労しま
言われて作っているのかもしれませんが、 す。アメリカに行った時は、努力して実力
実際の試験では、それ以外の質問がたくさ を知られていても、試験の時に1フィート
ん出てきます。設計にあたったエンジニア でも規定値から外れたら、「おまえのフラ
が、ありとあらゆる細かいことを聞いてく イトは全てエクセレントだったが、あそこ
るので、それに対応できる知識が必要です。 で1フィート狂ったから不可」と評価され、
緊急事態の想定も、本当にそんなことが起 それはそれで面白かったですが、そういう
こるのかなと思うような、難しい状況がど 文化の違いがあると思います。
んどん出題されます。アメリカと比較して
みるとロシアの方が厳しいように思えます 3. 今後の航空宇宙
が、私はどちらかと言えば好きでした。 SJAC)財政的に厳しいのかもしれませんが、
SJAC)それは、ロシアの技術者や、宇宙飛 宇宙は青少年の夢の一つですので、定期的
行士の先輩が質問するのですか? に宇宙飛行士が誕生するシステムがあると
油井)そうです。いろいろな人が質問します。 いいな、と思います。
SJAC)ではロシア語で? 油井)それは本当にそう思います。私たちが
油井)はい、ロシア語で全部答えます。通訳 選ばれる前は10年間も募集がなかったです
も付いてくれますけど、私は、ロシアを尊 し、このまま行けば、また募集までにかな
重する意味で、ロシア語で全部やろうと り長く空いてしまいます。そうならないよ
思っていましたので、大変でしたが一生懸 うに、コンスタントに選ぶというのも必要
命がんばりました。でも、そういう所が通 だと思います。
じるのもロシアなんです。 SJAC)若い人たちに夢を与え続けるという
SJAC)情がある訳ですね? のも、広い意味での人材育成になるように
油井)あるんですよ。答えられないといけな 思います。
い質問に答えられなかったとしても、すご 油井)講演に行くと、宇宙飛行士になりたい
く勉強していて、リストにない所をすごく という人は多いです。また、最近では宇宙
よく知っていたりすると、全般を考慮して がビジネスになるかもしれないと思ってく
合格になったりすることがある。その辺は れる人がだんだん増えてきています。色々

25
トピックス

な研究の成果などをアピールすることが私 わりです。宇宙ステーション計画の場合、
たちの役割だとも思っています。この間、 実は結構、誤解されているところがあり、
関西に講演で行った時は反応が良くて、今 ソユーズに乗る際、日本がロシアにお金を
が変わる節目というか、境目なんだと思い 払って打上げてもらっていると思っている
ました。例えば、航空の方は、日本は戦後 人が多いです。それは全く違っていて、ア
一度途切れてしまい、欧米に離された面が メリカがロシアと契約をしているわけで
あって、今一生懸命追いついていますけど、 す。私たちは物資や実験装置を運ぶ補給船
宇宙開発の方は、なるべくそうなって欲し 「こうのとり」を打上げて宇宙で実験がで
くありません。ずっとコンスタントにやっ きる環境を整え、その対価として日本人が
てきた鉄道技術のように、航空や宇宙開発 宇宙に行く訳です。「こうのとり」を作っ
も技術の積み重ねができるように、そうな たのは日本の技術ですし、それは日本の財
らないといけないと思っています。 産です。そのサービスをアメリカに提供し
た結果、私たちはロシアの宇宙船で宇宙へ
行っているわけで、無駄になっていません。
何も買ってこなくて、全部日本に投資して
いる。そういうことを、いろんな方に言う
必要もあると思っています。そうでないと、
宇宙開発は無駄だと思われかねません。日
本はすばらしい宇宙船を作っていると国際
的な評判も上がってきており、その結果と
して、別の投資をすることもなく日本人が
宇宙に行って、いい仕事をし、評価も高い
という状況を伝えたいですね。
SJAC)私たちも伝える努力をしたいと思い
ます。ところで、今、米国は火星へのミッ
写真5:インタビューの模様 ションも進めていますね。
油 井)ち ょ う ど 来 年(2018 年 3 月)、日 本 で
SJAC)日本の技術の継承と言えば、今、航 ISEF(国際宇宙探査フォーラム)の2回目
空業界では将来の戦闘機の開発動向も注視 の会合があって、探査について話し合われ
しています。 ると聞いています。
油井)私は今そういう所から離れていますが、 SJAC)宇宙に長期間滞在して戻ってくると、
国産の良さということをわかっています。 体力的に厳しいというお話をうかがったこ
国産の良い所は、自分たちで直していける とがあります。火星に行くとなるとそれが
所ですね。航空業界も宇宙業界も自分たち 年単位になりますね。
でやることが大事です。自分たちでやった 油 井)も し か し た ら、セ ン ト リ フ ュ ー ジ
ことは技術として残るし、何かあった時に (Centrifuge Accommodations Module)のよ
少しずつ変えていって、更に良い物を作る うな疑似重力を作らないといけないという
ことができますが、買い物はそれだけで終 話になるかもしれないですね。今後、体を

26
平成30年1月  第769号

維持する研究が必要かもしれません。 スをもらって、ありがたかったとか、後輩
SJAC)まだまだやることが山のようにある にぜひ伝えたいなということはありません
ということですね。 か?
油井)ありますね。筋力の維持や宇宙放射線 油井)防衛大学校に入った時に、宇宙飛行士
の問題など課題はたくさんあります。課題 になれないのなら辞めようかなと悩んでい
をクリアするためにアイデアも必要だと思 た時に先輩が言ってくれた「今やらなけれ
いますので、そのためには、いろいろな人 ばいけないことは身の回りに山ほどある。
に参入してもらう必要があります。私もス それを一つ一つやるということが自分の将
ポーツのキャスターをやっていて気が付い 来の道を開くキーなんだ。悩んでいるから
たのは、意外と似たようなことを、全く別 と言って何もやらないでいると、おまえの
な所で研究していたりします。例えば、今 将来の道の選択肢はどんどん狭まっていっ
後の有人宇宙探査では、宇宙飛行士を放射 て、最終的には一つも選ぶものが無いよう
線から守る事が大きな課題ですが、原子力 な状況になるんだぞ。」と言われたことで
関連の分野では、もしかしたらそういう研 す。その後、パイロットの道が開け、テス
究は進んでいて、それを私たちが知らない トパイロットもそうでしたし、最終的には
だけかもしれません。 宇宙飛行士にも繋がっているので、それは
  それをもっと近づけるために、宇宙が 大きかったと思います。
もっと有名になって、いろんな人に宇宙に
興味をもってもらうことが重要だと思って 今回、ご多忙の中、時間を割いて下さり、
います。 油井氏から色々興味深いお話を伺うことがで
SJAC)最後に、自衛隊時代、あるいは宇宙 きた。私達のプリミティブな質問にも丁寧に
飛行士時代に、先輩からこういうアドバイ お答え頂きましたこと、感謝申し上げる。

(一社)日本航空宇宙工業会 常務理事 山北 和之
広報部長 高木 伸吾
技術部長 寺嶋 明尚

27