Kyoto University
総合論文 ORIGINAL )
(
クラ リネ ッ トリ ー ド用 葦 A ・
( rttndo dcm α x L .
)材 の 物 性
英 一
*
小 幡谷
Physical Properties
of Cane (
A rt4ndo dmtαx L )Used for Clarinet
Reed
Eiichi OB へ「
*
「へ Y 八
平 成 8 年 8 月3 /日 受 理 )
(
1 .は じめ に
.
一
トの リ ー ド に は ,ノ1・rT.
t・ doitaxL .と い う種類 葦 が 用 い ら れ る 。4 剛 L.は 地 中 海沿
ク ラ リ ネ ッ ndo の 雇 o 伽
ピ 倣
,2 〜 3 年 生 で 高 さが 2 − 4m ,径 は 2 − 4cm に 達 す る , ,こ の 葦 材 は , ])
岸:に 自 生 す る 大 形 の イ ネ 科 多年 草 で
伐 採 後数 ヶ 月 問 大 然乾燥 され , 1 〜 2m の 長 さ に 切断 さ れ た後 ,再 び 天 囗 乾 燥 さ れ 木 管 楽 器 用 の リ ー ド
. ,
.−cv
。リ ー ド の 形 状 や 材 質 は .楽 器 の 音 色 や 奏 者 の 吹 奏 感 に 大 き く影 響 す る た め , リ ー ドの
1 / ) /
/
に 加 工 され る
.
て は ,化 学 的 な性 質 に 関 す る 若 トの 報 置F7 が
割
良 し悪 し は 奏 者 の 大 きな 関 心 事 で あ る , ,し か し,葦 材 に つ い
あ る もの の ,そ の 物 理 的性 質 に い て は ほ と ん ど 知 ら れ て い な い t 今 後 ,葦 材 の 材 質改 善 や 効 率 的 な 良 材
つ 、
.
選 別 を 検 討 す る た め に は ,ま ず 葦 材 の 物 理 的 な 性 質 を 明 ら か に す る こ と が 重 要 で あ る , 、
一
・ .
リ ドと い う 特 殊 な 用 途 を 考 え た 場 合 ,水 分 が 葦 材 の 物 理的性 質 に及 ぼ す 影響 を無 視 す る こ と は で きな
Ol/ .
.
い 響 板 に 用 い ら れ る 木 材 の 場 合 ,材 の 吸 湿 に 梓 う音 響 変 換 効 率 の 低 下 は ,品 質 の 低 ド を招 く と 考 え ら
。
れ る 、そ れ に 対 し て ,多 く の ク ラ リ ネ ト奏 者 は , や や 湿 た状 態 」 を リ ー ドの 最 適 な使 用 条 件 で あ る と 「
ッ っ
’
,
指 摘 し て い る 。こ の こ と か ら ,葦 材 の 振 動 特 性 に . 与.
t
え る 水 分 の 影 響 が ,木 材 の 場 合 と 異 な る こ と が 考 え
/)
一・ ー .
られ る、 、 方 , リ ド を 長 時 問 水 浸 す 畜 色 悪 く な り,そ の 後 す ぐに 使 え な くな c て し ま う,あ る い
に と が )
は長 時間 の 漬奏 や 水 中 の 浸せ きに よ て ,リ へ ー.ドの 弾 力 性 が 永 久 白4丿に 失 わ れ て し ま う と い う意 見 1 ’
っ
5
もあ
♪
.
る、
、こ れ は ,葦 材 に 含 ま れ る 何 ら か の 水 溶 1生成 分 が ,葦 材 の 材 質 に 大 き く影 響 して い る こ と を 示 唆 して い る
: の
u
本 材 よ り も竹 材 に 近 い 葦 材 は ,含 水 率 変 化 に 対 す る 寸 法 安 定 性 が 高 い と思 わ れ る が .実 際 の リ ー ドに は ,
た 大 き な 変 形 が 牛 じ,演 奏 に 支 障 を き た す 場 合 が あ る 航,こ れ は ,長 時 間 の 演 奏 で リ
ー
.
波打 つ ,反 る と い っ
.
ドが 部 分 的 に 飽 水 状 態 と な り ,そ れ が 乾 燥 す る 際 に 落 ち 込 み を ヒ じ る た め と 考 え ら れ る ノ
。
本 報 で は ,以 一 L の よ うな 実 用 而 で の 問 題 点 に 注 目 し ,葦 材 の 物 理 的 性 質 ,特 に そ の 落 ち 込 み ,吸 湿 性 ,
振動 特性 に て 得 ら れ た 結 果 を 報 告 す る 。な お ,奏 者 の 言 い 習 わ し に 従 い ,.
つ い 4 rt・
tndo ltnta・
x L 、 を葦 材 と 称 (
’ 1. .
#勿1生“il
i卸 ラテ里f (:
*
] aberatory 〔}f Propert } Enhu 【ユcement }
Key ivords .;Clarillet
reed .A ηrtndo
dmtax、 “ 「a 匸巳r ピxtIla じ し iL・ Collaps⊂・
C:1 、 ,
Adsorpti(m isotherms,
Vibrationall
〕roperties
、Rhcologica] rm
− le[
sc)
:
一
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小 幡谷 ク ラ リネ ッ トリ
ー ド用 輩 An
( .
Citdo ‘ denax L .
}材の 物性
する 。
2 .葦 材 の 構 造 と 組 成
2 . 1 目的
華 材 の 物 理 的 性 質 を考 え る た め に ,葦 材 の 構造お よ び 組 成 を明 ら か に す る こ と は 重 要 で あ る。こ こ で は ,
うち,リ ー
葦材 の 一ド の 振 動 す る 部分に 当た る 内層 部の 構 造 とその 特 徴に つ い て 述 べ る 。 ま た ,葦 材 内 層 部
に する。
2 .2 実 験方法
2.
2.1 葦材 の 構 造観察
.
クラ リネ ッ ト リ ー ド用 に 選 別 さ れ た ,肉 厚 が 4.
一一8mm ,桿 の 外径 が 25mm 以 上 の 葦 材の 内層部横 断面 を,
電 子 顕 微 鏡 お よ び 実 体 顕 微 鏡 を用 い て 観 察 した 、
,
2.
2.2 葦 材 の 組 成 分 析
. Ph ’ .
葦 材 ( f・
. . clmt {i.
t(lo r 1.
tlnt
、
),マ ダ ケ 材 〔 yltost 〔z α’L圃 ba’
. ntbt ・ s Sieb
tsvi(le. ) の 内 層 部 ,お よ び シ ト カ ス プ ル ー
. ・ , 1ω
ス 材 〔P晦 ∫itchL11sis Carr.
α ) の 剤1.
成 を ,定 法 を 用 い て 定 量 し た 。無 処 埋 葎 i材 粉 末 を用 い て ,熱 水 抽 出 物 ,
・
.
.ル ・ベ .
冷 水 抽 111
,
物 .ア ル 抽 1.
.:物 ,灰 分 を定 量 し た 。 ま た ,脱 脂 した 葦材粉 末 を用 ,硫 酸 法
[
: コ ン ゼ ン 1 い に
よっ て リグニ ンを ,ワ イ ズ法 に よ っ て ホ ロ セ ル ロ ース , 一一
ヒル α ロ ース を定 量 した 。
2.
2.3 水 抽 出 成 分 の 分 析
葦 材 に 多 量 に 含 まれ る水 抽 −NMR ,ア ル ジ トール ア セ テ ー .
.ト法 10 ),
ili成 GPC
分 を ,℃
1
に よ て 分析 し た っ 。
. .. −
g ,収 率 8 .3 %) 。こ れ を 11」い て ,水 抽 出 成 分 お よ び ア セ チ ル 化 し た 水 独 111成 分 の ℃ NMR 擲1定 を 行 た 冂
… 1 :
っ
ま た ,30nlg の 水 抽 IL1.
Pl
1亅い ,ア ル ジ トール ア セ テ ー ト法 に よ り、構 成 単 糖 の 分 析 を 行 た 、
成 分 を 1・ ,さ ら に , っ
ア セ チ ル ・
化 し た 水 抽 出 成 分 を 川1 .GPC ク
い ロ
.
トグ ラ フ に よ る 分 了 量 の 測 定 を行 た マ っ 。
2 . 3 結 果 と考 察
2, 3.1 葦材 内層部の 構造
. ー .
本研 究 で 取 り扱 う葦 材 は ,日 本 に お け る 般 的 な 葦 の イ メ ジ よ り も か な り火 径 で ,む し ろ 小 径 の 竹 材
’
に 近 く,蹟 微 鏡 的 な 構 造 も ,外 表 皮付 近 か ら 内 層 部 と 維 管 束 が 徐 々 に 疎 に な る 不 斉 中 心 柱 で ,竹 材 の そ へ
れ
11 )
に 類 似 して い た 。 た だ,リ ー ドの 振 動 部 分 に は 内層部 が } .
1,
1 い ら れ る こ とか ら .本 報 で は 内層 部 に つ い
て の み 検 討 す る こ と と し ,表 皮 か ら 外 層 部 に か け て の 構 造 ,物 性 に つ い て は 取 り上 げない ,
,葦 材
、 内層 部 の
溝 造 を図 1 に 示 す 。葦 材 内層部 は・
i三と して 柔細 胞 か らな っ て お り ,そ の 中に 維 管束が ほ ぼ 均等 に 散 在 して
.
い る 。維 管 束 は ,細 胞 壁 の 厚 い 維 管 束 鞘 に 取 り巻 か れ て い る が ,葦 材 の 維 管 束 鞘 は .マ ダ ケ や モ ウ ソ ウチ
クの それ に比 べ て 未発 達 で あ る。
維 管 束 鞘 が 他 の 部 分 と 明 確 に 区 別 で きた こ と か ら ,異 な る 60 節問の 藻材 の 内 層 部 につ ,図 2 に
い て 示す
.
よ う に ,一横 断 而 の 実 体 顕 微 鏡 写 真 か ら ,維 管 朿 鞘 の 面 積 三冬 を求 め た
’
。そ して ,維 管 束 鞘 が 葦 材 の 繊 維方
向 に 連 続 して い る と見な し ,[1[i積 率 をも っ て 維管 束 鞘の 体積 率 Φ と した 。葦 材 の 気乾 比 重 r と Φ の 鬨係
を図 3 に示 す 。維 管 束 鞘 の 割 合が 多い ほ ど 比 重 が 高 か ’た n
)
二 図 3L・
1−1 の 同 帰 直線 か ら ,維 管 束 鞘 と,柔 細 胞
を 主 と す る 維 管 束 鞘 以 外 の 部 分 の 比 重 は ,そ れ ぞ れ .9,0 .
] ] 26 と 推 定 さ れ た 。 こ れ ら の 値 は ,竹 利
罔
に
つ い て 同 様の 方 法 で 求め られ た推 定値 (モ ウ ソ ウチ ・
ク で は ].
17 ,U .
39 . ダ ケ マ で は 1.
66,0 .
43 ) よ りは 小
さか っ たが,成 熟 した 竹 材 に 比 べ ,葦 材 の 細 胞 壁 が 薄 い こ と か ら 考 え て 妥 当 な 値 と 考 え ら れ る 。こ の よ う に ,
. 2つ
葦材 の 構 造 は ,高 比重 の 維管束鞘 と, 低 ⊥匕重 の 柔 細 胞 と い う.明 確 に 異 な る の 要 素か ら 成 り立 っ て い る tt
2.
3.2 葦 材 の 組 成
ース .
. ース 一セ
葦 材 ,マ ダ ケ ,シ トカ ス プ ル の 1成 分 を表 .
1に挙げ る 。シ トカ ス プ ル に比 べ ,葦 材 に は α ル
31 一
一
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図 1 葦 材 内 層 部 の 横 断面 SEM
1: 〕 図 2 葦材 内層部の 横断而
.
矢 印 は 外 層 部 の 方向 を示 す . u ; 実体 顕微鏡写真 ,
b ; 模式 図 ,黒 塗 り部 分 維 管 束 鞘 .
0.
50
O.
45
0,
40
0.
35
0.
30
0.
25
0、 1 0 .
O O 、 2 0 ,
3
Φ
図 3 相 対 湿 度 6〔}% にお け る 葦材 の 比重 ( i粉 体 積 率
γ) と 維 管 束 革 (Φ ) の 関 係
一 32 一
一
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小 幡 谷 : ク ラ リ ネ ッ ト リ ー ド用 葦 .
(・ dona.
lntftdo x [、)材の 物性
ース , リ グ が や や 少 な く.ヘ ース た が ,そ の 差 異 は わ ず か で ,葦 材
ロ ニ ン ミセ ル ロ が や や 多 く含 ま れ て い
に 特 徴 的 な傾 向 は 認 め られ なか っ た。 一
.方 ,葦 材 に は 多量 の 抽 出成 分 ,灰 分 が 含 ま れ て お り,特 に 水抽 出
成 分の 量 が 多か っ た 。こ の 特 徴 は ,マ ダ ケ 材 と類 似 して い た が ,そ の 量 は マ ダ ケ材 に比 べ て 明 らか に 多か
っ た 。ま た ,熱 水 抽 出 物 と冷 水抽 出物 の 量 が ほ と ん ど等 し か っ た こ と か ら ,葦 材 に 含 ま れ る 水 抽 出 成 分 は ,
比較 的谷易 に 溶 出 す る と言 っ て よ い 。一・
般 に ,木 材 に 含 ま れ る 冷水抽出 成 分は きわ め て 少 ない
13 /
i
。葦 材 に
特 微 的 な 水 抽 出 成 分 は ,葦 材 の ど の 部 位 に 多 く含 ま れ てい る で あ ろ うか 図 4 に ,抽 出処 理 後 の 質量 を 基 。
準 に し た 水 抽 出 成 分 量 と ,維 管 束 鞘 の 体 積 率 (
Φ ) の 関 係 を 示 す 。維 管 束 鞘 の 割 合 が 少 な い 葦 材 に は ,水
抽 出 成 分 が 多 く含 ま れ て い た 。こ の こ と か ら ,葦 材 の 水 抽 出 成 分 は ,維 管 束 鞘 以 外 の 部 分 主 と し て
, 柔細
胞 に 含ま れ て い る と推察 され た 。 次 に ,こ の 水 抽 出 成 分 の 詳 しい 組 成 に つ い て 述べ る.
表 1 葦 Aru ’
( itdo dmtax L .
) 内層 部 ,マ ダ ケ (P 緲 〃os 勉 1り・b mbu ε α ・
soides Sieb.
)内層部 ,
ース ’Carr .
Piceα Sitchensis
お よ び シ トカ ス プル ( )の 組成
α
一セ ル の ヘ ミセ ル
」
D
リ グニ ン
t ’一
〕 抽 出 成分
ール
ロ ース ース ア ル コ
ロ 熱水 冷
水
・
ベ ン ゼ ン
灰 分
華 47 .
O 31 .
035 25 .
722 13 .
49 37
12 . 6.
63 3.
41
マ ダケ 42 .
9 ,
228 ,
429 25
, .
82 02
. .
60
」 ース
シ トカ ス ブ ル 51 .
4 .
1 .
ユ .
0 .
7 .
2 2
.
a ):脱 脂 粉 末 に よ る .
40
30 ・
(
\
承
)
橇、
嘱 。
。
虫 °
慣 20
駄
哨
竃
租 ・
帰
10
OO
.O 0.
1 O.
2 03
Φ
図 4 水 抽 出成 分量 と維 管 束 鞘 の 体積率 (Φ ) の 関 係
2.
3,3 水 抽 出 成 分
13C−NMR ス ク トル を ,図 5 ,図 6 に 示 す 。 こ れ ら は
ア セ チ ル 化 した 水 抽 出 成 分 の ペ
既 知の 糖類
14115 }
の
そ れ と類 似 し た 。 ま た , ア ル ジ ト
ー ル アセ テ ー ト法 に よ り,水 抽 出成 分 中 の 糖 の ほ と ん ど が ー
一ス
グル コ か
ら な る こ とが 明 らか と な っ た 。図 7 に ,ア セ チ ル 化 した 水 抽 II丗成 分 の GPC 分 析 結 果 を示 す 、
,単分 散 に 近 い
33
一
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. ・資 料 第 32号 1996)
木材研究 〔
1 −
℃ NMR ク トル :
:1〕
図 5 化 した 水 抽 出 成 分 の スペ ;
アセ チ ル
1 − ク ト ル i:2〕
図 6 ア セ チ ル 化 した 水 抽 出 成 分 の ℃ NMR ス ペ
17.5 20.0 22.5
璽5.0
図 7 ア セ チ ル 化 した 水抽 出 成 分 の C;pc
分析
1 ;馬1、二333 , 、= ユ.
Mw /M ,
v
. II
034 , ; Mw 一606 ,
M .f/,
, ln =1 .
〔)09.
ー と し た .
平 均 分 子 量:は ポ リ ス チ レ ン タ ダ ドを基 準
ス ン
34 一
一
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小幡谷 : ク ラ リ ネ トリ ー ド用 葦 C.
Anendo t’
dona. L.
ッ
) 材の 物性
く含 ま れ て い る と 推 察 さ れ た 。 し た が て ,図 6 に お て 89 .1,91 .ア ppmっ に 認 め ら れ る シ グ ナ ル は ,単 い
糖 お よ び 2 糖 の 末 端 の 1 位 の 炭素 ( C −⊥ ,C −1β) に よ る と 考 え られ る − 一 α方 ,89 .
9 ,96 .
3 ,104 .
〔},108 .
O :
c
ppm に 認 め ら れ る シ グナ ル 1、
は , 2 糖 1、1来 の も の と考 え ら れ る が ,そ れ らの 帰 属 は 未 定 で あ る 。
2 . 4 結 論
ー
リ ドに 用 い ら れ る 葦 材 の 内 層 部 は ,主 と して 柔 細 胞 か ら な り,維 管 束 は そ の 中 に 散 在 して い た 維 管 。
束 の 周 囲 は ,細 胞 壁 の 厚 い 維 管 束 鞘 に 取 り巻 か れ て お り,維 管束 鞘 と そ れ 以 外 の 部 分 は , 明確 に区別 され た 。
.
維 管 束 鞘 体 積 分 率 と 葦 材 の ⊥匕重 の 問 に は 良 好 な 正 の 相 関 関 係 が あ り,維 管 束 鞘 お よ び 主 と し て 柔細 胞 か
の
らな る 維管束鞘 以 外 の 部 分 の 比 . 重 は そ れ ぞ れ 1. 19 0 .
26 と 推 定 さ れ た , 。
一 ー ス , ー
.・ス ,リグ ン の 質量 分 率 は , シ ト カ ス プ ル ース 材 と 大 差 な か
葦 材 内 層 部 の セ ル α ミセ ル ロ ロ ヘ ニ
っ た が 、水 抽 出 成 分 ,灰 分 の 含 有 量 は 明 ら か に 多 か た
.
こ の 傾 向 は 竹 材 と 類 似 し た 。葦 材 に 特 徴 的 な 水
っ n
抽 出 成 分 に は ,グ ル ース 申.位 の 単 糖 お よ び 2 糖 が 多 く含 ま れ て お り ,そ の 多 くが 柔 細 胞 層 に 存 在 す る と
コ
推察 5 れた n
3 .葦 材 に 生 じる落 ち込 み
3 . 1 目的
前に示 した よ うに , リ ー ドの 振 動 部 分 に 用 い られ る 葦 材 の 内 層 部 は ,細 胞 壁 の 薄 い 柔 細 胞 で 占 め ら れ て
い る 。 葦 製 の リ ー ド は ,そ の 先 端 が 波 打 っ た り, リ ー ドの 幅 方 向 に 反 っ た り して 演奏 に 支 障 を き たす こ と
D
があ る が , こ れ は , 演 奏 中 に 高 い 含 水 率 とな っ た 柔 細 胞 が 乾 燥 す る 際 に 落 ち 込 む た め と考 え ら れ ,落 ち
込み の 発 生 と残 留 は ,実 用 的 に も大 き な 問 題 で あ る 、
、
竹 材 の 落 ち 込 み に 閾 して は 多 くの 報 告 廟 が あ る が ,葦 材 の 落 ち 込 み に 関 す る 報 告は ない 。本 章 で は ,落
ち込 み を生 じに く い 乾 燥条件 を明 らか にす る と と も に ,蒸 煮 処 理 に よ る効果 的 な落 ち込み の 回復方法 に つ
い て 検 討 した 。
3 , 2 実 験 方 法
3.2.
1 水 抽 出成 分 の 溶 出 速 度
粉 末 お よ び ブ ロ ッ
,水 抽 IIh成 分 の 溶 出速 度 を 測 定 し た 葦 材 を 42 − 100 メ シ に 粉 砕
ク試 料 に つ い て 二 . ッ ュ
し,lg ず つ 6 試 料 ,計 6g の 粉 末試 料 を 作 製 し, lO5 ℃ で 1 昼 夜 乾 燥 し た 後 ,そ れ ら の 全乾 質 量 を 測 定 し
た 。 5 試 料 は ,そ れ ぞ れ O . 5 ,1 ,2 ,8,24 時 聞 ,常 温 水 中 に 浸 せ き した 。 ]. 試 料 は 24 時 間 水 中 に 浸 せ き
し た 後 , 3 時 間 煮 沸 し た 。水 中 浸 せ き お よ び 煮 沸 後 の 残 さ を,ガ ラ ス フ ィ ル タ ーで 回 収 し,]05 ℃ で 1 昼
夜乾 燥 し,全 乾 質 量 を測 定 し た ・ c
. ヒ記 の 試 料 と 同 . .一
・ ’
方 ,. の 節 聞 か ら ,2nln1 ( 放 射 方 向 ) × 10 mn1 (接 線 方 向 ) × 15nln1 (繊 維 方 向) の
ブ w ・ ク 試 料 を 40 個 作 製 し ,こ れ を 5 個 ず つ 8 グ ル ー プ に 分 け ,金 乾 質 量 を 測 定 し た こ れ ら を,そ れ ぞ
ノ
。
な お 以 下 に 述 べ る 実験 に 川 い た 試料 ・ 1』法 は . い ず れ も上 記 の ブ ロ ク 試 料 と 等 し く,また ,試 料 を 96 ッ
時間 減圧 下 で 常 温 水 中に 浸せ き した状 態 を飽 水状 熊 とす 6 , tt
3.2, 2 膨 潤 と 収 縮 の 測 定
異 なる IO 節 冏 か ら ,そ れ ぞ れ 2個 ず つ ,計 20 佃 の 試 料 を 1乍製 し た p こ れ ら の 全 乾 比 重 は ,0 .
42 か ら
0.
54 の 間 に あ り ,平 均 は 0.
45 で あ っ た 。こ れ ら を 飽 水 状 態 と し, さ ら に 31i寺間 煮 沸 した 1.
後に,・法 と質
量 を測 定 し た 。次 .
に .試 料 を 相 対 湿 1
斐 60 % の 雰 囲 気 中で 乾 燥 した ロ乾 燥 開始 か ら O.
5 ,1,2 ,3,4 ,6 ,8 ,
..
10,12,]6 ,24 .48 1
時 間 麦 に 寸 法 と 質 量 を 測 定 し た 。そ の 後 ,徐 々 に 相 対 湿 度 を 卜げ tlO5 ℃ で 1 昼 夜乾
35
一
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す想f究
瀦t 木 ・資 窄キ 第 32一一 1996)
号 (
燥 し て 全 乾 状 態 と し ,寸 法 と質 量 を測 定 し た 。
飽 水状 態 に 至 る 過 程 で 寸 法 と 質 量 の 変 化 を測 定 した 。 飽 水状 態 の 20 試 料 の うち 10 試 料 は ,煮 沸 して 寸法
と 質 量 を測 定 した 。 他 の 10 試 料 は ,再 び 相 対 湿 度 60 % の 雰囲 気 中 に 放 r .し ,乾 燥 に 伴 う収 縮 過 程 を 瀾定
した。
3.
2.3 煮 沸 の 影 響
ープ と した 試 料 の 全 乾 比 重 が 0 .
同 ・ 節 問 か ら ,20 個 の 試 料 を作 製 し,10 個 ず つ 2 グ ル 。
39 か ら 0,
41 の
ー り分 け た 。
間で ば らつ い て い た ので ,そ の 偏差や 平均値 が 2 つ の グ ル プで ほ ぼ 等 し くな る よ う 試料 を振
に
全 て の 試 料 を飽 水 状 態 と し た 後 , 1 グ ル
ープ の 試料 は さらに 3 時 間 煮 沸 した 。そ れ ら を相 対湿 度 60 % の
雰 囲 気 中 で 2 昼 夜 放 置 し,徐 々 に相対 湿 度 を下 げ ,105 ℃ で 1昼 夜 乾 燥 し て 全 乾 状 態 と し ,寸 法 と 質 量:を
測 定 し た 。そ の 後 ,試 料 を 飽 水 状 態 と し,そ れ ら の 1‘
・法 と質量 を測 定 した 。
3.2.4 エ タ ノ ール
置換 の 効 果
一
同 節 問 か ら 個 の 試 料 〔全 乾 比 重 0 .
20 4Z − O .
48) を 作 製 し,比 重 の 偏 差 や TF 均 値 が ほ ぼ 等 し くな る よ
ープ に 振 り分 け た 飽 水 状 態 と した 試 料 の 寸 法 と 質量 を 測 定 後 1 グ ル ー 一プ を 十 分
う に ,10 個 ず つ 2 グ ル 。 ,
な量 の エ タ ノ ール 中 に 入 れ 緩 や か に 撹 拌 し な が ら 1 昼 夜 浸 せ き し た 。全 て の 試 料 を相 対 湿 度 60 % の 雰
,
囲気 中 に 2 昼 夜 放 置 し,徐 々 に 相対 湿 度 を 下 げ ,105 ℃ で 1 昼 夜 乾 燥 し て 全 乾 状 態 と し ,そ れ ら の 寸 法 と
質量 を 測 定 し た 。 そ の 後 ,試 料 を 飽 水 状 態 と し,そ れ ら の 寸 法 と 質 量 を測 定 し た 、 .
3.2.
5 実 質 率 の 影 響
全 乾 比 重 が 異 な る ’ 37 〜 O .
t 個 体 か ら そ れ ぞ れ 5 試 料 (全 乾 比 重 0 . 47 > を 作 製 し 。飽 水 状 態 の 寸 法 と 質
105 ℃ で 1 昼 夜
量 を 測 定 し た 後 ,相 対 湿 度 60 % の 雰 囲 気 中 に 2 昼 夜 放 置 し た 。徐 々 に 相 対 湿 度 を 下 げ ,
乾 燥 し て 全 乾 状 態 と し ,そ れ ら の 寸 法 と 質 量 を 測 定 し た 後 ,試 料 を飽 水 状 態 と し そ れ ら の 寸法 と質量 を
測 定 した 。
3.2.6 乾 燥 時 の 湿 度の 影響
同 一節 問か ら 30 個 の 42
試 料 (全 乾 比 重 0 . − O.
49 ) を 作 製 し,比 重 の 偏 差 や 平 均 他 が ほ ぼ 等 し く な る よ
ープ に 振 ー
一プ
う に ,10 個 ず つ 3 グル り分 け た 。ま ず ,飽 水 状 態 の 試料 の 寸 法 と 質 量 を測 定 した 後, 2 グ ル
は ,そ れ ぞ れ 柑対 湿 度 90 ,60 % に 調 湿 し た 室 内 に い ず れ も 4 昼 夜 放 置 し,さ ら に 徐 々 に 租対 湿 度 を 下 げ て
一方 , 1 ープ は , シ ータ 内 で 2 昼 夜 乾 燥 した 全 て の 試料 を 105 ℃
乾 燥 した 、
, グ ル リカ ゲ ル 在 中の デ シ ケ 。
・’
し て 全 乾 状 態 と し,そ れ ら の 寸 法 と 質 量 を 測 定 した 後 ,試 料 を 飽 水 状 態 と し,そ れ ら 」法
の
で 1 昼 夜乾 燥
と質 量 を測 定 した 。
3.2,7 乾 燥 温 度 の 影 響 お よ び 減圧 の 効 果
同 一・ 節 闘 か ら 40 個 の 試 料 ( 42 − O .
全乾 比 重 0 . 46) を 作 製 し .比 重 の 偏 差 や 平 均 値 が ほ ぼ 等 し く な る よ
ー ー一プ
う に ,10 個 ず 4 グ ル プ に 振 り分 け た 全 て の 試 料 の 飽 水 状 態 の 寸 法 と 質 量 を 測 定 し た 後 , 3 グ ル
つ 。
. ー
ータ 内 で 行 た 他 の 1 グ ル プ は ,減 圧
恒 温 乾 燥 機 中 で 行 い ,20 ℃ で の 乾 燥 は シ リ カ ゲ ル 在 1 の デ シ ケ
」 1
っ 。
し た シ リ カ ゲ ル 在 11 の デ シ ケ
ータ 内 で ,20 ℃ で 4 昼 夜 乾 燥 し た 。全 て の 試 料 を 105 ℃ で 1 昼 夜 乾 燥 し て
・
全 乾状 態 と し,そ れ ら の 寸 法 と 質 量 を測 定 し た 後 ,試 料 を 飽 水状 態 と し ,そ れ ら の 寸 法 と 質 暈 を 測 定 し た 。
3.
2.8 蒸 煮処 理 の 効 果
.
煮沸 した 後 に 乾 燥 し,顕 著 に 落 ち 込 み を生 じ た 葦材 の 細 胞 壁 を,蒸 煮 処 理 に よ っ て 元 に 戻 す こ と を検 討
一 ・
防 11 な ど の 目 的 で 高 温
した 。 般 に 蒸 煮 は ,高 い 含 水 率 の 木材 を乾 燥 す る 際 に ,乾 燥 速 度の 増 加 や 割 れ の
17
水 蒸 気 を 噴射 す る 処 理 初期 蒸煮) や
〔 ,曲 げ 加 工 を行 う 際 の 処 理 な ど ,様 々 な 意 味 を持 つ 本実験 で は ,
を回 復 させ る 方法 を 蒸 煮 処 理 と 呼 ぶ こ とに する
高湿 度 下 で 加熱す る こ とに よ り落 ち 込 み 。
異 な る 5 節 問か ら そ れ ぞ れ 25 個 ず つ 試 料 を 作 製 し 1全 乾 比 重 32 〜 0 .
O. 38 ),比 重 の 偏 差や 平均値 が 等 し
36
一
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小幡 谷 : ク ラ リ ネ ッ ト リ ー ド用 葦 ) 1・
A ruitdo dm2ax L .
く 1 の 物性
100
80
郵
樸十
肆 60
40
20
00
20 40 60 80 100
水 中 浸 せ き時 間 (hr)
図 8 水 抽 Ill
城 分 残 留 率 と水 中 浸 せ き時 間 の 関 係
○ ; ブ ロ ッ ク 試 料 ,● ;粉 末試料 .
くな る よ うに 25 個 ず つ 5 ープ に 振 り分 け た 。 試 料 を 飽 水 状 態 と し, さ ら に
グル 3 時 問煮 沸 した 後 ,寸 法 と
質 量 を 測 定 し,相 対 湿 度 60 % の 雰 囲気中 に 2 昼 夜 放 置 し た 。さ ら に 徐 々 に 相 対 湿 度 を 下 げ,105 ℃ で 1
昼 夜乾 燥 して
全乾状態 の 1.
・
と質 量 を 測 定 し た 。次 に ,各 グ ル
法 と に 水 を人 れ た デ シ ケ ータ内 に 入 れ , ープ ご
20 ℃ で 1 週 問 放 置 し た 後 , 1 グ ル ープ は 速 や か に 試 料 の 寸 法 と 質 量 を測 定 し た 。他 の 4 グ ル ープ は ,デ シ
ータ か ら 出 す こ と な く ,そ れ ぞ れ デ シ ケ ータ ご と 40 ,60 80 95 ℃ の
ケ , , 恒 温 乾 燥 機 中 に 入 れ ,12 時.
間加
熱 し た 。こ の 後 ,試 料 を飽 水 状 態 と し,そ れ ら の 寸 法 と 質量 を 測 定 し た 。
3 . 3 結 果 と考 察
3.3.1 水 抽 出 成 分 の 溶 出 速 度
熱 水 抽 出 成 分 ,す な わ ち 水 抽 出 成 分 の 総 含 肩 量 は ,粉 末 試 料 で 約 L7 % ,ブ ク 試 料 で 約 ]6 % で あ ロ ッ っ
=
た 。水 抽 出 成 分 残 留 率 (% } 1( 総 含有量 一 溶 出量 〉/ 総 含 有 量 } XlOO と して .浸 せ き後 の 葦 材 内 に 残
留す る水 抽 出 成分 の 割合 〔 .
水抽 IH 1成 分 残 留 率 ) を 求 め た 。水抽 出 成 分 残 留 率 と 浸 せ き時 間 の 関 係 を 図 8 に
示 す 。粉 末 試 料 の 場 合 に は 2 凵当澗 ,プ ロ ク試 料 の 場 合 に は 96 時 間
ノ そ れ ぞ れ 水 中 に 浸 せ きす る こ と に よ ,
って ,い ず れ も 水 抽 出 成 分 の 80 % が 溶 1出 し た 。冷 水 に よ て 抽 出 可 能 な成 分 は ,お よ そ 4 昼 夜 水 中 に 浸
っ
で あ っ た 。ま た ,実 用 上 間題 とな る の は ,既 に 乾 燥 を 経 て 加 工 さ れ た 葦 製 リ ー ドが ,演 奏 時 に 吸 水 し,演
奏後 に 乾燥 す る 際の 落 ち 込 み で あ る 。 した が ,こ
っ て こ で は 葦 材 を水 中 に 浸 せ き して 飽 水 状 態 に し ,再 び
乾燥 させ る 過 程で 生 じる 落ち 込 み に つ い て 検討す る 。
3,
3.2 葦 材 の 膨 潤 お よ び 収縮過程
.
膨 潤 ,収 縮 ,水 抽 出 処 理 に よる繊 維 方 向の 寸 法変 化 は極 め て 小 さ く,誤 差 の 範 囲内で あっ た た め ,以 卜
37
一
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. ・資 料 第 32号 (1996)
木材研 究
1
(
承
)
辮
佃
凝
メ
冒
平 均含水率 (
%)
図 9 飽 水 状 態 か ら の 乾燥 と収 縮
○ ;t 方 向 (放 射 方 向),● ;v ・方 向 接 線 方 向 ).
(
,便 宜 上 ,試 料 の 2mm
1萌
く異 な る c,こ れ は 試 料 形 状 の 効 果 に よ る もの と 考 え ら れ る 。 そ こ で 厚 さ ( )方 向
を t方 向 放 射 方 向 ),幅
〔 10n
( … )方向 をw 方向 1接 線 方 向 ) と呼 ぶ こ とに す る 。
飽 水 状 態 の 葦 材 の 乾 燥 に 伴 う 収 縮 過 程 を図 9 に 71ミす 。乾 燥 開 始 か ら 1 時 問 後 に ,し方 向 の 収 縮 が 始 ま り。
2 時問 後 に は w 方 向 の 収 縮 が 始 ま っ た,
、t 方 向 の 収 縮 は 急 激 に 進 行 し,乾 燥 開 姶 後 6 時間で ,そ の 収縮 率
は 8 % に 達 した 。
こ れ ら の 収 縮 は ,室 と し て 細 胞 の 落 ち 込 み に よ る 。落 ち 込 み が t 方 向 に 大 き く 生 じ た 源
因 は ,試 料 表 面が 先 に 乾燥 して 硬 化 し ,w 方向 の 収 縮 を 拘 束 し,細 胞 壁 の 内 腟 側 へ の 座 屈 が .
t 力 向に 集
1Ci:
1
中 した た め で ある 。
一
乾 燥 開 始 後 6 時 間 か ら 16 時 間 の 間 に ,含 水 率 が 約 IOO % か ら 約 50 % ま で 低 「 し た に も関 わ ら ず , ・ 1’
法
一 , 形 状
は あ ま り変 化 し な か た、,こ れ は ,落 ち 込 み が 進 行 す る と 同 時 に ,落 ち込
っ
ん だ 部 の 細 胞 が 元 の に
’ で の の 移 動 に 伴 て ,壁 孔 部 の 水 の メ ス カ ス に よ る 引 張 力 が 細 胞 壁
回 復 し た た め と 推 察 さ れ た 。材 内 水 ニ
っ
1’
s
。含 水 率 30 % 以 下 に )
を 内側 に 吸引 座 屈 さ せ る が ,細 胞 内 腔 の 自 由 水 の 消 滅 に よ り落 ち込 み は 回復 す る
な る と ,t ,
w 方 向 の 収 縮 が 再 び 始 ま
へ た が ,こ れ は 主 と し て 細 胞 壁 の 収 縮 に よ る 。無 処 理 葦 材 お よ び 煮
っ
沸 後 乾 燥 し た 葦 材 の 横 断 面 を 図 10 に 示 す 。維 管 束 鞘 お よ び 維 管 束 鞘 に 囲 ま れ た 維 管 束 の 部 分 に は 落 ち 込
み
は 生 じて い な か た が ,柔 細 胞 に は 顕著 な落 ち込 み が 生 じ て い た 。図 10 に 見 ら れ る 落 ち 込 み は ,細 胞 が 最
っ
い る。した が て ,こ こ で 扱
も大 き く変 形 し た 状 態 で は な く,そ れ が あ る 程 度 回 復 し た 後 の 状 態 を 示 し て っ
.
「
う 落 ち込 み は ,厳 密 に は
」 乾燥 後 に な お残留 す る 落 ち込 み
「 で あ る こ と を付 け 加 えて お く 」 。
落 ち 込 み が 残 留 し た 葦 材 の 膨 潤 過 程 を .図 且 に 示 し て る 。含 水 率 約 30 % ま で ,t, w 方 向 と もに 直
い
線 的 に 膨 潤 した 水 中 浸 せ き に よ り含 水 率 が 1200% 近 く に な る と ,w 方 向 の 寸 法 は ,乾 燥 前 の 飽 水 状 態 の
.
そ れ とほ ぼ 等 し くな た 。こ れ は , 吸 湿 に 伴 て 細 胞 壁 が 軟 化 し ,細 胞 壁 に 蓄 積 さ れ て い た 復 元 力 に よ て ,
[丿 っ っ
38
一
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.ト リ ー.ド用 .
小 幡 谷 ク ラ リ 不 ソ r 4rtndo dvi・
( ictA L 、
)材 の 牛
刎 1
攤
12
1Q
8
”’
尋 6
SL
穫干
鐸 ・
.
.
.煮沸
.
…
幽
2 .
一
→
呂
0
●
’
20
50 100150 200250
平 均 含水 率 (%)
図 !O se ち込 み が 致 gi した r 材 の 棚 圻面 図 11 落 ら込 み が 残 { し た .
.
羃 材 の 駈彡潤 過 稈
’
こ); しノ∫庁rj (方攵身寸プilP」),
●
;w
丿 ボ
丿「i上
(接・
酷琵プir P . 匚
’が 20〔〕%
F ち込み S した た め で
が 回彳 の ろ う。そ れ に 対 し て 匸 ノ∫向 は , ti水
、 t 近 くに な っ て も な お 4 % 有 度
た。
rLは 圓
収 縮 して い こ れ は , 客ち 込 み が 吸 湿 した だ け 復 しな か っ た こ と を示 し て い る。こ の よ うな 照 著
な 碕 ち込 み の 夕戈1,1が , リ ー ドの 波 打 ち や 反 りを弖 じ ,矢 川 一
ヒの 凵 遉 と な る 。 L
煮 り1}す る こ とに よ
、 っ て .し ゐ 向 の X5ち込 み もほ ば 回 復 し た 。細 胞 4k h
の 丿 界1 唄 域 は ,吸 湿する と 100 ℃ 以
[
1吸 1 し た だ け で は 同 復 し な か ,熱 に よ る 細 胞 壁 の 軟 化 て
下 で 軟化す る っ た 語 ち込 み が 初め て 回復 した
’
と考 え ら れ る 。 し か し,煮 沸 に よ っ て f ち込 み を回 緩 さ せ て も .そ れ を 匕 燥 す る 際 }一再 び
( Lじ
落 ち込 み を 一
る た め , リ ー ドの
’
_ iiな 生形 を 煮 沸
, に よ て 回 復 させ る の は ,失 用 「]」で は な い 。
っ
方 向 と も に 小 さ か ’た こ れ は ,Il猷 IEJ L こ所 た な 6 ち 込 み が あ ま り生 じ な か し て 1・
+
た だ け で な く,残
∫ 丿
, 。 ・
っ
た 洛 ち 込 み が ,吸 1, 1
il[ に や や 回 復 し た た め で あ る 、
[ 」 ,[ S に ,顕 名 に tlf}ち 込 み が 1 じた 葦 材 に い て ,繊 維
gi ]: つ
一
飽和点 下 以 の 含水率 で 1 謂 繰 り返 しを 行 以 」 今 の 収 縮 1:ミの 変 化 を 示 す 。繊 緇 飽 和 点 以 下 で 乞湿 を繰 り返
乙 吃 ク
,
す だ け て v , 客ち込 み は 徐 々 に 回 復 す る 。た だ ., ご湿 辛 り 返 し に よ る fiち 込 み の 回 復 は わ ず か で あ り.
LI
効 果 由 な プJ 法 で は な 。 い
の .
一・,II
が 回 復 せ ず に 蝋 11 す る こ と が 明 ら か と な
、 た 、実 用 的 に I I uV と な る の は ,水 で 湿 ら せ て も回 復 し な
っ
い 顕 者 な ft ち 込 み で あ る 。そ こ で 畉 処 理 .材 を飽
水i 犬態 に し た と き の 1 方 向 の 寸 法 を to,そ れ を d 燥 後 ,
・
1 :
,
π び 飽 水状. 二 L
・
凱 し た と き の h ⊥ を 1 と し ,冶 ち 込 み 残 1に 1 月係 す る 丹 S (% ) π Kte− t )/ L 1 × 100
[ 。 ] 。
を 定 義 し,Sc に よ て 残 1 1し た tf ち込 み の 和 麦を司 価 す る 。
っ 、
39
一
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木 材研 究 ・資 料 第 32号 ユ996 )
〔
(
承
)
儺
爆
冥
平均 含水 率 (
%)
図 12 落 ち込 み が 残 留 し た 葦 材 の 膨 潤 過 程 と,煮 沸 せ ず に 乾 燥 し た 場 合 の 収 縮 過 程
○ ;t 方向 (放 射 方向 ) の 膨潤過程t ● ;w 接線 方向} の 膨 潤 過 程,
方向 〔
△ ;t 方向 (
放射 方 向〕 の 収縮 過 程 , ▲ ;w 方 向 〔接 線 方 向 ) の 収 縮 過 程 ,
5
(
承
) 4
静
鐸 3
籌
OO 10 20 30
含水率 (
%〉
図 13 繊 維 飽 和 点 以 下 で の 乾 湿 繰 り返 し に よ る t 方 向 倣 射 方向)の 落 ち込み の 回復
○ ;吸 湿 1 回 目 ,▲ ;乾 燥 ユ 回 目 ,口 ; 吸 湿 2 回 目.
4D
一
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小 幡谷 ク ラ リ ネ ソ ト リ ー ド用 葦 〔
il ntndo dona・
x L .
. )材 の物 性
3.3,
3 煮 沸 の 影 響
煮 沸 し た もの と しな か っ た もの に つ い て ,無 処 理 時 の 全 乾 比 重 ,水 抽 山成 分 の 溶 出 に 伴 う重 量 減 少 率 ,
S 、 の それぞ れの 平 均 値 と 9tt% 信 頼 区 間 を 表 2 に 示 す。
Scは ,煮 沸 し た 方 が 大 きか っ た 。 煮 沸 す る こ と に
20 .
よ り ,細 胞 内腔 の 水 中 に あ っ た 小 気 泡 が 水の 膨 張 に 伴 っ て 消失 す る ,水 と 細 胞 壁 の 接触角 が 小 さ くな る ,
zD
水 と 壁 面 と の 間 に 気 泡 が で き に く く な る ,細 胞 壁 の 膨 潤 に よ っ て 壁孔 径 が 小 さ くな る とい っ た原 因 に よ
り,S 、 が 増 大 し た と考 え ら れ る 。た だ,笑 用 的 に 問 題 と な る の は ,常 温 あ る い は 体 温 程 度 の 水 を吸 っ て飽
水 状 態 と な っ た 葦 材 の 落 ち込 み で ある 。 した が っ て 常 温 水 中 に 減 JT:
以下で は , 下 で 浸 せ きして飽 水状態 に し,
煮 沸 せ ず に 乾 燥 した と きに 生 じる 落 ち込 み に つ い て 検 討す る.
3.3,
4 エ タ ノ 置換 の 効果 ール
タ ノ
ー
エル 置換 行 た もの
を っ と行 わ な か っ た もの の ,無 処 理 時 の 全 乾 比 重 ,重 量 減 少 率 ,S。 を表 2 に 示
ール
す 。重 量 減 少 率 に ほ と ん ど差 は な く ,エ タノ 中の 浸せ きに よ っ て 新 た に 多量 の 葦 材 成 分 が 溶 出 す る こ
とは な か っ た。
エ タ ノ ール 置 換 を行 っ た 場 合の S 、 は ,置 換 を 行 わ な か
,乾 っ た 場合の そ れ に 比 べ て小 さか っ た 。こ れ は
ー
燥 速 度 が 速 くな り,細 胞 内 腔 に 満 た さ れ た 液 体 の 引張 力 が ,細 胞 壁 に 加 わ る 時 間 が 短 くな る こ と, タ ノ エ
ル の 表 面 張 力 が 水 よ り も小 さ く 細 胞 壁 を 座 屈 させ る 力 が 小 さ い こ と に 起 因 す る と考 え ら れ る 。
,
3.
3.5 実 質 率 の 影 響
飽水状態 か らの 全 収縮率 と飽 水 含水 率 の 関係 を図 14 に 示 す 。飽 水 含 水 率 は 材 の 実 質率 と負 の 関 係 に あ る 。
も し 落 ち 込 み が 生 じ な け れ ば ,飽 水 含 水 率 の 高 い ,す な わ ち 実 質 率 の 小 さ い も の ほ ど 全 収 縮 率 は 小 さ くな
る は ず で あ る が ,実 際 に は 逆 の 結果 で あ っ た 。こ れ は ,実 質 率 が 低い 、す な わ ち柔 細 胞 の 割 合 が 多 い 材 ほ
ど落 ち込 み が 顕 著 に生 じた た め で あ る。
3.3.6 乾 燥 時 の 湿 度 の影 響
表 2 に ,乾 燥 時 の 湿 度 を変 え た 場 合 の S 。 を示 す 。 乾燥 時 の 湿 度 が低 い ほ ど Sc が 小 さ く,シ リ カ ゲ ル E
ール
表 2 煮 沸 .エ タ ノ 置換 お よ び乾燥湿 度の 影響 C20 ℃ )
無 処 理 全 乾 状 態 注 {k に よ る
条 fノ
一
ト Sc (% )
に お ける 比 重 重 量 減 少 率 〔 %)
4 昼 夜 減 圧 注 水 0 .402 11 . 6 2 , 5
相 対 湿 度 60 % 下 乾 燥
で 0 .
392
: − O .
412 9 .
3 〜ユ2 .
4 2 .
1 − 2.8
4 昼 夜減圧 注 水後,3 時問 煮 沸 0 .
4〔
〕5 12、
2 4 . 3
395 − 0 .
相 対 湿 度 60 % 下 で 乾 燥 O , 4 ]4 11 . −
7 13 . 9 3. 〜
6 5.O
4 昼 夜 減 圧 注 水 0 .443 1 ユ. 8 1 .
5
相 対 湿 度 60% 下 で 乾燥 0 .432− U .455 1 〜ユ2 .
11 , 4 1 .3〜1 .
7
4 昼 夜減圧 注 水、
e.442 12 .
2 0 .
5
1 昼 夜 タ ノ ール 中 に 浸 せ き
433 〜0 . 7〜ユ2 、 d− 〔〕.
エ
0. 450 1⊥. 7 0 、 7
相 対 湿 度 60 % 下 で 乾燥
4昼夜 減圧注 水 0.
446 ⊥9.
519 L31
相 対 湿 度 90 % 下 で 乾 燥 0, 〜
436 Q .455 . 〜
O 2U 、0 .2− 1 .
4
4 昼夜 減圧注 水 0.
449 19 .
318 1.20
相 対 湿 度 60 % 下 で 乾 燥 . − O,
〕 438
〔 460 6 〜20 ,
. 1 .9− 1 .
4
4 昼 夜 減圧 注 水
0.
449 20 .
Ol9 0,50
デ シ ケ ータ 中 で
. 〜0 .
〕 440
〔 459 4 〜20 .
. 7 3 〜0 .
. 6
シ リ カ ゲ ル に よ り乾 燥
上 段 ;平 均 値 ,下 段 :95 % 信 頼 区 間 .
41
一
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. ・資 料 第32号
木材研究 (上99
16
14
12
璽
ざ 10
ノ)
〔
416018Q
200 220 240 260 280
飽 水 含水 率 (
%〉
図 1・
4 全 収 縮 率 So) と飽 水 含 水率 の 関 係
(
で 速 や かに 乾燥 させ た 場合 に は ,Sc が 特 に 小 さか っ た、
、相 対 湿 度 60 % と 90 % で あ ま り差 が な か っ た の は ,
試 料 周辺 の 雰 囲気が 室 内 の 湿度 に 関 わ ら ず 高湿 度 に な っ て い た た め と 思 わ れ た 。竹 材 ,木 材 で も,乾 燥 速
鳴 2 』
抽
:
度が遅 い は ど落 ち込 み が 著 しい こ と が知 られ て い る tt
も し ,細 胞 壁 が 弾 性 体 で あ り,壁 層 の 剥 離 等 が 起 こ ら な い な らば ,自 由 水 の 消 滅あ るい は水中の 気 泡の
発 生 な ど に よ っ て ,細 胞 壁 に 加 わ る 水 の 引 張 力 が 消 失 L た 瞬 間 に 変 形 は 完 全 に 同 復 し,落 ら込 み は 残 留 し
ない は ずで あ る、
,実 際 に は 細 胞 壁 は 粘 弾 性 体 で あ り ,水 に よ る 引 張 力 が 加 わ っ て い る 聞 に ク リ ー.
プ を生 じ,
さらに それ が ドラ イン グ セ ッ トさ れ る 。こ の 場合 , 水.
に よ る引張 力の 加 わ っ た 時 間が 長 い ほ ど ,変 形 の 生
じる 細 胞 の 数 が 多 くな り,セ ソ ト され る 変 形 量 も大 き くな る と 考 え ら れ る ,
、乾 燥 速 度 が 遅 い ほ ど,S 、 が増
加 した の は 、水 の 引 張 力 が 細胞壁 に 加 わ る 時 問 が 長 くな っ た た め と考 え ら れ る ,
,
3,3,
7 乾 燥 温 度 の 影 響 お よび 減圧 の 効果
Zll ’
S 。 と 乾 燥 温 度 の 関係 を 図 焉 に 示 す 。乾 燥 温度が高 い ほ ど Se は 大 きか っ た 。こ の 傾 向 は ,木 材 の そ れ
と 類 似 した 、
、乾 燥 温 度 が 高 い 場 含 ,乾 燥 速 度 が 速 く な り,引 張 力 が 細 胞 壁 に 加 わ る 時 聞 が 短 く な る は ず で
あ る 。そ れ に も 関 わ ら ず S 。が 増 加 した の は ,煮 沸 の 効 果 お よ び 細 胞 壁 の 軟 化 の 影 響 で あ ろ う。高 温 乾 燥 開
始直 .煮 沸
後の 状 態 に 等 し く, ま た ,加 熱 さ れ て 細 胞 壁 が 軟 化 L.
飽水材 は された ,水 の 引 張 力 に 対 し て 容
易 に 変 形 す る た め に ,S が 増 丿( し た と 考 え ら れ る 。 、
図 15 に は ,減 圧 乾 燥 し た 場 合 の 9.,
、も示 し て あ る 、 、減 圧 し た 場 合 に は ,常 圧 で の 乾 燥 に 比 べ て s 。が 小 さ
か た。 れこ
っ は ,減 圧 に よ て 乾燥速 度 が 速 くな る だ けで な くっ 自由 水 中 の 空 気 が 気 泡 と な り 水 の 引張 , ,
力 が 細 胞 壁 に 伝 達 さ れ な くな っ た た め と推 察 され る 。
3.3.8 蒸 煮 処 理 の 効 果
−.
− 4C)℃ 』
Sc と 蒸 煮温 度 の 関 係 を 図 16 に 示 す 。2U で 高湿 度 1・に 保 っ て も ,残 留 した 藩 ち 込 み は ほ と ん ど
’
囘 復 し なか っ た ,
、し か し ,高 湿 度 卜に 保 60 ℃ 以 上 に 加 熱 す る こ と で ,落 ち込 み は ほ
っ た ま ま と ん ど回 復
.
t.
.S た の は ,無 処 理 試 料 1 「に 残 留 し て い た わ ず か な 落 ち 込 み が ,蒸 煮 処 理
「
した 、 の 値が 負 に なっ に よ っ て 回
. . .蒸
復 Lた た め で あ ろ う 。図 17 に ,蒸 煮 処 理 に よ ( 落 ち 込 み を 回 復 さ t士た 葦 材 の 柔 細 胞 の 横 断 両
っ を示 す 、
・
12
一
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小 幡谷 ク ラ リ ネ ッ トリ ード用 葦 An
( ”tdo flo
・
nax L .
)材の 物性
(
琶
り
2
しっ
00
20 40 60 80 100 120
乾燥 温 度 (
℃)
図 15 落 ち込 み残 留量 S。
( 〕 と乾 燥 温 度 の 関係
減圧 乾 燥 ,エ ラ ーバ
○ ; 常 圧 乾 燥 ,● ;
ー ;95 % 信 頼 区 聞.
〔
違
り
しっ
20 40 60 80 100
蒸 煮 温 度 (℃ )
図 16 落 ち込 み 残 留 量 〔S ∂ と 蒸 煮 温度の 関係 図 17 蒸 煮 処 理 に よ り 落 ち 込 み を 回 復 さ
エ ラ ーバ ー ; 95 % 信頼 区間. .
ぜた 葦材の 横 断面
43
一
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煮 処 理 に よ り ,柔 細 胞 に 残 留 し て い た 顕 著 な 落 ち 込 み は ほ と ん ど 回 復 し て い る こ とが わか る 、
、
19 )
60 ℃ と い う温 度 は ,飽 湿 状 態 の 木 材 細 胞 壁 が 軟 化 す る 温 度 に 近 い 。 蒸煮 温度 が高 い ほ ど 溶 ち込 み が
大 き く回 復 し た の は ,加 熱 に よ り ,細 胞 壁 が 軟 化 し,細 胞 壁 に 蓄 積 さ れ て い た復 元 力 に よ る 落 ち込 み の 回
復 が 容 易 に な っ た た め で あ ろ う。
3,
3,9 リー ドの 変 形 を抑 止 す る た め の 実 用 的 な 方 法
リ ー ド先 端 は .0 .
し ば し ば 波 打 ち,演 奏 の 支 障 と な る1mm 程 度 と きわ め て 薄 い リ ー ド先 端 部 に
。こ れ は
お い て ,乾 燥 に と もな う柔 細 胞 の 落 ち込 み が 生 じ る た め で あ る 。た だ ,こ の 変 形 は 長 期 間 使 用 す る 問 に 生
じに く くな る ,,こ れ は ,長 期 間 使 用 す る こ と に よ り,口 中 の 汚 れ な ど に よ て リ ー ド表 而 の 細 胞 の 開 口 部 っ
が ふ さ が れ ,す ぐ に は 飽 水 状 態 に な ら な い た め で あ ろ う。な お ,葦 材 に 比 べ て 落 ち込 み に くい 木 材 製 の リ ー
端 部 に は ,波 打 ら は 生 じ な い 。
ド先
一 ー ー ド全体 に 幅 反 りが 生 じ,マ ウ ス ピ ース の 平
方 . リ ドの 使 用 初 期 あ る は 長 時 聞 の い 演奏 後 に は , リ
.
面 部 と の 密 着 性 が 悪 くな り,音 色 が 悪 くな る だ けで な く,場 含 に よ っ て は 演 奏 が 不 ril 能に な る こ とが あ る ,
、
こ の よ うな 変 形 は ,湿 らせ ただ けで は 回復 し ない 場合 が 多い 。こ の 反 りの 原 因 と して ,次 の 3 通 りが 考 え
られ る。
a ) リ ー ドの 裏 面 ,す な わ ち材 の 内 層 部 の 柔細 胞層が ,使 用 後 の 乾 燥 過 程 で 顕 著 に 落 ち込み ,そ れ が 乾 燥
後 も残 留 し,湿 らせ た だ け で は 同 復 し な い た め , リ ー ド裏 面 が 凹 状 に な る 、
,
b ) リ ー ドの 裏 画 ,す な わ ち 材 の 内 層 部 か ら 多 量 の 水 抽 出 成 分 が 溶 出 して 柔細 胞 が 収 縮 し, リ ー ド裏 而 が
凹 状 に なる 。
C ) 原材が 未 成熟 で あ っ た か ,あ る い は リ ー ド製 造 行 程 で 乾燥 が不適 切であ っ た た め ,購 入 した 時 点 で 既
ー が 生 じ て お り,そ れ が 使 用 に と も な う乾 湿 繰 り返 し に よ っ て 回 復 し,
に リ ド裏 面 に 顕 著 な 落 ち 込 み
リ ー ド裏 面 が 徐 々 に 凸 状 に な る 。
こ の う ち ,a の 変 形 に つ い て は ,長 時 間 の 使 用 を 避 け ,使 用 後 の リ ー ド を シ リ カ ゲ ル を 用 い る な ど して
速 や か に 乾 燥 させ れ ば 最 小 限 に 抑 え る こ と が で き る ,,ま た , リ ー ドの 大 部 分 が 飽 水 状 態 と な る ダ ブ ル リ ー
ド楽 器 な ど で は ,使 用 後 の リ ー ド を し ば ら くエ タ ノ ール に 漬 け る こ と に よ り,変 形 を抑 制 す る と い た方 っ
が
法 考 えら れ る で ー
。変 形 が 残 留 し た 場 合 も , リ ド を 湿 布 に 包 で 加 熱 す る と
ん い た 方 法 で ,リ ー ド を飽 っ
水 状 態 に す る こ と な く,変 形 を 回 復 さ せ る こ と が で き る 、 ,一・ 方 ,b , c の よ う な 場 合 に は ,蒸 煮 処 理 を 行 っ
て も 変 形 の 回復 は 困 難 で あ る と 思 わ れ る 。b の 場 合 に は 失 わ れ た 水 抽 出 成 分 に 代 え て ,低 分 子 量 の 糖 を
,
含 浸 させ , リ ー ド裏 面,す な わ ち 内層 部 を膨 潤 さ せ る 方 法 が 考 え ら れ る 。糖 含 浸 に よ て バ ル キ ン グ 効 果 っ
て 提 案 さ れ て い る が ,実 用 的 に は グ ル コ ース や マ ル ト ース あ る
鋤
を得 る と う方 法 は ,既 に Stamm
い に よ っ
い は シ ュ ー ク ロ ース を 含 浸 させ る と い う方 法 が 考 え ら れ る e の 場 合 に は ,変 形 を回 復 させ る こ と は 不 可 能
.
で あ る。した が て ,使 用 に と も なっ て リ ー ド裏 面 が 凸 面 に な る リ ー ドは ,使 用 で き な い と 考 え て よ い
っ 。
一 ドは ,一般 に リ ー ド裏 面 を ガ ラ ス 面 に 密 着 さ せ る 形 で リ ー ドケ ース に 保 存 さ れ る 。 し か し,
使 用 後 の IJ
こ の 場 合 ,乾 燥 速 度 は 遅 くな り,変 形 が 生 じ や す くな る 。長 時 間 の 演 奏 に よ て 部 分 的 に 飽 水状 態 と な っ っ
た リ ー ドは , リ ドケー ー ス に 納 め る の で は な く,で き る だ け速 や か に 乾 燥 させ た方 が ,変 形 が 小 さ い は ず
で ある 。
3 ,4 結論
葦材 は 飽 水状態 か ら の 乾 燥 過 程 で 顕 著 な 落 ち 込 み を 生 じ た 。板 状 の 場 合 ,落 ち 込 み は 厚 さ方 向 で 特 に 顕
著で ,再 び 飽 水 状 態 に して も回 復 し な か っ た ,、煮 沸 した 場 合,落 ち 込 み 残 留 量 は 増 加 し た 。 ま た ,乾 燥 速
度 が 遅 く ,細 胞 壁 が 自 由 水 か ら 受 け る 引 張 力 が 長 時 間 加 わ る ほ ど ,落 ち 込 み 残 留 量 は 増 加 し た 。 さ ら に ,
乾燥 温度が高 い ほ ど ,内 腟 内 の 自 由 水 の 変 化 や 細 胞 壁 の 軟 化 な ど に よ り ,落 ち 込 み 残 留 量 は 増 加 した 。.・
方,
エ タノ
ール に 浸 せ きす る , あ る い は 減圧 下 で 乾燥 す る こ と に よ り,落 ち 込 み の 残 留 が 抑 制 さ れ た 、
,
高湿度 で ,60 ℃ 以 E に 加熱す る こ と に よ り,落 ち 込 み が ほ と ん ど 回 復 し た 。 これ は ,水 分 と 熱 に よ り網
44
一
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Kyoto University
小幡谷 :ク ラ リ ネ ッ ト リ ー ド用 葦 C4rttttclodona.
y L.
)材 の物 性
4 .葦 材 の 吸 湿 性
4 . 1 目的
J6》 25
,カ
/
竹 材 に 含ま れ て い る 糖 類 は ,高 湿 度 の 雰 囲 気 下 で 多 量 に 吸 湿 し ビの 発 生 を促 進 し た りす る 。 葦
材 に 含 ま れ る 多量 の 水 抽 出 成 分 も ま た ,葦 材 の 吸湿性 に 大 き く関 与 し て い る と考 え ら れ る 。 ま た ,水 抽 出
成 分 に よ る 葦 材 の 吸 湿 性 の 変 化 は ,振 動 特 性 の 含 水 率 依 行:性 に も大 き く関 わ る は ず で あ る u
で は ,葦 材 の 吸 湿等 温 線 に ,Hailwood
−Horrobin の z6 }
を 適 用 し て 吸 着 水 の 内 訳 を 解 析 しt 細
こ こ 吸 着式
胞 壁 中の 水抽出 成分が ,単 離 し た そ れ と 同 様 ,吸 湿 に 伴 っ て 溶 解 す る こ と を明 らか に す る 。ま た ,葦 材 お
よ びマ ダ ケ 材 か ら 単離 し た α 一セ ル ロ ース ,ホ ロ セ ル ロ ース
. の吸 湿 等 温 線 を,木 材 の そ れ ら と比 較 し ,葦材 ,
竹 材 の 吸 湿 性 が 木 材 の そ れ よ り低 い 理 山 に つ い て考 察す る、
,
4 , 2 実 験方 法
4,2.1 言式垰斗
水抽 出処 理前 後 の 葦 材 ,マ ダ ケ 材 ,お よ び 無 処 理 の ス プ ル ース 材 を試料 に 用 い た ,,2mm 葦 材 ,マ ダ ケ
(
:R ース T) ⊥Omm 葦 材 ,マ ダ ケ 材 は T 方向,ス ース R
材 は 放射 方向 ,ス プル 材 は接 線 方 向 ; × ( プル 材 は
結 乾 燥 して 得 た 粉 末 を水 抽 出 成 分 試 料 と した 。
4.
2.2 平 衡 含 水 率 の 測 定
減 圧 乾 燥 し,105 ℃ で
・ 後 ,そ れ ら
ブ ロ ッ ク試 料 と粉 末 試 料 を ,60 ℃ に おい て P20s 上 で 昼 夜 乾燥 した
7
,そ の 全 乾 質 量 を 測 定 し た 。次 に ,そ れ ら を塩 の 飽 和 水 溶 液 を 用 て 30 ℃ で 調 湿 し た 雰 囲 気
] /
燥 した 後 い
中に 放置 し ,所 定 時 間 後 に 質 量 を 測 定 し 平 衡 含 水 率 を 求 め た 用 い た 塩 は 9 種 類 で ,調 湿 に 要 し た 期 間 は ,
t tt
2週 間
〜 1 カ 月 で あ た 、相 対 湿 度 70 % 以 .
っ L で は ,カ ビ の 発 生 を 防 ぐ た め ,デ シ ケ ータ 中 に 少 量 の パ ラ
,
フ ォ ル ム ア ル デ ヒ ドを 入 れ た :
,
4.
3 結 果 と考 察
4.3.1 葦 材の 平 衡 含水率
異 な る相 対湿 度 H (% ) に お け る 水 抽 出 処 理 前 後 の 葦 材 ,ス ブ ル ース 材お よ び 水抽 出 成 分 それ ぞ れ の平
衡含水率 M (% 〕 を 表 3 に 示 す 。ま た ,水抽 出 処 理 前 後 の 葦 材 お よび ブ ース ス ル 材 の ブ ロ ッ ク 試 料.
の 吸 湿
18 M は ,全 て
ー
H で ,ス プ ル ス 材 ,水
等温線を図 に 示 す 。水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 の の の そ れ よ り低 か っ た
抽 出 処 理 前 後 の 葦 材 を 比 較 す る と ,H ,無 処 理 葦 材 の M が や や 低 か た 、 ≦ 32 .
、こ れ は ,多 量 に
3% で は っ
含 ま れ る 水 抽 出 成 分 の 吸 湿 性 が 低 い た め と 考 え ら れ る H ≧ 55 . 9 % で は ,水 抽 出 処 理 に よ る 差 が 明 確 に 。
現 れ ,無 処 理 葦 材 の M が , H ≧ 90 % で 急 激 に 増 加 し た の に 対 し て ,水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 の M は ,H =
1m
96 .6 % の と き ,試 料 形 状 に 関 わ らず 21 % で あ た 。鈴 木 は ,無 処 理 竹 材 の 高 湿 度 に お け る 高 い 乎 衡 含 っ
.
水 率 を ,水 溶 性 抽 出 成 分 に よ る と 報 告 し て い る 。無 処 理 葦 材 0 ) M が 高 湿 度 域 で 非 常 に 大 き く な た の は , っ
竹材 と同 様に ,水 抽 出 成 分 が 大 量 に 吸湿す る ため で あ る と考 え られ る 。
4. 2 Hailwood −Horrobin
3. の 吸 着式 を適 用 した解 析
−H ’’
L6
を 適 用 し,1及 着 水 を ,理 論 で 仮 定 さ れ て 2
1
種類 の 形 態 の吸 着 水に 分 離 して ,葦 材 の 吸湿性 の 特 徴 を検 討 し た 。 溶 液 論 に 基 づ くこ の 吸 着 理 論 は ,吸 着
水 が ,岡 体 に 水和 し た 水 と 固 溶 体 中 に 溶 解 し た 水 か ら な る と仮 定 して い る 。そ して ,こ れ ら 2 種 類 の 吸 着 水 .
す な わ ち 水和 水 お よ び 溶 解 水 は ,B .
E.T .の 理 論 を 用 い た 場 合 の 単 分 子 層 お よ び 多分 子 層 の 吸 着 水 に 相 当
45
一
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表 3 種 々 の 相 対湿 度 に お け る 葦材 、マ ダ ケ材 ,シ トカ ス プ ル ース 材 の 平 衡含 水率 30℃ )
〔
.
韋lll無 処 理 ) 1.
54 2 .
70 ・
i.03 5.41 7 .
40 1 ユ.
16 25 .
67 5〔).
59
葦 ボ水 抽出処理 後) ユ.
69 2 . 88 ・
1.183 5.36 7 .
24 10 .
17 16 .
63 2 〔〕.
64
粉 末試 料 マ ダケ 無処理 )
〔 1.
48 2 .58 .854 5 . 7 .
12 〔〕Z 1ひ.28 18 .
98 34 .03
マ ダ ケ 〔水 抽 1出処 理 後 ) 1.
75 2 ,
96 ,245 5.47 7 .
31 15 16.
1⊂}. 22 19, 60
ース 嶼 . .
ス ブ ル 処理 〕 2.
23 3 .
58 、02 6.3E3 8 .
38 11 .
52 18.
40 23 .
10
葦 2.
092 3.553 4.984 6.266 8.188 11 .
Slll 19 .
: 8020 31 .553
ホロ セ ル
ロ ース マ ダケ ,62
〔} 504
. .945 226
. .
]38 .
3512 .
〔621 ].
〕 0531
ス プ ル ース
. .
412 .
OLt4 、605 946
, 968
. 2411 .
. 21 .
3924
葦 .
462 O・
.14 .
235 .
636 .
478 .
1911 ]7 .
3317 .
1924
α一セ ル
ロ ース
マ ダケ 522
. 144
. 335
. .
727 .
629 、
3611 .
5418 .
4527
ス プ ル ース .
67 .
34 ,
65 .
le ,
0618 .
97 82
. .
52
葦の 水 抽 出 成 分 8 〔1
〔1. 2,
64 5 .
71 9 .
73 ,
〔15 42 .
89 165 .
00 340 .
86
40
30
衷
) 20
Σ
10
QO20
40 60 80 10D
H (
%)
図18 無 処 理 葦 材 ,水 抽 出処 理 後 の 葦 材 , シ トカ ス プル ース 材 の 吸湿等温線
● ;無処 理 葦 材 ,C ;水仙
」
IH 1 処 理 後の 葦材 ,x
; シ トカ ス プル ース 材 .
一 46 一
一
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ー ド用葦 .
小幡 谷 ク ラ リ ネ ッ トリ A ne .
.
〔 n {lv cUmax ) 1瀬の 物 性
L.
す る 。相 対 湿 度 irに お け る 平衡 含水 率 を M と す る と,
H / M は 次 式 に 示 す H の 2次 関 数 で 表 され る、
,
BH − CH2
昔一A ・
C・
1,1)
こ こ に ,水 和 水 に 関 係 す る 平 衡 定 数 を K1 ,溶 解 水 に 関 係 す る 平 衡 定 数 を K2 ,有 効 な 吸 着 点 lmol あ た り
の 試 料 質量 を W ( 4.
g ) と す る と ,式 ( 1) の 係 数 A .B ,
C は ,そ れ ぞ れ 次 式 で 表 され る 。
− ・
18K , (i 1}
詮 +
,・ − 18 翫 ÷署 ・ 、
’
・ −
i 繍 塁
群 1)
且
〔
… )
定 数 Kl,
K2 .
W は ,定 数 A ,B ,C 、
か ら次 式 で そ れ ぞ れ 求 め ら れ る ,
=
B + B
一 、厭 = 50 (
、!B2 十 ・
4AC − B )
Kl 什
2AC ・K ・
A
4,
〔 3)
一
W = 1800>冠Σ 午 4AC .
測 定 値 に 上 式 を適 用 して 求 め た 各 定 数 を,表 4 に 示 す 。な お ,表 中 の r は ,II/ M と H の 関係 を 2 次 回
表 4 吸 湿 等 温 線 に Haihv。 (d−Hort・
} obin 式 を適 用 して 求 め た 回 帰 係 数 お よ び定数
一セ ル 蓋 3.
05 0 , 139 1 ,
30 0 .
977 6 , 71 0 . 797 337 4 . 50 2D.98 25 .
48
α
ロ ース
マ ダケ 2.
94 0 ,
138 ],29 {〕,
977 6 ,89 0 ,
797 3133 4 .
58 21 .
18 25 .75
ス プル ース 2,
70 0 ,136 /.28 0 .
973 7 ,
22 0 .812 324 4 .
74 23 .
98 28 .73
帰 した と きの 相 関 係 数 で あ る 、
、茉 材 の W の 値 は ,ス プル ース 材 の そ れ よ り大 き く,葦 材 の 単 位 質 量 あ た り
の 活性 な吸着点 が ,ス ブ ル ース 材の それ に 比 べ て 少なか っ た 。こ れ は ,試 料 の 組 成 ,セ ル ース ロ の 結 晶化
.
度 な ど の 差 異 に よ る と考 え ら れ る .ま た ,無 処 理 葦 材 の W は ,水抽 出 処 理 後 の そ れ よ り 丿
〈きか っ た。こ れ
’
は ,水 抽 出 成 分 の 単 位 質量 あ た 1]の 活 性 な吸 着 点 数 が 少 な い こ と を示 して る。 い
水 和水 量 M 止」 と 溶 解 水 量
( /
/Ms } ぱ ,次 式 に よ っ て 求め られ る 。
M ・
一
頭 騰 螺 ;〉 ,M ・− 、 w τ 揖1Ω黒 、〉
・
〔… )
4.
式 〔 4) を 用 い て 求め た 、II =10〔〕 % に お け る Mh ,Ms ,M 、十 Ms の 値 を 表 4 に 示 す 。 ま た ,水抽 出 処
,
理 前後 の 藻材 : の ブ ロ ッ ク 試 料 に つ い て ,M11,M 、と 】1 の 関 係 を 図 19 に 示 す
表 4 に 示 し た よ う に ,試 料 形 u
状 に 関 わ ら ず ,葦 材 の Mh は , ス プ ル ース 材 の そ れ に 比 て 少 な か た 。ま た ,水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 で は ,
べ っ
47
一
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Kyoto University
木材研 究 ・資 料 第 32 号 (1996)
30 150
Ms Ms
20 100
〔 (
承 鹸
の
V
τ
Σ Σ
溜 、 .
‘
Σ Σ
10 50
Mh
Mh
oo oo20
20 40 60 BO 100 40 60 80 100
H (%) H (
%)
図 19 葦 材 の 吸 着 水 の 内訳 図2 〔〕 水 抽 出成 分 の 吸 着 水 の 内 訳
太 線 ; 無 処 理 葦 材 ,細 線 水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 , M1一 水 和 水 ,
Ms ;溶 解 水 .
M ; ノ〈矛ロノ ,
, MH ;〜 1
容角皐が(. k
M , も,ス プ ル ース 材 の そ れ よ り少 な か,葦 材 実 質 の 吸 湿 性 は , ス プ ル ース 材 の そ れ に 比
っ た。 した が っ て
べ て 明 らか に低 い と 言え る 水 抽 出 処 理 前 後 を 比 較 す る と .無 処 理 の 方 が M1、
。 が わ ず か に 少 な く,M は 多 ,
か o た 無 処
。 理 試 料 に は ,質 量 に し て 13 % の 水 抽 出 成 分 が 含 ま れ て い た の で ,水 抽 出 処 理 前 後 の M を そ
れ ぞ れ Mu , M ,材 内 抽 出 成 分 の 吸 湿 量 を M Xt と す る と ,)(exL
、
二 (Mu / O .
,
87 − M }/ O .13 の 関係 が 得 ら 。
れる。 こ の 式 を 用 い て 求 め た 材 内 の 水 抽 出 成 分 の M ,M と H の 関 係 を 図 20 に 示 す 。材 内 抽 出 成 分 に 吸 着
, 、
した 水 の ほ と ん ど が ,溶 解 水 の 形 で あ た 。粉 末 試 料 中 に 含 ま れ る 抽 出 成 分 に つ い て も ,同 様 の 傾 向 が 認
っ
め られ た 。
2s
対 し て ,水抽 出成 分 の 吸 湿 等 温 線 は ,シ リ カ ゲ ル の 臭素 , ヨ ウ素の 吸着 や ,黒 鉛
へ 〔GraphOn ) の 水 )
へ
3
と 同 様 川刑 で あ る : 1 し か し,高 い 水 親 和 性 お よ ひ膨 潤 性 を 持 た 水 抽 出 成 分 の 吸 着 が ,シ リ カ
聆 α
の 吸着 っ
ゲ ル や 黒 鉛 の よ うに ,固 相 を 保 た均
一な 表 面 の 吸 着 と 同 一で あ る と は i ft
っ ’ ない 単 離 し た 水抽 出 成 分 は , ”
n
H = ・
30 % で は 粘 液 状 に な り,H ≧ 80 % で は 溶 液 状 に な た 。こ の こ と か ら ,水 抽 1十 成 分 は ,固 相 を保 持 ⊃ 「
し た ま まで 水 を 吸 着 す る の で は な く,吸 着 水 に 徐 々 に 溶 解 して 均
・な 水 溶 液 と な る ,い わ ゆ る 潮 解 を 示 す
と考 え ら れ る 。水親 和 性 が 高 く,潮 解 性 を持 物 質 と して ,ポ リ チ レ ン グ リ ール 〔PEG 〕 が あ る が ,
つ エ コ
た 。一方 , グ ル ース を
31
水 抽 出 成 分 単体 の 吸 湿 等 温 線 は ,平 均 分 子 量 400 程 度 の PEG の そ れ
/ 〕
に近か っ コ
主 成 分 と す る 水 抽 出 成 分 は 、水 酸 基 な ど の 吸 着 点 を多 く持 つ と 考 え ら れ る が ,水抽 出成 分 の 単 位 質 量 当 た
り の 活 性 な吸 着 点数 は 木材 や 葦材 実質 に 比 て 少 な く,そ の 吸 湿 等 温 線 は ,低 湿 度域 で M の 立 ち 上 が り を
べ
牛 じな セ ル ロ
い 。
ー ス で は ,低 湿 度域 に お け る 水 の 吸 着 は ,吸 着 点 の 中 で も 吸 着 エ ネ ル ギ ーの 大 き い 1 級
ミ セ ル ロ ース の M が ,低 湿 度 域 で 小 さ い
12 ) 331
水 酸 基 に 牛 じ る と さ れ て い る 。佐 道
矧
は ,単 離 し た ブ ナ
/
ヘ
原 因 と して , ミ セ ル ロ ース に 1 級 水 酸 基 が な く カ ル ボ
ヘ ル 基 も 少 な い こ と ,乾 燥 過 程 で 分 丁. ニ 鎖問 に 2 次
結 合が 生 成 さ れ , 活性幕 が 減 少 す る こ と を挙 げ て い る 。ま た ,高 湿 度域で M が 大 きい 原 因 と して ,多層 に
48
一
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小幡谷 :ク ラ リネ ノ ト リー ド用 葦 口 γ贓 60 伽 燃 L.
)材 の 物性
400
80
300 60
聲 ・・
垂 ・・
100
20
0020 OO
40 60 80 100
20 40 60 80 100
わた る吸着 吸 湿 に 伴 う新 た な 吸 着 表 面 の 創 牛 お よ び 水 の 凝 縮 を 指 摘 して い る 。水抽 出 成 分 の 吸 湿等 温線 は ,
ース .
吸 湿 量 が 極 端 に 多 い 点 を 除 け ば ,単離 Lた ヘ
ミセ ル ロ の そ れ
33 36 :
と も類 似 して お り,吸 着 機 構 の トで
は ,ヘ ミセ ル ロ ース に近 い と考 え ら れ る 。
4.
3.3 水 抽 出成 分 の 吸 湿 性
吸 着 式 を適 用 して 得 ら れ た 水 抽 出 処 理 前 後 の M の 差 か ら, 各 H に お け る葦材 内 抽 出 成分 の M を推 定 し
た 。得 ら れ た 結 果 と,単 離 し た 水 抽 出 成 分 の 測 定 結 果 を 図 21 に 示 す 。材 内抽 出 成 分 の 吸 湿 等 温 線 と ,単 離
した 水 抽 出 成 分 の それ は ,岡 様 の 傾 向 を示 した が ,材 内 抽 出 成分 の M は , 単 離 した もの の そ れ に 比 べ て 低
か っ た 。水 抽 出 成 分 の 大 半 が 内 腔 に 付 着 す る 形 で 存 在 して い る な ら ば ,そ の 吸 湿 性 が こ れ ほ ど 抑 制 さ れ る
こ と は ない と考 え ら れ る た め ,水 抽 出 成 分 の 一部 が 細 胞 壁 内 にあ っ て ,そ の 吸 湿 性 が 抑制 され て い る と推
察 され た 。材 内 に 存 在 す る ミセ ル ース は ,セ ル ロ ース や
ヘ ロ リグ ニ ン と の 化 学 結 合 に よ っ て ,そ の 吸 湿 性
7 −39
a’
しか し,冷 水 で 容 易 に 溶 出 す る 葦 材 の 水 抽 出 成 分 が , リ グ ニ
}
が 単体 の そ れ よ り低 くな る 。 ン 等 と強固
な結 合 を して い る とは 考 え られ な い 。
細 胞壁 内 に 吸 湿 性 の 高 い 物 質 が 存 在 す る と い う意 味 で ,
無処 理 葦 材 は ,
い くつ か の 含 浸 処 理 木 材 と 類 似 し て い る 。StammZ4
は ,糖 を 含 浸 さ せ た 木 材 の 吸 湿 性 に つ い て 調 べ
,糖 含
)
浸 に よ り,平 衡 含 水 率 が わ ず か しか 増 加 し な い こ と を示 し 含 浸 さ れ た
, 糖 は 自由に 吸 湿 し得 ない と述べ て
IG )
い る 。鈴 木 は 竹 材 の 吸 湿性 に つ て 調べ ,単 離
,
い
,材 内 抽 出 成 分 の 吸 湿 量 が 低
した 水 抽 出 成 分 に 比べ て
い こ とか ら ,そ の 部 が細胞 壁 の 微 細 閲 隙 に 拡 散 して 結 合 水 の 吸 着 を 阻.
み ,そ れ 自体 も 自 由 な 吸 湿 を し得
に存 在す る か 否 か に 関わ ら ず ,木 材 に 吸 着 す る こ とに よ 吸 着点 が 減 少 し た PEG
っ て の 吸湿性 は ,吸 着 に よ
49
一
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木材研 究 ・資 料 第 32 号 (⊥996 >
’
12) . ,含 浸 剤 と 木 材 と の 化 学 的 な作 用 に
らず に 木材 内 に 存 在 す る PEG の そ れ よ り も低 い 。こ れ ら の 報 告は
.
よっ て ,材 内 の 含浸 剤 の 吸 湿 性 が 単 体 の そ れ に 比 べ て 低 くな る と い う 考 え方 を と て い る 。
っ
’ ) 』
が PEG
細 胞 壁 内 に あ る 水 抽 出 成 分 の 吸 湿1
牛が 抑 制 さ れ る 機 構 を ,Stainm40 浸処理 材に つ
含 い て 用い た方
法 を 適 用 して 検 討 した 。す な わ ち ,水 抽 llh成 分 単.体 お よ び 抽 出 後 の 葦 材 の M の 他 か ら ,そ れ ら の 質 量 分 率
の M を比 較 し た 。
を考 慮 し て 無処 理 葦 材 の M を 計 算 し,計 算 で 得 ら れ た M と 実 際 に 測 定 し た 無 処 理 葦 材
≧ 50 % で .実 渕 他 が 計 算
プ ロ ・ク 試 料 に つ い て .無 処 理 葦 材 の M の 実 測 値 と 計 算 値 を 図 22 に 示 す 。IT
ソ
値 よ り 小 さ く な り ,H ≧ 80 % で は ,そ の 差 が 顕 著 で あ た 実 測 値 と 計 算 値 の 比 は ,水 抽 lll成 分 の 吸 湿 っ 。
性 が 抑 制 さ れ た 程度 を 示 して い る .:水抽 出 成 分 が 顕 著 に 吸 湿 ,膨 潤 す る 高 湿 度域 で ,そ の 1吸湿 性 が 大 き く
一・
部 の 水 抽 出 成 分 の 膨 潤 が ,細 胞 壁 に よ て 拘 束 さ れ て い
抑制 され て た こ と か ら ,細 胞 壁 内 に 存 在 す る
い っ
」
た と 考 え ら れ る ,ま た ,低 湿 度 域 で ,抽 出 成 分 の 吸 温 1
tt コ三が そ れ ほ ど抑 制 さitて い な か た こ と は ・水 梛 1 っ
等 と 化 学 的結 含 を 生 じ て い な い か ,あ る い は そ の 結 合が 非常 に 弱 い こ とを 示 して い る
成分 が 。
リ グ ニ ン
プ ・ク 試 料 の .
ロ ソ 場 合. H の 増加 と と も に 抑制 の 程度 が 増 加 した の に 対 し , 粉末 試 料 の 場 含 に eよ, それ が 徐 々
..
.
.・
に 減 少 し た .こ れ は ,試 料 調 製 時 の 粉 砕 で 生 じた 細 胞 壁 破 断 而 な どか ら , 部
の 水抽 出 成分が 細 胞壁 外 へ
の 水 抽 出 成 分 は ,60 ℃ 以
し,拘 束 か ら 解 放 さ れ ,よ り高 い 吸 湿 性 を 示 した た め で あ ろ う 竹 の 生 材 中
滲 Ilill 。
.
て も 水 抽 出 成 分 溶 出 量 は わ ず か O.8%
ヒの 温 度 に し な 限 り容 易 に は 溶 出 せ ず 6 日 問 の 水 中 浸 せ き に よ
い っ
.
,
T ll
1・溶 附 る ・
(
で あ る が ,6。 ℃ 以 上 の 羅 た は 乾燥 } ・ よ り抽 1贓 分 を髑 す る 縫 膜 が 破 壊 さ れ る と翻 ・
. てい た た め に ,
葦 材 に お い て も ,生 材 か ら の 乾 燥 過 程 で 半 透 膜 が 破 壊 さ れ ,水 抽 出 成 分 が 溶 出 し や す くな
っ
一 ・
部 が ,高湿 度 域 で 潮 解 し,壁 外 滲 }1 し た と 考 え
lb
叩 解 を経 た 粉 末 状 の 葦 材 細 胞 壁 内 に あ る 水 抽 1.
i.
1 へ
成 分の ,
:
られ る。
4.3.4 葦 材お よ び竹 材 の 吸 湿 性
ー
,水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 , ダ ケ 材 の M は ,ス プ ル ス 材 の そ れ に 比 て ,全 て )H
0
表 3 に 示 べ
マ
した よ うに
に つ い て ,単 離 し た
で 低か た 。こ の 吸 湿 性 の 低 さ が ,葦 材 ,竹 材 の ど の よ う な 成 分 や 構 造 に 起 因 す る か
っ
α
.
..
セ ル ロ ース ,ホ ロ セ ル ロ
ース ,水 抽 lll拠 理 後 の 葦 材 , ダ ケ 材 の 吸 湿 等 温 線 か ら考.
. 察する。 マ
. ー −
葦 材 ,マ ダ ケ 材 ,ス プ ル ース 材 か ら 精 製 し た α 一セ ル ロ ス の 各 IIに お け る M と. Hailwood Horr bin 〔)
の 吸 着 式 を 適 月1 し て 求 め た ,H
二 100 % に お け る Mh ,
: M
Ms , 1.
Ms を ,そ れ ぞ れ 表 3 . 4 に 示 す 。表 4 ,
.か ら ス プ ル ース 材 , ダ ケ 材 ,葦 材 の 順 で あ た ま た ,マ ダ ケ
に お て ,M ,
い M 、い ず れ も ,多い ノ
, ∫ , マ っ 。
. ・ 葦 材 ,マ ダ ケ 材 の
一セ ル ロ ース の 吸 湿 性 が ス プ ル ース 材 の そ れ
材 と葦材 の そ れ らの 他 は ほ ぼ 致 した 。
α
ース の 結 品 化 度 が 高 い た め と 推 察 さ れ た 。α 一セ ル ー ロ
に比べ て低か た の は ,葦 材 , ダ ケ 材 の セ ル ロ
っ
マ
ス の M + M 。の 値 は ,ス ブ ル
ース 材 の 29 % に 対. し,葦 材 , ダ ケ 材 の そ れ は 25
− 26 % で あ り 葦 材 . マ t
、
マ ダ ケ 材 の 他 が ,ス プ ル
ース 材 の そ れ よ り 3 〜 4 % 低 か た 。ま た ,ス プ ル ース 材 の M 十 M 。の 値 が 26 % っ ,
. ダ ケ 材 の そ れ が 22 − 23 % で ,そ の 差 は 3 −− 4 % で あ た 。
た の に 対 し ,水抽 出 処 理 後 の 葦 材 マ っ
で あ っ ,
α
一セ ル ロ ース の 質 量 分 率 が ,い ず れ の 材 で も 40 −t5〔〕% で あ た こ と か ら ,水 抽 出処 理 後 の 葦 材 .マ ダ っ
ケ 材 と ,ス プ ル
ース 材 の 吸 湿 性 の 差 の 半 量 が ,セ ル ロ ース の 吸 湿性 の 差 異 に 起 因 す る と 推 察 さ れ た 。
− M, M 、
ホ ロ セ ル ース の 各 IIに お け る M と ,
ロ Hailwo d Horrobin の 吸 着 式 を 適 用 して 求 め た Mi 、 〔,
+ , , [
ー 一. ー て ,概 ね MI1 が 少 な く、 Ms は
Ms を ,そ れ ぞ れ 表 3 , 4 に 示 す 。ホ セ ル ロ ス は , ス に比 べ
セ ル ロ
ロ α
ー 一 ー ー. 吸湿 量
た 。 こ こ で ,ホ ロ セ ル ス の 吸 湿 量 が ,そ の 中 の セ ル ロ ス お よび ミ セ ル ロ ス の ヘ
ロ α
多 か っ
.
ース 中 の 一セ ル ロ ース の 質 量 分 率 を 用 て , ミ セ ル ロ ス の Mh , ー M ,
の 和 で あ る と 見 な し.ホ ロ セ ル ロ
い ヘ
α
A ミセ ル ・ 一
一
一ス a ) MI1は , 一セ ル ・ ス の そ れ 1こ 比 べ て や や 少 な く逆 に Ms tよ 多 か た
を求 め た と こ ろ ,
っ ・
α
こ れ は , ミセ ル ヘ ース が α .
.
一 一
.セ ル ロ ース に 比 て .水 利 水 の 形 で の 吸 着 が 少 な く,溶 解 水 の 形 で の 吸 着
ロ べ
が 多 い た め で あ る 。H
二10C}% に お け る ミ セ ル ース の Mh + M 。の 値 は ,約 45 % で あ た こ の {直は ,
ヘ ロ っ 。
・ て の 値 s ’i1 .
ミ セ ル ・ 一ス 1・ ⊃ ・・
1t”
M ts体 の M + Ms の お よ そ 2 讎 渡 で a} IO,1r.
:’
/ /
’( ’
離 した 種 ・ の 、 ・ [ よ りも ヘ
、
、
ー て , ミセ ル ロ
ー ス の 吸 湿 性 が ,単 体 の そ れに
た 。こ れ は ,セ ル ロ ス と結 合 す る こ と に よ ヘ
や や低 か っ
っ
50
一
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比 べ て 低 下 した た め ]E)で あ ろ う
/
一方 . . ース ース ’
マ ダ ケ材 の ヘ ミセ ル ロ の Mh は ,ス プル 材の そ れ よ り も少 な か っ た。 多 くの 針 葉 樹 の ヘ
ミセ ル ロ ース 4 ’
o
と 異 な り,竹 材 の ミセ ル ロ ース は キ シ ラ ンが 主成分で あ る こ とが 知 られ て お り
−
45 4s )
,単
ヘ
位 質 量 あ た りの 有 効 吸 着 点 数 の 差 異 に よ っ て ,水和 水 の 形 で 吸 着 量 が 減 少 した と も考 え 。 し か し.
の
’ られ る ,
竹 材 と 同 様 、ヘ ース 7
,そ の
)
ミ セ ル ロ の 主成分が キ シ ラ で あ る葦 材
ン に よ う な 傾 向 が 認 め られ なか っ た こ
と か ら ,竹 材 や 葦 材 の 吸 湿 性 の 低 さに . ース 成 分 の 差 異 が 大 き く関 与.
ヘ ミ ヒル ロ の して い る とは思 わ れ ない 。
ース ース
ホロ セ ル ロ とリ グ ニ ン の 質量 分 率 を 用 い て ,水抽 出 処 理 後 の 葦材, マ ダ ケ材 , ス プ ル 材お よ び
ース Mh .
Ms
.
それ らの ホ ロ セ ル ロ の の 値か ら ,リ グ ニ ン の M ,
Ms
, を 計 算 で 求 め た と こ ろ ,葦 材 ,マ ダ ケ
材 M ー.ス 材 の た、
,こ の 原 因 の 一.
・
の リ グ ニ ン の , は ,
ス プ ル そ れ よ り少 な か っ つ は ,マ ダ ケ材 の リ グニ ン と
針葉樹 リ グニ 構造の 違い
44 )
で あろ
.
.一
う 。 方 ,Ms
た 、こ れ は , リ グ は高い H に お
ン の
て 負 他とな い の っ t ニ
ンの 存 在 に よ り,ホ ース , リ グ ン そ れ ぞ れ の 吸 湿 性 が 抑 制 され た こ と を し て い る こ の
セ ル
ロ ロ
示 、
:
、ニ
抑制
の 程 度 は ,葦 材 や マ ダ ケ 材 が , ス プ ル ース 材 に 比 .
て 顕 著で あ た 木 材 中 の 成 分 単 体 の 吸 湿 性 が ,単 離 べ
っ 。
した も の に 比 て 抑 制 され る の は ,成 分 相 互 の 間 に 化 学 結 合 が 存 在 す る た め と さ れ て い る H730
。 し か し,
べ )
分 子 鎖 問 の 水 素 結 合 が 吸 着 水 に よ り切断 され ,高 度 に 膨 潤 して る 高 湿 度 域 で ,吸 湿 抑 制 の 効 果 が 特 に 大 い
きか た こ と か ら ,化 学 結 合 に よ
っ て 吸 着 点 が 減 少 す る だ け で な く, リ グ ン の ネ
っ
トワ ーク や 細 胞 壁外 ニ ッ
層 の ミク ロ フ ィ ブ リル な どによる膨 潤 の 拘 束 が ,単 体 の 吸 湿性 を 顕 茗 に 抑 制 す る と推 察 さ れ た 。竹 材 の 細 :
’ .
胞 壁 層 の 数 が 木 材 よ りも 多 い と い う説 も あ り 18),多 層 の 壁 に よ る 膨 潤 の 拘 束が ,薫 材 .マ ダ ケ 材 の 吸 湿 ↑
牛
の 低 さに寄与 して い る 可 能性 が 考 え られ る 。 葦 材 、竹 材 の 吸 湿 性 お よ び 繊 維 飽 和 点 が 低 い こ とは ,膨 潤 率
や収 縮率が低 ,含 水 率 変 化 に 対
い こ と す る 振 動 特 性 の 変 化 が 小 さ い こ と な ど と も関 連 す る た め ,今 後 さ ら
.
に詳 し く検 詞す る必 要 が あ る 。
4 . 4 結 論
.
葦’
材の 平 衡 含 水 率 は ,水 抽 出 処 理 声1後 で 大 き く 異 な っ た 。 処理 前の F衡 含 水 率
マ
は,抽 出後 の それ に 比 べ て ,
相対湿度 ・
10 % 以 下 で わ ず か に 低 く,50 % 以 一
.の
ヒで は 高 か っ た。 こ れは ,材 内 水 抽 bLF.
1成 分 が .低 湿 度 域 で
ほ と ん ど 吸 湿 せ ず ,高 湿 度域 で 多量 に 吸 湿 す る 潮 解 ’
1≦kを持 つ ため で あ る 。水 抽 出 成 分 の 吸 湿 に よ る 潮 解 は ,
.
単 離 し た も の で も,材 内 に 存 在 す る も の で も生 じ た が ,後 者 の 場合 の 吸湿量 は ,前 者 の それ に 比べ て 低か
っ た。 ,細 胞 壁 内 に 存 在 す る 水 抽 出成 分 の 吸 }
こ れは lil
性 が 抑 制 さ れ た た め と思 わ れ た 。ま た ,高 湿 度 域 で
の 粉 末試 料 平衡 含水率 , がの ブ ロ ク試料の そ れ に比 て 高 か た の は ,一 ・
部 の 水抽 出 成 分が 壁外 滲 出
ッ べ っ へ
.
し た た め と 推 察 さ れ た 。吸 湿 等 1温線 か ら 推 定 さ れ た 水 抽 出 処 理 後 の 葦 1封の 繊 維 飽 和 点 は 21 % で
,木 材 の
.
そ れ よ り も明 らか に低 か た こ の 原 因 と し て ,擽i材 の セ ル ロ ース の 糸繍 11化 度 が 高 い こ と ,高 湿 度 域 に お
っ 。
い て 細 胞 壁 に よ る 膨 潤 の 拘 束 が 顕 著 で あ る こ とが 挙 げ られ た 、
t
5 .葦 材 の 振 動 特 性 の 含 水 率 依 存 性
5 , 1 目 的
ー
リ ドの 品 質 に 最 も大 きく関 わ る の は ,葦 材 の 振 動 特 性 で あ る 。響 板 用 の 木 材 に つ い て は ,こ れ ま で 多
くの 研 究 が な さ れ て お り,比 電 が 小 さ い 割 に 弾 性 率 が 高 く,低 周 波 域 の 損 失 が 小 さ く,高 職 皮域 の 損失が
’
1 −5D
.
高い 木 材 が ,楽 器 響 板 材 に 適 し て る と言 わ れ て い る
…
)
。 .
方 ,楽 器 用
い
木材 の 吸 湿 は ,膨 潤 に 伴 う変 形
を 招 く だ け で な く,材 の 音 響 効 率 を 低 下 さ せ る た め 好 ま し くな い と さ れ て い る 。そ れ に 対 し て , リ ー ドの
一
場 合は ,湿 らせ た 方が 良い と され て お り ti
,水 分 に 対 す る 振 動 特 性 の 変 化 が ,木 材 の
ど )
それ とは 異な る よ う
。 ま た ,奏 ー
あ 者 が ,新 しい ら , リ ー ドが 過 度 に
で る リ ド を 長 時 間 連 続 して 使 用 す る の を 嫌 う こ と な ど か
水 を 含 む こ と に よ り,一・
次 的 に 音 色 が 悪 化 す る だ け で な く ,水 溶 性 抽 出 成 彡
ナが 溶 出 し,不 可 逆 的 に 材 質 が
劣 化 す る こ と も考 え ら れ る 。こ れ ら の こ と か ら ,こ .水 分 お 抽 1.
1.
こ で は 1 匹
よ び 水 成 分 が 葦材 繊維方 向の 振 動
51
一
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1叉123 振 動 昌寺{
生浬1」
定 用言
式片 図 Z4 振 動 特 性 の 測定装置
. b ;力目diHi電 慨畫不1.
a ;言rtJI
,
,
c ;
.
ア ン プ , d ;発 振 器 , e ; 変 位 計 ,
f ;バ ン ドパ ス フ ィ ル タ , 9 ;FFT
ア ナ ラ イザ , h ;調 湿 用 の 塩 飽 和 水
溶 液 .
特 性 に tj・
える 影響 とそ の理 由 につ い て 考察す る 、、 ,
5 . 2 実 験 方 法
ーブ .
一一 か ら ,l
ク ラ リ ネ ト リ ー ド用 に 選 別
ソ さ れ た ア ン テ 〔フ ラ ン ス ) 産 ,2 年 生 の 葦 材 の 節 問 内層部
10emm L) の 寸 法 の 6 試 片 を 作 製 し た 。材 取
(肉 厚 方 向 lR )× 1〔 :T )× (
繊維 方向 :
mm ]nlm (
接線 方向
,測 定 は , 4 昼 夜 水抽 出 処 理 す る 前 後 の 試 片 に て行 た 水 抽 出処 理 後
りと 試 片 の 形 状 を 図 23 に 示 す 、
つ い っ 。
O 52
. び 0.42 で あ
を基 準 と し た 水 抽 出 成 分 の 含 有 率 は 18 % で あ り,処 理 前 後 気 乾 ⊥匕重 そ
の : は れ ぞ れ お よ
ま た ,比 較 材 と
っ ,な お ,い ず れ の 試 片 も蒸 煮 処 理 を 施 し ,乾 燥 時 に 残 留 し た 落 ち 込 み を 回 復 さ せ た e
た,
して,シ トカ ス プ ル ース 材 Piceasitchef ・
( tsis Carr .
) の 隣接部 位か ら同
一.
・j.
法 の 6 試片 を 作 製 し ,測 定 に 供
した。
ー . −Bernoulli)Rlを 用
振 動 特 性 の 測 定 に は i両 端 自 由 た わ み 振 動 法 を 用 い , 1 次 モ ド の 共 振 周 波 数 か ら Eulor ,
E う を 求 め た 。測 定 は 25 ℃ で 所 定 の 湿 度 に 訓 湿 行 .調 した 測定 箱 中 で い
比重 (γ) か ら ,動 的 ヤン グ率 (
. にかび
湿 に 要 した 時 間 は ,10 − 20 日 間 で あ た 。測 定 装 置 の 概 観 を 図
っ
24 に 示 す 。高 湿 度 状 態 で 葦 材 試 片
が 発 生 す る の を 防 ぐ た め ,測 定 箱 中 に 少 量 の パ ラ フ ォ ル ム ア ル デ ヒ ド を 入 れ た 。
5 . 3 結 果 と 考 察
’ ー
葦 材 と ス プ ル ース 材 に い て .Z5 ℃ に お け る 繊 維 方 向 の E と 含 水 率 の 関 係 を 図 25 に 示 す 。 ス プ レ ス ,
つ
’ トの 含 水 率 で は .含 水 率 と と も に 低 下 し た 。含 水 率 z5
材 の E は ,含 水 率 約 5 % で 最 大 1直 を 示 し ,そ れ 以 一
一’
− 30 % に お け る 測 定 値 は 得 て い な い が , こ の 含 水 率 域 で ,E ’ の 低 トは 緩 や か に な り 繊 維飽 和 点 以 上 で ,
一. 5Lt, 「
。無 処 理 葦 材 の E は ,含 水 率 約 2 % で 最 大 と な り,そ れ 以 . .
S3 } ヒの 含 水 率 で 低
定 に な る と考 え ら れ る
層 一 定 と な た 。し た が て ,
ドし た 含 水 率 12 % 付 近 で E の 変 化 は 緩 や か に な り,
1,
含 水率 18 % 以 上 で ほ ぼ っ っ
20 % で あ る と 拒療 さ れ ,吸 湿 性 か ら擬 した 水抽 出 処 理 後
葦 の 繊 維 飽 和 点 は 材 柳 そ れ よ り も 低 く酌
52
一
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小幡谷 :ク ラ リ ネ ッ ト リ ー ド用 葦 Arttndo flOTta・
( x I,
.)材 の 物性
14 逼
12 o
◇
(
£ 絹
9 10
』
o
8
fi・ ・=
s
一
一 一
60
10 20 30 s wet
含水率 (
%)
図 25 葦 材 .シ トカ ス プル ース 材 の 動 的ヤ ン グ率 E り の 含水率依存性
〔
. ース
● ;無 処 理 葦 材 ,○ ; 水 抽 出処 理 後 の 葦 材 ,◇ ;ン トカ ス プ ル 材.
35 肖
30
25
」
O)
丶
20
駄
\
15
10 ト _
50 ヨ
10 20 30 wet
含水 率 (
%)
図 26 葦 材 .シ ース ’
トカ ス プル 材の比 動的ヤ ン グ E 7γ) の 含 水 率 依 存 性
率 (
● ; 無処理 葦材 ,○ ;水 抽 出処 理 後 の 葦 材 ,◇ ; シ トカ ス プ ル ース 材.
53
一
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.
’
.
一 値 は ま た ,竹 材 の 繊 維 飽 和 点
54 /G
に近
)
か た 。
の 葦材 の 繊維飽 和 点 と よ く 致 した この っ
.
.’
。
『を 比 較 ’
次 に ,水 抽 出 酊 後 の 葦 材 の E す る 。全 て の 含 水 率 で ,水抽 出 処 理 に よ り が低 卜した こ の 変 E 。
て こ の 効 果 は 急 激 に 低 下 し.含 水 率 15 %
化 41は ,10 % 以 下 の 含 水 率 域 で 大 きか
: た しか し,吸 湿 に 伴 っ 。
っ
’
以一L で は ,水 抽 出 処 理 前 後 の E に ほ と ん ど 差 が な か た 水抽 1出 成 分 は ,柔 細 胞 壁 の 非 晶 質 ト リ ク ス
っ 。
マ ッ
質 を 補 強 し て い る が ,高 含 水 率 域 で は ,そ の 効果が 減少 す る もの と考 え られ る 。
葦 材 と ス プル ー
一ス 材 の EYr と含水率 の 関係 を 図 26 に 示 す 。含 水 率 の 変 化 に 伴 う κ ブγ の 変 化の 傾 向は ,
’ ’ ’
E の それ に近 か っ た 。 しか し ,E と は 異 な り ,含 水 率 8 % 付 近 か ら無 処 理 葦 材 の E /γ の 方 が 低 くな っ た。
これ は ,水 抽 出成 分 に よ る 補 強 効果 が 小 さ くな る こ と に 加 え ,内腔 に 存在 す る 水 抽 出 成 分 が 吸 湿 し て γ を
.
高め る こ とに よ る と考えら れ る 。
ース 27 ース 材 の 傾 向 は ,著 し
葦 材 と ス プル 材の Lan δ と 含 水 率 の 関 係 を図 に 示す 。 無処 理 葦 材 と ス プ ル
ース 材 の tan δ は ,全 乾 状 態 か 含 水 率 約 7 % まで 含 水 率 と と も に 減 少 し,そ
く異 な っ た。 まず ,ス プル ら
.
一・ と一・
9t ”2 )
れ 以 ヒの 含 水 率 で 増 加 繊維飽 和点 以 一
し, ヒで 定 とな っ た 。こ れ は既 往 の 結 果 致 し た 。そ れ に 対 し
て ,無 処 理 葦 材 の tan δ は ,全 乾 状 態 か ら 含 水 率 と と も に 急 激 に 増 大 し.含 水 率 8 % 前 後 で 最 大 と な り ,
ー
20 % 以 ヒで ほ ぼ 一定 で あ た 。水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 の しan δ の 変 化 は ,ス プ ル ス 材 の そ れ と 類 似 し た
っ
。
無 処 理 葦材 に お ける 特徴 的 な tallδ の 含 水 率 依 .
近i:性 明 ら か に 水 抽 11 城 分 に 起 因 す る 。
は,
・1[
. ’
S / )
抽 出 成 分 が 材 の 振 動 特 性 に 影 響 す る 現 象 に ,ヴ
)tt
つ い て は ,い わ ゆ る 心 材 成 分 に 関 す る 報 告 ァ イオ リ
1191 鋤 .巳
ン 弓}
目
… ペ ル ナ ン ブ コ 材 の 水 抽 出成 分 に 関 す る轍 告 がある 、
.しか し, こ れ らの 場 合 」 山IL 成 分 は い ず れ
水率 に よ っ て 大 き く異な る とい う現 象 は ,葦 材 特 有 の もの と 思 わ れ る 。 なお ,葦 材 の tan δ に 見 ら れ る 特
異 な 現 象 は ,マ ダ ケ ,モ ウ ソ ウ チ ク で も認 め られ た こ と を付 け 加 え て お く 。
’
ー ド用 材 と し て の 特 性 を ,そ の 振 動 特 性 か ら 考 察 す る 。響 板 ,k: /γ
次 に ,蕊 材 の リ 用木 材 に お い て は
0,
016
0.
014
O.
012
0100
皀
祠
008
0,
゜・
006
。.
,。、 1_ よ t
含水 率 (
%)
. ース tullδ)
〔 含水 率 依存 性
図 27 葦 材 ,シ ト カ ス プ ル 材の損失正接 の
i材 ,◇ ; シ ト カ プル ース 材.
● ; 無 処 理 葦 材 .○ ;水 抽 出 処 理 後 の ギ睾 ス
54
一
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小幡谷 ク ラ リネ トリ
ー ド用 葦 (
Arttndodoiiaxし.
ッ
〉材の
物性
R
H
0 4 {cm }
(1 >
図 28 リ ードの 外 観 と ク ラ リ ネ ッ トの 吹 き L 」付 近
一 ドの 外 観 ,1:2 〕; ク ラ リ ネ ト の 吹 き口 付 近 , . ー ト, ー ド,
O 11i; 1J
T ッ ;テ r
ッ II; ハ
プ, R ; リ
L ;奏者 の 下 唇 ,M ;吹 き凵 〔 ウ ス ピ ス ). ー マ
に か け て ,ガ お よ び tan δの 顕 著 な低 下 に よ り , ぎ響 変 換 効 率 は 増 加 し , 淀 の 加振 力 に 対 す る変 位 は 大
き くな る 。こ れ は ,無 処 理 葦 材 に 特 徴 Ell . ’ ・
E tan δ は ほ ぼ .
]な 性 質 で あ る。 方 ,繊 維 飽 和 点 を超 え る と , ,{
定 で ,γ だ け が 増 加 し て い くた め .音 響 変 換 効 率 は 低 ド し,変位 は 小 さ く な る て , リ ー ドは や 「
した が 。 っ
や湿 た状 態が 最適 で あ る
っ と . 」 い 一
う奏 者 の 経 験 則 は .音響 変 換 効 率 あ る い は 定 加 振 力 に 対 す る 変 位 の 大
き さ か ら 説 明 で きる と思 わ れ る。
ー ’ ’
さ て , リ ド の 品 質 を音 響 変 換 効 率 や 一・ 定 加 振 力 に 対 す る 変 位 だ け で 考 え る と ,E /γ が 高 く,tan δ が
.
低 い 気 乾 状 態 の 水 抽 出 処 理 材 が 最 も 良 い と い う こ と に な る 。 ま た.水 抽 出 処理 材 は ,気 乾 状 態 か ら 飽 湿 状
’
態 に か け て の E {’tan δ の 変 化 が 無 処 理 葦 材 や 木 材 に ⊥.
匕べ て 明 ら か に 小 さ く,水 分 状 態 の 変 化 に 対 す る 振
動 特 性 の 安 定 性 が 高 い 。そ れ で も な お ,新 し い リ ー ド を 艮 時 間 使 用 し た 1「 ),水 に 漬 け た りす る の は 好 ま し
’
.
に 関 して は ,音 響 変 換 効 率 な ど で は 説 明 で き な い 、
: ’t 〕
くな い と す る 意 見 ,
.’
奏 者 が 水 抽 出 処 理 (長 σ) や の 時問
…
漉奏 水中 へ 浸 せ き) を 忌 避 す る 理 由 と し て 以 卜の 3 点が 考 え られ る ,
第 1 に ,前 述 し た 落 ち 込 み に よ る 変 形 で あ る 。 高 い 含 水 率 を 経 て 乾燥 させ る と ,リ ー ド先 端 は 波 打 ち ,リ ー
ド裏 面 に は 凹 凸 が 生 じ,演 奏 に 大 き な 支 「
無が 生 じる 。 第 2 に , ー ト部 分 の ヤ ン グ 率 低 下 で あ る 、,図 28 に , ハ
ク ラ リネ トの 吹 き 口 付 近 と, リ
ッ
ー ドの 外 観 を 示 す ー ト 部 分 と は , リ ー ド先 端 か ら 1 〜2cm 付 近 の 部 ハ
。
分 で .奏 者 の 下 唇 の 圧 力 に 抗 し て リ ー ド の 開 き を 維 持 し て お り, こ の 部 分 が 音 色 や 音 暈 を 大 き く左 右 す る
,ま た ,良 い リ ー ド と は . ー ト部 分 と 先 端 1II
C
と 言 わ れ て い る .
“
抵 抗 点 と 呼 iゴれ る 点 ) で 明確
:
〜分 の 中 間 ( ハ
’
に しな る もの と さ れ て い る . % し た が て , ー ト部 分 の 厚 さ が . 1’
1
frで な か ,ヤ ン グ 率 が 低 い 場 合 に は ,
っ ハ い
腰 の な い 」 リ ー ド に な る : ー ト 部 分 は 3 〜 5mm の 厚 さ で あ り ,演 奏 中 に 口 中 に 含 ま れ る わ
「
いわ ゆ る ,
ハ
けで は な の で ,短 時 間 の 演 奏 で は 気 乾 状 態 が 保 た れ て い る 。こ の 場 合 ,水 抽 出 成 分 は
い ー ト部 分 の ヤ ン ハ
グ 率 を 高 め て お り,水 抽 III.
拠 理に よる ー ト部 分 の ヤ ン グ 率 低 下 は ,リ ー ドの 腰 を弱 くす る と推 察 さ れ る 。
ハ
リ ー ド を長 II寺問 水 に 漬 け る と 腰 が な くな る ,あ る い は リ ー ドが 薄 くな る と 感 じ る 奏 者 が 多 い が , こ れ は 水
抽 出 処 理 に よ る 落 ち 込 み や 細 胞 壁 の 収 縮 だ け で な く ,ヤ ン グ 率 の 低 下 が 関 .
与・して る もの と思 わ れ る 第 い
。
・
3 に .水 抽 出 成 分 の ゴ弄色 の 閧 . 与で あ る。クラ リネ
.
トの 自域 は ⊥00 − 2〔
へ
OO Hz と広 く, さ ら に 各音 に は
〕 ッ
55
一
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10 次 以 上 に わ た る 多 くの 倍 音 成 分 が 含 まれ て い る 。 本研 究 で は 1 次 モ ー ドの み の 測定 で あ っ た た め ,得 ら
れ た振 動 特 性 値 は ,200 一 400 Hz
の 狭 い 周 波 数 範 囲 に お け る 値 で あ っ た。図 27 を 見 る 限 り,含 水 率 2〔〕%
以上 相 対 湿 度 80 %
( 以 ヒ) で は ,水 抽 出 成 分が 葦 材 の tan δ に 対 して ほ と ん ど 影 響 し て い な い よ うに 見 え
る が ,よ り高 い 周 波 数 で は ,水 抽 出 成 分 が ta 1
[ δに なお 大 き く 影響 して い る 可能性 が あ る 。特 に ,水 抽 出
処理 に よ っ て 音 色 が 硬 くな る と 感 じ る 奏 者 が 多 い こ とか ら ,水 抽 出 成 分 が ,音 響 変 換 効 率 な どの 音 量 に 関
る と考 え ら
わ る 物 性 値 だ け で な く,tal1δ の 周 波 数 依 存 性 な ど の 音色 に 関 わ る 物 性 値 に も 大 き く 関 与 して い
.
れ る 。こ の 点 に つ い て は ,今 後 ,広 範な 周 波 数 に お け る 振 動特性 に対 す る水 抽 出 成 分 の 効果 を明 ら か に す
る必 要が あ る 。
. きた が ,水抽 出 処 理 後 の 葦 材 に も ,木 材 と
こ れ まで ,葦 材 に 特 徴 的 な 水抽 出 成分 の 影響 に つ い て 述べ て
’
は 異 なる特性 が 見 られ る n 針葉樹 材 に つ い て は ,S2 層 の ミ ク ロ フ ィ ブ 11 ル 傾 角 を介 し ,E / GPa } と
r ( tan
.. 6D
δ の 間 に 以 卜の よ うな 関 係 が あ る 。
h)9 しan δ一
一〇.
661 ・ gE1 /γ
一 1.
2ユ . 5,
( 1)
’ た。こ
E /γが 低 い 割 に tan
水抽 出 処 理 葦 材 の E γγ と tan δ を こ れ と比 較 す る と , 低か
気乾 状 態 の δが っ
れ は ,葦 材 細 胞 壁 の 構 造 に 起 因 す る と思 わ れ る 。ま た ,含 水 率 変 化 に 対 す る 振 動 特 性 の 変 化 は 木 材 に 比
べ
,シ ース 100 % 近 く増 加 し た の に 対
て 小 さ く,気 乾 状 態 か ら 繊 維 飽 和 点 に か け て トカ ス プ ル 材 の tal δが
]
して ,水 抽 出 処 理 葦 材 の そ れ は 40 % し か 増 加 し なか っ たu こ れ は ,葦 材 の 繊 維 飽 和 点 の 低 さ,膨 潤 率 の
吸 湿 し た 状 態 で も な お tal1 δ が 低 く,水 分 に 対 す る 安 定 性 が 高 い と い う意 味 で ,葦 材 が リ ー ドに 適 して い
る と言 え る か も しれ な い 、
、た だ ,乾 燥 時 に 異 常 な 変 形 を 生 じ や す い こ と,水 抽 出 成 分 の 溶 出 に 起 因 す る 材
.
と,材 質 の 均 ・
な 多数の リー 一ド を 得 る こ とが 困 難 な こ と か ら ,材 質 の 安 定 し た 代 替 材
質の 変化が 生 じる こ
が求 め ら れ て い るの は 事実 で あ る 。
5 . 4 結論
一.
10 % 以 た が ,そ の 効 果 は 含 水
葦 材 の 水抽 出 成 分 は ,含 水 率 トで は 繊 維 方 向 の 動 的 ヤ ン グ率 を高 め て い
・
方 ,葦 材 の 水 抽 出 成 分 は 。
率 と と も に 減 少 し,15 % 以 一
ヒで は 動 的 ヤ ン グ 率 に ほ とん ど影響 しな か っ たr
全 乾 状 態 で は 損 失 正 接 を低 下 さ せ て い た が , 気 乾状態 で そ れ を 顕 著 に増 大 させ ,含 水 率 20 % 以 ヒで は 損
失 正 接 に あ ま り影 響 し な か っ た 。こ の 現 象 は ,水 抽 出成 分 の 溶 解 に と も な う も の と 推 察 さ れ た 。水 抽 出 処
理 後 で は ,損 失 正 接 の 含 水 率 依 存 性 が 木 材 の そ れ と類 似 し た が ,気 乾 状 態 か ら飽湿状 態 に 至 る 過 程で の 損
失正 接 の 増 加 が 木 材 に 比 べ て 小 さ く,含 水 率 の 変 化 に 対 して ,振 動 特 性 が 安 定 して い た。
6 .葦 材 の 振 動 特 性 の 力 学 モ デ ル 化 と 抽 出成 分 の 効 果
6 . 1 目的
先 に ,葦 材 に 多量 に 含 ま れ る 水tn1十1成 分 が ,含 水 率 10 % 以 下 で 葦 材 の 振 動 特 性 に 大 き く 関 与 し て い
,
る こ と を示 し た こ れ は ,柔 細 胞 層 に 含 ま れ る 水抽 出 成 分 が ,柔 細 胞 層 の 粘 弾 性 を 変 化 さ せ て い る こ と を
。
示 して い る こ こ で は ま ず
。 水 抽 出 成 分 を 含 ま な い 葦 材 の 繊 維 方 向 の 力 学 的 性 質 を粘 弾 性 モ デ ル で 表 し ,
,
さ ら に ,そ の モ デ ル を 用 い て 水 抽 出 成 分 が 柔 細 胞 層 の 粘 弾 性 に お よ ぼ す 影響 を 解 析 す る 。
iz)
が ,化 学 処 理 に よ る 非 晶 マ 性変化
「
木 材 繊 維 方 向 の 振 動 特 性 につ い て は ,秋 津 ら トリ ッ ク ス 物質 の 粘 弾
を ミ ク ロ フ ィ ブ リル とマ トリ ノ ク ス 物質 の 1軸 2 相 モ デ ル を用い て 解 析 し て い る 。最 近 で は , ミ ク ロ フ ィ
ブ リ ル の 傾 角 を考 慮 し た 近似 的 な 2 軸 モ デ ル が 提 案 され ,化 学 処 理 お よ び水 分 が マ トリ ッ ク ス 物質 の 粘 弾
G3 .
El4 〕
しか し な が ら ,木 材 細 胞 壁 の 力 学 モ デ ル を ,そ の ま
性 に 与 え る 影 響 を解 析 す る の に 用 い ら れ て い る 。
’
、2
ま葦材 に 適 用す る に は 困 難 が ある 、 .で 示 し た よ うに , ii材
;” は ,高 比 重 の 維 管 束 鞘 と低比 車 の 柔細 胞層
56
一
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小 幡谷 :ク ラ リ ネ ソ トリ ー ド用 葦 (
il nmde lonax L .
{ )材の 物性
と い う明 瞭 な 2層 に 分か れ て お り, こ れ ら の 力 学 的 性 質 が 大 き く異 な る と 考 え ら れ る 。 した が っ て .葦 材
の 力学 モ デ ル と して ,ま ず 維 管 束 鞘 と柔 細 胞 層 の 2相 モ デ 1レ を 考 え る 必 要 が あ る 。
6 . 2 実 験 方 法
100mm (繊 維 方 向 )XIOmm (
接 糸泉方 向 ) × lmnl 〔
半 径 方 向) の 葦材試 片 を 60 本 作 製 し ,水 抽 出 処 理
「
E / ),損 失 止 taLユ δ) を ,20 ℃ ,相 対 湿 度 60 % 雰 囲 気 中で 測
γ),比 動 ( r 接 ( の
前後の 比 重 〔 的ヤ ン グ率
’
定 した 。 E /γ,tal1δ の
5 . 2 に 示 した と お りで あ る な お ,水 抽 出 処 理 前 後 と も ,試
測 定 方 法 は ,既 に 。
’
片に 生 1 % の 雰 囲 気 中 で 12 時 間 蒸 煮 処 理 を施 した
じ た 落 ち込 み を 除 去 す る た め ,60 ℃ ,相 対 湿 度 10〔 。
6 . 3 結 果 と 考 察
6.3.1 水抽 出 処 理 に よ る 振 動 特 性 の 変 化
20 ℃ ,相 対 湿 度 60 % に お け る 葦 材 の 平 衡 含 水 率 ( M ),動 的 ヤ ン グ 率 ( E’),損 失止 接 ( tan δ) を 表 5
.
に示す、 ,水 抽 出処 理 に よ て M は や や 低 卜 し た 。無 処 理 葦 材 の 高 い M は ,水 抽 出 成 分 の 高 い 吸 湿 性 に 起
っ
’
因す る 水抽 出処 理 に よ て 1; は や や 低 ト し た 。前 述 し た よ う に ,こ の 湿 度 範 囲 で は ,M の 増 加 と と も に
っ
.
,
’
E が 低 下 す る は ず で あ る 。 し た が て ,水 抽 出処 理 に よ る ど の 低 卜は M の 変 化 に よ る も の で は な く,水
っ
抽 出 成 分 の 溶 出 に よ る もの で あ る 。 ・方 ,水 抽 出 処 理 に よ て tan δ は 大 き く低 下 し た 水 抽 出 成 分 は , っ 。
’
気乾状態 の 葦材 の M を わ ずか に 増加 さ せ E を 増 力IIさせ . Lan δ を 顕 署 に 増 加 さ せ る と 召 え る 。以 下 で は ,
,
水抽 出処 理 後 を基 準 と して考祭 す る ,
水 抽 1」
III
成 分 に よ る 質量 増 加 率 (WG ),動 的 ヤ ン グ 率 変 化 ( A E ’
),損 失 正 接 変 化 (A tan 6) を表 6 に , A
’
E ,Atan δ と WG の 関 係 を 図 29 に 示 す A tan 6 と WG の 間 に は 良 好 な 相 関 関 係 が 認 め ら れ た 。こ の よ う
。
に ,水 抽 出成 分 は 気 乾 状 態 の 葦 材 の tan δ を 顕 著 に 高 め ,そ の 程 度 は 水 抽 出成 分 の 量 に 大 き く依 存 す る 。
6.3.2 葦 材の 振動特性 の 力学 モ デ ル 化
水 抽 出成 分 を 含 ま な い 葦 材 の 繊 維 方 向 の 力 学 的 性 質 を,維 管 朿 鞘 と 柔 細 胞 層 か ら 成 り立 2 相 構 造 の モ つ
デ ル で 表現 す る こ れ を 図 30 に 示 す 。維 管 束 鞘
。 柔 細 胞 層 が い ず れ も粘 弾 性 体 で あ る と す る と ,そ れ ぞ れ
,
の 複素弾性 率は 次 の よ うに 表 さ れ る 。
E 詐=E9 一
ト =1⊃も一
浸ゴ9 ト 五もtan
ガ δb ,
6.
( 1)
席 一1ち + 燭 = E6 + iEStan δ 、 ,
表 5 20 ℃ ,枳 対 湿 度 60 % に お け る 葦 材 の 平 衡 含 水 率 (m .・
(1,比 重 1:
r) ,
’
動 的 ヤ ン グ 率 〔 E ) お よ び 損失 正 接 ( t:m 6 >
’
m ,c 〔% ) γ E 〔C; Pa) tan δ
x 8. 2 O.
4610 6. 77 0.01810
無処理 葦材
SD O. 37 .
0380 ユ. 126 .
oo310
× 7. 呂 3880
. , 211 .
00770
水 抽 出処 理 後 の 葦材
SD O. 28 .
043 . 10 .
QOO5
X ; 平 均 値 ,SD 標 準 偏 差 .
57
一
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・資 料 .
木材研究 第 32 弓 (
1996)
250
200
(
承
)
り
q 150
ε
100
50
Oo
10 20 30 40
WG %〉
(
図 29 水抽 出 成 分 に よ る 動的 ヤ ン グ 率の 変化 AE ),損 失 正 接
( の 変化 A tun δ)
(
.
と 質 量:増 加i辱{ (WG > の 「對イ
系
’
’
こ こ で ,泓 ,El は 維 管 束 鞘 ,柔 細 胞 層 の 動 的 ヤ ン グ Eg ,
率, 郡 は そ れ ぞ れ の 損失ヤ ング 率,
tan
,tan
δb
’
δ, は そ れ ぞ れ の 損 失 正 接で あ る 。 モ デ ル を 用 い る と ,葦 材 の 繊 維 丿∫向 の fi
:は ,維 管 束 鞘 部 分 の 体 積分 率
Φ を 用 い て ,次 式 で 表 さ れ る 。
ガ =Φ E ら十 〔1 一Φ )Ei 、, 6.
( 2)
「
図 31 に ,水 抽 1出処 理 後 の 葦.
材 の E と Φ と の 関 係 を示 す 。 両 者 の 問 に は 良好 な 止 の 相 関 関係 が 認 め られ た 、 .
ガ と Φ の 同 帰 直線 か ら ,銑 ,錦 は そ れ ぞ れ ,26 . 8GPa ,2 .89GPa と 推 定 さ れ た 。 こ こ で , 2 ,で 示 し た 維
管 束鞘 ,柔 細 胞 層 の 比 重 ( 二
rb 1 . 19,γ 二 26)を 用 い る と ,維 管 朿 鞘 ,柔 細 胞 層 の 比 動 的 ヤ ン グ 率 1瑞〃 b,
〇. ,
垢 /γ ) は, れ
そ ぞ れ 22 .
5GPa , 11 .lGPa と な り,柔 細 胞 層 の ESI γ、は ,木 材 の 半 分 程 度 で あ た 。 っ
モ デ ル を用 る と ,葦 材 の tan δ は 次 式 で 表 さ れ る .
い L
ΦE も 並
δ一 一
・a11
額網 二 雛 織 辛暑
モ 雛 ・
(
… )
図 32 に 9 1十,後 の 葦 材 の tan δ と Φ
;[[ ’
の 関係 を示す、
,
EA ,属,の 値 と し て 26 .
8GPa ,2 .
89 GPa を用い ,
tan δ
を Lan δb お よ び tallδp の .
1.次 開 数 と 見 な して 重 同帰 す る こ と に よ り ,ta11δb お よ び tan δp は そ れ ぞ れ
’ ’
〔
〕.0066,0 .
0092 と 推 定 さ れ た an δp 。 し の 値は ./; /r が
司穉 度 の 針 葉 樹 材 の tan
「 6 “L
に 比 べ て 明 らか に 小 さ
か た,
っ ,
.. .
次 に ,柔 細 胞 層 を 簡 .
甲 な力学 モ デ ル で 表現 す る こ と を考 え る 。針 栗 樹 材 細 胞 壁 の 構 造 は ,力 学 的 に は ,
繊 維方 向に 配 向 した 弾性 的 な ミ ク ロ フ で ブ リル と ,ミク ロ フ ィ ブ リル 問 に 充填 され た 粘弾 性体 で あ る マ ト
リ ッ ク ス 物質 の 2 相 構造 と見 な す こ とが で き る。 こ の モ デ ル を 図 331:11:に 示 す
1
。 ミク ロ フ ィ ブ リ ル の 体積
分率 を 5 と L ,ミ ク ロ
0. フ ィ ブ リル , マ トリ ッ クス 物 質 の ヤ ン グ 率 をそ れ ぞ れ ] 34GP 1,2GPaGr.
:
1
:
とす る と,
図 33 〔コ の モ デ ル の ヤ ン グ率 は 68GPa と な る 。現 実 の 細 胞 :購 中 で は , ミ ク ロ フ ィ ブ リル が 繊維 方向 に 対 し
58
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小幡谷 ク ラ リネ ッ ト リ ー ド用 葦 Atu
( ・
ndo dmzctx L )材の 物性
細胞層
Φ 1 一Φ
↓
(1 ) (2 )
.
図 3D 葦 材繊維方 向の 力学モ デ ル
1 ); 葦 材 の 構 造 モ デ
〔 ,〔2 〕
ル 繊 維 方 向の 力学 モ デ ル ,b 維 管 束 鞘 ,p ;柔 細 胞層,
Φ ;維 管束鞘 の 体積分 率 .
「0
(
£
O) 6
輪
20
.
0 0.
1 0.
2 0.
3
・ . ’
図 31 水 抽 1 1処 理 後 の 葦 材 の 埀 ,
Jl
”
力的 ヤ ン グ E ) と維 管束鞘の 体積 分率 (
率 ( Φ )の 関係
り,傾 角 と と もに 寄 び.
は 減 少 し,マ ト リ 質の 寄 与 が 増 加す る た め ,
’
て 傾い て お ミク ロ フ ィ ブリル の ッ ク ス 物
ース . ース .
。葦 材 は ,ス プ ル 爾
細 胞壁 の ヤ ン グ 率 が 低 下 し,tan δ が 増 加 す る 材 に 比 べ て セ ル ロ の 含右率 が
.
わずか に 低 く,結 晶 化 度 が や や 高 と 考 え ら れ ,結 果 的 に ミ ク
い フ ロ ィ ブ リル の 体積 分 率が 針葉 樹材 とほ ぼ
.
等 し くな る と 思 わ れ る 。こ の 場 合 ,孫 /γp の 値 が ロ .
1GPa と低 い こ と は ,柔 細 胞 層 の 平 均 ミ クロ フ ィブ リ
59
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0.
Ol2
0.
011
0,
010
蠹 0 ・
009 o
一
oOoo a
無撫緯
0,
008
_
0.
007 96 )oo o
o o
O.
0060
O
. 0、
1 0.
2 0.
3
図 32 水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 の 損 失 正 接 Ctanδ} と 維 管 束 鞘 の 体積分 率 (Φ ) の 関係
一
ト
Em
Ef Ep
ηm 7P
= 7P
τP
耳
(1 ) (2 )
_」
図 33 葦材柔 細胞層 の モ デ ル 化
q 1; ミ ク
: ロ フ ィ ブ リル とマ 1・リ ッ ク ス の 並列 モ デ ル ,(2 ); ミク ロ フ ィ ブ リ ル 傾 角 が 大 き く,細
胞 壁 の ヤ ン グ率 が 小 さい 場 合 の モ テ ル ,塀 ; ミク ロ フ ィブ リル の ヤ ン グ 率 ,Em ;マ トリ ッ ク ス
物 質 の ヤ ン グ 率 ,ηm ;マ トリ ッ ク ス 物 質 の 粘 性 係 数 ,Ep ;柔 紹 胞 層 の ヤ ン グ 率 ,恥 ;柔 細 胞 層
’
の 粘 性 係 数 ,τp ; 柔 細 胞 層 の 緩 和 時 間.
. .
ル 傾角 が か な り大 き く,繊 維 方 向 の 力 学 的 性 質 に 対 す る マ トリ ッ ク ス物 質の 寄 与が 大 きい こ と を示 して い
る 。した が っ て ,柔 細 胞 層 を表 す モ デ ル と し て ,図 33 〔2 〕に 示 す マ ク ス ウ ェ ル モ デ ル を用 い る 。柔 細 胞 層
の ヤ ン グ率 を Ep ,粘 性 係 数 を ワp ,緩 和 時 間 を ,角 周 波 数 を
τp ω と す る と,柔 細 胞 層 の 動 的 ヤ ン グ 率 ,損
失ヤ ン グ率 は 次式で 表 さ れ る、 t
60
一
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.
小幡谷 :ク ラ リネ ッ トリー
・
一ド用 葦 Aru }
( ndv .
clonctx I 〉 材 の
、 物性
一壽撫 ・脂 犠 19>
・・ ・
2
… 4・
・
6 ・ ・ ・ … 6讒 (
… )
したが っ て ,式 6.
( 6,
2 ), ( 3) は 次 の よ うに 書 き換 え る こ と が で きる 。
’
E =
Φム i、十 ] 一Φ 〉ε P
( , 6、
〔 6)
δp ,そ れ ら か ら 求 め た
1
1
( −. ’
E6
’
tt)E 、 ・ Jlc・
を式 6.
( 5)
黒 1
に 代 入 す る と ,水 抽 1出処 理 後 の 葦 材 の 場
6.
( η
合 の 柔細胞層 の 緩 和時間 は 0 .
0434 〔sec ) と な っ た。
・
この ,水 抽 ,維 管 束 鞘 部 分 ,柔 細 胞 層 の 2 相 モ デ 表現 ,柔 細 胞層
11
よ うに lil処 理後 の 葦材 に つ い て ル で し
をマ ク ス ウ コ・ ル モ デ ル と見 な す こ
’
と に よ :J ,そ れ ら の 粘 弾 性 定 数 が 得 られ た そこ . で 次 に ,柔 細 胞 層 の 粘
弾性 定数が 水抽 出 成 分 に よ っ て ど う変 化 す る か を解 析 す る 。
6.
3.3 水 抽 出 成 分 が 葦 材 の 振 動 特 性 に 与 え る 影 響
前 述 し た よ う に ,水 抽 L− 1成 分 は 主 に 柔 細 胞 層 に 含 まれ て る 。ま た ,図 34 に 示 す よ う に ,水 抽 出 成 分 が
’
い
明 ら か に 葦 材 を 1膨潤 さ せ て い た こ と か ら,そ の
・
部 は柔細 胞壁 内 に含 まれ て い る と 考 え ら れ る tt 水抽 出成
分 の うち ,ど れ だ け が 細 胞 壁 内 に あ っ て ,ど れ だ けが 内 腟 内 に付 着 して い るか を評 価 す る の は きわ め て 困
難 で あ る が ,半 ば 溶 解 し た 状 態 で 内 腟 内 に 付 着 し た 水 抽 出 成 分 が ,葦 材 の ヤ ン グ 率 を高 め て い る とは 考え
.・
る 水 tMii1 成 分 の
lr
に くい こ とか ら ,こ こ で は細 胞 壁 内 に 存 在 し ,細 胞 壁 を膨 潤 させ て い み が 葦材 の 振動特性
に 影響す る もの と して 考察す る 。
O.
12
0
0.
10
o
o O o
( O.
08 o
°
o
)
承 O
8 o
。 o
ま ooo
06
0. 8
≧
ノ矇 ら
o
o ◎
0.
04
。
O
8
8
o
゜
凶
0.
02
o o
0,
00
0 10 20 30 40
WG %)
(
図 34 水 抽 出 成 分 に よ る 比 膨 潤 率 〔
』 レ 々 o ) と重 量 増 加 率 WG ) の 関係
(
61
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’
水 抽 出処 理 後の 葦 材 の E ,tan δは式 6.
〔 6.
6 ), ( 7) を 用 い て 表す こ とが で きる 。水 抽 出成 分 が E 。 ,
τ,
をそれぞれ k 倍 ,s 倍 に 変 化 さ せ る と す る と,無 処 理 葦 材 の E’
,しan δは 次式 で 表 さ れ る 。
E’= Φ だ ら十 1 一Φ )kEp ,
( 〔6 .
8)
l ’ 1二
( Φ )幽
tan δ cr
1 Φ 一 Φ E 9. + 〔6 .
9)
Φ EC 十 ( )kEp (” s τP
解析 に 用い た値 を表 7 に 示す 。 水 抽 出処 理 後 の 葦 材 の Φ には 実 測 値 の 平 均 値 を用 い ,無 処 理 葦材の Φ は ,
水抽 出成分 が 全 て 柔細胞層 に 存在 し ,Al / だ け 体 積 を膨 潤 させ ,抽 出 後 の Φ と 水 抽 出 成 分
て い る と見 な し
に よ る体積膨 潤率 AV (
表 6 参照) か ら 計 算 で 求 め た 。解 析 の 結 果 を図 35
。[ で 示 さ れ た 水 抽 出 処
に示す
.
埋 後の 葦材 の プロ ッ ト は ,水 抽 嵐 成 分 に よ る 柔 細 胞 層 の 膨 潤 に よ て 図 に 移動 す る 、
っ 、團 は 膨 潤 の 効 果 だ
け を考 慮 し,水 抽 出 成 分 が 柔 細 胞 層 の 粘 弾 性 に 全 く影 響 を 与 え な い 場 合,すな わ ち k = s =1 の 場 合で あ る 。
表 7 解 析 に 用 い た値
GPa !
脱 ( GPa
εζ〔 ) Ep (
GP 三1) τp sec )
( Φ ω
水 抽 出処 .
埋 後 2 . 89 0 .043遭 0 .139
・ 26 .
8 0 .
178 2500
無 .
処 理 2 O,
89k 〔〕434s O .
136
属 ;維 管束鞘 の 動的ヤ ン グ 率 ,/r 維 管束鞘 の 損 失ヤ ン グ率 ,Ep ;柔 細 胞層の 動 的ヤ ン グ 率,
τp ; 柔 訓胞層 の 緩 和 時 間 ,Φ ;維 管 束 鞘 の 体 積 分 率 ,ω ; 角 周 波数.
一
1.5
一
1.6
・
1.7
・
1.8
り
目
ρ
・
1.9
bの
。
一
2.0
一
2,1
一
2.2
一2.
3
0.76 0.
78 0,
80 0.
82 0,
84 0,
86
logE ’
. ’
図 35 葦 材 の 損 失 正 接 の 対 数 logtan δ) と 動 的 ヤ
( ン グ率の 対 数 〔1 g E .の
) 関係
口 ;水 抽 1出 処 理 後 の 葦 材 ,■ ;k = s = :1 の と きの 無 処 理 葦 材 の 計 算 値 .◆ ;無 処 理 葦 材 の 実
測 1直,k ; 水 抽 出成 分 が 秉細 胞 層 の ヤ ン グ 率に 与え る 効果 ,
s ; 水抽 出 成 分 が 柔 細 胞 層 の 緩 和 時
間に .
厂
ブえ る効 果 .
62
一
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小幡谷 :ク ラ リ ネ ッ トリ ー ド用 4 、(
A n4nclo donax L 、
〉材の物性
現 美 の 無処 理鷹材 は ◆ の プ ロ ッ トで 表 さ れ ,■ と は 大 き くず れ て い る。こ の ず れ が ,水 抽 出 成 分 に よ る
柔 細 胞 層 の 粘 弾 性 に 与 え る 効果 を 表 し て い る 。 図 35 に は ,k お よ び s を 変 化 さ せ た 易 合 の 計 算 値 を細 線 で
示 して ある 。 無処理 材 に つ い て の 計 翁 値 が 笑 測 値 に 近 くな る k お よ び s は そ れ ぞ れ 1.
25,0 ,
3 で ある こ
と か ら ,水 抽
[
1.
[
城 か は 柔細 胞 層 の ヤ ン グ下 を 25 % !ta加 さ せ ,紅 和 時 問 を ユ/ 3 に 低.ドさ せ て い る と推 定さ
れた。
水 抽 出成 分 に よ る 柔細 胞 層 の ヤ ン グ率別 J凵に つ い て は ,次 の よ うに 斛 釈 で き る 。 成 為 過 程 で 草 材 の 耒 細
胞 内 に 沈 右 した 水抽 出成 分 は ,乾燥 さ れ て も な お ht 内 の マ トリ ッ ク ス物 貢を膨 {
門 させ て い る 。と こ ろ が ,
.
水 抽 出処 理 に よ り,マ ト リ ッ ク ス 物 質 の 一・Eで あ る 水 抽 出成 分 が 失 わ れ ,マ トリ ッ クス 物 質分予鎖 に は 各
水tAi. 材 の 柔 細 胞 層 の 粘 弾 1{
1
ず み が 生 じ,ヤ iを 変 化 さ せ て
「
所に ひ ン グ 率が 低下す る 。 今回は 昌成
, ノ♪ が ii 【 い る」
と い う見 方 を と り,水 抽 出 処 理 後 の 葦 材 を尹 liと し て 解 析 し た が ,ヤ ン グ そ に 同 して は , 「
無処理 葦材の 柔
. ・
細胞層 の ヤ ン グ 率 は 水抽 出 処 理 に よ っ て 低 1・
す る」 と考 え た 方 が 自然 で あ る ,
, 方 ,水 拙 11成 分 が 秉細 胞
層 の 紜 和 時 閲 を 顕 著 に 抵 下 さ せ て い た の は ,半 ば 溶 解 し た 水 抽 出 成 分 に よ っ て , マ トリ ッ ク ス 分 子 鎖 ill
の
粘性 係 数 が低 下 した た め と考 え られ る。
6 . 4 結 論
水 抽 . II させ ,繊 維 方 向
出 成 分 は ,气 乙状 態 の 華 材 を わず か に ) の 動 的ヤ 1 j ン グ 率 を 約 IC}% 高 め ,損 失 止
接 を 50 〜200 % 増 加 させ て い た 。
』
’
葦材 繊 維 方 向 の 振 動 斗∫性 を ,維 管 瑳 鞘 胞 1啻 の
と果 ポlli 2相モ デ ル で 表 し ,朱 細 胞 屑 の 粘 )1 1
⊥に 与 え る水 抽
・
出 成分 剤 を解 析 し た .水 抽 ll1 成 分 は ,
に細胞層 の ヤ 卑 を 25 % 増 1川 させ る 方 で ,緩 和 時 門 を 1/3
;
の JVノ ン グ
.
.齟
に 低 下 させ て い た ,扱 イIIII
、 寺「1]の 低 卜は ,柔 細
・ 胞 h 内 で 斗 ば 溶 彫 し た 水 抽 出 成 ノ}が ,マ トリ ッ ク ス 物質 の 粘
性 係 数 を 低 下 させ た た め とオ1鵬 、さ れ た 。
7 .ま とめ と今 後 の 課 題
.
本報 ,木 瓏 襲 器 の リ ー ド に 川 ら れ る 材 の 物 理 的 性 質 ,牛∫に , リ ー ドの 呂 頁 に 大 き く 関 わ る と 思
で は い で
わ れ る 収 縮 斗 注 ,吸 湿 性 ,振 動 特 性 に つ い て 述 べ た
寸 ,
2. で は , k鞠 と 聯 「1111
… 材 内層 邪 が 維 答 . , 包層 と う大 き く呉 な る 2 の 組 縅 に よ て 構 成 さ れ て い る こ と , い つ っ
鑑 細 胞層 に は 多 .巳成 かが 含 ま れ て い る こ と ,そ れ が グ ル
の 水 抽 II #
ース を 単 位 と す る単 糖 お よ び 2 糖 を 多 コ
く含 む こ と を明 ら か に した 、
3 .で は , ト 材 柔細胞 .そ の 殳パ が 乞煽、
が 飽 水 状 慧 か ら の ’乙 燥 過 石 で 蝦 者 に 後 も残 臼 す る こ と , 客ち込 み ,
』
潛 ち 込 み の 残 留 は 乾 焼 吊度 力 襾 く,之 セ 且 反 が 」 い ほ ど UlZ に 一 L じ る こ と ,残 ♂し た 落 ち 込 み を 回 復 さ せ
,
.
li下 で 60 ℃ 以 一
る に は iLJSil ) L に 力[1熱 す る :・
(、煮 処 理 が 効 A rl
勺で あ る こ と を 明 ら か に し た 。使 ∫ II中 に 高 い 1 水
率に な た リ っ
ー ド ,密 同 さ れ た リ
は ー ドケ
… ス に 程 存す る の で は な く, シ リ カ ゲ ル な ど を 用い て 速 や か に
乾燥. させ た 方 が 良 い 。 ま た , 客ち 込 み の 残 に よ て リ ー. ド先埔 が 波打 た り, リ ー ド全 体 が 反 ’た り し
月
っ っ 二、
.
た 易 合 に は ,_渚 処 JII て 回 復 す る の が 効果 的 で あ る ,
]
に よ っ .
→ .
4 .で は ,水抽 II. 1処 理 後 ) 1三材 の 吸 孑11 性 が ,竹 材 と II様 .木 材 に 比 べ て 低 い こ と ,葦刑 に 含 ま れ る 水 抽
1. σ
5 .で は ,水 抽 出 成 分 が 材 繊 緇 JijiJ の 振 動 牡 11に 与 え る ,
1 ,
彡響 に つ い て 止 ,合 水 率 ]O % 以 下 で は 水 {
,
べ
t ’
lll成 分 ;材 動 的
Li
, が の ヤ ン グ 率 高を め て い る が , そ れ 以 .
ヒ の Fl]水 率 で は 水 抽 1「 誠 珍 の 彡 iが わ ず か な こ と ,
水 抽 出 成 か が 1 乞状 .の 損 失 止 イ を ∫1 者 } 南 め て い る こ と を 明 ら か に し た 。こ れ ら の こ と か ら .† 材 の 水
u … 』
抽 出 成 かは , リ ー ドの ー ト1†il の ヤ ン グ ll を 冂 め ,リ ー ド の 臓 を 保 て い る と 考 え ら れ , ー
ハ ノ丿 多 くの 董者 が リ っ
・ .
ドを 湿 ら せ て 侵 川 す る 理 由の つ と して , 材 の 預 失 正 弘 が ,木 材 と は 逆 に ,気 乾 廿 髻 か ら 飽 湿 状 髻 に か
.
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木 材研 究 ・資 料 ・ 第 32号 〔1996)
けて 低 下 す る こ とが 挙げ ら れ た .
,また ,従 来 指 摘 され て い た長 期 間 の 使用 や 長 時 間 の 水 中 浸 せ きに よ る リ
ー
ド材 質 の 変化 は , 水抽 出成分 の 溶 出 に よ る 振動特 性の 変化 に 起因 す る と推 察 した .
6 .で は ,葦 材 繊 維 力 向 の 振 動 特 性 を,維 管 束 鞘 と 柔 細 胞 層 の 2相モ デ ル で 表 し,水抽 出成 分 が 柔細 胞
層 の 粘弾性 に 与え る ,水 抽 1出 成 分 は 柔細 胞 層 の ヤ ン グ 率 を 25 %
影 響 を 解 析 し た 。気 乾 状 態 の 葦 材 に お い て
高め る 一方
で ,そ のに 低 下 させ て る と推 定 され た 。
緩 和 時 間 を 1/ 3 い
以 上 の よ う に ,葦 材 の 物 理 的 性 質 に は ,水 抽 出 成 分 が 大 き く 関 与 し て い る 。水 抽 出 成 分 が リ ー ドの 品 質
に 対 し て どの よ う な効 果 を与 え て い る か は .奏 者 に よ る 官 能 検 査 を行 うこ と に よ て 明 らか に な る と思 わ っ
.
れ る 。 ま た ,音 色 に 関 5 す る 物 性 値 ,た と えば 損 失 正 接 の 周 波 数 依 存 性 に 対 し て ,水 抽 副 成 分 が ど の よ う
な影 響 を 5. えて る か に 興味が 持 た れる 、
い ,一方 ,葦 材 が リ ー 一ド と し て 用 い ら れ た 場 合 ,水 抽 出成 分 の 溶 出
を避 け る こ と は で きな 、し か し ,長 期 間 の 使 用 に よ て 材 質 が 変 化 した リ ー ドに ,水 抽 出 成 分 に 類 似 し
い , っ
た 糖 を 含 浸 さ せ る こ と に よ り,材 質 を 復 元 す る こ と が で き れ ば ,リ ー ドの 耐 用 期 間 を 延 ば す こ と が で きる
か も しれ な い t)
謝 辞
本 研 究 を 遂 行 す る に あ た り, ご 指 導 と激 励 を賜 っ た 京 都 大 学 木 質科 学 研 究 所 則 元 京教 授 }こ心 か ら の 謝 意
を表 し ます 、
,ま た ,葦 材 の 組 成お よ び 水 抽 出 成分 の 分 析 に 関 して 多大 な助 力 と助 言 を頂 い た ,京 都 大 学 農
学 部 湊 和 也 助 教 授 ,同大 学 木 質 科 学 研 究 所 梅 1睾俊 明助 教 授 ,同 大学 農 学 部 中 坪 文 明 教 授 な ら び に 大 学 院 牛
.
堀 美 智 子 氏 ,顕 微 鏡 観 察 に関 して 協力 を頂 い た ,京 都 大 学 農学 部 博 十 課 稿 1斐辺 宇 外 氏 ,木 村 聡 氏 に 深 く感
謝 い た します。
文 献
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